231 獣ノ國 - under the ground -
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― 記憶の断片 ―
……兄さん。苦しいよ。
[視界が歪む。毛むくじゃらの手が、首を締め付ける。 私が苦しいのに。兄の方がもっと苦しそうな顔をしていて。 どうしてお前だけ。俺もヒトだったら。戻りたい。ずるい]
いや、だ。
[激しい嫉妬の炎が、彼の瞳の中に見え隠れしていた。 視界がぼうっと霞んでいく中、最後に口から零れたのは]
見た目だけじゃなくて。 心までバケモノになっちゃったの。
[その瞬間の、兄の絶望した瞳を。 私は一生忘れない**]
(40) 2015/07/10(Fri) 16時頃
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……私利私欲? あまりあなたらしくない台詞。
[どちらかというと、この同僚を偽善的な人間と捉えていた。 仕事に中途半端な情を持ち込む男だ、と。 だからこそ、彼の言葉>>41には多少首をひねって。 しかし、深く追及することはしないだろう]
意外とフェミニストなのね。
[傷痕が残るか気にするその姿に、くすりと笑って。 医者としては、自分の傷を心配してほしいのだけれど]
(50) 2015/07/10(Fri) 18時頃
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誰にでもそういうことを言うの、あなたは。
[似合ってる、とノア言われれば>>42。 口を尖らせつつも、少し頬を赤くするだろうか。 ずっと仕事一筋だった。やはりこういう言葉は慣れない]
……あら、たまには意見が合うのね。珍しい。 急ぎましょう。
[この同僚と、仕事の方針が一致するのは稀だった。 そのまま医療室を出る。 庭園に来るまでの間に誰か出会ったならば。 足を止めて話をするだろう**]
(51) 2015/07/10(Fri) 18時頃
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― 第一棟 医療室 → 第二棟 庭園 ―
……ノア。 今回のことで。あまりあなたを責める気はないけれど。
[庭園へ向かう道すがら、そう声をかけるだろうか。 自分には自分の信じる考えがあるように、 彼にも彼なりの考えがあって行動しているのは分かる]
いまいち、私はあなたが良く分からないわ。
[悔しいけれど、この同僚の才能は認めていた。 同じ方向性で、研究に打ち込めば。あるいは。 そんな感情が思わず口をついて出た。 ヒトにも動物にもなれない中途半端な存在である“彼ら”。 そんな“彼ら”が幸せなはずがないと、彼女は信じていた]
(57) 2015/07/10(Fri) 19時半頃
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[彼女はこの同僚の行動ひとつひとつが、理解できない。 中途半端な同情は偽善だと断じる彼女は、 やはり自身が偽善的であるという矛盾に気付けない]
―――どうして。あなたはここにいるの?
[率直な、疑問だった。以前からその思いを抱いていた。 もしもノアの表情が曇ったのならば。「ごめんなさい、無遠慮だったわ」と話を打ち切って、曖昧な笑みでも浮かべようか。 ノアが何らかの言葉を紡いだなら、黙ってそれを聞いただろう。 そうこうしているうちに、庭園が見えてくるだろうか**]
(58) 2015/07/10(Fri) 19時半頃
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[戸惑いの表情>>72を見せるノアに、しまったと顔を顰めた。 入ってはいけない場所に。 土足で踏み込んでしまったのかもしれない。 やがて、ぽつりぽつりと紡がれるノア言葉に。 ズキリと胸が痛むのを感じた]
……好きな子が。そう。
[どこかで聞いた話だと思った。 自分の場合、それは兄であったが。 身近な者が獣人であることの苦労は、容易に想像ができた]
(81) 2015/07/10(Fri) 22時頃
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私なら意地でもその薬を作って、試すわ。
[きっぱりと、言い切った。 目の前の男は、果たしてどちらを選んだのだろうか。 過去形で語られる重さを分からぬほど、彼女は愚かではない。 どちらにせよ、幸せな結果を生まなかったことを察した]
例えそれが、魔法の薬か毒か分からなくとも。 可能性が少しでもあるのならば。
[それでも、今の彼女はそう答えるしかない。 自分の行いを否定するわけにはいかないのだ。だから]
……お話は。終わりって。
[ノアの言葉に視線を前に向ければ、獣二人が目に入るだろうか]
(82) 2015/07/10(Fri) 22時頃
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あら、もう薬が切れちゃったの。 量が足りなかったのかしら。
[減らず口を叩くジリヤ>>77に、眉を顰めた。 思ったよりも回復が早い。薬量を誤ったか]
殴るとは穏やかじゃないわね。 いい加減、私たちに反抗するのをやめた方がいいわ。
[その口調は、あくまで冷静で。諭すように]
大人しくしていれば。 少なくとも“あそこ”に入れられることもないのよ。 どっちの方が得か。分からないあなたじゃないでしょう。
[言ってから、じろりと隣のノアを見遣った。 だいたい、荒事は苦手なのだ。 やっぱり少しは罪悪感を覚えてほしいとは思う*]
(85) 2015/07/10(Fri) 22時半頃
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私は自分の仕事をこなしているだけよ。 それをあなたに批判される覚えはないわ。
