231 獣ノ國 - under the ground -
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[ この部屋で 自分と兄以外の存在を確かめるように 押し付けた額>>179から伝わる温度と鼓動は やっぱり影が差したままのように思う。 獣の中に彼女を見る彼と 鸚哥に兄を重ねる僕は
( …どこか、似ているのかもしれない。)
空気と 背中を伝ってきた笑うような声>>194は 高いトーンを保っているのに どこか……
( でもこのひとのほうが、大人なんだろう。)
卑怯だ卑劣だと、競うようなものではないものを 笑い飛ばしながら自分を卑下する声に これが彼の 見の守り方なのだろうかと。
背中の向こう側の腕に 兄が向かうのを見ていた。]
(204) 2015/07/11(Sat) 22時頃
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[ いつもなら、不躾な兄を途中で窘めるのだけれど 今日はそんな元気が僕に無い。 人の領分に土足で…いや 鳥脚で踏み込む兄にも 一笑して応えるだけの人>>195で良かった。
( 本気で怒らせちゃうこと、あるからなあ ) 自分の耳に痛いだけなら、良いのに。
僕は見下された夜の瞳に (ごめんなさい)と 済まなそうに眉尻を下げた。
僕が”兄さん”を大切にしているように 彼が未練を大切にしているようにも、思えたから。]
(205) 2015/07/11(Sat) 22時頃
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[ ゆら、 目の前の夜が揺れて 長い彼の前髪がその前を通り過ぎる。
白い部屋でひときわ艶めく黒が 僕の目の前を覆って ( こつり ) 額の中心に感じる「ひと」の温度 ]
………………。
[ 僕に母の記憶があったならよかったのに 伏せられた瞼を彩る睫毛が 波のように 揺れた、きがした。
僕は瑠璃を瞑ることもなく 寄せられる額 離れてゆく瞳を見送って その目が瑠璃から逸らされる前 ぼくは ]
(206) 2015/07/11(Sat) 22時頃
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…優しくすることは、卑怯じゃないとおもう。
[ 繰り返しでない言葉を、夜の海の中に投げ込んだ。]
(207) 2015/07/11(Sat) 22時頃
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[私の頭を撫でる先生は、少し満足げな様子で。
その顔を見ることが出来ただけでも私は幸せだと、撫でられるたびに頭を襲う激痛に耐えながらも感じた]
じゃあ、お言葉に甘えて。
[全身を苛む痛みは未だ収まることを知らず、流石にこのまま平気な顔で歩きだすことはできそうに無い。
それならば痛みが引くまでベッドで休ませて貰おうと、身体を投げ出した、そのとき]
――っつう!
[ベッドと触れた部分に鋭い痛みが走り、一瞬にして玉汗が顔全体を覆う。
精一杯抑えたつもりだけれど、もしかしたら声も聞かれたかもしれない]
(208) 2015/07/11(Sat) 22時頃
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[ 彼が返す言葉はあっただろうか。
仮病を促すようなその物言い>>196に、僕はどこか 「また」彼と話ができる日がくるのかと
詰まる喉をゲンコツで開いて絞りだす言葉は 僕にとってはひどく息が切れるものだったけれど それでも また、ひとと話したいと思ったのは 初めてだったから。
こくこく、と数度素早く頷いて ベッドの上から、背を向け揺れる髪を見送った。]
(209) 2015/07/11(Sat) 22時頃
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『 センセ! マタネ! マタネ!』
[ 相変わらずの兄は 部屋の扉まで彼を見送り 羽ばたきの中で、ふわりとひとつ 真っ赤な羽毛を 彼の頭の上に落とした。*]
(210) 2015/07/11(Sat) 22時頃
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フィリップは、明之進の揺れる後ろ髪が綺麗だなと思う。
2015/07/11(Sat) 22時頃
