231 獣ノ國 - under the ground -
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庭師 ノアは、メモを貼った。
2015/07/13(Mon) 21時半頃
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―― 図書室前・少し前 ――
[ はた、 と。 男は踏み出す前、足を幾許か留めた。 此処に住まう者の中では珍しく思う吸収口を着けた彼から、ちいさく――まるで独り言のように、呼ばれた名が白亜に響けば。 ……男は視線をそちらへ向け、口端を上げた。]
ああ、…―こんにちは
[ さて、今の時間は何時だったか。男は首を傾げて髪さえ揺らした。 顔前に垂れたそれは邪魔臭く、思わずに怠く後ろへ避ける。
そうして男は考えた。男が見るとき殆どプールに泳いでいる彼が、まさか――いやまさか、図書室にでも行くつもりなのだろうか? ギャップさえ彷彿とさせるその” 想像 ”に、男は腹底が擽られる思いがした。 その想像の渦中の彼が、二度と。 ――そう、” 二度と ”プールには行けないと、思って居るなど知らずに。知る手段さえ、ない。 ]
これから秘密…第二棟に。――あなたは図書室へ?
[ 問われたこと>>181に、男は何を思うでも無く軽く返した。 「 そういえば、宿題は。 」と、思考を止めたことには、男は口元に手を当てがい考える。 よもやその為に、と。 …いやはや、それもそれで律儀なことである。男は声にするのをやめて彼の姿を爪先までじとりと見つめた
(192) 2015/07/13(Mon) 21時半頃
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―――……彼処の花々は、…私は好きではありませんが 。 あなた方は、” すき ” なのでしょうか。
[ ――――そうして、意識彼方に、男は言葉を紡いだ。 彼に聞こえなければそれまでである。 声低く、ことばをなぞった音はこぼれ落ちて行く。 男はやれやれと態とらしく両手を上げた。
私は、本当に” いけるもの ”が苦手らしい。
また、二三言葉を交えることがあれば、それに答え、また交わすこともあっただろうか。 何事も――そう、何事なければ。別所から聞こゆる足音を背音に、彼を見送っただろうが。 ]
(193) 2015/07/13(Mon) 21時半頃
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―大扉前→監視室―
………。
[元々まとめるような荷物も無い。番犬のクロとシロは自分にさして興味があるようなわけでもなく、先程までベッドの上に居たものだから髪がボサボサになっていたのだろう。警備員が不信そうな目で自分を見ていたかもしれない]
思い入れは…特に無いはずだぞ、と
[ふと、女医の姿が過ってしまうのはそれほど彼女に執着してしまっているからなのだろうか。彼女の首元に付けた痕を思い出して、自身の独占欲の強さを再度認識する]
…たっはー、やり過ぎたってハナシ
[冷静に思い返してから、赤面してしまう。それ故に、言い逃げしてしまった事を後悔しながらも、戻る気にはなれない 自室でゆっくりと手紙でも書こうとしたけれど、戻れなくなってしまった以上、監視室にでも。と足を進めて、辞表のような置き手紙だけ書いていく**]
(194) 2015/07/13(Mon) 21時半頃
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庭師 ノアは、メモを貼った。
2015/07/13(Mon) 21時半頃
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[ 二度目。
呼ばれた名>>186に、男はこてりと首を傾げた。 見遣れば矢張り針鼠の彼女である 。変わらず重ね着されたそれに、だから何故、と疑問さえまた浮かばせつつ。
――然しそれも、白衣が増してぼろ切れになっているのが分かれば。嗚呼なるほど、” そういう ”コトなのだろうと、首肯する 。 ]
ふむ。……代わりの。 では一緒に探しましょうか?
