194 花籠遊里
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[人好きする柔らかな気配は常と変わらず、二日続けて花を購った蝶には到底見えぬ彼。>>21 顔を合わせたのは決して久方ぶりではないが、彼は喜色を隠さない。]
普段は出来ない悪戯事を? お前さんに才能があった、それだけだろう。 俺は存外、目利きが上手いんだぜ。
[傲岸な自信家の物言い吐き出し、喉を揺らして見せた。 彼の知らない遊び方、人の心の暴き方、舌の上で転がし、彼の傍に翅を休め。
彼が毒を恐れぬのは無知故でないと知っている。 毒を孕んだ蝶に、同じ毒は効かぬだけ。]
それも余興の一つよな、―――なぁ、美しき人?
(24) 2014/09/19(Fri) 22時半頃
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花街遊楽覚えても、性根が捻れちまうだけだが、 お前さんは火遊び程度で満足しない性分。そうだろう?
[彼の喜悦は難解なれど、上流階級らしい育ちの良さを無下にする男でなし。>>27 彼は自身をこの花籠より浮いた存在だと判じているようだが、中々どうして、欲深さたるや一目を置かざるを得ない。
今もこうして誘い文句を遊ばせる彼に、喉の上下が収まらず。 霧雨に冷えた指先を彼に向かい伸ばした。]
夜の深さを、人の挫き方を? 止せ止せ、月のない夜に刺されちまうぜ。
[口では咎める素振りを見せながら、指先を彼の耳横について、廊下の壁へと彼を追い立てる。 静かなる軟禁は、花にする暴力的なそれでなく。 されど、対等であるはずの彼へ教える上下間。
視座の変わらぬ眼差し触れ合わせ、首を僅か傾ける。]
―――…それとも、心の遊ばせ方を? 情熱を知らず、毒に過敏なる籠の鳥よ。
(31) 2014/09/19(Fri) 23時半頃
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[足を踏み入れた花籠で知る本質。 求める前に与えられてきた傲慢さは己とは異なるが、 やはり、彼は親の世代の後に生まれた青い血の貴人。]
――…知っている、それがお前さんの在りようよな。
[蝶らしいと言えばそれまでだが、彼から覚える異質は、鱗粉撒いて拡げる翅だけに在らず。 ほんの少し上体を傾け、彼に迫る顔貌と落ちる影。>>36]
お前さんが知らぬものを余所に求めるとは結構。 しかし、奥ってぇのは――…、
[空の右手がスラと昇り、正装の上に至る掌。 大きく武骨な五指は彼の心臓を捉えて、淡く圧し。]
この奥のことだろう。
[人を暴きたがる彼に向ける言葉は訳知り顔。 撓る唇は弓形を描き、小さく喉を震わせた。]
(43) 2014/09/20(Sat) 00時頃
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―回想・地下―
[藤の花には「お前はお前自身の言葉を持っていない」と言った。
昨日の彼の言葉は果たして彼の言葉だろうか。そんな訳がない。
しかし、盲信するのは簡単だ。
何故と問いかける隙も無視して、向かうのは扉のまた向こう。*]
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開いたことも、抉じ開けられたこともねぇんだろう。 ―――…識っているぜ、ニコラス坊や。
[着衣の上からそろりと撫で上げる心臓の上。 彼の空いた胸を確かめながら、男の指が染みていく。>>51
彼の微笑みも甘言も、本質的なものだとしても、己の鼓膜には留まらず、流れていく。本当の鳴声は、きっと、この奥に在るのだ。
揺らめく夜蛾は鳥篭の傍を飛び、胸を淡く弾いて茶化す。 言葉で刺した直後の刺激は、更に微笑へ変質を促して。]
(57) 2014/09/20(Sat) 01時半頃
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[彼の手首を不意に捕らえ、エスコートなど知らぬように強く引いた。踏鞴さえ踏ませて傍に侍らせる。彼の長躯は己の傍らに映えて、有無を言わせない。 掴んだ五指は、初めて彼に掛けられた束縛と代わり、顔を起こして小姓を呼ぶ。]
――…手隙の花を一輪つれてきな。 誰でも良いとは言わねぇが、花主に告げりゃ見繕うだろう。
[采配を花主に任せ、白羽が立つのは蝶と同じ響きを持つ彼だろうか。覗かせる悪趣味の深淵は今宵も深く、傍らの蝶の否は聞かずに足を踏み出す。
慌てるように小姓が目的を問えば、野暮天と詰りつつも、 白い歯を覗かせ、うっそりと笑みを刻んだ。]
―――ああ? 決まってるだろう、 可愛いニコラス坊やの躾に使うのさ。
[子供を躾ける折檻を思わせる声。 また、美しい彼が知らぬ世界を、夜蛾の閃きが開け放つ。**]