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[ ひとつ。男は軽く息を吐いた。 「問い」に黙りと音を閉ざしたその姿>>202を、頬杖を付き見遣る。 拭ったことに反抗も無いまま、されるまま為すがままのそれを、―――温もりのした、冷えた心、…神父に成れなかった所以の傲慢さが足を伸ばす 。 ]
何故でしょうねえ………
[ 己の事を聞かれるのは、今日二度目だったか。 一人は鮫君。一人は針鼠に。 自分は若しかして、獣人にとってはまるで奇異なひとなのかもしれない。――と、ひとりごちる。
そう、それは先から、離れた場所へ身を寄せた梟も、もしかしたら>>203
男は「崇拝」ではないその視線や思考に、まるで試されているような気持がした。 …まあ、今更気にすることでも無かろうが。
男は針鼠に答えるより先に、梟の彼女へ手を振った 。来た時>>201に見えたのは、溜息を吐いたような姿 。それに嫌がらせじみて、男は手を振る。笑みを張り付け、ゆらゆらと。 ……最も、無視を食らったならばそれまでである。 ]
(211) 2015/07/11(Sat) 22時半頃
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マユミは、フィリップの歌声は嫌いではなかった。音楽は、煩わしいものではないから。
2015/07/11(Sat) 22時半頃
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―――大きな怪我人が出る前に落とし所として、示したものでもありますが。
その他を言うなら………おもしろかったから。
[ 喉が鳴る。 愉快気に、くつくつと男は喉を鳴らした。 不気味にさえ思われるかもしれない。 しかし笑声止まずに、凛として瞳に病んだ光が灯る 。]
何故、貴女はそこまで反抗するのですか。 まるで泉の水を求める鹿のように。 ――鳥のように山へ逃げる方法も、あったでしょうに。
[ カップを持ち上げると、黒い水面がゆうらり揺らいだ。 混ざり切らないミルクの白が、 時折見えては沈んで行く。
―――そう。白亜の色に、染まってしまえば良かった。 そうすれば、傷付くことは無いのだから。 ]
(212) 2015/07/11(Sat) 22時半頃
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抵抗を重ねるお前に触れたら、その顔がどう、” ゆがむ ”のか。
―――知りたくなった。
[ 掠れ、地を這う声色は、音は。はたして彼女まで届いたか。 ……男の知る所では無い。 ]**
(213) 2015/07/11(Sat) 22時半頃
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[こちらに手を振るアーロン>>211には、黙って会釈を返した。 最低限の礼儀はあるつもりだ。慇懃無礼という意味では、それは無礼なのかもしれないけれど。
ハンバーグを食べながら、私は肉食の獣のことを考える。 私の中の梟は、動物性たんぱく質を求めるけれど、同時に私の中には人間としての要素も確かにあって、人間と同じ調理された食べ物を食べるし、野菜だって求める。 けれど、全ての獣がそういうわけではない。獣としての要素を、私より色濃く持つ者もいる。 きっとこの世界は、そんな者にとって私よりももっと、生きにくいところだろう。 そんなことを考えていた時]
………………。
[静かな食堂に、低い声がした>>212>>213。 それは、本当に微かな声だったけれど、幸か不幸か私は梟ゆえの聴力がある。 聞こえてしまった。そう感じたということは、それはやっぱり不幸なことだったのかもしれない]
(214) 2015/07/11(Sat) 22時半頃
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あン時はそうだったかも知ンねー、けどよ…もぅ、違うだろ。ここに来て、話すンはよ…
…面白い…なンだよ、それ…反抗的で、暴力的で…髪だって、タップリ刺さっただろ…それで、まだ関わろうと出来るのかよ…
[視線を落として、サンドイッチを食べきる。簡単なものだが、秘密棟の物よりよほどいい]
何でって、そりゃ…
[底にしまっていた感情を吐き出そうとした時、地を這うような声が聞こえる>>213]
…やっぱそーかよ。クソッタレッ!猿らしい理由だな、オイッ!