[ 男が聞く前に答えられたそれ。一考して、男は提案した。深い意味は無く、ただ別の上着も見つかれば良いと思ったまでである。序でに何枚か見付かれば、彼女も困ることはないだろう。
顎もと。当てがった手を外し、見遣った彼女はどう反応しただろうか。 これから冬になる。 そうしたら、施設とは言え冷えることもあるだろう。 思考の奥、脳裏で分厚いものの方が、――と。 まるで他人事に、施設の未来を思った 。]
(195) 2015/07/13(Mon) 21時半頃
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………そうだな。でかすぎるからサッサと他のにしてー
[間が空いた後、相手の質問>>195にそう返して。なぜ、言葉が出るのにこんなにかかったのか。彼女にとって包み込むほどに大きな上着は、ずいぶん扱いに難儀する代物の、はずなのに]
…どうせ備品でなンかあンだろ。外の警備用のコートだの、他の白衣だの…
[どれも、この上着の代わりにはならない気がする。この不便な上着が?なぜ?変えるのが、正しいのだ。合理的だ。正しい、はずだ。図書館に行くのをやめにして、幾つかに分かれている備品の保管場所を目指そうとする。部屋はともかく、ロッカーにしまうタイプなら、鍵が開けれるはずだ]
(196) 2015/07/13(Mon) 22時頃
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[優しい手つきで頭を撫でられているうちに。 ふわり、と彼が起き上がる気配がした。 どうしたのだろう、とそっと枕から顔を上げる。 告げられたのは。唐突な、別れの言葉>>190。
何となく予感はしていた。 ここにいても、たぶん。彼はいつまでも過去に縛られて。 ツラい思いをするだけなのだろうと。
しかし、実際にその言葉を聞くと。 頭がさっと一瞬にして冷えていくのが分かって。 唇が震えて。言葉が出てこない。 ああ、自分は寂しいんだ。その気持ちに気付いてしまう]
(197) 2015/07/13(Mon) 22時頃
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[―――置いていかないで。私をひとりにしないで。 素直にそう言えたら、どんなに良かっただろう。けれど]
……そう、ここを出ていくの。
[出てきたのはひどく乾いた声で。 やっぱり、自分は可愛げのない女だと思った。 白衣を羽織りなおす彼の姿を、ただ黙って見つめていた]
そうね。それがいいと思うわ。 このまま、ここにいても。 あなたは前に向かって、歩いていけないもの。
[まるで合わせ鏡のような、自分の存在がいるのなら、尚更。 似ているようで、似ていない。正反対で。でもそっくり。 たぶん、彼は。そんな自分の姿を見るたびに思い出してしまう。 過去の後悔を、苦悩を、葛藤を]
(198) 2015/07/13(Mon) 22時頃
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逃げるのとは、また違うと思うわ。
[じっと、ノアを見つめて]
お願い。あなたは、私みたいにはならないで。 そのままの優しいあなたでいて。
[なんて身勝手なお願いだろう。 でも別れ際くらい、そんなお願いをしたっていいでしょう?]
私も、愛しているわ。ノア。
[こちらに背を向ける彼に向って、声をかけた。 今の彼女にできる、精一杯の強がりだった]
(199) 2015/07/13(Mon) 22時頃
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[ばたん、と扉が閉まった。 がらんとした部屋にひとり残されて、くしゃりと顔を歪めた]
なんであんな男を好きになっちゃったんだろう。 本当に、私。馬鹿みたい。
[いつもいつも、後悔をしてばかりだ。 あのときも。そして今も。 もう限界だった。ぽろり、と涙が一粒零れる。 顔をうずめて、枕を涙で濡らした。愛しい彼の匂いがした。 彼はたぶん、もうここには戻ってこない。 朧げに分かっているのに、未練がましく嗚咽を漏らした]
(200) 2015/07/13(Mon) 22時頃
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[ →食堂 ]
[ >>155繋がり、また離された手が。
何年も” マトモ ”に、――逃げることさえせずに、僕と触れ合ってくれた人は、居なかったから。
何故だかとても、 ” 僕 ”は、 さみしかった。
『 ねえ。モスキート。 君は僕が、怖くないのかい。』――と。 聞くことが出来たなら、どんなに良かったか!
ほんの先日、まだ記憶も塗り替えられない頃に。 造り物の花に囲まれて、鮮やかな肌に触れ ――― その目になにを映したのか? ” 僕 ”から離れた背中 。そして、
記憶の奥。 頁を捲って、捲って、捲って 捲る度に見た、「 無くされた光 」と、「 体温 」が。
( 僕をより、臆病にする ) ]
(201) 2015/07/13(Mon) 22時頃
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……僕は。
[ 食堂。チューブを受け取った彼のあと、間も無く僕も硬めの――ドッグフードにも似た、シリアルを受け取った。 機械をベルトごと外して、がりがりと奥歯で噛み砕くと、何とも言えない味が舌に染みる。 何年も何年も何年も繰り返しいる僕が、せめての楽しみと特注で作らせたこの味も ――― もう、何も感じないまでに。
僕はごくんと砕かれたものを飲み下して、問われたことを脳内で反芻した。 僕が見たいもの? 景色のことだろうか。 なんだっけな。見たいもの、 は、 ]
(202) 2015/07/13(Mon) 22時頃
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[ 兄とふたり、文字通り唄う慰み者として扱われていた。 大切なものなんて 兄しいかなかったし 憎いものは、だいたいこの世の全てだった。
人間に見つからず、森で暮らしていた頃に戻れないのなら 地上で死んだって ここで死んだって 殺されたって 大差ないって思っていたんだ。
次第に誰とも喋らなくなって、自分の言葉が遠くなって 言葉はじめを繰り返さねば なかなか音が出せなくなっていたのだけれど。]
………………まゆみ?
