8 DOREI品評会
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― 客席 ―
[今、商品として残った少女と、ヴェスパタインが買いあげた女奴隷とが、今回の舞台のラストショーを演じている。]
―――…おや、もう、そんな時間ですか。 愉しい時というのは、過ぎるのが早いものですね。
[道化の言葉に、ルーカスは薄く微笑むのみ。 灰青は、舞台上のヴェスパタインの様子を、興味深そうに映した。]
(39) 2010/04/13(Tue) 22時半頃
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― 回想/舞台袖/個室 ―
[屈強な男の使用人を1人置いたのは、テッドに処置をしてる最中、志乃に寝首をかかれないとは言えないからだ。手元にはメスやカミソリといった凶器もある。]
……慎重と云って欲しいかな?
[ちりん、りん――と、異国の女から2つの鈴の音が聴こえ。 金の眼の青年の「卑怯」という評価に、ルーカスは肩を竦めて見せる。
使用人には、志乃を押さえるという目的も兼ねて、舞台と同じよう顎を青年に向けて固定させた。]
勃起させない方が、この後痛くないよ?
[青年を立たせたまま、下に穿いていた物を足首まで下げさせて、ルーカスは白絹の手袋を取り、片手にシェービングクリームを取りながら、優しく云う。 勃起させない方が、皮が余る分、メスや真珠を入れやすい=痛みは少なくてすむ。 じゅわり、泡が押し付けられる音が、青年の下肢に響いた。]
(*27) 2010/04/14(Wed) 00時半頃
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下手に動くと、大切なところ剃り落としてしまうかもしれないから 動かないようにね……―――
[そして、勃起しない方が……と謂いながらも、ルーカスの指先は、作業にかこつけて、まるで快楽を与えるように青年のペニスに触れた。 棒の上を剃る時は、押さえつけるように。 脇を剃る時は、自慰をするときのように輪を作り、根本から上に向かって擦りあげ、ぐっと横に倒す。手が滑った風を装い、何度も。
青年の其処は、反応したのだろうか。 どちらにしても、大の大人のそこが、小さな子のようにつるつるとしている……ある意味滑稽に見える様が出来あがった。]
さて、これからが本番だ。 椅子に腰かけなさい。
[志乃にしたのと同じく、青年の脚にある枷の錘を肘掛に置き、脚を開かせた。 まるで傅くように、ルーカスは青年の股間の間に、頭を寄せる。 煌めく銀の刃の先が、すっとペニスの表側、縦に3つ並べて傷をつけた。 裏に埋め込むと、勃起の際皮が張るので、埋めても抉れ出てしまう危険性が高い。故にヴェスパタインのドリルのように宝石が巻かれた其処を拝見することがあったなら、驚きを見せることだろう。]
(*28) 2010/04/14(Wed) 00時半頃
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一つ目は、これで終了。 後、2つだね。
[開けた傷の隙間に真珠を押し込み、灰青を金に合わせて微笑む。 2つ目、3つ目……3つ目を押し込んだ時に聴こえた声に、青年の股間を見詰める男の口角の角度はあがる。]
これで終了だ。 嗚呼、ちゃんと電話はさせてあげるよ。
―――私は今までちゃんと約束は守っているだろう?
[そして、縫いあげ、ペニスバンドを装着し終えると、つるりとしたペニスの上の肌をなで上げ、薄らと金の端滲んでいた雫を血濡れた指先で拭い、電話を許可した。]
(*29) 2010/04/14(Wed) 00時半頃
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― 回想/舞台袖/個室→客席 ―
[電話を許可すると、青年はさっそく家族へと電話をし始めた。 ソフィア――という名が聴こえた。 姉か妹か。おそらく姉妹の代わりに此処に来たのだろうという予測を、男はたてながら、青年の声を聴く。]
ん?なんだい?
[ふっと、灰青が、青年か電話かを、酷く気にしている様子の女の姿を捉える。 望みを謂うことを許可すると、彼女も家族に電話をしたいのだという。
手術用の手袋をはめることなく、血にまみれていた手を、使用人が運んだ湯で清めながら、ルーカスは少しばかり考える仕草を見せた。]
(*30) 2010/04/14(Wed) 00時半頃
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良いよ。その代わり、何か「代償」を貰おうか。 「代償」は、そうだね、少し考えさせてもらうけれど。
[先の見えない「代償」。けれど志乃はそれでも良いと云う。 最早、彼女にとってはどうなっても、あまり変わらないと思ってのことだったのだろうか。 青年の電話が終われば、異国の女も電話を手にとった。 漏れ聞こえる日本語―――ルーカスは、また買いあげたカンバスの背景を少し知る。]
まぁ、調べ上げれば直ぐにわかることだが…―――
[あえてそれをせずに置くべきか否か。 そんな愉しみを抱きながら、異国の女の電話が終われば客席へと、2人を伴って自称芸術家は戻るのだった。
その間も、まるで2人の揺れる心を体現するよう。 りぃん、りぃんと女につけた2つの鈴の音が鳴った。]
(*31) 2010/04/14(Wed) 00時半頃
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― 回想/客席 ―
[志乃と金目の青年――テッドとの間に交わされる会話に、主人である男は口を挟まない。交わした名はいつか奪われると知ったなら、彼らはどう思うのだろうか。カンバスの背景を知ることと、名を奪うタイミングと――そんな仄暗い愉しみを考える。
テッドがヴェスパタインに対して非礼を働けば、謝罪をしようかと思うこともあったが、相手が愉しそうにしていれば、それもすることなく。 言葉にしなかった礼のように、No.5への競りには参加しなかった。 姉も参加しなかったことで、アマゾネスのような女を引き取りに、ヴェスパタインが席を立った。]
(*33) 2010/04/14(Wed) 01時頃
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おや……―――
[姉が残された少女に話しかけるのを、弟は特に口を挟まず見守っていた時か、鈴の音が響いた。くずおれる志乃を支えるテッド。そして、戻ってきた姉が、買いあげた男の腰に手を回すのも、灰青の視界に入る。
舞台は暫くの間、休息の時間を取るようだった。
まるで、2人にも休息時間を与えるように、志乃を支えるテッドにルーカスは何を謂う訳でもなかった。逆にそれが彼の――主に下半身を苦しめることになったようであるが。
テッドとは対照的に、ルーカスは汗一つかかず。 汚物の匂いも無くなったことだしと、温かな紅茶を運ばせ、それを優雅に啜った。]
(*34) 2010/04/14(Wed) 01時頃
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― 回想/客席 ―
[そして、始まる今宵のラストショー。 あえてかどうなのか。姉とその奴隷も、自分の奴隷2人に、男の灰青は向けられることはなく。ヴェスパタインが女2人を遊ぶ様を、常の微笑を湛えたまま見ていた。
今回も、やはりルーカスは競りに参加することはなく。 そして、一先ず今宵の舞台は幕を降ろしたのだった。]
(*35) 2010/04/14(Wed) 01時頃
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