[その声を聞くと、恐怖も困惑も一気になくなった。代わりに湧いてくるのは、いつもの苛立ち。机を叩くと、サンドイッチの残りが乗った皿が吹っ飛び、割れる。髪を結んでいるゴムを解くと、バラけさせる。羽織った白衣はすでにボロボロになっている。]**
(215) 2015/07/11(Sat) 22時半頃
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……クラリッサ。
[漏れ聞こえた苦痛の声>>208に、ベッドを覗き込む。 小さく震えるその背中を、そっとさすってやろうとするだろう]
無理をするのは、良くないわ。
[可愛い子。そして、とても哀れな子。 ここで生きることしか知らないから、 自分みたいな人間にも縋ってしまうのだろう。 ヒトとして扱われないことに不満を抱かず、 歪んだ優しさを、何の抵抗もなく愛情として受け入れてくれる] 私が、しばらく傍にいるから。大丈夫。
[クラリッサという“被験体”は、アマルテアにとって。 これ以上ないほどに都合がよく、 それ故に可愛らしい存在であった**]
(216) 2015/07/11(Sat) 22時半頃
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[ ――――乱暴に置かれた手のひらに、皿が浮かぶのが目に入った。ぱりんと高い音を出して割れるのには、皿はいつもこう云う割れ方をすると思う。
して。 何故また彼女は激昂したのか。――ああ、言い方が悪かったのだろうなと、男はまた喉を鳴らした 。確信犯的であったかもしれない。]
そう、そういう―――貴女は。
[ ばらけた髪――針か? 未だ余裕を持った面持ちで、男は考えた。 いや、どう見ても髪だろう 。結うことは出来るのかと、また疑問を浮かばせつつ。 されど鋭利にも煌めいた毛先は白衣をよりぼろ切れにするのだろう。 こくりと、 喉に通した珈琲が腹に渡る 。]
(217) 2015/07/11(Sat) 23時頃
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―――「 怒った 」顔は、可愛くない。
私は貴女の、その表情しか見て来なかったものですから。
[ 「 座ったらどうですか。」と、着席を促す声を続けることは、出来ただろうか。 例えその髪が振り翳されようが、血が滲むことは怖く無い。 …そう、先程肉食の彼の、特殊な肌に焦がれるように。
……カップを傾げると、真白な底が見えていた 。男は残念そうにそれを見て、軈て小さな音を立て、ソーサーにカップを立たせた。
彼女の「 別の顔 」が見たいと、素直に伝えたら良かったろうか。 生憎、男にそんな真直ぐな思考と口先は持ち得ていない 。……いなかったが、 男は少し、考えた。 ] **
(218) 2015/07/11(Sat) 23時頃
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―第二図書館―
あっは、なんだこれ。珍しいなぁ
[フクロウを送った後、急に知りたくなったというか。知識欲のような、学者としての悪い癖が出たように第二図書館へやってきて 掃除されていない故に保存の悪い本、その中には外に関する事や、地図。それに、誰が持ち込んだのかこの施設の地図まであったかもしれない]
うっわ、これなんかもう潰れたのに 今は更地だってハナシ
[懐かしさに思い馳せて。とある地図の一部にたどり着けばそっと目を細める 自分が研究室で住む前に、よく遊んだ空き地。そこで出会った思い出をふと考えて]
(219) 2015/07/11(Sat) 23時頃
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なーんで、あんな女医に話したかな… 結局なんでアイツがここに居るか聞いてないぞ、と
[今度会ったら聞いてみようか。なんて考えてから、寝不足が祟ったのか、ふとまぶたが重くなって 自室に戻るのも面倒だからと椅子を並べて横になれば眠りについただろう**]
(220) 2015/07/11(Sat) 23時頃
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庭師 ノアは、メモを貼った。
2015/07/11(Sat) 23時頃
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悪趣味だわ。
