231 獣ノ國 - under the ground -
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モスキート! 今日がお前の命日だ!
2015/07/14(Tue) 02時頃
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[返ってきた答え>>2:*17は、酷く曖昧。 例えば、見知らぬ誰かがどこかへ行っても、さみしいと思ったりするだろうか。 さみしいと思うのは、その対象に、思い入れがあるからではないのか。 もしくは……“本当は自分が行きたいのに”と思っているからではないのか]
……あなたは。
[君も何処かへ、行ってしまうの?>>2:*18というその問いは、私にはまるで別の言葉に聞こえた。 “置いていかないで”と言われたような気がした。私は、声の主のことを、ほとんど何も知らないというのに]
(*0) 2015/07/14(Tue) 02時頃
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[フィリップの声>>2:*19が、私の背中を押すようだった]
私も。行きたいと、思っているわ。 ……だから、
[私の耳に届いたような気がした言葉が、私の勘違いではないのなら]
置いていかれたくないなら、あなたも、行かなくちゃ。
[その「鍵」をあなたは持っているのでしょう? という言葉は、飲み込んで**]
(*1) 2015/07/14(Tue) 02時頃
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……ちょっと、待って。
[返事>>*0>>*1をしてから、私はようやく違和感を覚える]
あなた、今“君も”と言ったわ。
[君“は”ではなく、君“も”と>>2:*18。 それは、つまり]
外の世界に行った獣がいるの?
[そして、声の主は。「鍵」の持ち主は。 その旅立ちのことを、さみしく思ったのだろうか]
(*2) 2015/07/14(Tue) 20時頃
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……え。
[マユミの言葉を受けて、思わず声が漏れる。誰にも聞こえないような小さなその音も、確実に言葉を表していた。
外の世界に行った獣が、ヒトにならずに外に行った獣がいるのなら]
どうして、私は....
[ヒトになろうとして、薬の実験までしているのか。その言葉は呑み込んで、再び沈黙を守る。
きっと何かの間違いだ。そう、自分に信じこませて]
(*3) 2015/07/14(Tue) 22時頃
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[手に入れた施設の地図。 それも、外の世界へと行くための、有用な道具となるはずで。 けれど、ここで明かしてもいいものか。 やっぱり私には判断できない。
息を詰めるような気配>>*3があった、気がした]
(*4) 2015/07/14(Tue) 22時半頃
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―――、 …僕も?
[ 行きたい 、
2羽の声が聴こえて、僕はひたりと耳を欹てた。
置いて行く? ――― 二人にも、 ” 置いて行かれる ” ? いや、 二人は ” 出ていく ” 。そらに唄うために? 先日も言っていた。『 ふたりでとぶ 』。なら、僕は、 ]
(*5) 2015/07/14(Tue) 22時半頃
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でも …… 鶴が、 鶴が僕を恨むんだ。
[ むかしむかし。 海辺で誰かに虐められていた僕に、 ひとつの提案があった。
『 鶴の居場所を教えたら、もう虐めないであげるから 』
嬉しくて嬉しくて、救われたくて、僕は、
――――鶴の伴侶が死んだ、前の日のことだった 。 ]
(*6) 2015/07/14(Tue) 22時半頃
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――――もすきーと ……。
[ ―――開けた過去の頁。 朧に塗れた脳内で、僕の意図の外で声が出た。 今はもう居ない ” 自由 ” になってしまった彼の名を紡いだ声が。
( さみしい。 ……さみしい。 )
君に喜んで欲しかった 。 だからたくさんを教えた。 そして君は出て行った 。 僕は少し嬉しかった。 ―――同時に君を、恋い焦がれた。 ]
(*7) 2015/07/14(Tue) 22時半頃
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[ そうした思考の外で、誰かが>>*3困惑のようななにかを落とした気がした。 僕はこてりと首を傾げて、「 いま、なにか 」と赤い声で聞き返す。 ―――大扉の向こう、 射し込んだ光を狭まらせながら。 遠くなった彼の背中を見つめながら。
きっと、あの時鶴は、こんな気持ちだったんだ。なんて、今更 ]**
(*8) 2015/07/14(Tue) 22時半頃
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[外の世界に行った獣がいるの? と私は聞いた。 その返事だったかはわからない。 けれど、聞こえた者の名>>*7に、私は息を飲む]
モスキート、って。
[それは、一緒に出てみるかと私に問うた>>2:*3鮫の名だ]
無事に行けたの……?
[そうだったらいい、と思う。たとえ脱走者によって、警備が厳しくなるとしても]
(*9) 2015/07/14(Tue) 23時頃
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[そして]
鶴が恨む……?