(58) 2014/09/20(Sat) 01時半頃
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[空を翳らす曇天と、しくしく撒かれる霧雨。 残暑の名残すら奪い、人肌より体温を奪う。
足りないのは享楽か、愉悦か。 更に深き人の業か。
不遜な男は翅を閃かせ、金糸雀を鳥篭から花籠へ移す。 花鳥風月とはよく言ったもの。
鳥の飼い方、花の咲き方、蝶の遊び方。 今宵の地下はよくよく冷えていた。
散ってしまった花の熱を惜しむように。]
(66) 2014/09/20(Sat) 12時頃
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― 地下牢 ―
[日を重ねるごとに花も蝶も減る。 元々蝶は素性が知れず、何処に飛び去っても不思議ではない。 元々花は保障がされず、何時枯れても不思議ではない。 だから、不在はさりとて気にせず、今宵を彩る花を待つ。
どうせ、花樹は何処にもいけやしないのだから。
格子の中に収まる木製の牀榻、跪台が傍ら。 呼んだ花は今頃、白装に身を包んでいる頃だろうか。
己は早速、ニコラスの肩を抱き寄せ、香を確かめてから、腕を解いて、牀榻へ先んじた。されど、彼には布団の上を許さず、自身の眼前に起立を命じる。]
――…さて、今宵の遊びはまた一興よ。
(67) 2014/09/20(Sat) 12時半頃
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お前さんは――…、そうさな。売られてきたばかりの花よ。 可愛そうに、あくどい客に購われた。
[先ず男が成したのは彼の立場の剥奪。 上に立つものとして育てられてきた彼から奪う翅。
自身の顎鬚をざらりと撫でて鑑賞の眼差しを注いだ。]
全て脱ぎな。ニコラス。
[彼に強いるストリップは、端的。 全ての花に与えられる白装束すら、与えられぬ彼は未熟な蕾。 そんな、在りもしない幻想を拡げ、彼を惑わしていく。 淫靡で倒錯的な茶番だ、男の遊戯は今宵も行儀が悪い。
彼の羞恥を騒がせ、一糸纏わぬ裸身に変われと囃して。 悪趣味に巻き込まれる一輪は、宛ら彼の監督役と云った所。
―――堕ちた蝶の先行きを、花に見せるようにして。]
(68) 2014/09/20(Sat) 12時半頃
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ーとある日ー
[今日は十五夜と禿の子が告げる。はしゃぐ子を先達は叱りとばすも楽しみなのは皆一緒らしい
琴は爪弾かねど酷使で小指の爪先が欠けた手を眺めながら溜息ひとつ。紫も見なよと誘われるも辞して障子を閉めればぎゅっと部屋の隅で丸まった
満月は全てを見通すかのようで、怖いとばかりに
そういえば此方に来てから髪の飾り紐の色の名で呼ばれることが増えた。大抵は紫だが偶に藤と呼ばれることもある。その際胸によぎった痛みは無視して淡く微笑み浮かべるのだ
胸に痛みがよぎる度に思い出すのは花々
枯れぬ櫻、霧雨濡れる淡藤、灼熱の柘榴、そして――]
……
[心の虚には見ないふりをして
そっと 夢の中へと旅立った]
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[一度目は抱く側として、二度目は抱かれる側として。 そうして、三度目の今宵は虐げられるものとして。
彼が階段を下る度、花籠より立つ香は真実へと誘った。 淫欲を抱える冷たい地下牢には、数多の情と蜜が隠れている。無論、彼の熱情と秘密とて。>>69
己の与太に乗る彼に、喉を揺らして、幕の上がる音を聞く。 地位を失い転落した蝶など、花街でも珍しくは無い。 毛色の違う色を好むものは少なくなく、それ以上に蝶を強いる行為は雄の征服欲を刺激する。彼が本当に蝶が堕ちてしまえば、悦んで群がる男など幾らでも居るのだ。
色街の摂理に刹那、気をやるも、哀れな蝶の末路を更に語る。]
―――…お前さんには花より仕込が施された。 だが、蝶が留まるは初めてのこと。
淫欲に濡れて過ごした過日は習いであったのさ。 夜蛾の前に屈する為の、な。
[彼の記憶と現状を混ぜ込んで唆していく低音。 櫻の梢に注いだ一昨夜も、沈丁花の種を孕んだ昨夜も、全ては客に奉仕する為の手順であったと、毒を垂らしこんだ。]
(74) 2014/09/20(Sat) 16時頃
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[即ち、白皙は何も知らぬ身体では無い。 男の欲求を満たす事を教えられた肉体だ。>>70 色を惹いて脱衣に至る所作さえ、この先の情事を自覚させる。]
流石に卸したては綺麗なもんだな。 ―――上席の花共は優しく教えてくれたかい?