[ ふわ、と頭に触れるなにか>>177 僕はぼんやりと目をあけて、此処がどこだか思い出す前に 目の前のひとの名前を零す。
ふわ ふわ ふわ。 どこかまだ 夢の中にいて ]
(203) 2015/07/13(Mon) 22時半頃
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―回想:別れ―
ずっと立ち止まってばかりだからね キミとは、違って…
[酷く落ち込んだように。自分に力が無かったからなのだろうか、なんて思ってしまうくらい 前に向かって歩いていけない。それはここに居ても居なくても同じで。けれど、そういう理由でも付けないとこの施設から出たくなくなってしまうではないか]
キミも僕のようにはならないで キミはキミのままで居て
[だって、そんなキミが好きなんだから。なんていちいち口に出さなくても良いかもしれない 身勝手なお願いに対しては「善処する」なんて信頼のない約束をする]
(204) 2015/07/13(Mon) 22時半頃
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――さようなら、アマルテア
[その声は震えてはいなかっただろうか。自分ではわからないけれど、声色から本心は見透かされているかも。なんて、期待してしまう 扉が閉まればもう彼女の温もりは思い出へとなってしまって。触れる事の出来ない幻想を抱えてひっそりとため息を吐いた**]
(205) 2015/07/13(Mon) 22時半頃
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……そら。が、綺麗だった。
きみの色のように、黒くて――でも、優しいんだ。 どこか遠くから、輝くかけらがぱらぱらと降ってくる。 雨みたいに。 僕の頭上を流れて、 水面に落ちてきた月に、―――
” うみ ”で唄う、鳥の声も。 僕は、
[ ―――ああ、僕は何を言っているんだろう。
彼の瞳、先に覗けた彼の髪。 しんかいのそら。真黒な宙 。紅く染まる空 。 早い頃、黒が退くそら 。僕はそこが好きだった 。 森が、葉っぱがそよそよと囁く。 ” 造りものじゃない ” 花が、僕に話し掛ける 。
かつん、――と。 いつの間にか彼の黒に手を伸ばしていた指先が、レンズに弾かれた 。……レンズ? いやもしかしたら、彼にはたき落とされることもあったかもしれない。
僕は手を戻して、ぼうと篭った脳みその熱を振り切るように、首を振った 。 ―――もう、 ” 見 ”れないと諦めた、 ……とおい、記憶だった。僕の昔の、―――記憶 。 ]
(206) 2015/07/13(Mon) 22時半頃
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きみにも、 …… きみ、に ……ッ
[ 落としかけた言葉を必死に飲み込む。 飲み込んで、蓋をするようにその上からご飯を押し込んだ 。
『 きみにも、 』僕は何を言おうとして、 立場を忘れたわけでも、ないだろうに。
――――『 見せたい 』なんて。]
(207) 2015/07/13(Mon) 22時半頃
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[ ぼんやりした顔のまま、目の前の白い頬に腕を伸ばす。 人差し指で 目元からあふれる泪を拾って ぺろり、と 朝露のかわりに それを口にした。]
……きて、
[ しゃがんでいる彼女>>177の腕を引き寄せる。 自分の、まだ”ひと”である太腿の上に軽い躰を乗せて]
擦ったら、だめ なんでしょ。 ………どうしたの、 …………怖かった?
[ 馬鹿、と怒られるかもしれない、 でも怒って彼女の泪が止まるなら、いいか なんて 馬鹿げたことを考えながら 赤い目元にキスをする。 その全部を拭い終わったら ようやく ]
おはよう、まゆみ。
[ と、気の抜けたへんにょりとした笑みを浮かべようか。*]
(208) 2015/07/13(Mon) 22時半頃
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モスキートは、やっぱり。 ……” うみ ” が見たいのかい。
[ ちり、 と。
僕の服のポケットの中。 施設にある限りの” 扉 ”の鍵が連なった鍵束が、音を鳴らした。
そうして程なく、彼と別れることがあったなら。 離れる彼の傍、僕は食堂に居座って、こてりと短い間――眠りこけたのだったか。
記憶の底、 焦がれる景色に誘われたように 。 ]**
(209) 2015/07/13(Mon) 22時半頃
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―― 第1図書室前 ――
[ 直されたこたえと問い>>192に、首肯きのみを返す。平生とのギャップに、腹底で愉快さすら持たれている事には気付かないまま。*]
“ すき ”、って、
[ どんな。と、面食らった声色で反芻する。 すきもきらいも、「いばしょ」でない施設の内、特に感じたことはない。ただその“すき”が空腹じみて、こがれる思いをさすなら。 ――違うんだろうと、レンズ越し、答えめいて瞳を伏せる。身も離れていれば、気付かれもしなかっただろうか。
におわない、“いきている”ハズの花々を模したあの光景を。どこかしらとおくへ意識の向く顔色になぞり映しながら。――“彼処”と告げたそれに、男のすき、こがれる花も“どこか”にはあるのだろうと思いつつ。 それを男の瞳に――いつかと同じように、覗き込み。]
……ならどんな、花が“すき”なの?
