231 獣ノ國 - under the ground -
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[ さあてさてお立ち会い。
白亜から目もくらむ、乱痴気騒ぎの外の世界。愁嘆場じみた茫洋の。螺旋の波をのぞむ先。
“ ふかいふかい ”その“ 水面 ”で、
―――もとめた満腹はどこにある? *]
(+0) 2015/07/14(Tue) 19時半頃
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―― ? ――
[ ぐうと叫ぶ虫の鳴き声は、“いきたい”ともとめ、躯をうねる欲求は。いずれどこで、
―――“ きえた ”のだっけ。
螺旋のそこを1つ、1つと進みながら。いつか四角形の「造りもの」の中、水面へと躯を撓らせたように。今度は本当のひかりを、とただ、浮き泳ぐように。 己が「いきる」ことをねがった声を、思い返しながら。監視はどこまで自分を追ったろう。 ――最後に聞こえた“こえ”に、くつわを外したその顔を、振り返らせかけては。自分を出した男は。すきに、とこがれる「ふるさと」へ、背を押した亀は。]
…、――――
[ やがて声も、白亜の名残も届かない古びた階段の先。いつの間にかフードも下ろされた、露わになったそこに。
―――撫でふれ、においたつのは。 ]
(+1) 2015/07/14(Tue) 19時半頃
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そと、
[ ひりとした喉奥を滑った、潮のにおいに。 足は一歩とその先を踏み締める。遠くに鏡映し、本物のひかりを照らすそれを、“しんかい”じみた色の隙間、のぞみながら。
なじみの彼が、鳥が、針鼠が、うたったそとを。
惚けた息が1つ、溢れたのは、誰に知られることもなかっただろうか。 ――その場に暫く立ち尽くしたまま、やがて“観察対象”として、己のなした事に気がつけば。ふらつく足取りでひとの、ほかの気配から遠ざかるよう、歩みを進めただろう。*]
(+2) 2015/07/14(Tue) 19時半頃
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―― →路地裏 ――
……、――
[ うみ、――ふるさと、と。小屋がある、とつげた彼の声を乾きに喘ぐ奥、囈言のように1つ呟き。
……やがて路地の裏。清潔でも白くもない建物の壁隅にずり、と背中を付けては。そのまま、海底で息を潜めるようにしばらくと踞る。 ――あれほど、ぐうぐうとないていた腹の底。 「満足」を、その先をもとめた餓えが。欲求が。跡形もなくなっているのには気付かないまま。]
(+3) 2015/07/14(Tue) 19時半頃
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―― 路地裏 ――
[ ひたりとはり付く喉が痛かった。 パーカーの奥、たぷと揺れる水の――ペットボトルに入ったそれを、癖めいて腹へと流し込む。
腹の底へ落ちたそれに、足りないとも、満足したとも思わなかった。ただ息はしやすくなった、と空気に晒した瞼を伏せる。 ここは、…ここ“も”――、と。路地の薄汚れた、凹凸の目立つ壁へ、白亜に馴れ切った黒を滑らせながら。
俺はなにを、あんなに、
“ ”、と、一間のみ。手を取り和らいだその奥にあったのぞみは――一体、なんだったのだっけ。
求めたひかりはここにある。男の”おしえ”の先も。光る石の彼が自らへ告げた”いきる”先も。…チェビィの言ったふるさとも。あの地下で、こえが求めた自由すら、
――そう、だから俺はここでいきたい、と。……どうして、
…あそこではいきていけなかった? ]
(+8) 2015/07/15(Wed) 22時頃
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…“ ”ら。
[ ダメだったから。 己の見知った彼を、彼らを、己の“領分”にひた侵すよう、くい潰す事も。傷つけても傷ついてもいけなかった、だから。 手元に触れるチューブに、“替えのきく”それに視線を向けつつ。ぎち、と開いたプラスチックの吸い口から漂うにおいにも、何を感じることもなければ。
―――、なんで、あんなにほしかったんだったっけ。 手を触れたとき、最後腕を下ろしたその先。彼は、己になんて、――いった? ]
……、?
[ ならない虫は、もう満腹をもとめることはない。
“きえてしまった”それに、鮫は気づくこともなく。ただ、正体の掴めない違和感に、眉を顰めた。*]
(+9) 2015/07/15(Wed) 22時頃
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――路地裏→――
[ ――一体どれほど、路地の裏手踞っていたのだったか。 見つからないこたえの先を辿るのをやめ、ずりと背を凭れさせたまま足を伸ばす。
そういえば、あの男へ宿題のこたえもまだだったろうか。“外”で会っても困るだろうと、“今度”のその先もいずれ、彼へこたえることもないのだろう、が。
いつの間にか白けた色を越し、陽――“ほんもの”のそれの落ちる視界に、目を細めながら。
ふかいところ、そら。 ――うみもその先のぞめるという、“ふるさと”。
ならない腹元と、それでも敏感な感覚器官はそのままに。「かり」に飢えることはなければ、煩わしいだけの“ひと”の気配から逃れめいて、足先を街の端へと向けつつ、パーカーのフードを被り直した。
自分と同時期、あの地下から抜けた「1人」>>+7がいるとも、彼が“うしなった”それも知らず。*]
(+10) 2015/07/15(Wed) 23時半頃
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―― →街中 ――
[ ひとまず、と足を踏み出した向こう側。
道のはた、行きずりに“ひと”の1人と肩が触れ合えば、荷物をごと、と落とした相手へ。 溢れた1つ――赤く熟る林檎を拾い上げ、手渡そうとした先。異形めいた――鱗ののる肌に。ひいと大きく悲鳴をあげられたなら、 ――街中、誰かに気付かれることはあっただろうか。
「施設」にいた頃は、ただ管理の隔たりにあっただろうひとの、新たにのった“拒絶”の色に。 向けられる”まなざし”に、小さく乾く息を困惑じみて詰まらせながら。
――やがては、僅かに騒ぎを立てるその場から、 すり切れた手袋に、慣れた手つきで鮫肌のそこを覆いながら、逃げるよう離れ去っただろう。]
(+11) 2015/07/16(Thu) 00時頃
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