[お前のやってる事振り返れ>>86。 ジリヤの言葉に、罪悪感と共に小さな憤慨を覚えた。 彼女には、彼女なりの正義があるのだ。 それを否定されるのは、やはり気分がよくない]
……痛いじゃない。
[咄嗟にジリヤの攻撃を避けようとしたが。 頬に一筋、朱が走った。たらり、と血が一滴流れる。 ジリヤの髪が掠めたのだ。大丈夫。傷は深くない]
(92) 2015/07/10(Fri) 23時頃
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助かるわ、ノア。
[自衛用の拳銃を取り出すノア>>89を見て、安堵する。 それでも表情は引き締めたまま。 自分ひとりでは、やはり手に負えない。 同僚が一緒にいてくれたことを、珍しく感謝した]
……っ。
[再び迫るジリヤの攻撃>>91に、軽く舌打ちする。 ああ、だから荒事は苦手なのだ。 その攻撃を避けようと、ヒールで地を蹴った*]
(93) 2015/07/10(Fri) 23時頃
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あ、う。
[ジリヤの拳を避けようとして、思わず尻餅をつく。 今まで勉強ばかりやってきた彼女は、その御多分に漏れずあまり運動神経が宜しくなかった。 体勢を崩しては、今度こそ次の攻撃は避けられないだろう。 思わず眉を顰めたところで]
……ヴェスパタイン、助かったわ。
[騒ぐジリヤの腕を掴んだヴェスパタイン>>98を、安堵の表情で見上げた。油断なくジリヤに銃口を向けるノア>>101を見遣って、当面の危機は去ったと感じる]
また恥ずかしいところを見せたわ。
[立ち上がり、スカートの埃を払った。 白衣に隠した鎮静剤は、まだいくつか余裕がある。 必要ならば、また使うつもりで*]
(103) 2015/07/10(Fri) 23時半頃
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……ノア。あなた素直じゃないのね。 足は大丈夫よ。心配いらないわ。
[別に心配しているわけではない>>110。 そんな不遜なノアの物言いに、くすりと笑って。 ヴェスパタインの提案>>107には、思わず目を細める]
任せていいのかしら。 私がいると彼女の興奮が収まらないのは、分かるけれど。
[ジリヤを一瞥したのち、やれやれと肩を竦めた。 ヴェスパタインがジリヤを連れていくと言うのならば、 特に反対はしない]
あら、やっと反省の色が見えたわね。
[ノアの発した「失敗」>>110という単語に目を丸くして。 どうもこの同僚には口を開くと嫌味を言ってしまう。不思議だ]
(116) 2015/07/11(Sat) 00時頃
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やっぱりフェミニストじゃない。
[ノアに差し伸べられた手>>111を、しっかりと握って]
ありがとう。
[ノアと、ヴェスパタインに。頭を下げた。 素直に礼ができぬほど、彼女も捻くれてはいない 実際、ひとりでは危なかっただろう]
(117) 2015/07/11(Sat) 00時頃
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……クラリッサ。 いま、ジリヤはかなり興奮しているみたいだから。
[激昂して暴れたのち、泣き出したジリヤ>>114。 そんな彼女に不用心に近づくクラリッサ>>113に対して、 管理人として一応注意を促しておく]
私って、そんなに憎たらしいのかしら。
[「アマル先生が居るから興奮状態になるんだぞ」>>118というノアの非難めいた口調。自由になるや否や、死も厭わず何度も自分に襲い掛かってくるジリヤ。 先程の出来事を思い出し、思わずそんな声が漏れた。 クラリッサのように扱いやすい“被験体”ばかりなら、どんなにいいかと考えを巡らせて*]
(126) 2015/07/11(Sat) 00時半頃
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あら、薬ならお安い御用よ。
[クラリッサに向かって、ふんわりと微笑んでみせた。 先程ノアやジリヤに向けたような言葉の刺は、もうそこにはない]
クラリッサ。一緒に、医療室へ来てもらえるかしら。 薬もそこにあるし。爪の具合も見ておきたいの。
[優しい口調で言葉を紡ぐ。 ここで働いているうちに、本当の自分が分からなくなってくる。 気の利く女医か。はたまた気の狂った研究者か。 どちらが、自分の本当の姿なのだろう]
(143) 2015/07/11(Sat) 02時頃
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[自分が“被験体”にしていることは、 傍から見れば非人道的なことなのだろう。 それをある意味、楽しんでやっていることも。否定しない。 でも、彼らはヒトではないのだ。 ―――だから、私が彼らを“幸せ”にしてあげなければならない]
痛いわね。
[先程ジリヤに傷つけられた頬が痛んだ。 彼女は独善的な自身の考えに気付かない。気付こうとしない]
医療室、へ。
[どちらにせよ、自分の頬も消毒したい。 クラリッサが着いてきてくれるのなら、連れ立って医療室へ向かうだろう。もしも断られたのなら、「後で医療室へいらっしゃい」とでも微笑むだろうか**]
(144) 2015/07/11(Sat) 02時頃
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―→ 第一棟 医療室 ―
[医療室に到着すると、 手早くアマルテアは“薬”の準備を始めた。 毎回サンプルの配合を変えてクラリッサに投与、記録している。 今のところ、彼女で過剰反応が起きたことはない。 クラリッサはアマルテアにとって、優秀な“被験体”だった]
……クラリッサ。 あなた、ここから外に出たいって思わない?
