231 獣ノ國 - under the ground -
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私は、あなたが処分されてしまうのは、嫌だわ。 ……だから、迷っているの。
[いつもより少し早口で、そう言い切って。 は、と息を吐くと、フィリップをじっと見つめた]
(73) 2015/07/12(Sun) 21時半頃
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庭師 ノアは、メモを貼った。
2015/07/12(Sun) 21時半頃
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―第三棟/自室周辺廊下―
責任者って誰だったかな そういや、覚えてないぞ…と
[いくらのんびり屋だとしてもずっと庭園でボーッとしているのは飽きて、ふらふらと移動する 途中誰かとすれ違ったのならば、適当に会話を交わしたかもしれないし、ノアには珍しく無視を決め込んだかもしれない]
良い相談相手が居るってわけでもねぇし…
[敵対視してる女医にお化けな年上。それから何を考えているかわからない柔和な人。誰も彼もが自分にとっては相談出来るとも言えない相手で 否、一人口を滑らせたくらいの相手は居たが]
(74) 2015/07/12(Sun) 21時半頃
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八つ当たり…だよなぁ
[なんであんな事話したんだか。と思うと同時に、第二図書室の時のように苛立ちが増してきて 尤も、それが本人に見られているとも知らずに自室に入れば今度こそまともな寝床に飛び込んで、携帯端末をタカタカと打ち込む**]
(75) 2015/07/12(Sun) 21時半頃
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あ、いえ、もう副作用は....。
[言いかけて、途中で止める。気付かれているのならば、ここで私が何を言おうと先生が考えを変えることは無いだろう]
分かりました。ヒトになるのは、もう少し待ってからにします。
[その言葉に、先生は頷いて。そして、すぐに出ていってしまう]**
(76) 2015/07/12(Sun) 21時半頃
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― 第三棟 廊下 ―
[かつかつ、とヒールで靴音を立てて。 第三棟の廊下をアマルテアは歩いていく。 やがてノアの部屋>>75の前で立ち止まると、 こんこんとノックした]
……ここにいるんでしょう、ノア。 真昼間から、サボりとは良い御身分ね。
[やっぱり飛び出すのはいつもの嫌味だ]
クラリッサが、喜んで実験に協力してくれるって言うの。 あの子は良い子だわ。 もっともっと、強い薬を試そうと思っているところ。
(77) 2015/07/12(Sun) 21時半頃
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[アマルテアの手には、サンプルの入った小瓶が握られている]
あなたの意見が聞きたいわ。 研究者としての。
[冷静な声で、ノアに問いかけた。 さて、部屋の中から返事はあっただろうか**]
(78) 2015/07/12(Sun) 21時半頃
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うげっ……
[あまりの焦りに携帯端末を顔面に落とすという失態を犯す 血は出てない、鼻は付いてる。よし、おーけぃ。なんて事思いながら、呑気に扉を開けようとした時に聞こえてくる続かれた声]
クラリッサ…
[あぁ、彼女もまた無意識に怪我を負わせるタイプの獣人だったか そんな事を思いながら、扉を開ける気は一切無くなって扉に寄りかかってから会話を続ける]
…別に。ボカァ、もう研究者じゃない 研究する事をやめた、一般人だ
[一人を犠牲にしてから、もう何にも手がついていない 誰かを救おうと思う事も無くなったし、ただ批判だけするクソ評論家みたいな奴に成り下がった]
(79) 2015/07/12(Sun) 21時半頃
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キミの事だ。どうせ“ヒト”にしてあげるとか“無責任”に言ったんだろ 嘘でも真実でも無い希望は残酷だ