[私の小さな呟きは、きっとジリヤの上げた声>>215にかき消されて、誰にも届かなかっただろう。 悪趣味で……そう、その発想はとても、とても、獣の私たちよりも動物的だと思えた。 私に、人間の真意>>218なんてわからない。わかろうともしていなかったけれど。 だから私はジリヤの怒りを正当なものとして受け止め、静けさが失われた食堂で、部外者として食事を続ける]
(221) 2015/07/11(Sat) 23時頃
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[今にも殴りかかろうとしているのに、相手は気にもとめていない。それどころか、怒った顔は可愛くないだの、座ったらどうだだのと言いながら、コーヒーを呑気に飲んでいる。それに困惑が出てくると、また苛立ちは顔をひそめる]
…なンだよ。言うことがコロコロ変わりやがる。おめーといると調子が狂う…
[拳を止めて座り直す。理解した言動と、その次の言動が一致しない、とハリネズミは思った。もっともその言動が、違った顔が見たい、という一つのことで説明できるなんて知ったら、彼女の混乱と恐怖は、より、大きくなるだろう。机の上に奇跡的に形を保って残った卵サンドを食べる。]
(222) 2015/07/11(Sat) 23時半頃
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[押し殺した筈の声は、やはり聞かれていたようで。先生はベッドの方に来ると、私の背中をさすってくれた。
最もそれは、私にとっては痛みが増すだけだったけれど]
無理、なんて、してません。大丈夫、です。
[先生の方に向ける、笑顔。汗を拭くだけの行為すらままならない状態でも、笑顔だけは崩さない]
そうだ、前から、一つ気になっていたことがあるんです。
[声を出すだけでも、声帯を震わせる空気の振動が痛みとなって身体に伝わる。 それでも、何か喋っていなければ。痛みで、不意に叫びだしてしまいそうで]
先生は、どうして私達の研究をしているんですか。
(223) 2015/07/11(Sat) 23時半頃
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[アーロンの言葉は、ジリヤの怒りを止めるものとなったようだ>>222。静けさが戻ったのは結構なことだと思う。 ジリヤがどうしようと、私は彼女を止めるつもりはないけれど、食べ物を粗末にしたこと>>215だけはいただけない。 小さく息を吐いて、私はちぎったパンを口に運ぶ。
他の人が何を考えているかなんて、わからない。その相手が人間なら、尚更のこと。だってわかりたいとも思っていないのだし。 けれど、わからないなりに「きっとこうなのだろう」と思っている。それが正しいか、間違っているかは別として。 大抵の場合、その判断の想定内の行動を相手は取るから。それで不自由しないのだけれど。 だからこそ、その判断の想定を超える反応を示された時、人は戸惑うのだろう。今の、ジリヤのように。 私はそんな風に考える。 そんな私の考えこそが勝手な判断なのだろうけれど]
(224) 2015/07/11(Sat) 23時半頃
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["猫"である私にも、当然獣たちの言葉は届いていた。
けれど、人間への感情も、外への思いも、何もかもの価値観が、私とは異なっている者たちに。
それらの事で、何を言う事があろうか]
(*33) 2015/07/11(Sat) 23時半頃
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― 彼が去った後の部屋 ―
[ いつもの様子を取り戻した部屋は、 それでもまだ微かな熱が篭っていて 僕はなんだか、持て余すように身を捩る。
白いベッドの上から、白い天井へ 碧海の腕で橋を投げ架け 見えぬ空へ爪先の焔を伸ばし
慣れぬ言葉を紡ぎすぎた喉を震わせた ]
月なきみ空に、きらめく光、 嗚呼 その星影、希望のすがた。 人智は果てなし、 無窮の遠に、
いざ其の星影、きわめも行かん。
(225) 2015/07/12(Sun) 00時頃
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[ 針鼠は無事に風呂に行けただろうか、 服の都合はついただろうか。
猫の爪はだいぶ伸びていたようだったけれど、 薬のせいで何処かでふらついてやしないだろうか。
朝更しが過ぎた梟の見る夢は、穏やかなものだろうか。
(もうさすがに、寝ているだろう)
頑丈に作られた部屋の壁。 この壁の向こう側で、きっと寝ているだろう彼女を想う。
