224 Cнег дьявол〜凍ったケツ村〜
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……………。
[小さくノブが回った音。>>74 名前を呼ばれた気がする。 顔を伏せたまま、腕のと髪の隙間から視線だけ上げると、開いた扉の前に金髪の青年が立っていた。]
シメオン……
[酷く気怠い声で、呼ぶ。 眼鏡は外してしまっているから、相手がどんな表情なのか分からない。
ベッドの上の彼女に会いに来たの?そう聞こうとして、やめた。 鉛のような重さが体を支配して、指ひとつ動かすのも億劫だった。 暗い声が、言う。簡潔に。]
……なに。 邪魔なら出てくわ…。
(76) 2015/06/01(Mon) 00時半頃
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……羨ましい…?
[青年が、力無く語りかけてくる。>>78 視線が確かにぶつかった。 薄いレンズ越しじゃないぼやけた視界は、今更もうそれを拒みはしない。]
……ふふ。なぁに。 あなたがそんなこと言うなんて。 私、今夜にでも死ぬのかしら。 [疲れた顔で少し笑って、背を丸めたシメオンを見詰める。 いつも気付かれぬように横顔だけを見てた、自信家で、飄々とした、ランタン職人の弟子。友人の幼馴染。]
(81) 2015/06/01(Mon) 10時頃
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王子様、なんて。
[ぽつり、と。 否定でも揶揄でもない響きで言う。 自分にとっての彼を探そうとして、どうにも見当たらなかった。]
王子様なんて、御伽噺の中だけで十分よ。 …あなたは、あなたで、それで、十分──、……。
[途切れた語尾を飲み込む。 今更。何もかもが、今更だ。 憧れや、嫉妬や、後ろめたさも、全部たったひとつの感情から目を背けるための、柔い壁だった。
けれど、こんなことになって今更、言うべき言葉なんて持っていやしない。]
(82) 2015/06/01(Mon) 10時頃
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ねえ、シメオン。
[やがて背を向けた青年を>>80呼んだ。振り向いてくれるだろうか。背を向けたままだとしても、気にせずに続ける。]
駅の東の、小さい丘。…覚えてる? 上まで登ると、モスクワ行きの列車が一番遠くまで見えるの。
[子供のころ、手を引かれて登った事がある。 アランが出て行ったその日に、泣き止まない自分をそこへ連れて行ってくれたのは、彼だった筈だ。]
土曜日の午後にはね。 あそこに登ると、向こうから来る列車もよく見えるのよ。 駅で、誰が降りたかも。
[膝の上に抱えた布地を抱く腕に、そっと力を込める。淡い菫色の刺繍が施されたワンピースは、体温が移って仄かに温かかった。
長いこと逸らし続けた視線を、今度こそ逸らさずに、扉の前で揺れる金の髪を見詰める。 瞬きをすると、何度もひとりで登った丘の上までの道が、はっきりと思い描ける。
けれど、続く言葉が紡がれる事はなく、ケイトは押し黙って顔を伏せる。]
(83) 2015/06/01(Mon) 10時頃
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…あなたも少し、休んだほうがいいわ。 起きたらまた、…疑い合わなきゃいけないないんだから。
[沈んだ声を床へ落として、今度こそ出て行くシメオンを見送った。]**
(84) 2015/06/01(Mon) 10時頃
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読書家 ケイトは、メモを貼った。
2015/06/01(Mon) 10時半頃
読書家 ケイトは、メモを貼った。
2015/06/01(Mon) 10時半頃
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────お断りよ。
[私は、私。 お姫様なんかじゃ、ないわ。]
(*10) 2015/06/01(Mon) 13時半頃
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─4日目・早朝─
[金髪の青年が去って、どのくらい経ったか。 俯いたまま、少女の指先はベッドの上の雪の妖精の頬を、優しく撫でていた。肩が震える。徐々に、その震えは大きくなって。]
……っ、ぅ、……────ふ、…ふ、
(90) 2015/06/01(Mon) 13時半頃
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ふふ、ふふふ、はは…っ、あはははははははは!