[それは、何かの比喩なのか。それとも文字通りの意味なのか。 少なくとも私は、この施設の鶴なんて知らない。外の世界のことはわからない。 声の主は、鶴とやらの存在によって、この施設に縛られているのだろうか。 だから、行くことはできないと、そう言うのだろうか。 ……「鍵」を持っている、らしいのに]
贖罪だというの? そのために、ここにいるの? ……ここにいたら、いつか許してもらえるの?
(*10) 2015/07/14(Tue) 23時頃
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―――行けたよ。
[ 声の先で、>>*9息を呑んだ音がした。 朧な思考の、遠い場所 。 >>*7呆然として彼の名を呼ぶ前に、>>*2梟の彼女が僕に聞いたことを思い出しては。
――” 生 ”くことはまだ、わからないけど。
まるで懐かしむように、また惜しむように吐いた僕の声は、誰にまで聞こえただろうか? >>*3誰かの流した空気を気に掛けながら、僕は言った 。]
―――警備、 強くしなきゃ……でも、
[ そら。と、うたうとり。 僕は何を戸惑っているんだろう 。 ]**
(*11) 2015/07/14(Tue) 23時半頃
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[現実においてでも、こちらにおいてでも、その脱走は確かだという]
こんなのって、無い……。
[抑圧された本能は口に出されることなく、静かに、吐き出された。]
(*12) 2015/07/15(Wed) 00時頃
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[行けたよ、という返事>>*11に安堵しながら。 同時に、思う。やはりこの声の主は。この獣は。そのことを知りうる立場にある。 さみしいという言葉は本物だろう。 私には知りえない事情があるのだろう。 それでも……気をつけるべきだ]
クラリッサ……。
[届いた声>>*12は、私にはまるで嘆きの声のように聞こえる。 人間に“なおす”研究をしているという女医を、クラリッサは弁護していた>>1:9。人間に従順だった。 そんなクラリッサにとっては、不従順な獣が自由を得たという知らせは、やるせないものがあるのかもしれない]
(*13) 2015/07/15(Wed) 00時頃
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…わかっただろ。イカレ女医のいいなりになる必要なんかないって。
[クラリッサの言葉には、そう吐き捨てる。従順になっても、こうなる事は分かりきっていた。猿共は、私たちに何も与えてはくれない。…与えてはくれない、はずだ]
[そう吐き捨てながら脱走を伝えた声の主>>*11の事を考える。脱走を知っていて、獣たちに教える。この謎の会話の方法を教える。警備を強化しないと、と呟く。…こいつは誰だ?何の目的がある?脱走をさせたいのか、それとも、させたくないのか。どういった立場の奴なんだ。とにかく胡散臭い]
(*14) 2015/07/15(Wed) 00時半頃
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[ジリヤの声が聞こえれば、今はもう反論することも出来ない]
そう...ね。 どうせじきに、結果が出るから。
もし私が、その結果を伝えられなくなったら。 頼むね、ジリヤ。
(*15) 2015/07/15(Wed) 00時半頃
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…ッ!オイッ!お前、まさかッ!やめろッ!まだ、わかンねえのかッ!
自由になりたいんだろッ!なんで、そんな、道を閉ざすような…ッ!