[ ――やがて飢えはぐう、と腹を鳴らす。機能の薄れた吸収缶の奥、 僅かに「そと」の混ざった“いきもの”のにおいを流し込んだ。 『処分』 の方が早く訪れないうち、と人工のひかりに視線を落としては。「宿題」のこたえは、結局そのうち、提出出来たのだったか。]
(210) 2015/07/13(Mon) 22時半頃
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[どれだけ泣いただろうか。 涙も枯れ果てた頃に、アマルテアは立ち上がる。 白衣を羽織ると、鏡で自分の顔を見た]
ひどい顔。
[目元の化粧はすっかり落ちて、やつれて見えた。 首元にそっと手を当てる。彼の残した痕が、赤く残っていた。 ファンデーションで隠してしまうこともできるけれど]
お願い。消えないで。
[いつまでも残っていて欲しいと願った。 彼に愛された証が、今は堪らなく愛おしい]
(211) 2015/07/13(Mon) 22時半頃
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……私は、私のままで。
[別れ際の彼の言葉>>204を反芻する]
ごめんなさい、ノア。 私、そんなに強い女じゃないわ。
[ふにゃり、と顔を歪ませた。 さようならと言った彼の最後の声が、 いつまでも頭から離れずにいた。 果たして。自分は今までの自分のままでいられるのか、と**]
(212) 2015/07/13(Mon) 22時半頃
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[名前を呼ばれて>>203なんと返事をしたものか迷った。 もうおはようという時間ではなくて、でも私は他に目覚めの挨拶を知らない]
そんなところで眠るなんて。 体が痛いのではない?
[結局口から出たのは、そんな現実的な、可愛げの欠片もない言葉で。けれど、フィリップの顔はまだぼんやりとしていて、私の声がきちんと意味のある言葉として届いたかはわからない]
……?
[フィリップの腕がこちらに伸ばされて>>208、私は首を傾げる。人差し指で涙を拭われる、その時まで、うっかり私は自分が泣いていることを忘れていた]
な、
[私の涙を拭った人差し指を舐める様子に、心臓が跳ねる。 もっと恥ずかしいことをしたはずなのに、私の羞恥心のメカニズムはどうなっているのか、自分にもよくわからない]
(213) 2015/07/13(Mon) 22時半頃
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[ >>89 後 ]
―――……シロ? クロも、
[ 「 そと 」の香りを身に付けて、僕はこてりと首を傾げた。 いつも僕に駆け寄って――片や僕を唸りつける二匹の姿が、 見えない。 二匹が消えてしまったかのように>>162鎖だけが残されてる。 警備員は、気付かなかったのだろうか? きょろりと辺りを見渡すと、警備員の視線の先に、管理人のうちの一人が――今はもう、” ちがう ” のだけど――>>194監視室に向かっていた。
僕はその姿をいつもと同じ、錆びた瞳で見つめた。 彼が振り返ることがあったなら、 何か言葉を交えることもあったのだけど。 ]
……おかしいなあ。
[ 僕はまた辺りを見渡した。 犬の姿も、香も。何もない。そして” 食べる ”人もこの階では思い当たらなければ、まるで神隠しに子どもがあってしまったように――癖になった諦念と共に、ため息が出た 。 ]**
(214) 2015/07/13(Mon) 22時半頃
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庭師 ノアは、メモを貼った。
2015/07/13(Mon) 23時頃
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[羞恥心は、私の涙を止める作用をもたらした。 うろたえている間に膝の上へと引き寄せられて>>208、まるで小さな子どもみたい。 いいえ、やっぱり、それは違う。 だって小さな子どもなら、膝の上でもらうものは]
違うの。昔のこと……思い出せたのよ。 あなたの、お陰だわ。
[思い出した、昔の記憶の中。小さな私は“とうさま”の膝の上で、頭を撫でてもらっていた。 でも、私は子どもではないから。 好きな人の膝の上で、もらうものは目元への口づけで]
おはよう。
[気の抜けた笑みと共に贈られた挨拶。結局同じ挨拶を返して]
ありがとう。 でも、こっちにも欲しいわ。
[そう言うと、フィリップの唇に、唇を寄せた]
(215) 2015/07/13(Mon) 23時頃
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怪我は、してません。
[俯いたままアオルを受け取って黙々と作業をする月見さんの姿を眺めながら]
別に、危なくてもいいです。 外に出られて。....あと、他に沢山いる"私達"が直るのなら。
[そういえば。ほんの少し前までは、このためだったんだっけ。 付け足すようにした言葉に、そんなことを考える]
それでも、だめですか。
(216) 2015/07/13(Mon) 23時頃
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―― 第1図書室 ――
[ 地図、と。見当もつけて訪れたのはいいが。やはり大した収穫もなく、 ――本棚を高い背で弄っては、面体の下息を吐く。そもそも、外への扉を見つけたとして、過程“かぎ”やら警備もあるなら。……いざとなれば、留め具を噛むだのなんだのしてはみるつもりだったものの。――手元の吸収缶をいじっては、錯乱のはて、「結果」を思いながら。 やはり「協力」がいるだろうか、と。ぼうと頭を巡らせつつ。くん、と気のせいか、漂うにおいに首をそちらへと回した。]
――……?
