289 【ペア】風邪引いたあの子ん家に行く村
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[どうかしてる。
我に返ったように、幼馴染の頭に置いた手をひいた。 重い風邪を引くと、こうも弱るものなのかと、息を吐く。 >>0:96撫で終わった後、しかも視線は落ちていたから 咄嗟に手を離した事が気付かれていないといい、と思いながら。
罪悪感がない訳ではない。 >>0:95もしその仕草に気付いていたのなら、尚更。 けれど自分のせいで彼を傷付ける事になるなら それよりはマシだと思っただけだ。]
(1) 2018/11/28(Wed) 09時頃
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ん、……
[>>0:97そういえば昨日は病院に行けなかったと、彼の言葉で思い出す。 一刻も早く横になりたくて、真っ直ぐに帰宅したから。 バイク通学で事故に遭わなかったのが幸いだ。]
………ゴホッ!! ああ、ん、………サンキュ
[そして押し付けるように渡されたのど飴。 幼少期の思い出が詰まったそれに視線を落とすと 青年は微妙な肯定を返しながらも受け取り、背を向ける。]
(2) 2018/11/28(Wed) 09時頃
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………あー、大丈夫。 つうか、部屋入るならマスクしろ、マスク。 馬鹿でも、風邪はひく……ッゴホッ!ゴホッ!!!
………くそ、
[>>98苦しそうに、時折鼻水を啜って、咳を繰り返しながら 一人部屋に戻り、青年自身もマスクを付けると布団に潜り込む。 口に入れたのど飴が、溶けて、優しく喉に染みていく。 先程より毛布があたたかく感じたのはきっと気のせいだ。
iPhoneはもう開かない。 液晶を見ていると、気分が悪くなる気がしたから。**]
(3) 2018/11/28(Wed) 09時頃
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[口に入れたのど飴が溶け切る頃。 >>20幼馴染の声が聞こえると、 重い身体を引きずって、部屋の中への招き入れる。 食事と、飲み物。それから薬を持ってきてくれたらしい。
彼が言った通りにマスクを付けていれば安堵し そのエプロン姿には、懐かしさを覚えた。
以前はよく、自身の母親に料理を習いに来ていたもの。 青年はというと、最初こそ「男が料理なんて」と眉を寄せていたが 後ろからひょっこり顔を出して、堂々とつまみ食いをやってのける頃には 幼馴染がそうして教わりに来るのを、楽しみにもしていた。]
(54) 2018/11/28(Wed) 23時頃
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[中学、高校時代。 母親が忙しい時には、 自分の分の弁当を作ってもらっていた事もあった。
「お前が作った弁当の方が好きだな、俺。 …………あ、いや、今の母さんには内緒な」
なんて、鳴海家の味を作っている母親が聞いたら泣きそうな事を 口走ってしまった事も、遠い昔のように感じる。]
(55) 2018/11/28(Wed) 23時頃
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…………おー、うまそ、
[>>21さて、習ったことはない、というが 水と米と少しの塩だけで作るただの粥ではないことは、 料理がからきしな青年でも、見た目だけで分かる。
テーブル前に腰を下ろし、ぼうっとそれらを眺めていれば 聞こえた軽口に、一言]
やっぱ馬鹿だろ、お前。
[>>22そう言うと、すぐさま謝罪と笑いを含んだ声が聞こえた。 しかし、青年はしばらくスプーンを持つ様子を見せず]
(56) 2018/11/28(Wed) 23時頃
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[昔のように。 全てが元通りとはいかないけれど
弱った身体は拒絶を忘れ 弱った心は彼のあたたかさに手を伸ばした。
この時だけでも、と思うのは 幼馴染を突き放した男には、罪である事は分かっている。 しかし、熱に浮かされた思考は、深く考える事を放棄させた。]
(57) 2018/11/28(Wed) 23時頃
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………っ、ぁー……
[どのタイミングだったか。 ぐず、と鼻が鳴れば、ティッシュの箱に手を伸ばして また一つ、新しいティッシュの丸まりを作った。]
ティッシュは、いつもんとこ。 ………うちに、体温計なんて、あったか?
