299 さよならバイバイ、じゃあ明日。
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→ 祝賀会過ぎて、夜の雨中 ─
[草屋で一度、身を赤く染めた鳥の羽毛をざんざかと叩きつけるような雨が洗い流していく。
植物に水は恵みの雨だろうか。
鳥には、植物の気持ちはわからない。]
(11) miseki 2019/10/18(Fri) 00時半頃
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[空の向こうに、父たる太陽は見えない。 曇天が空を覆いつくしていた。
先に強く落ちた稲光は、 輝きで世界を眩ませ、 瞬間、周囲を闇に浸した。]
…… 今日は、どうも。 出るには適さん夜だ。
[頭上を見上げても、陽光は見えない。]
(12) miseki 2019/10/18(Fri) 00時半頃
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→そして、翌朝─
[そのまま、一晩を鳥は草屋の近くで過ごし ──翌朝、雨が止んだ後。
鳥は、黒焦げになった兎が横たわっている場に行き会うことになった>>4:43>>4:44。]
葬儀屋も…… か?
[耳に挟んだ話に、ややも苦い声でつぶやいた。]
(13) miseki 2019/10/18(Fri) 00時半頃
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インティJrは、難しい顔をして黙り、
miseki 2019/10/18(Fri) 00時半頃
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そこの黒焦げは。……
[耳を齧られていることには何も言わない。 自分とて、草の竜を腹に収めている。ただ、誰なのかを確認するように鳥は目を眇めた。]
…… ソルか。
[ぽつ。と、名前を口にして、息を吐いた。]
(14) miseki 2019/10/18(Fri) 00時半頃
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……………
討たれたか。 ……そうか。
[事実を確認する。黒焦げの鎧に目を眇める。あれをはがさないと、中の肉にはありつけないなと、そんなことを思っていた頑強な鎧は、雷の前には無力だったようだった。]
…… あれほどの強者でも。 「死」には。敵わんのか。
[実感としてそれが沁みる。舞台の上で死に戦いを挑み続けていた大鷲は、街を見回る兎の技量を、また『守る』ために「死」が蔓延する街を歩く姿を、──強い意思からのことだと、そう認識していた。]
(15) miseki 2019/10/18(Fri) 00時半頃
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[対処ができることなら、大概のことはきっとこの兎は鎧で防ぎきり、相手を切り伏せることができたと、鳥は思う。たとえ自分のような肉食の者が相手であれど、あの頑強な鎧は貫けない。
けれど。それでも、]
…… そう、か。
[──負けるのか。と、思った言葉は、口からは零れなかったが、身の震えという形での衝撃は声にまで滲む。]
(16) miseki 2019/10/18(Fri) 00時半頃
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[鳥は、兎が己の死についてどのような感情を抱いていたのかを知らない。それを知っているとすれば、あるいはより彼の側で見ていたものだけだったろう。 そして、そういったものの姿は、この場には現れなかった。少なくとも、例えば良かったと声をかける狐などは。]
…………我らは、連れていかれて どこに、行くのだろうな。
それがわかるなら。 聞いてみたいものだった。
[その問いは、葬儀屋に。或いは、誰より「死」と戦う職務を遂行していると見えたこの兎に聞きたいことだったけれど。もはやそれに答える魂はここに無い。]
(17) miseki 2019/10/18(Fri) 00時半頃
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インティJrは、細く息を吸い
miseki 2019/10/18(Fri) 00時半頃
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[ ── 怖い、と思った。 ]
(18) miseki 2019/10/18(Fri) 00時半頃
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[これまでで、これまで接してきた死の中で。
ソルフリッツイの迎えたこれが、最も。
大鷲にとっては、
恐ろしいと感じる「死」だった。]
(19) miseki 2019/10/18(Fri) 00時半頃
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[これだけの強者でも、敵わないのかと。 無慈悲に死ぬしかないのかと。
生前の姿を知ればこそ、 ソレを経て変わり果てた姿が
本当に、恐ろしかった。]
(20) miseki 2019/10/18(Fri) 00時半頃
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[死体の前に、触れるでもなくしゃがみこみ、膝をつきその躯を見下ろす。]