[均整の取れた肢体はすらりと伸びて、絵画の中に住む麗人そのもの。牀榻に腰を落ち着けたままの男は、戯れに指先を起こし、鳩尾から腹の脇までを撫でてみせた。
指先に吸い付く質感はやはり、金の掛けられた造形。 美しい身体には、社交界で乙女たちが一曲強請らざるを得ない柔和な面差しが付いている。 だが、男は眼圧は鋭く掛け、色も淡い乳嘴を視線で舐めた。 本来ならば、伴侶となる娘にも受けない辱め。
されど、今の彼は堕ちた蝶。 未熟で硬い花蕾、甘い閨房しか知らぬ彼の初見世であった。]
(75) 2014/09/20(Sat) 16時頃
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俺を退屈させるなよ、ニコラス。 次は下だ。
―――なぁに、一輪呼んである。 そう、不安を覚えずとも構わねぇよ。
[気遣う振りして、全く彼を労う声ではなかった。 暗に客観に晒し、視姦を愉しむ薄暗い笑い。
彼の貴人としての矜持をゆっくりと詰ったのだった。*]
(76) 2014/09/20(Sat) 16時頃
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[今宵の享楽はまたしても夜蛾が如いた姦計。 彼を悪辣などと詰る癖、決して褒められぬ毎夜の事。
ニコラスを花に見立てて、君臨者を気取っていた毒虫は、紅華の来訪に視線を上げた。>>78]
―――よう、丁助。 相変わらずの面構えだな、もうちと媚を知らねぇかい。
[相も変わらず口の悪い男は今宵もまた変わらず。 視線で彼に示すは、毒牙に掛かる蝶の健気。
昨夜彼が慰めた蝶の末路。]
(81) 2014/09/20(Sat) 18時頃
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初心なもんだな、さぞ、甘やかされたんだろう。 この廓の花々は籠の内に温いとは知っているが。
[半分は芝居だが、半分は男の本音で。 まだ日の浅い彼に強制する花など、玄人意識に関わる。 無理を強いる悪辣な毒は、精々夜蛾ばかりだ。>>79
彼が決意したように下衣まで剥いてしまえば、明るみの中に裸身が露わ。細いが華奢ではない男の腰つきに、性器の色合いまで、じとりと鑑賞し、指が足の付け根まで降りていく。]
……まぁ、最初にしては上出来よ。 こんな所で無様を晒せば、紅華の不興を買うぜ。
[実際、花から見ればどちらも蝶。 そんな無体は与えぬだろうが、この場の支配者を教えるための語であった。悪趣味は今宵も牢で火を入れる。]
(82) 2014/09/20(Sat) 18時頃
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[戯れの指先で未だ角度を知らぬ彼の屹立を軽く弾き、無体に扱いながら、迷い子の瞳に視線を重ね合わせ。]
まさか、それだけで満足を買えるとは思っちゃいねぇな? 初見世で下手踏むようじゃあ、値が下がるぜ。 場末で厠代わりは嫌だろうに。
―――…俺の膝に手を付いて尻を丁助に向けな。 お膳立てくらい、幾ら寝んねでも出来るだろう。
[傲慢に申し付ける声が、ニコラスへ更なる恥辱を与えた。
彼の唇に促すのは甘い口付けではない、己の下肢で息衝く熱杭への奉仕だ。 指先で軽く自身の前立てを暴くと、熱を僅かに兆す陽物が姿を見せた。これが今宵、彼の身体に収まる兇熱だ。]
(83) 2014/09/20(Sat) 18時頃
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[今宵の興を示す一連見せつけた後。 ツイと、丁助に視線を向けて、一瞬笑気を視線に走らせ、淡い息を漏らした。]
……そんな訳で今宵のニコラスは俺の花よ。 そのようにお前さんも扱いな。
[淡紅華に告げる約束事。 卸したばかりの花だと金華を評し、言葉も態度もそれに準じさせようか。 頬を染め、儚く震えるニコラスの佇まいは、確かに生娘然。 自由を知らぬ花として咲く彼を呼んだのも皮肉のうち、世話役与えるのは興のうち。]