[その薬が果たして本当にヒトに戻れる薬なのかという確証は無い 強力な物、と言われても自分がその薬を見たわけでも無いしなんとも言う事が出来ない それでも、クソ評論家として言うならば]
(80) 2015/07/12(Sun) 22時頃
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――キミは、誰かを殺しても気がすまないのか
[八つ当たりをするように言葉をぶつける それは自分の事を言うように、嫌悪の篭った声で**]
(81) 2015/07/12(Sun) 22時頃
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庭師 ノアは、メモを貼った。
2015/07/12(Sun) 22時頃
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[ ( そうだね、いっしょに ) ( 僕が彼女の聲になって 彼女が僕の羽になって ) ( 星の中で飛べたら、どんなにいいだろう )
きみだけでもいい、そんな滲み出た僕の狡さは 彼女>>71のとてもよく利く夜目の前には 隠すなんて無理だったみたいで。
ひとつ、ひとつ ことばを区切って零される制止は 僕のちいさな心臓を締めあげてゆく。
「飛んでみたい」 きみのその言葉だけで、僕には十分なんだけれど。
いつも 感情の乗らない彼女の瞳が揺れて 僕の指先が迷う。 赤い指先は何にも触れずに僕の足元に帰ってきた ]
(82) 2015/07/12(Sun) 22時頃
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[ ”処分” そうだね。 モノを棄てるみたいに僕等 獣の命は軽いのだ。 ( …明にとっては、そうではないかもしれないけれど )
もしも、と言葉を濁す彼女>>71を見上げて 目の前の翼が床に落ちるのは 見たくないと思った。 目の前の瞳が閉じてしまうのは 見たくない。
目元に触れた熱い指が 冷たくなるのは――。
自分の命にあまり頓着がないのは何故だろうか もう、兄には会えないと思っているからか 外にも此処にも あるようで無い居場所。
――――だけれど、彼女は 嫌だ。]
(83) 2015/07/12(Sun) 22時頃
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[ そう、想うのと 彼女の口から 普段なら考えられないような言葉>>73が出るのとは たぶん だいたいいっしょだったように思う。
短く吐かれた息。 向けられた瞳。 僕はそれを全身で受け止めて ]
(84) 2015/07/12(Sun) 22時頃
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僕も、きみが死んでしまうのは 嫌だ。
[ 僕は別にいいのに、とは 言えずに。]
ねえ、まゆみ。
……………触れていい?
[ ベッドに両手をかける。 床に膝をついて、腰を上げ 彼女の瞳を覗きこむ。 卑怯な僕は どこに、とも 言わずに
ただ 下から 彼女を見上げた。]
(85) 2015/07/12(Sun) 22時頃
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[なんだか部屋の中から間抜けな声>>79が聞こえた気がした。 突然の来訪に、彼が慌てていることだけは何となく伝わる]
……居留守は無駄よ。
[低い声で唸ってみるが、 続いて紡がれる言葉>>80には思わず眉を顰めた]
希望を与えて何が悪いの。
[アマルテアの瞳から、光が消えた]
ヒトになれる可能性が少しでもあるならば。 その可能性を提示してあげることが、 “彼ら”の幸せに繋がると私は信じてる。 それの、どこが無責任だというの。
[その口調は刺々しい]
(86) 2015/07/12(Sun) 22時頃
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中途半端に、“彼ら”に情けをかける方が。 余程、無責任だと思うのだけれど。
[あからさまに、ドアの向こうの相手を揶揄してみせる。 しばらく黙ったあと、すうと息を吸い込んで]
誰かを殺しても気がすまないのか、ですって?