…フーッ、…… フーッ…
[息は荒く、身体は緊張を孕んで、 瞳孔が大きく開く。]
(21) miseki 2019/10/18(Fri) 00時半頃
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[こんなものは。こんなふうに 空から突然降るものは、 なにせ、防ぎようがないように思われた。
覚悟の、しようすらない。]
(22) miseki 2019/10/18(Fri) 00時半頃
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[ああ。けれど。
準備なら、まだ。
まだ。
今なら、──出来る。と、思った。
選べると。]
(23) miseki 2019/10/18(Fri) 00時半頃
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[或いは、あの草屋のように。
或いは、あの祈祷師のようにも。]
(24) miseki 2019/10/18(Fri) 00時半頃
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[覚悟を持って、
「死」に対峙することを
自らの翼で、道を選ぶことが。
*今なら、まだ* と。]
(25) miseki 2019/10/18(Fri) 00時半頃
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……………───
[黙ってしまった鳥の周囲を、ちょこちょこぴょこぴょこと毛玉が飛び回る。
それに、思考に沈んだ、視野の狭い鳥はスグに言葉を発しないまま。じっと一点、兎を見下ろしていた。
そして、]
(28) miseki 2019/10/18(Fri) 01時頃
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…… ク ワ ーーーーーーーーー ッ !!!!!!!!
(29) miseki 2019/10/18(Fri) 01時頃
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インティJrは、突然空を見上げて、叫び声を上げた。
miseki 2019/10/18(Fri) 01時頃
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[ワーーーーーッ!!!]
[ワーーーッ……]
[ワー……]
(30) miseki 2019/10/18(Fri) 01時頃
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[鳥は、そのきぃいんっと響き渡る迷惑な猛る甲高い声がこだまし、その余韻が残る間、真上に嘴を向け白い喉と嘴の先で三角錐の流線型を描いていた。]
…………………… …………………
…………
… ふう
[その余韻が過ぎ去ってから、顔を正面に下す。硬直から抜け出した本当にはた迷惑な鳥は、一仕事終えたように息をついた。]
(31) miseki 2019/10/18(Fri) 01時頃
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ウム。
[硬直から(強引にそして周囲への迷惑を考えずに)ぬけた鳥は、満足そうにひとつ頷いた。]
いや、どこもいたくはない。 大丈夫だ。
[そうしてから、ギロに答えを返した>>27。 どうやら聞いてはいたらしい。]
むしろ元気なくらいであるな!
はっはっはっは
[鳥はそう言って、謎の高笑いをかました。実際肉を食い、戦勝の祈祷まで貰っている。充実している面が一方にあるのは事実でもある。]
(32) miseki 2019/10/18(Fri) 01時頃
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>>36
???? なんだ? 誰か通りかかったのか?
[突然割り込みにやってきて雄たけびを上げて、周囲にダメージを喰らわせた鳥は、はた迷惑なヤツが自分のことだとまったく認識できていない顔で首を傾げた。]
……う 、むッ 我は常に背筋を伸ばし 光り輝く生気に満ち満ちた太陽の子よ!!
[頷きかけた鳥は、途中で胸を反らした。元気がなかったという事実をなかったことにしたいようだった。]
生命力の申し子! 天に轟く雄々しき勇士! それが我、……ウオッ
またもカラフル攻撃か?!
[途中、吐き出された粘液にピョンッと後ろに鳶退った。]
(37) miseki 2019/10/19(Sat) 14時半頃
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インティJrは、やるのか? やるつもりなのか?? とファイティングポーズをとった。
miseki 2019/10/19(Sat) 14時半頃
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[大鷲はンゴティエクに両方の翼を手前に包み込むように構えたポーズをとり、]
と、しかし「死」以外を相手に 戦っている余裕はないな。
[わりとすぐにポーズを解除した。]
───、葬儀屋がおらんのでは それぞれ運ぶのも一苦労であろうよ。
野晒しというわけにもいくまい。
助手。……どうする?
