―現在・隔離部屋もとい客間前にて―
[いつの間にか姿を現した先。
ミニスカサンタの魔法少女姿の中に居る「それ」は、本来の招待客であるむすめの内側に向けて囁く。]
『――僕に成り切った積りで居ても、君は随分と「君」を隠せないようだ』
だって、キャサリン、
『解ってる。だからこそ逃げてきた訳だろう。
仮に万が一、知り合いに心でも読まれたりしたら。
正体は明かさない、というお約束もパァになるだろうし』
[「何かの霊が降りてきた」かのように話す妖かしには。
実際、この屋敷に辿り着いた時から「それ」が憑いていた。
目に映る顔の形を隠す黒い仮面の他に、もう一枚。
憑いたもうひとりの妖怪に成り切る様は、いわば「心の仮面」。
尤も、今の妖かしむすめは先程のダンスの相手のこと、彼女と同郷である「悪戯っ子」――天邪鬼だと断じた訳ではない。
その時の見目に幾らかの既視感があったから。声色を真似されたから。其処で幾らか重ね合わせていた。きっとそれだけだ。]
(+5) 2012/12/24(Mon) 23時頃