231 獣ノ國 - under the ground -
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ああ。僕はいつまで、……―――ここに居るんだろう。
(1) 2015/07/10(Fri) 02時頃
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[ 僕は、耳にそっとイヤホンを付け、口元にマイクを寄せた。 これで管理人全員のみに伝達をするのだ。 口元に充てがわれた機械はそのまま、僕の声は棒読みじみて、機械じみて、音が鳴る。
もしかしたら管理人達はまた別の連絡手段があるかもしれないけど、僕はこれしか知らないから。 ]
Test。test。
聞こえるかい。 今日も今日が始まったんだ。 聞こえるかい。こんにちは。
脱走者が出ないよう、みんな。今日も今日を守るんだよ。
[ ――――ブツリ。 ]
(2) 2015/07/10(Fri) 02時半頃
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! from:kame >>
Test. test.
聞こえるかな。僕のこえ。 獣にしか聞こえない、秘密のおハナシ。秘密の声。
管理人に怪我させられた人は、居ないかい?
(*0) 2015/07/10(Fri) 11時半頃
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[ 回想・秘密棟 庭 ]
[ ―――>>0:189握り締められた衣服が微かに映った。 視線を腹元に下げると、くしゃりと握り締められた衣服。 思わずに弾けて視線を上げると、彼の瞳は僕を越えて――どこか遠く、懐古のものを見ているような、気がした。
そこじゃない。そこじゃない。僕は此処にいる。 僕の何を、僕を何に、君は見ているの?
なんだか無性にむしゃくしゃして、悲しくて、焦って。 また手を伸ばそうとしても後退りされたことで、動きあぐねた指先が宙を掻いた 。 ―――まるで泳ぎ損ねた亀みたいな、動作だ。
僕はぎゅうと指先をまた握った。兄さん、と呼ばれた鸚哥の姿を視界に認めながら、咥内でそれを反芻する。 土穴を作った彼の足が、思い浮かぶ。 ]
(18) 2015/07/10(Fri) 12時半頃
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僕は。―――……
[ ああ、僕はさっき、彼の名前を呼んでしまったのだっけな。 それじゃあ、怪しまれちゃうか。また怒られそうだなあ。上司はねちっこくて、嫌だなあ。 僕は頬を掻いた。 困ってはないけど、そう。 どう反応したら良いか、少し首を傾げて考える。
思考の背景で、ざわりと森が揺れた気がした。 深い木々、風に揺られる葉。 森に隠れる湖さえ、水面に波紋を作る。 戸惑いがちに、奏でられた「おと」は、僕の何を知りたいのだろう? 僕は、故郷に―――
――ああ、いけない。僕はね。 そうだ。 」
(19) 2015/07/10(Fri) 12時半頃
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――――「いっしょ」…だよ。 …そう、君と、ね。
[ ぺたり。 裸足は土に汚れながら、後退った彼に一歩近付いた。 ぺたり。 伸ばした手は、今度は届いただろうか? 湿り気の残る肌が、彼の手に触れる。 ]
―――いっしょ。住まうのも、 姿も。
でも、僕は。 「 君を知って居た。」
何故だろう? ……鳥籠の鍵を、君は欲しいと思うかい。―――僕から奪って。
[ 何色でもない僕の瞳が、彼を捉えた。彼の色鮮やかな肌がかちりかちりと視界で煌めいた気がした。
獣であり、管理人である。なんて、可笑しな話。 そう。夢物語と、僕の存在をマボロシとさえ思ってくれて、構わないんだ。
…それでも僕は何故だか言い過ぎて、口を滑らしたような感じがして、口を閉じてからまた、開いた。 ]
(20) 2015/07/10(Fri) 12時半頃
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なんてね。
[ ――冗談めいて、また茶目っ気に笑って見せれば、彼はどう反応しただろうか。 少しだけ、彼の視る物、視えた物の存在を、気に掛けつつ。 その綺麗な肌が、以前はどこに「在った」のか。 …気になりつつ。
彼を拾ったのは誰だっけなあ。 僕は小首を傾げて、今度は自分から距離を置いた。]**
(21) 2015/07/10(Fri) 12時半頃
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[ ざわ。ざわ。耳に届く「飼われる側」の声に、僕はすぅと息を吐いた。 口元の機械を通して、混ざった音が外に流れる。
実験を知らない、場所を知らない獣人>>*8>>*12 実験そのものをされる獣人>>*10
実験自体、僕は口うるさくするつもりはなかった。獣から人へ。また、獣から人へ。―――なれるなら、それで良いじゃないか 。 だって、そうしたら古の――鶴が紡いだ物語の、終止符も。きっと打たれる事は――― ]
………?