[じっとドアを見つめて]
(87) 2015/07/12(Sun) 22時頃
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―――私はもう、兄を殺したわ。
[淡々と、事実を告げた]
だから、立ち止まるわけにはいかないの。
[ぐっと拳を握りしめる。爪が食い込んで、血が滲んだ**]
(88) 2015/07/12(Sun) 22時頃
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[ 今日・第三棟 ]
[ ぐるぐるとした螺旋階段は、まるで同じところを幾度も通る迷路のようで、また頭がおかしくなりそうだった。 僕は知っている。 この地下に降りてきた日のことを。 僕は覚えている。 この地下から這い上がれなくなった日のことを。 柵のように鶴との誓いが、契りが、僕を蝕んで―――止まらないんだ。 ]
――――ああ、
[ 上司の元へ行く為に。長い階段を登る途中、開けた景色。 地平線から降り注ぐ陽の光。 遠くに反射する、「 うみ 」の鏡。 頬を擽る汐風と、 身に沁みる暖かな陽射しは、まるで僕のうちうちを浄化するかのように。 じんわり、じわり 。 ]
もう、こんな時間だ。
[ そしてその感覚も、地下の白亜に崩される。
鶴と話して程なく戻った僕の体には、未だ「 そと 」の香がしがみ付いていただろうけれど 。 ]*
(89) 2015/07/12(Sun) 22時頃
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キミの言う希望は、偽りだろう
[希望を与えて何が悪い。だなんて それが本当に希望ならばまだしも、分かり切っているだろう結果で、有りもしない幻想にしがみつく希望は]
絶望よりもっと酷い
[例え自分にとって沢山の被験者が居たとして。被験者にとって自分は、すがる糸は一本しか無いのだから その糸が本当に自分をいい方向に連れて行ってくれる保証も無いまま]
――ッ!!!僕だって……!!
[中途半端な情けをかけているつもりは無い。本当に彼等をヒトに出来る薬を作れたのならば、嬉々として全員に作るだろうし、そのためならば自分の全財産叩いてでも使うだろう けれど、それは叶わず。生まれた結果はただ一つだった]
(90) 2015/07/12(Sun) 22時頃
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奇遇だな…
[寄りかかっていた扉から離れて、鍵を外せば自動的に扉は開いたか それから希望を失った瞳は、目の前に立つ拳を握りしめた女医を見下ろして]
俺も殺したよ。片思いの、大好きだった子を キミと同じ事を言って、希望を与えて
[その希望は結局叶う事も無く。そして薬は完成する事も無かった 一度の失敗で諦めた自分と、だからこそ立ち止まらない彼女では似ているようでまるで正反対で]
(91) 2015/07/12(Sun) 22時頃
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――やっぱり、僕はキミが嫌いだ
[羨ましくて妬ましくて自分に持っていない物を持っていて けれど、どこか欠けている。そんな彼女が嫌いだと**]
(92) 2015/07/12(Sun) 22時頃
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落胤 明之進は、メモを貼った。
2015/07/12(Sun) 22時半頃
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[先生が医療室から出ていって。そうして一人残された部屋で、私は考える。 ――外とは、どんな所なのだろうか。
生まれてからこのかた施設しか知らないとはいっても、伊達に第一図書館を読破したわけではない。知識の上でなら多くの事を知っている。
....もっともそれらには、私達は居ないのだけど]
自由、かあ。
[それは、そんなに良い物なのだろうか。ジリヤも、先生も、それが良い物だと言うけれど。 私には分からない。知らないものを判断できるわけがない。 だから知りたい。外とは。自由とは。どのようなものなのか]
外に、出たい。
[先生の為ではなく、自分自身の為に。 もしかするとそれは、自分のための、初めての望みだったのかもしれない]
(93) 2015/07/12(Sun) 22時半頃
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偽り、ですって……?
[頭に血がのぼって、つい声を荒げた瞬間。 ぎいと自然に扉が開いただろう。 目の前の男は、どこか憔悴しているようにも見えた]
……ノア。
[奇遇。なにが、奇遇だと言うのか。 長身の男を、じっと見上げて。 告げられた言葉に、一瞬目を見開いた]
そう、なの。 私と同じだっていうの。
[視界が、ぐらりと滲んだ]
(94) 2015/07/12(Sun) 22時半頃
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奇遇ね。私もあなたのことが大嫌いよ。
[本当に、腹の立つ男。 彼の言葉は、ざわざわと自分の心を波立たせる。 今だってそう。自然と目元には涙が浮かんでいた。 こんな男の前で、弱いところなんて見せたくないのに**]
(95) 2015/07/12(Sun) 22時半頃
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っだー!眠れねー!
