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[ラルフの言葉の意味はきっと、彼に触れていたなら分かっていただろう。
けれどラルフと肌を触れ合わせたことのない私は、よもや彼が“ショクと人間のハーフ”であるなんて思いもよらない。
そもそもショクが、人間との間に子をもうけることができるなんて、そんなことすら思い至らない。
『悪い生き物だとは、……限らないんだよ……』
真相は分からないにしてもその言葉を聞いて、「ラルフはブローリンがショクだと知っていたのかな」と、思った。
けれどそんな言葉も、発想も。
気付いてしまった恐怖の渦に飲み込まれて、わたしはしゃがみこむしかなかった
[
縮んだ身体を包み込んでくれる。
冷えた硬い毛布はやがて体温であたたまった。
その上から大きな手で、ロダートが背を撫でたり叩いたりしてくれる。
郵便屋さんの手だ。
色んな人に、色んな思いの詰まった手紙を届ける手。
背中から染み入るように、ロダートの父性を感じる。
得たことのない父性。
わたしにとって父とは母を殴るもので、そしてわたしを――……]
[触れるロダートはこんなにも優しいのに、彼の手が背を行ったり来たりするたびに吐き気は増していった。
必死に反芻する。
彼は父親じゃない。
彼はお客さんじゃない。
ロダートと初めて会った、あの公園での和やかな思い出を手繰り寄せる]
……ありがと、ロダート。
ごめんね
……触らないで、くれるかなぁ。
[胃液を吐き出さぬよう、口を小さくすぼめるように開いて、それだけ告げた。
優しい彼のことだから、きっと言葉に従って手は離れただろう。
それを哀しく思う資格なんて本当、わたしにはない
こちらから離れたロダートが何をしているのかまでは、わたしには気が回らない
[
だって、僕は、"あちら側"だから。
……けど、おじさんが傍にいてくれるから
そっか。 おじさんを"食べた"のは、ニコラスなんだ。
……少しは、マシになったのかな……。
[おじさんの物言いから、何があったかはわからないけど、彼の正体がバレてるのを察した。
食べることが出来たなら、きっと今は多少楽になってるんだろうと思うと、少しだけ安心した。
……折角教えて貰ったのに、ちゃんと名前を呼べてない。
場違いな勿体なさを感じながら、僕は天井を仰ぐ。
……ニコラスも、すごく苦しんでいた。
食べたり話したり出来るんなら、僕とはまた違う筈だけど、
自分を"ああいう風"に表現するわけも、結局知れていない。
なのに僕の無茶な提案を聞いて、窘めてくれていたんだ。……もっとちゃんと話せばよかった。]
[ついで聞こえたのは、かつての聞き慣れた声。
小さな窓の向こう側の世界に、幾人かの気配がする。
聞こえた言の葉に、]
………。
[小さく、膝の上で拳を握りしめた。]
メモを貼った。
メモを貼った。
【人】 愛人 スージー
(44) 2016/10/12(Wed) 23時半頃 |
[驚いていられない。
ブルーノの冷静な態度に、小窓から彼へと視線をやったなら、微かに小首を傾ける。
やがて、窓の向こうで聞こえる会話からも知れることだろう。
だから、]
私がショクだと知っても、ですか?
[緩慢な動きで立ち上がり、丸まった背筋を伸ばす。]
【人】 採集人 ブローリン[交わされる女性二人の会話を、眼前に。 (46) 2016/10/12(Wed) 23時半頃 |
【人】 採集人 ブローリン[小さく零した独り言は、声なき聲だ。 (47) 2016/10/13(Thu) 00時頃 |
……
[薄暗闇に漏れる光の中、影が動き、その背が伸びるのが見えた。
そして、止めた足を再び、一歩、一歩と進め、
やがて、彼の顔がはっきりと見える距離で立ち止まり、
彼の瞳を見る。]
………
そうか。
[彼の言葉の返事として、紡ぐのは先程と同じ言葉。
そして、聞いた。]
何故、私を喰わなかった?
【人】 愛人 スージー
(49) 2016/10/13(Thu) 00時頃 |
【人】 流浪者 ペラジー[銃声は3発。 (50) 2016/10/13(Thu) 00時頃 |
【人】 流浪者 ペラジー スージー。 (51) 2016/10/13(Thu) 00時頃 |
[一歩一歩と、歩み寄るブローリンの姿を横目に眺めてやる。視線は外さずに、彼を見据えたまま。
やがて、はっきりと見える面立ち、その力強い瞳の中には小さな自身が映っていたことだろう。
薄金の瞳は変わらず、淡く色を放つ。
そして、ふ、と一瞬だけ翳りを見せた。]
……私たちは人の記憶を糧として生きている。
そんな私達にも、記憶を司る器官はある。
人は、味を選んで食事をする。
私達の中にも、同じように嗜好を持って食事をするものも居るかもしれません。
だが、私は――、人によって育てられた。
.
【人】 愛人 スージー[触れられた手は温かくて>>50。 (53) 2016/10/13(Thu) 00時頃 |
私は、育ててもらった人間の記憶を食べ続けて、
今まで生きてきたんですよ。
.
【人】 採集人 ブローリン
(54) 2016/10/13(Thu) 00時頃 |
【人】 採集人 ブローリン
(55) 2016/10/13(Thu) 00時半頃 |
[告げる声は、静かに。]
――きっと私から貴方が望む理由は、差し上げられません。
[言葉を締めくくった。**]
【人】 採集人 ブローリン
(57) 2016/10/13(Thu) 00時半頃 |
…………う、
[どうしてこんなに、"ショク"と"ヒト"の間に走る亀裂が恐ろしいんだろう。
出所不明の感情に連鎖して、頭の中のごみ山が雪崩れていくみたいだ。
どうして僕は、あの二人を庇おうと思ったんだっけ。
半分だけではあったけど、"仲間"を助けたかったから。
……だけど、それだけじゃなかったはずだ。
『■■■■■■■■■■■■■、■■■■■■■
■■■■■■■■■■。
"■■■"■■■■■■■■■■■■、■■■■■■。』
……今となっては、穿たれた闇でわからない中身。
それは容赦なく僕の片脚をぐらぐらと揺らした。
立ち続ける為の何かがあったはずなのに、そこにはもう、何も、ない。]
[僕はどうしてこの街に居るんだっけ。
僕は、僕は、――――どうして、生きているんだっけ。
このがらんどうなごみ山の隅で、
泥水を飲んでまで生き延びた理由は、何だ―――― ]
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