[ 僕は首を傾げた。 ごちりと機械の端が、マイクに当たって音が弾けた。
むかしむかしの物語…って、なんだっけ。
『「 異物 」を処理することが無ければ、良いんだよ。』――と、 誰かは言っていた ?
こきりと僕の首が鳴いた。…最近、運動不足かなあ。 湿った肌を撫でると、少しだけかさついた。 ノイズの混じる思考はキライだ。ふるりと首を振る。]
(*16) 2015/07/10(Fri) 20時半頃
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こわいなあ………。
[ 僕は何も知らないふりして、態とらしく声を出した。 まるで抑揚も見えない声だった。 …耳の奥でざわざわと、先程鸚哥の弟と話したときに、凪いだ幻聴の一端が聴こえた気がした 。
その雑音をも振り払って、僕は運動した後に図書館にでも行こうと思った。 僕の知らない、いや知ってた気もする、物語。 クエスチョン。]
―――ここから出られたら、どうするの?
[ 直近、聞こえた声色>>*14に。 僕は何気なく問うた。僕の声が 聞こえたかどうかは、わからない。
お外の世界。 ひろいひろい、箱舟なんて目じゃない、遠い世界。
漆黒に塗られた、永久に続く宙のキャンパス。 流れるきらめきは、遠い星の欠片? 手元の水面に映る月に、この身を投げた、―――むかしのきおく。
ぎりり、いつの間にか握り締めていた手のひらに、爪の後が微かに残っていた。 ]**
(*17) 2015/07/10(Fri) 20時半頃
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[ 回想・秘密棟 庭 ]
……あーあ。 逃げられちゃった。
[ 僕は至極残念じみて、声をこぼした。
土が抉られ、また抉られた土が周囲へ跳ぶのを見ながら。 >>67遠ざかる背中に、―――背中に、また、ぼくはひとりになる。
寸分、重なった「獣」と「獣」のてのひら。 どれ位の間、僕以外の誰かに触れなかっただろう。 僕はまだ温もりの残るそこを、今度は柔く握りしめた。
拒絶。容認。そして、―――拒絶。
繰り返されたことだ。いつだって、その渦中に僕は居る。 ――ああ、こうだから早く、『排他』が無くなったら良いのに。 そう思っても、どうせ実験はまだまだ、まだまだ。続くんだろう。 ]
(75) 2015/07/10(Fri) 22時頃
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[ 故郷のにおい、おと。もう全てが遠い。 今はただ、何の色とも分からない、>>66僕に背中を向けてしまった彼が僅かに吐いた息が、音が、耳に残る。
鮮やかな腕を抱き込んだ姿は、まるで人形を抱き締める、人間の幼子みたいだった。 …そんなことを思いつつ。]
―――…そう。まるで、「奪われそうな何かを守る」、みたいな。
[ 僕はてのひらを開いて、やがて元の位置へ戻した。 そのまま、抉られた土穴を尻目に僕も背を向ける。 彼との距離が、遠くなる。……その距離が、そう。 外の世界まで広がらなければ、いい。それで良いんだ。僕の立場は 。
だって、さみしいのは、僕だけじゃない 。 彼の瞳が、震える唇が、ひどく心を抉る。 ]
僕はいつまで、此処に居るんだろう?