は…ぁ、…ふふ、……もう駄目よ。 飽きちゃったわ、『ケイト』。
[喉を見せて仰け反った少女は、どろりと濁った瞳で、嗤った。]*
(91) 2015/06/01(Mon) 13時半頃
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読書家 ケイトは、メモを貼った。
2015/06/01(Mon) 13時半頃
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[ギシ、と足下で廊下の板が鳴く。 手入れは行き届いている建物だが、そう新しくは無いので、決まった場所が軋むのだ。
ゆっくりと歩く途中、客室での喧騒が耳に入る。>>96>>97虚ろな目がそちらを向いた。]
────… 、
[唇が少し動いて、冷えた指が手の中のものを握り締める。 ここに来る途中、叔父の部屋へ行った。オスカーへ充てがわれた部屋にも行ったけれど、目的のものが見当たらなかったからだ。
冬の森に出る狼を追い払うのに使っていたモノだから、使えるのは知ってる。 当てることは、あまり考えて無かった。]
……まって、…し合い…しましょ…
[ぶつぶつと何か呟きながら、菫色のワンピース姿の少女は、羽織ったカーディガンの下に──銃を握り締め、階段を登っていった。]**
(102) 2015/06/01(Mon) 19時半頃
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読書家 ケイトは、メモを貼った。
2015/06/01(Mon) 19時半頃
読書家 ケイトは、メモを貼った。
2015/06/01(Mon) 21時頃
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[誰か、と聞き覚えのある金切り声が上がる。>>105 ほぼ同時に駆け上がっていったのは、メルヤか。>>106ヴェスパタインも一緒だったかもしれない。
バタバタと床の鳴る音にゆるりと顔を上げ、急ぐ風でもなく追い掛ける。折り返し手前。 助けてくれ、とまた上がる声。>>110虚ろな瞳が微かに開く。ひくりと動いた喉には、誰も気付きはしない。
部屋から飛び出してきたシメオンの姿に、先に上がったメルヤが動揺した声を出した。>>111 折り返しの踊り場でそれを見上げた少女は、ゆっくりと階段を登る。一段。また一段。
最後の三段、登り切る手前で足を止めた。 シメオンが怯えた声で叫ぶ。>>115 追ってくるのは誰か。全員の姿が見えるまで、その場で待つ。
もしかしたら傍目には、怯えて立ち竦んでいるようにみえたかもしれないが。]
(117) 2015/06/01(Mon) 21時頃
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[階段の先の廊下に人影が増える。>>119>>120 リーと、ドロテア。 リーの視線がこちらを向いた気がした。押し殺したような呟きにも、表情は動かない。]
なんだ。みんないたのね。
[はくり、低く息を吐き出して。カーディガンの下に利き手を差し込む。ワンピースのベルトに引っ掛けた『それ』を引き抜いて──カチリ。撃鉄を起こす、音。]
(125) 2015/06/01(Mon) 21時半頃
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[ ────ガァン!
空気を揺るがす衝撃音。真っ直ぐに上に向けられた腕が、宿屋の天井を撃ち抜いた。 握られたモノの銃口から一筋の煙が上がる。
視線がこちらに集まるなら、その手を今度は、皆の方へ向け。構える。カチリ。]
うごかないで。 ────だめよ、こんなところで。 話し合い、しましょう? 誰彼構わず、死にたくなければね。
[場違いな笑顔で、言葉を、投げる。]
(126) 2015/06/01(Mon) 21時半頃
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黙んなさいよ、人殺し。
寄ってたかってジリヤを殺した癖に、今更キィキィ喚かないで。 言ったでしょ?私にとっては雪鬼もあなた達も変わらない。
[冷え冷えとした声で言い放って、ヴェスパタインの手から逃れる為に身を逸らす。]
さがって。 自分たちは疑われもしない位置で散々人を殺して、満足? あなたが決めたルールよ、せんせい? そして、誰が雪鬼でも、それに従ってきた。『あなたの決めたことルール』にね。…おかしな話。
[は、と鼻で笑う。 銃口を降ろすつもりも、奪わせるつもりもない。]
さあ。おばさまも、リーも。 せんせいもよ、武器を捨てて。 そうしたら、私も、面倒なことをしなくて済むわ。
(135) 2015/06/01(Mon) 22時頃
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/* 誤字ぃぃいい…!
(-65) 2015/06/01(Mon) 22時頃
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[怒鳴り散らす声>>134に、笑い声が漏れた。 全員見渡して、黙れ、と再度、口の動きだけで示す。 武器を下ろしたリー>>137に視線をやって、口元を緩める。]
リー。良い子ね、賢い人は好きよ。 せんせいのそれは、蛮勇っていうの。あなた達じゃあるまいし、別に殺すだけが手段じゃないわ。 なんでもこだわりなく読んでみるものね。撃っても問題無いパーツって、沢山あるのよ。 でも、無意味に痛い思いをする必要はないでしょう。
[銃身を引かぬまま言い、リーの言葉に>>137目を細める。]
恨んでる? 同じだなって、思っただけよ。 ヨアヒムさんを殺したときは気不味い顔してただけなのに、 それが自分の親しい人間になった途端に悲劇ぶってるおばさまも、メルヤも。 他の解決策のひとつも考えずに、せんせいのやり方に従った私たちも! みんな下らない、人殺しの、悪い子よ、そうでしょう!?だから────
(140) 2015/06/01(Mon) 22時半頃
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[半ば叫ぶように言って。 視線が、無意識か、意識してか。廊下の中央にいる──彼>>134を、見る。]
────居なくなって、くれないんでしょう? 雪鬼は、
[『悪い子のところには────』]
(141) 2015/06/01(Mon) 22時半頃
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シメオン、