[先程の喧騒とは打って変わって、静謐な時が流れる医療室に。 アマルテアの声は穏やかに響き渡った。 白いカーテン。白い壁。窓から差し込む柔らかな人口光。 ここは、すべてがニセモノめいていて。 でも。クラリッサはここしか知らないのだ、と。 独善的なアマルテアは。それを、ただ不憫に思う]
(167) 2015/07/11(Sat) 14時頃
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[この問いを、“被験体”にするのは何度目だろうか。 あるいは、クラリッサには初めてだったかもしれない]
外には自由があるわ。
[棚から注射器と、遮光性の薬瓶を取り出しながら。 アマルテアは思いを巡らせる。 自分が仕事に行き詰った時。悩んだ時。困った時。 つい口から零れ落ちる、懇願にも似た問い。 自分の信念は間違っていないと、確認したいがための問い]
興味は、ない?
[もしも、“実験”が成功をして。 あなたがヒトになることができれば。あるいは、と**]
(168) 2015/07/11(Sat) 14時頃
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……そう、ヒトに。 させてあげる。私が。絶対に。
[クラリッサの口から零れ落ちた言葉>>169は。 アマルテアが最も望んでいた答え。 にっこりと満足げに微笑むと、注射器を手に取った。 彼女は気付けない。クラリッサの真意に。気付こうとしない]
外の世界を。見させてあげる。
[いつか。必ず。 注射器の中で、禍々しい色の液体が煌めいた]
(170) 2015/07/11(Sat) 15時頃
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痛くないわ。大丈夫。
[穏やかな声音の中に、微かな狂気が混じっていた。 この“薬”を投与したとき、 果たしてクラリッサはどういう反応を示すだろう。 成功するだろうか。それとも]
少し我慢してね。
[クラリッサの腕を取り、注射器を刺した。 知的好奇心と、興奮が。自身の中に渦巻いているのが分かる。 薬を投与しを得ると、じっとクラリッサの様子を伺った。 アマルテアにとって“実験”の結果を待つこのときは、 何にも代えがたい瞬間だった**]
(171) 2015/07/11(Sat) 15時頃
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……あら、大変だわ。
[アマルテアの声は、あくまで落ち着いたものだった。 突如として苦しみ始めたクラリッサ>>173を、冷静に観察する。 薬への過剰な反応だ。効果が強すぎたのかもしれない。 とはいえ、想定の範囲内の反応ではある。 “実験”にはままあることだ]
クラリッサ、大丈夫かしら。 私の声が聞こえる?
[「大丈夫です>>173」と弱々しい声が返ってくれば。 とりあえず意識レベルはしっかりしているようだ。 医者として冷静に判断を下す。 クラリッサの手を、そっと握りしめた。“患者”を安心させるように。 ヒトのものではないそれは、ひどく歪なものに思えた]
(181) 2015/07/11(Sat) 17時半頃
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どこが痛むのかしら。
[苦しげに床を這うクラリッサに、穏やかな声をかけた。 “彼ら”はなんて弱い生き物なのだろう、と思う。 自分たちに管理されなければ生きられない存在。 ヒトにも動物にもなれない、中途半端なイキモノ。 だからこそ、自分が“なおして”あげなくてはならない]
痛みが治まらないようなら、いま鎮痛薬を―――。
[独善的な考えに身を委ねながら。 あくまで、女医として優しく振る舞う。 事実、ある種の嫌悪感と同時に愛おしささえ感じているのだ。 “彼ら”の存在に。 それは兄に抱いていた感情と同じであった**]
(182) 2015/07/11(Sat) 17時半頃
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少し、痛んだ……?