[ ほたりと長く見ない、雨が落ちた気がした。 ]*
(76) 2015/07/10(Fri) 22時頃
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[ 現在・第一棟廊下→ ]
[ ちかちかと電球が頼りなく光る、渡り廊下を通って、僕はひたりひたりと足音を鳴らし歩いた。 道中振り返ると、少しばかり、土の跡が付いていたけど。 …まあ、いいか。
そのまま真っ直ぐ進んで、お腹のなるのを他所に、プールの方へ。 ――ああ、でも。腹拵えするのも良い気がする。…けど、どうせ動くなら後の方が、いいかなあ。 なんて思ったりして。
………良く作り上げられているこの施設は、便利で、不便だ。
きっと何千年もこの中で生きていけるだろう。 たとえ上で戦争が起きても、ウチュウジンが侵略しに来ても。 だって 何百年、既に僕はここで過ごしたのだから。]
(83) 2015/07/10(Fri) 22時半頃
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[ BGMも何もない廊下には僕の不気味にさえ思う足音だけが響いた。ひたり、ひたり。 真夜中だれかが見たらホラーじみて、怖がられたかな 。
僕はそのまま突き当たりを右に曲がった。 ……プールの入り口に入れば、既に誰か先客が居たかもしれない。
そしてプール行く途中、長髪を揺らめかす影を見付けることさえ。もしかしたら。 ]
……かさつく、なあ。
[ ……衣服の下を指先で撫ぜると皮膚がめくれた。 はらはらと皮が落ちるのを放って、滲む赤をゴシゴシと拭い広げる。すると鈍い痛みが、内部に広がった。
…ああ、だめだ。施設には鮫が、居るんだった。 僕は慌てて( と言っても、そんなに素早く動けてないけど。)水で流して、ハンカチで縛った。――これで何とか、彼の嗅覚を誤魔化せるだろうか。
…亀のクリームとか、無いのかなって。 あまり普及されない「ぼくたち」の道具を恋しく思う。
―――そうして、それから。 何も無ければ、僕はのろのろとプールに体を浮かべてみただろう。 その差中、人影を見たなら、様子を見てその場から去ろうとすることだって 。]**
(84) 2015/07/10(Fri) 22時半頃
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チェビイは、マユミの影をどこかに見た気がした。
2015/07/10(Fri) 22時半頃
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[ プール ]
[ ―――ぞわりと、 粟肌が立った。
まるで敵意を向けられているような、 「悪い」視線が僕に絡んでいるような。 この感覚は、 何百年もの間に、何度だって。 僕は鈍い。亀だから仕方が無いと、馬鹿にされることもある。 ―――この鈍さが、命取りになることだって。 ]
モ、スキー ト 、
[ 壁際、ひやりとして、陰りのあるそこに凭れようとしたところで、>>131落とされた影。背後から聞こえた音。 振り返ったときにはまた遅く、 ―――どんな嗅覚してるんだよ、とさえ、思ってしまった。
被せられた面体。 きらりと輝くレンズの奥、目を細めてわずかに見えた「色」。 星の流れる、綺麗な空。 深い、宙のいろ。……とは、全く違う。獰猛な、いろ。 ―――その焦点が僕のものと重なり合うのは、あっただろうか?
背中の付け根から飛び出る尾に触れる指先は、何のため?――なあんて、そんなの、 ]
(146) 2015/07/11(Sat) 02時半頃
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僕を、食べる気?
[ レンズ越し。 僕は唇を開いて、彼に声を投げた。 届くかどうかすら不安な声を。―――ヒトの言葉を。 ]**
(147) 2015/07/11(Sat) 02時半頃
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[ プール ]
……悪い子だなあ。
[ 僕は言った。 理性なんて覗けない、いやもしかしたら寸分、残っているかもしれないけれど――>>166本能に呑まれたくろを見据えながら、目を細めた。
『 食べたら、だめだよ 』――と。
遠い昔。施設で育って、また幼少の頃から知る彼に、今日とて変わらぬ姿で伝えたならば、その欲を止めることもできただろうか?
『 ここは海じゃないから、 』 『 ヒトで居たいなら、食べてはだめだよ。 』
雑音に染まって、ぼやけた脳裏に浮かぶ過去の窓が、……きばをのぞかせた彼を、映す。 ―――妄想じみて、…いやもしかしたら、妄想かもしれない。 だって僕は、むかしむかしなんて。 ]
(188) 2015/07/11(Sat) 20時頃
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ここは海じゃあ、ないから。
[ まるで無垢に、純粋に問われた声に、僕は恐怖なんて抱かない。 だって「仕方が無い」んだもの。 彼の本能は、食欲は。
―――僕が冬に、長いねむりに就くように。
乾きやすい僕の尻尾に手が触れかかるのを、横にずれて避けた。へたに千切られたりしたら、たまらない。 鮫に喰われる亀は海亀だけで十分だ。 亀は亀でも、僕は海亀じゃあない。
ぱさりと落とされたフードのした、ヒトのように、またその瞳と同じくろい髪には―――宙に似た感覚を思い起こさせながら。 ふるり、首を揺らした。 また、彼の「おねがい」にも、鼻を鳴らして背いた 。]