―――用意してやんな。 たっぷり解してやらねぇと、瑕が付くぜ。
[華を扱う男は、彼らの矜持も人権も無視をする。 犯すための剛直を育てさせ、犯されるための孔を開けと言う。
彼らの身を使い、蝶に悦を捧げよ。と宣った。*]
(84) 2014/09/20(Sat) 18時半頃
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[穏やかな笑みは常変わらず。>>88 上滑りする謝罪を聞き流し、小さく鼻を鳴らす。
相変わらず彼は紗の向こう、何処か遠く思うのは、互いの距離感がそうさせるのか。内と外の違いか。 されども、本日彼は買われた身。 否を言わせぬ廓の掟が、彼の身体に絡んでいく。]
そいつを連日男に買われるお前さんが云うとは皮肉だな。 それとも、自分だけは違うとでも云いたいのかね。
―――自分だけは、まともだと? 良い身分じゃねぇか、丁助。
[嗤う眸が金の向こうに朱を透かし。 それでも、優しくてやれよ。と嘯いた。>>89
優しさなど、誰も彼も、求めて居ないと知りながら。]
(90) 2014/09/20(Sat) 19時半頃
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[全裸を衆目に晒され、同性に性交を強いられる。
彼の人生には縁のなかった経験だろう。 色付く肌理は瞳を愉しませ、薄ら滲む熱に飢えを覚えた。>>91
彼は屈する事を知らず、伸びやかに育った籠の鳥。 大事に育てられた彼が、今宵花籠で毒蟲に穢されているとは三者ばかりの秘密。
――――地下牢でまた秘密が生まれた。]
(94) 2014/09/20(Sat) 20時半頃
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[彼の眼差しから淫蕩な期待を見つけ、笑みを噛む。>>92 従属の性を示す彼の本質、花籠へと彼の足を進めさせた本能。
紅い花は金の蝶にも無体は強いまい。 どうせ、どろりと甘く溶かすだけ。 痺れるように甘く、多大な優しさで、片棒を担ぐだけ。
躯を開く準備は贄の心地を彼に与え、陰茎の先で唇を拭い。 薄い唇を詰る亀頭の丸みは薄く開いた口唇を進み、唇の裏側より唾液を攫って舐めていく。
口腔の柔い粘膜を歪め、舌腹の感触に腰を揺らせば、微かに淫液が染み出し彼の舌に染みた。青い香りが鼻の奥に忍び寄る。]
―――…しかし、物慣れちゃねぇな。 この顔は嫌いじゃねぇがよ、刺激が足りねぇ。
[ぬぐ、と数度陰茎の裏筋を舌腹に擦りつけ、煌く金糸を愛でながらつける文句。不満と言うより、更なる悦楽を求める言。 有言実行とばかりに徐に右手を伸ばし、彼の長い前髪を掴んで秀でた額を晒させた。形の良い頭部に金の髪を押し付け、稚戯を詰って漏らすは身勝手。 巧偽拙誠とはよく言ったものだが、熱が腰辺りを周回するだけの感覚は温い。]
(95) 2014/09/20(Sat) 20時半頃
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[彼の二の腕をゆるく引き、細い肢体を膝立ちに変えさせる。 その反動へ、背後を弄る丁助の指が僅かに追従し、優しい愛撫に大きな攪拌を添えた。]
まぁ、花には購う感覚なんぞ分からりゃしねぇだろうな。 ―――…良いもんだぜ、此処は行儀の良い客が多いがよ。 ちと格を下げた廓では相応よ、丁助。
[悪辣なる語は下卑ていた。>>93 今宵は、彼に熱を上げる女衒を見ていないが、こんな悪趣味に茶々を入れてこない辺り、来館していないのだろう。
何処へ行ったかなど、知りもしない。
彼が金華を綻ばせる最中、己は楔を口内より引きずり出した。まるで拙さを叱るようで居て、瞳には新しい悪戯の灯が灯る。 おもむろに腰の位置を変えると、ニコラスの胸を飾る紅い珊瑚玉へと濡れた先端を押し当てた。 ジワ、と鈴口の窪みに生まれる先走りが、左胸を下っていく。 腰を浅く突き出すと、乳嘴と屹立の合間で銀糸が引いて細く繋がった。