ちら、と瑠璃を横に流せば、 兄は静かにベッドのふちで 目を伏せていた。]
(226) 2015/07/12(Sun) 00時頃
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雲なきみ空に、横とう光、 ああ洋々たる、銀河の流れ。 仰ぎて眺むる、万里のあなた、
いざ棹させよや、窮理の船に。
[ 僕が手放しさえすれば、星の界を飛べる筈の赤い鸚哥と 共に夜空を飛ぶ日を「楽しみだ」と言ってくれた梟へ
翼あるものよ、どうか、どうか。
僕が兄を手放せる日は、彼女が此処から出られる日は 同じくらい「ありえ無い」ものだろうか。
白い部屋に唄声が染みてゆく。 それは、壁に 此処に居た男の瞳のような夜を描き 僕はその夜に 赤い爪で星を灯す。
彼女の翼が 闇夜の中で映えるようにと。*]
(227) 2015/07/12(Sun) 00時頃
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……どうして、って。
[突然のクラリッサの問い>>223に、言葉を詰まらせた。 言うなれば、今まで忠実に言う事を聞いていた飼い犬が、 急に唸り声を上げてこちらを威嚇したときのような。 そんな、不意打ちの問いであった]
私、は。
[聡明なアマルテアにしては珍しく。 上手く言葉が出てこない]
(228) 2015/07/12(Sun) 00時頃
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……ヒトに戻りたい、って言われたの。 こんなのは、いやだ。 俺はバケモノなんだろって。だから。
[気付いた時には、とんでもないことを口走っていた。 すぐに、しまったと口を塞いだけれど。もう遅い。 少なくとも、“被験体”に話していい事柄ではなかった。 言うに事を欠いて、“バケモノ”だなんて]
気を悪くしないでちょうだいね。
[取り繕うように言ってから、じっとクラリッサを見つめた]
ただ、私は。あなた達をここから出してあげたいだけなの。
[なんて偽善的で。なんて身勝手な言葉だろうか*]
(229) 2015/07/12(Sun) 00時頃
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[ 泣きすぎた。 頭がぽうっとするし、何より目元がぱんぱんに腫れていて
( 誰にも会いたくない なぁ )
お腹はすいたけれど、 誰かに泣き腫らした姿を問われでもしたら 兄さんが何を言ったものか 想像しただけで怖い。
ごろ、と転がって シーツを抱きしめ あの「ひと」が額を押し当てていった中心をなぞる。 …まるで、人間のように扱われた気がした。
少し寝てしまおう。寝ちゃえば、空腹も気にならない。 こういうとき鳥は少し便利だ 暗くすれば それなりに眠気が来るのだから。 *]
(230) 2015/07/12(Sun) 00時頃
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[額に額を寄せて、伝わる温度に何の意味があるのか 彼は知らない。
ひたり、と合った視線に、彼は唇を閉ざしたまま。 ついと目線をそらそうとすれば ふと投げかけられた言葉に ざあ、と宵の海は音も無くざわめいた。
フィリップに対し 一度も”兄はどこにいる”と聞かなかった事。 ”どうして君達は別れてしまったのか”と聞かなかった事。 ――それらの意味は、]
……いいや、卑怯だよ。
[彼はそう云って、ゆるりと首を振った。 フィリップは――この繊細な心の獣人は、 とても優しいと思った。]
(231) 2015/07/12(Sun) 00時頃
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良く言われます、…ええ。
[ もう落ち着けたのだろうか。先よりか穏やかな声色>>222が鼓膜を叩いた。 おとに引き摺られるまま、彼女を見れば少なくとも「 憤怒 」では無い。 困惑、に近しいそれに、得たのは少しの満足感。
――また、そのまま続けられた文句にも聞こえる声に、男は昔を思い言葉を吐いた 。 まるで色の違う数多の花弁を一枚一枚剥くようにして露わにする本音は、実に、心底、不気味で信用ならないと。 ――悪魔の誘惑を糾弾されたことも、あったろうか 。
男に” 邪気 ” など、毛頭無かったのであるが。 ]
(232) 2015/07/12(Sun) 00時頃
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