(*12) 2015/06/01(Mon) 22時半頃
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シメオン、おねがい、遠くに行かないで、ひとりで
(*13) 2015/06/01(Mon) 22時半頃
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ケイトは、シメオンに話の続きを促した。
2015/06/01(Mon) 22時半頃
ケイトは、シメオンに話の続きを促した。
2015/06/01(Mon) 22時半頃
ケイトは、シメオンに話の続きを促した。
2015/06/01(Mon) 22時半頃
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[近寄ってくるリー>>142やドロテア>>147を見据えて、しっかりと握った銃身を向ける。そのまま、降りようとするメルヤは放っておいて、入れ替わりに二階廊下に上がる。全員が見渡せる、廊下の一番奥。]
動くなって言ったでしょ。 ……でもいいわ。おばさまの言う通りよ、リー。 死んでくれって言ってるんじゃないの。 全員、降りて。 せんせいもよ、そっちの階段から。 [メルヤが降りた方に黙って続いてくれるなら、それでいい。 懐かしい筈なのに、もう見たくもないあの帽子は、その先の酒場のテーブルに鎮座しているのだから。]
(157) 2015/06/02(Tue) 00時頃
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[銃はしっかりと握ったまま、けれど銃口はもう下ろされている。 全員が階下へ向かう中、少し間を空けて降り始める金髪の後ろ姿>>153を、ケイトは最後尾で見詰めていた。
ギシ。ギシ。足元で階段が軋むたび、数えなくともそれが何段目なのかが分かる。 すっかり慣れているはずのこの宿屋が、今はまるで別の場所に思えてならなかった。
先程の熱気がすっかり取り払われた、耳に痛い沈黙の中、粛々と続く『話し合い』の準備。 小さく切った数枚の白紙と、懐かしくも忌まわしい、叔父の古い山高帽子。 話し合い、とは名ばかりの、殺し合いに課せられた『ルール』だ。
皆が同じ名前を書くのだろう。 分かりきった事だ。 読み上げられる事を待つ必要もないほどに、分かりきった、事なのだ。]
(160) 2015/06/02(Tue) 00時頃
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馬鹿ね、シメオン。
[ひとりくらい、守らせろよ。
囁きに乗った声は、確かに少女の知る彼だ。 脊椎に忍び寄り溶け込んだ鬼のものとは違う、彼女の知っている、彼女を知っている、彼の。]
あなたって、ほんと、馬鹿だわ。
[守れれるんじゃなくて、守りたかった。
昔、アランを見送った時。 最初の晩、叔父に首を絞められた時。 疑いを他所に向けて。親しかった誰かを裏切って。 いっしょに行こうと、手を握ってくれたのは、折れそうな心を守ってくれたのは、他でも無いシメオンだった。
今だって、そう。 命懸けで逃げ道を捜してくれている。 棘のない声で、言葉で、手を引いてくれようとしている。]
(*19) 2015/06/02(Tue) 00時半頃
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ひとりで平気な筈、無いじゃない。 いっしょに行こうって、あなたが言ったのに。 私なんかのために、……ほんと、馬鹿よ。
[確かに指の隙間に合った体温を、覚えている。 本を読まない彼には、あの晩、アランから取り出した桃の実を捧げた意味は、きっと分かりはしない。
それで良かった。 二人で逃げ切れるんじゃないかなんて、温い幻想を見せてくれるほどこの殺し合いは甘くは無かった。
それでも、いつかこうなるとしても。 ただ護られるんじゃなくて、隣に立ちたいと、そう在ろうと、決めていたから────。]
(*20) 2015/06/02(Tue) 00時半頃
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[開票結果を待つこと無く、少女は酒場の一角で壁に背を預ける青年に近付く。>>155
俯いた彼は、誰のどんな声にも全く反応を示さない。 視界の端で、開かれる票。一枚。二枚。 青年の見えないその表情を、伺い知ることは、出来ないけれど。]
ねえ、シメオン。
(161) 2015/06/02(Tue) 01時頃
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こっちを向いて。
(*21) 2015/06/02(Tue) 01時頃
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[少女の下ろされていた腕が、再びまっすぐ上がった。撃鉄は、とっくの昔に起こしてある。
合わせた照準の先にあるのは────]
(162) 2015/06/02(Tue) 01時頃
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あなたを護らせて、って。私、言ったわね。 …あれ、嘘だったわ。
私ね、ほんとはあなたを、
(*22) 2015/06/02(Tue) 01時頃
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だれにも渡したく、ないの。
(*23) 2015/06/02(Tue) 01時頃
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[言った少女は、少し困ったようで、ちょっとだけ泣きそうで。
けれど、確かに笑っていて。]
(*24) 2015/06/02(Tue) 01時頃
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ねえ、シメオン。
……────だいすきよ。
(-82) 2015/06/02(Tue) 01時頃
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……──── =B
[食堂の空気を切り裂く破裂音。 唇から滑り落ちた、たった5文字の別離の言葉は、他の誰に聴こえる筈もなく。
青年の心臓を撃ち抜いたその瞬間、菫色のワンピースを纏った少女の口元は確かに、笑っていた。]**
(163) 2015/06/02(Tue) 01時頃
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