君の黒は、深海のそらだなあ。
[ ―――言いながら、僕は彼に手を伸ばした。
彼の持つそらに手を掠めさせながら、おねがいしてまで欲に従うその姿と、間抜けにも手間取る姿に腹が擽られる感覚を持ち。 ぱこんとそのマスクが外れた矢先、覗けたきばには感嘆さえ思いながら――― ]
(189) 2015/07/11(Sat) 20時頃
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[ ―――やがて、僕はその鼻先を、摘み引っ張った。 ]
食べられたら、死んじゃうだろ? 僕、しにたくないから。
[ そのまま前へ引っ張り倒して、逆に壁へと押し付ける。
―――ただ彼がひどく抵抗を起こせば、押し付けることは愚か、鼻先に触れることさえ難しかっただろうけれど。
記憶に貼り付いた、いつかの景色が。 僕の生存欲を掻き立てる 。 ]
(190) 2015/07/11(Sat) 20時頃
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[ 梟と鸚哥がそらを飛ぶ。 星の欠片の流れるそらで。
その場にいれば、僕は首を擡げて彼らを見つめるのだろう。 きらきら照らす、ひかりの舞台で、 彼らが踊るさまを見届けるのだろう。 手元に揺蕩う水中では、 鮫が呼ばれて来るのだろうか? 水に堕ちた月に肌を重ねて、深海のくろに夜空のくろが混ざり合うことも、あるのだろうか。
僕は陸続きの岩場で、 空を眺めて、そのまま夜が明けるまで。―――]
―――――。
[ はた、と僕は目を瞬かせた。 いま僕は何を考えていたのだろう? こてりと首を傾げると、やはり口元の機械がかちりと鳴った。
ぼうやりとした思考の奥。 >>*29隙間を通り抜けて届いた声は、―――「獣人」の脱走計画さえ、覗けるかもしれないもの。 ]
………。
[ 締め付けられる胸は、なんだろう? 僕はぎゅうと胸元に手を当てたまま、 引き続き耳を欹てた。 ]**
(*31) 2015/07/11(Sat) 20時頃
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[ ぱちりと、浮かんだ ” 理性 ”に、僕はほぅと息を吐いた。 獣同士の力比べも、 また若い頃より衰えた人としての力比べも、彼に到底勝てないから。 だから、壁に押し付けた、彼が。 …その唇から漏れる、苦悶の色。歪む人の顔。―――「 抑制 」と「 躾 」の狭間で、その限界を測って、――きっと、長くは続かないだろうと思った。 ]
…わるいこだなあ。モスキート。
[ 叩かれる腕に、僕はいつもと変わらない顔で、声で、返した。 逸らされかける瞳は、頬をぺちんと叩いて咎め。諦念の色を滲ませたのには、こてりと首を傾げた。 僕の濡れ髪から、雫が零れる。ぱたぱたと落ちる。音。
「処罰。ほしい?」
からかいに染まって投げたそれに、彼はどう返しただろう。 秘密棟に閉じ込める。 実験される。 痛みに悩まされて、また出てくる。 ―――そして、 ]
(249) 2015/07/12(Sun) 01時半頃
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あのね。モスキート。 君に好きに生きて、食べてもらうこと。僕は願うよ。
でも、僕は…僕”も”、いちどでしんでしまうから。
[ 一度で死んでしまうから。 そしたら、鶴に怒られてしまう。恨まれてしまう。 一度で死んでしまうから。 そうなったら、今みたいに、処罰を軽くできないから。
―――死んでしまったら、 夢は泡沫に、弾けてしまうから。 ]
(251) 2015/07/12(Sun) 01時半頃
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……君はどうしたら、” ここ ”で、誰かを食べないでいてくれる?
[ ――無期限に。
……そんなこと、言えなかった。僕は続けようとした声を唇に閉じて隠した。 僕の血濡れた腕を食べたら、君は止まるの? 僕を全部食べたら、君は止まるの? 海には到底及ばない、プールに放して、何もかも自由にさせたら 、君は。
――止まらない、だろ。
「 本能 」は。
………人間だって、そうじゃないか。
虚しさが胸をせり上がる。無期懲役的に閉じ込められて、そのまま。 寿命で散った命も、殺傷分も、実験ミスも、いろんな死に様を見た。
では、長く生きてしんでしまうのと、 そとに生きてしんでしまうのでは、どちらが良いのだろう? ( ほしぞらも、 見えないまま、僕もいずれ )。 ]
(253) 2015/07/12(Sun) 01時半頃
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ねえ、モスキート。お腹が空いたなら、ご飯たべようよ。
[ 僕はこてりと首を傾げた。 濡れてずり落ちる機械を直しながら、床へ落ちた彼のくつわを拾い上げて、また彼の背からも手を離した。 他に何か用事があるなら、とプールを尻目に見ながら、彼にくつわを手渡して。 ]
君の知りたいお話をひとつ、してあげるから。
[ ―――ああ、だから彼は余計、外を焦がれてしまうのかなあ。なんて。
でも、僕はそれ以外に、正しく欲を止める方法を知らなかった。 ]**
(255) 2015/07/12(Sun) 01時半頃
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