ニコラスが身を震わせる程に、熱い剛直は胸を掠めて弄び。胸に雄を擦り付けられ、濡れていく感覚。
蛹を破り、大輪へと変わっていく偽りの蝶を眺めていた。*]
(96) 2014/09/20(Sat) 20時半頃
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[羽化の様を背徳的な心地で見つめていた。>>100
天真爛漫な彼が穢れ、自ら堕ちていく。 堕落の味は喉を滑り落ち、彼の体内から変質を促す。
煩悶の表情を眺め、頭を撫でるように金糸を梳いた。 まるで幼い彼を褒めるよう、深淵へ進む背中を押すように。
前後の孔を刺激され、蕩けだす肢体。 じわりじわりと熱が上がり行くのが知れて、己も熱の孕む呼気を吐き出した。]
―――…悦い顔になってきやがって。 好色は美徳だぜ……、ほら。
これも好きだろうよ、自分で塗りこめてみな。
[己の先端を宛がい、甘い窪みで尖った茱萸を潰す。 その度に彼の胸から卑猥な水音が零れ、胸板のラインを辿り、肌を穢した。 滑る切っ先を数度アクセントをつけて押し潰せば、亀頭の丸みが幾度か尖りを弾いた。徐々に肥えゆく熱源は如実で、彼の目前で雄が育つ。 彼の色が、己の欲に、火を燈してゆく。]
(102) 2014/09/20(Sat) 22時頃
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[とろとろと滴る淫液に塗れた彼の左胸。>>101 熱い体液は左胸ばかりを愛して苛めてみせる。 唆されて彼が自ら胸を慰め始めると、その指の爪先にも先走りを塗りつける算段。]
―――…啼けよ、ニコラス。 堪らねぇだろう、狂おしいだろう。 女のように善がってみせろや、お前さんは買われた花よ。
花に、自由など、何一つねぇ。
[不意に彼の肩を掴むと、そのまま彼の胸を引き寄せ、抉るように尖りを圧しようか。 小孔が開く感触すら、過敏な末端に送り込み、見下ろす男の悦は深い。*]
(103) 2014/09/20(Sat) 22時頃
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―――…誰も彼も、遠ざけて。 お前さんは本当に悪質にて寂しい花よな。
[ふと漏らした言葉は、常に偽りを貼り付ける彼に向けて。 誰に買われる姿を見送ろうと、彼の表情はいつも変わりない。 常に淡く笑んだ顔は、己より、花主より、ずっと胡散臭い。
心を明かさぬ、花としての彼。>>104 きっと、散り際さえも、差して変わらぬ。>>105
憐れむのではなく、真実を語るように開いた唇は、一度閉じ。 されど、僅かに揺れた表情筋に、微かに視線を揺らした。]
……本当に、色気の足りないことだ。
(108) 2014/09/20(Sat) 23時頃
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[爪に鑢まで掛けられ生きる貴人の痴態。 自慰を促すのは雄の性器ではなく、本来不要な肉粒へ。 芯を育て、彼の新たな性器と変える。 火照りを集めた肌と、卑猥な光景。 彼の身体を探る水音は反響し、鼓膜に愉悦を拡散。>>106]
分かるかい、お前さん胸を弄られて女子のようよ。 これだけ、はしたない花も中々いねぇなぁ。
[淫乱を言葉で責め、熱源が脈を打って彼の胸に鼓動を伝播。 血液と熱の集まった男根は、血管を棹に浮き立たせ、色立つ彼の香を聞く。花が開くに似た夢幻の香を。]
………っ、
[小さく奥歯を噛み締めれば、熱塊がぶるりと大きく震え、乱れる彼に一等の熱を与えた。ぴしゃりと肌を打ち、弾ける飛沫が迸って彼の掌ごと精子で穢す。白濁の体液が胸を弄る所作に紛れ、淫液よりも重く滴り落ちていく。
男の精を塗りこめ、乱れていく彼は最早蝶ではない。 ―――もっと、別の。
名前に恥じぬ美しい人だった。>>107]
(109) 2014/09/20(Sat) 23時半頃
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……丁助、控えな。 頃合だ、良き按配に致したかね?