[クラリッサの言葉に焦る。強く呼びかけて、やめるように伝える]
(*16) 2015/07/15(Wed) 01時頃
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[ 正直者が正直なまま報われるのは、御伽話の中だけだと 「そと」で汚いものばかり見てきた僕は、 彼女>>*12の慟哭に目を伏せる。
鮫が”行けた”と 警備を強く、と迷う声>>*11 やはり彼は「あちら側」なのだと下唇を噛んで。
自分が誰ぞの恨みがあるから行けぬ>>*6ことと 獣を逃さぬ為に 警備を強める事とは関係が無いような (自分が鍵を持ちつつ出られぬ、八つ当たり以外には)
手元でひらいた本の文字が 頭に入ってこない。 兄が気になるのも勿論だったし ”脱走者”にざわめく”声”達に 胸が騒ぐ。]
恨みなんて届かないほど、 遠くへ行ってしまえば良い。……ねえ、行こうよ。
[ 怨嗟も 柵も届かない遥か遠くへ。 それよりも遠くへ行こうとする声>>*15に、本を閉じた。]
(*17) 2015/07/15(Wed) 01時頃
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[結果が出る>>*15。なんの? 結果を伝えられなくなったら。なぜ、伝えられなくなる? 血の気が引いた。クラリッサのその言葉は、ジリヤの言葉を受けてのもので、ジリヤが話したことといえば、女医の言いなりになるなという話>>*14で……]
いけないわ。
[ジリヤが必死に止めている>>*16。感情に強く訴えるその説得に、私は冷静にならねばと思った。 情に訴える方はジリヤに任せるべきだと]
クラリッサ、考えて。あなたは、本当に人間になりたいの? それとも、外の世界に行って、自由になりたいだけ? お願い、考えて。
[お願い、と私は繰り返す。 だって、心から女医の薬を信頼していたなら、あんな言葉は出てこない。 クラリッサはいつも女医に好意的だったけれど。 その薬がどれだけ危険なものなのか、本当は気づいているのでしょう?**]
(*18) 2015/07/15(Wed) 01時半頃
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お願い。 ここから出て行くのに役立つものが、さっき手に入ったの。
[施設内の地図。管理を強化などと言う油断ならない声の主の存在に、ここで秘密を明かしてもいいものかと躊躇っていたけれど。 それが、クラリッサを止めるために有効なカードとなるのなら、今切らなければ後悔する]
お願いよ、クラリッサ。
[もしも、クラリッサが命を落とすようなことがあれば。 そのこと自体もとても大きなショックだけれど。 ジリヤがあの女医に、何をするかわからない。 ジリヤが今度こそあの女医を手にかけようとして、危険と判断され殺される。 そんな悪夢のような死の連鎖が起こる可能性だって。 お願い、と繰り返す唇が震えた**]
(*19) 2015/07/15(Wed) 09時頃
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....ごめんなさい、ジリヤ。
(*20) 2015/07/15(Wed) 14時頃
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オイッ!オイッ!クラリッサ…ッ!ごめンッて、わかってンだったら…!
[謝罪の意味を悟ると、駆け出して。もう、手遅れかもしれない。だが、だからと言って、この脚を止めるわけにはいかない。…本当は、もっと早くにかけ出すべきだった。この、棘に隠した臆病さが、今は、ただ恨めしい]
(*21) 2015/07/15(Wed) 15時半頃
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――――……お願い。生きて。
[そう、祈ることしか、もうできやしない]
(*22) 2015/07/15(Wed) 21時半頃
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[ 悲痛な針鼠の声も、別れを告げるような猫の声も 懸命に引き止める梟の声も 聞こえてはいるのに。
僕は諦めることに慣れすぎていて、焦燥も自責すらも無く 彼女との約束がなければ 自分の身ですら執着しない関心の無さ。
正しくなかろうと 猫がそれで良いのなら 僕は正す心算は毛頭無いし、嘆く心も持ち合わせない。
自分のことのように怒り 嘆くふたりが 僕にはとても眩しかった。
( あんなふうに 誰かに執着できた頃は ) 兄といっしょに 喪ってしまったみたいで。
ただ、ひとつ思った事といえば 悲しむ梟は見たくないという 独善的な思考。
( ああ、やっぱり。……僕は、卑怯だ。) ]
(*23) 2015/07/15(Wed) 23時半頃
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[ 数刻前 ]
「 いつか、 」?
[ >>*10問い、問われた声を僕は鸚鵡返しした。 ―――いつか、許されると思った。 それは紛れもない事実で、僕もまた、そのつもりだった。 許してくれると思って、思って、 ……いや、願っていたのかもしれない。
だってそうしたら、僕の罪は、赦される。 ]
(*24) 2015/07/16(Thu) 00時頃
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―――でも、 …それは、 ” いつ ”?
[ 僕の潰れた声が、彼らに聞こえたかは解らない。 幾ばくもの「 消えた光 」を見てきた。 そうして今回も、そうだと思った。 だってそれが、 「 正しいこと 」だと思ってた。 なのに、
これじゃあまるで、 僕が間違えてるみたいじゃあないか! ]
…………、
[ ついぞ僕は声を発することはなかった。 欹てていた耳にすら、音が入らなくなる。 沈黙。 世界が僕をあざ笑う。
―――「 地下の僕 」を組み立てる、 土台が脆く崩れた気がした。 ]*
(*25) 2015/07/16(Thu) 00時頃
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どう、なったの。 クラリッサ……無事、なのよね?
[恐ろしくても、確認しないわけにはいかない。 遅かれ早かれ、いずれ耳に入ることだ。 数分の躊躇いの後、私はそっと声をかける。 返事があるかは、わからなかったけれど]
(*26) 2015/07/16(Thu) 01時頃
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[返事は、ない
返事はない
あの、ハリネズミの、返事は、ない]
(*27) 2015/07/16(Thu) 01時半頃
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