[ 本棚の奥、過敏な鼻先が男>>162の通ったそれを微か、捉えたのだったか。もしにおいの残滓、かけらすらなかったとしたら、ただ諦めては、緩んだ面体を整えつつ。
――ぐうぐうと迫る飢えは、やがて施設に巡るほかのうごきを。においを。おとを。敏感にしみ込ませては、ひたりと頭の隅、“しんかい”の黒さに……やがては錯乱に、飲み込まれていったかもしれない。]
(217) 2015/07/13(Mon) 23時頃
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んー…?
[ふと、感じた視線に振り向いてみるとこちらを見つめる錆びた瞳>>214 それに見覚えはあっただろうか。確か、上司の直属の部下だとかなんとかを知っていたかもしれない]
僕に何か…用でもあるのかい?
[ただ真っ直ぐ見られている事を不思議に思って、そう問いてみる 見てただけ、なんて言われればそれまでなのだが**]
(218) 2015/07/13(Mon) 23時頃
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大きい? …いえ、あなたが小さいのですよ。
[ 咽喉を鳴らして笑い、戯れを向ける。 男は自分より小さな彼女を見下ろした。 寸分間の置かれた「回答」>>196には、ただ疑問のみをふつふつと思い浮かばせたまま。 ――そのまま、態とらしく身を屈め、目線を合わせることもしただろう。]
備品、ね……、あるでしょうか。
[ 「上」になら、必ずあるはずのそれ。 男は彼女の前で言っていいものかと即座に結論を出せば、口端はあげたまま、考えてるフリをした。 ……然し此方でも何処かに備品の寄せられた部屋があったはずだと思えば、素直に彼女に歩幅を合わせつつ。 ]
(219) 2015/07/13(Mon) 23時頃
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―――私のが良いと言ってくれても良かったのに
[ 男はまた、彼女を冷やかした 。 視線は彼女に当てずに、道行く先を見据える。視界の奥で第二棟へと繋ぐ廊下の電球が、ちかちか輝いた気がした。 ゆらゆらと影の作られる床は、滑らかに。 踵の鳴る音が鼓膜を叩きながら―――して、冷やかしたらば、彼女に怒られることもあっただろうか。 例え怒られ、また怒鳴られても。 平生通り適当に――所謂のらりくらりとするだけだと、思った。]**
(220) 2015/07/13(Mon) 23時頃
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[ 第三棟 ・ 大扉前 ]
[ ” なにか ” ……ね。
僕はまだ、陽射しに当てられたまま揺蕩う脳みそで考えた。 僕に声を掛けた彼は、――ああ、そうだ、 ]
ひとはいつでも、” 外 ” に出られるのに、
―――どうして僕は、出られないんだろう?
…ねえ、どうしてだと思う?
[ 僕はもしかしたら、陽射しに頭でもやられてしまったのかもしれない。 塔に上って、また地下に戻って。僕こそ鎖に繋がれたように、幾度も。 ただの「管理人」なら、好きなときにお使いに出て、好きなときに戻れるのに。 ……でもきっとこれは、八つ当たりなのだろうけれど、も。
何故だか無性に「 ひと 」の彼が羨ましくなって、でも声色は淡々として、彼にハテナを投げ付けた 。]**
(221) 2015/07/13(Mon) 23時半頃
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