[鳥は「葬儀屋」に尋ねるようにギロに遺体をどうするかを聞いた。 兎の装備は重たいが、もっていくくらいのことはできるだろう。街のどこかに兎の墓を作ることも。その手伝いをすることも。]
(38) miseki 2019/10/19(Sat) 14時半頃
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[とりあえず、それぞれの身体の居所が決まるなら、大鷲は兎の墓の目印には剣を提案する。]
…… ……カラフルは固まると、 好事家が喜ぶのだったか…… [価値を知ってしまった鳥は、狐に諭されはしても完全に納得しきっていないか、少し複雑そうな顔をした後、回収していくか? と軟体動物へ選択を投げた。 そうして、それから。]
助手は、この後、どうする気だ。
[と、ふいに大鷲は広い範囲の意味にとれる問いをギロに投げた*]
(39) miseki 2019/10/19(Sat) 14時半頃
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[鳥は相変わらず、軟体動物の心情を察しない。 なんとなく見られているのに「?」という顔で見かえすだけだった。余計にンゴティエクの方が疲れるだけの可能性が高そうだった。]
そうか? そうだな。
[>>40 やる気はない。と主張されれば、スッと矛を収める。]
ゴティエはイマイチ食う気がな……
[狩ったら食べねばならない。そういう決まり事でもあるようであった。マズそうな見た目は危機回避に一役はかっている。]
(49) miseki 2019/10/20(Sun) 00時半頃
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[名前があげていかれるのに、少し目が細められる。コーラの扱いについては、ウム。と同意に頷きを返した。]
我も、草屋の主人は、 あのままでも良いかと思う。
…… ゆっくり、草に成っていくのであろう。 それも草屋らしいと思う。
[そう言って、鳥は草に覆われた小屋の方を眺めた。]
(50) miseki 2019/10/20(Sun) 00時半頃
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…… そうか……
[粘液の回収については、吐き出した当人はあっさりとしたもので、それがまたなんとはなしにプライドをやや刺激した。]
…… ……乾くまで残っていたら、 粉屋にでも届けておくか。
[そこにあの飛び跳ねる透ける主人はいないだろうが。もしか誰かが引き継ぐのなら、商品として欲しがるものもあるのかもしれない。──いつか。]
(51) miseki 2019/10/20(Sun) 00時半頃
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[少し、遠くに思いをはせてから、ひとまず兎の身体を回収することにする。 そうしてから、ふと自分に投げられた問いに、ム。と軟体動物を見下ろした>>42。]
────、
[鳥は少し黙ってから、ゆっくりと、高い高い空を見上げる。]
そうだな。
……ここ最近の皆の葬儀がすんだら。
「死」のヤツを、今度こそ 迎えに行ってみようと思っている。
[高い高い空の向こうの太陽の方を見たまま、大鷲はそう答えた*。]
(52) miseki 2019/10/20(Sun) 00時半頃
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*
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(83) miseki 2019/10/20(Sun) 21時頃
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─ 皆の葬儀がすんだあとの晴れた日 ─
[ ボーッ ]
[ ボーッ ]
(84) miseki 2019/10/20(Sun) 21時頃
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─ 粉屋 ─
[心臓に日輪を背負っていた竜を抱く鉄の列車が流している汽笛の音は、高く高く空に昇っていく。
その音が聞こえるくらいの静けさの中、 粉屋を訪れた大鷲は、たっぷりの湖の水が入ったボウルのようなものを、店にある机の上のひとつにおいた。]
これで、よし……と
[はられた透き通った水の底には、弾けた粉屋の主人のかけらが沈んでいる。 そこに置いた振動で、カケラたちは少し揺れた。]
(85) miseki 2019/10/20(Sun) 21時頃
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