[考えがグルグルと回って、ちっとも眠れない。背中の傷も痛む。]
せめて傷なンとかすっか…
[部屋を出て女医がいないことを祈りながら、医務室に向かう。自分自身の手当てなら慣れている。なにせこの髪と暮らし続けているのだから]
(96) 2015/07/12(Sun) 22時半頃
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ヒトになる事を望んで、希望をチラつかせて それがどんなに残酷かも知らないで 薬を渡した時の喜んだ顔が今でも忘れられない
[これでやっとヒトと同じ生活が出来る。差別されなくて済むと そう喜んでいたはずなのに
記憶の映像は途切れ、目の前には倒れる女の子と、絶望し、発狂する自分の声。そんなのが何度も何度も繰り返して]
……入れよ
[女性を自分の部屋に連れ込むのはいかがなものか。それに、嫌いだとお互い言い合ってるのに 断るならばそれはそれで構わないし、入ってくるのならば泣きそうにもこちらを見る相手にタオルくらい渡してやろう ハンカチを持つほど乙女な部屋でも無いが**]
(97) 2015/07/12(Sun) 22時半頃
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[私が“処分”という言い方をしたのは、人間たちに“殺す”なんて意識はないと思ったからだ。 彼らにとって、私たちの命はとても軽くて。 きっと、重い“殺人”なんて意識はなくて。 きっとそれは、“殺処分”なのだ。 だから、私はフィリップの言葉>>85に息を飲む。 フィリップが私の命を惜しんでくれることが、酷く嬉しくて]
ありがとう。
[私は、自分の表情がわかりにくいことを、残念に思う。 少し目を細めれば、笑っているように見えただろうか]
(98) 2015/07/12(Sun) 22時半頃
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[ベッドに座ることを遠慮したフィリップの両手が、ベッドの上に乗る。 瞳を覗き込まれて、私は今考えたばかりのことを、撤回した。 自分の表情がわかりにくくて、良かったと思う。 私は、もっと一貫した考え方をする生き物だと思っていたのに。 さっきから、私の心は揺れてばかりだ]
フィリップに、触れられるのは……嫌い、じゃないわ。
[フィリップが、自分のことを卑怯と考えているなんて思わずに。 私は、曖昧な返事をする。 だって、言えやしない。 私にない色を持つその手に、触れられたい……なんて。 そんなこと、言えるわけがなかった]
(99) 2015/07/12(Sun) 23時頃
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……ありがとう。
[ノアの部屋に入り、タオルを素直に受け取るだろう。 この男は、自分のもうひとつの可能性なように思えた。 心が折れてしまった自分。 ヒトとしての倫理観を捨てなかった自分]
兄も試作薬を渡したときは喜んでいたわ。最初はね。
[ベッドの端にでも腰掛けて、昔を思い出すように言葉を紡いだ]
効果はあったの。間違いなく。 でも、副作用で日に日に弱っていったわ。
[タオルを握りしめて]
それでも、彼は薬を最期まで求めたの。
(100) 2015/07/12(Sun) 23時頃
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最期に希望を見させてあげたのよ、私は。
[ぽつり、と。自分に言い聞かせるように]
だから、私は間違っていなかった。 ……そうでしょう?
[そう思わないと。やっていられないではないか。 膝の上の薬瓶に、目線を落とした**]
(101) 2015/07/12(Sun) 23時頃
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医務室
[こっそりと医務室の中を覗く。どうやら女医はいないようだ。扉を開いて入り込む。そこにはクラリッサがいて>>93]
…よぉ、クラリッサじゃねーか。なンだよ。待ちぼうけか?
[声をかけつつもまっすぐに戸棚に向かう。傷薬や包帯を盗ったらすぐに戻るつもりだ。長居する理由はない]
(102) 2015/07/12(Sun) 23時頃
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