[>>22>>59問われる答えは、曖昧なもの。 普通の家なら常備してて当たり前だが 普段世話にならないものの場所を、青年が覚えている筈もなく。]
(63) 2018/11/29(Thu) 02時頃
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[>>60すすめられるままに蜂蜜入りの生姜湯も一口。二口。 一人暮らしであれば確実に入らなかったであろう甘さが広がって 咳で傷ついた喉が、じんわりと温まってゆく。]
………まだ寝る時間じゃねえんだけど
[>>61聞こえた言葉に文句を言いながらも 目の前に置かれた薬に手を伸ばして、飲んでおく。 幼馴染がマスクを付け直すタイミングで 合わせたようにこちらも付け直した。]
(64) 2018/11/29(Thu) 02時頃
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……さあな。 季節の変わり目ってやつじゃねえの。
……───ゴホッ、ゴホッ
[適当に、当たり障りのない返事を返す。
心当たりという 心当たりはない。 だがもしそれが浮かんだとしても この幼馴染に伝える事でもないと思いながら 部屋の扉が閉まる音を聞いていた**]
(65) 2018/11/29(Thu) 02時頃
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あ゛ー……サンキュー……、
[>>68持ってきてくれたアイス枕に頭を預けると、 その冷たさに熱が溜まった脳が冷えていく心地で、 落ち着いたように、大きく息を吐いた。
全く、この幼馴染はよく出来ている。 父子家庭に育つとこうも気がきくようになるのか。 自身との違いを肌で感じながら、散らかした服 ──彼と色違いの黒いニットとジーンズ、それから上着──が 彼によってまとめられていくのを視界の端に捉えながら、体温を測った。]
(69) 2018/11/29(Thu) 09時頃
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…………37度9分
[横になったまま、呟く。 これから夜になっていくとまた上がるんだろうか。 そんな事を思いながら、幼馴染をちらと見やって**]
(70) 2018/11/29(Thu) 09時頃
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────……なんて、冗談だよ。
[ふ、と息を漏らして、再び視線を逸らした。]
それに、駄目だなんて言ってねえよ。 けど、折角の連休を病人と過ごすなんて お前のご友人様が聞いたら、さぞかしお笑いになるだろうと思って?
[彼の取り巻きは、こういう休日とくればこぞって BBQとか行く類の人間じゃなかったか、と思考を巡らせながら。]
(88) 2018/11/29(Thu) 22時半頃
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…………いや、そういえばお前、彼女いなかったか。
[>>89恋人とデート、そんな会話を耳に入れて 思い出したように口走る。 他人事のように呟く以上、既に当事者ではないのだろうが。]
………っ、、!!ゴホッ…… げほ、
[おれなんかが、と自身を蔑む声には僅か眉を寄せていたが 突然襲った咳の予感に、マスク越しに口を抑えながら前傾し >>90タイミング良く置かれた水分には、 心の中で礼を言いながら飲み干していた*]
(95) 2018/11/30(Fri) 00時半頃
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[希望する大学は教えなかった。
「お前はお前の望む所に行けば良い 俺は関係ないだろ」
そんなありきたりな言葉で黙するのは 大人になったら一緒にお酒を飲もう、なんて 約束をしていた間柄にしては、酷く冷たいもの。
通う学校が違えばきっと 家が近くとも、関わる事はないだろうと思えたから。]
(96) 2018/11/30(Fri) 01時頃
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[しかし、偶然か………それとも誰かに聞いたのか。 大学であいつの姿を見つけた時は、 心中を見透かされてしまった気がして。
あいつに恋人が出来たのも きっと、完全に関わりを断っていたなら知らなかった事。
話し掛ける気はなけれど、遠くから姿を見る時は 我ながら未練たらしいと、自嘲気味に笑う。
───そうして時が過ぎ。 20歳になっても変わらず隣に居る未来を想像していた あの頃の約束は、未だ、果たされぬまま。*]
(97) 2018/11/30(Fri) 01時頃
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………ああ、……悪い。
[>>102恋人について問う返事は一言。 聞いた癖に、簡素な返事に何処か安堵してしまう。
何処の誰と付き合っていたのか、 そこまでは知らなかったが 並んで歩いていたのを見かけたのは、去年の今頃だった。
しかし、望んでも届かないその場所に 知らない誰かが笑っているのは、あまり見ないようにしていた。]
(108) 2018/11/30(Fri) 03時半頃
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[少し寝たら、と言われても咳と鼻水が邪魔をして思うように寝付けず 気付けば時間だけが過ぎていき、また幼馴染が食事を持ってきてくれた。
>>106甲斐甲斐しく用意された夕飯を食べるも やっぱり、味は分からなくなっていた。
それでも、自身を想って作ったであろうその見た目と あたたかさに染み出した優しさを口にすれば 味が分かる時にまた食べたいと、叶わなさそうな願望が過るばかり。]
(109) 2018/11/30(Fri) 03時半頃
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[眠りづらい体調であれど、 夜が来れば体力を補う為に目を閉じるしかなく]
………馬鹿、俺の事は良いから早く寝ろよ。 それに夜は冷えるから、ちゃんと布団出して、……
[来客用の布団は、毛布はどこだの、 そんな話を眠る前にいくつかしながら。
結局それらを使わず寝落ちるとは思わないまま 幼馴染に見届けられながら、男は意識を手放した**]
(110) 2018/11/30(Fri) 03時半頃
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