[クラリッサの苦悶の表情からは。 とても“少し”の痛みとは思えなかった。 震える声で「ありがとうございます」という彼女を、 アマルテアはじっと見つめた]
大丈夫だったら、いいのだけれど。
[ふらふらと立ち上がるクラリッサの姿は。 健気で。必死で。ひどく愚かだ。 まるで飼い主に嫌われまいとする愛玩動物のようだ、とすら思う。 アマルテアは、やはり“彼ら”をヒトとしては見ていない]
(199) 2015/07/11(Sat) 21時頃
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よく我慢したわ、クラリッサ。
[まるでペットを可愛がるような手つきで、 クラリッサの頭をそっと撫でた。 先程のジリヤのように、“飼い主”の手を噛むような輩もいるが。 クラリッサのように従順な者には、アマルテアは優しく振る舞う]
落ち着くまで、ベッドに休んでいてもいいのよ。 無理にとは言わないけれど。
[その口調は、あくまで穏やかで。 爪の様子を観察して、薬が確かに効いていることを確認する。 カルテにその結果を細かに書き込むと、万年筆を机に置いた**]
(200) 2015/07/11(Sat) 21時頃
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……クラリッサ。
[漏れ聞こえた苦痛の声>>208に、ベッドを覗き込む。 小さく震えるその背中を、そっとさすってやろうとするだろう]
無理をするのは、良くないわ。
[可愛い子。そして、とても哀れな子。 ここで生きることしか知らないから、 自分みたいな人間にも縋ってしまうのだろう。 ヒトとして扱われないことに不満を抱かず、 歪んだ優しさを、何の抵抗もなく愛情として受け入れてくれる] 私が、しばらく傍にいるから。大丈夫。
[クラリッサという“被験体”は、アマルテアにとって。 これ以上ないほどに都合がよく、 それ故に可愛らしい存在であった**]
(216) 2015/07/11(Sat) 22時半頃
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……どうして、って。
[突然のクラリッサの問い>>223に、言葉を詰まらせた。 言うなれば、今まで忠実に言う事を聞いていた飼い犬が、 急に唸り声を上げてこちらを威嚇したときのような。 そんな、不意打ちの問いであった]
私、は。
[聡明なアマルテアにしては珍しく。 上手く言葉が出てこない]
(228) 2015/07/12(Sun) 00時頃
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……ヒトに戻りたい、って言われたの。 こんなのは、いやだ。 俺はバケモノなんだろって。だから。
[気付いた時には、とんでもないことを口走っていた。 すぐに、しまったと口を塞いだけれど。もう遅い。 少なくとも、“被験体”に話していい事柄ではなかった。 言うに事を欠いて、“バケモノ”だなんて]
気を悪くしないでちょうだいね。
[取り繕うように言ってから、じっとクラリッサを見つめた]
ただ、私は。あなた達をここから出してあげたいだけなの。
[なんて偽善的で。なんて身勝手な言葉だろうか*]
(229) 2015/07/12(Sun) 00時頃
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……“バケモノの巣”って。あなた。
[アマルテアはクラリッサの言葉>>240に絶句してしまう。 自分の生まれ育った場所を、“バケモノの巣”と表現することを厭わない少女。彼女をそうさせてしまった一端は、間違いなく自分にあるのだ]
クラリッサ。
[彼女の頬に、そっと手を当てた。 上手く言葉が見つからない。 ただ、なんて憐れな子なのだろうと思う]
あなたは、本当に良い子ね。
[結局、口から飛び出したのはそんな言葉で。 穏やかに微笑む女医は、間違いなくどこかが狂っていた。 ふたりの関係は、ひどく歪だった]
(254) 2015/07/12(Sun) 01時半頃
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次は、もっと良い薬を作るわ。
[もっと強い薬を。 クラリッサの身体にある“ヒトではない証”をすべて消し去ってしまえるくらいに、強い薬を。 彼女は「私に出来ることなら何でも」>>240と言ってくれたのだ。 だったら、この“実験”への協力も。彼女の望みなのでしょう?]
また、ここへ来てくれるわね?
[その結果、クラリッサがどれだけ苦しむことになろうと。 例え運悪く×××しまったとしても。 それが彼女の望みならば。 自分は、それを利用するだけだ。 アマルテアは自身の倫理観と罪悪感に、そっと蓋をした]
(256) 2015/07/12(Sun) 01時半頃
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[それからクラリッサと何かを話しただろうか。 いつの間にか医療室の時計は、夜の時間を示していた]
まだ顔色が悪く見えるけれど。 今日は自室に戻れるかしら。 それとも、無理をせずこのまま医療室で休んでいく?
[クラリッサに優しげに問いかけて]
私は、まだここで。 しばらく、仕事をしていくから。
[今回の“実験結果”を、まとめなければならない**]
(258) 2015/07/12(Sun) 01時半頃
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