[金華を開く指先を言葉で払うも、退席は許さず目視の続行を命じる。徒花の手により開いた細い内壁は、奪わせる境界と傷つけぬ最低限に留められているだろう。売花の儀礼めいて。 彼も決して初心な花ではない。媚が足りぬと苦言ばかりを呈しているが、彼の売れ行きを知らぬ訳でもない。―――ただ少し、花として在り過ぎるだけ。
丁助の愛撫が退いた後、己の両手をニコラスの尻に伸ばした。小作りな臀部を左右に開きつつ、膝の上へと召喚。 抱擁する振りで、ニコラスの頬に接吻を一つ与えて飴代わり。
割った尻は慎ましい窄まりを花の視界に晒し、逞しい剛直がネチ、と触れる。熱い猛りは優しさでも、柔らかさでも、甘さでもない。 彼の身に、盛ると言う、それだけの欲望。恣に振舞う男が息を一つ漏らした。]
力を抜いていろよ、丁助に見せてやらねぇとな。 今日も、昨日も、別の男に抱かれていると。
―――所詮、花は枯れて散るまで、蝶の餌。
[垂らしこむ毒と共に、ニコラスの細腰を引き摺り下ろす。 猛々しい熱杭が、狭隘な肉筒を衝撃伴い、貫いた。*]
(111) 2014/09/20(Sat) 23時半頃
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[噤んだ唇は、封の代わりか。それとも失語か。>>112 隠蔽する心の在り処も知らず、花籠の底で朽ちても茶飯事。 ほんの少しだけ、淡焔の髪色がくすむのは惜しいと噛んだ。
現に彼はここ数日で、ゆらと能面に波を立たせるようになった。 そんなもの、唯の気のせいと一蹴してしまえる程度の変化だが、まるで彼の笑顔が、彼自身を庇っているようにも見えた。]
―――…来な、丁助。 お前さんは可愛げねぇな、悪辣よな。
何もかも、諦めたってぇなら、そんな顔して護るなよ。
[また、彼に言の刃を放ち、細い呼気を漏らした。>>114]
(121) 2014/09/21(Sun) 01時頃
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[悦は神経内を巡り駆け抜けて、彼を再構築する。>>113 理性と言う名の隔壁を破り、常識と言う名の偏見を捨てさせる。彼が得るべきは悦、花の快であり、人の性であった。
淫蕩を晒す彼は、何より喜悦に従順で、身体を支配する熱に熟む。弾む声は高く響き、彼を奏でて壊す男が嗤った。]
花籠には嘘ばかりが詰まっている。 暴くは蝶の性分よ、―――ッ、
[謳うよう奏でた誘惑。 されど、穿った途端、粘膜の収斂に絞られ、僅かに顎を引いた。待ち受けて歓迎する身体は絡みつくように甘く、熱い。
悲鳴は肉筒を拡張するよう陰茎を育て、みっしりと隙間なく埋め尽くす。根元まで咥えさせた身体は窄まりの皺をピンと張り詰めさせて、緊張を強いる。>>119
間を開けず、呼吸の暇さえ与えずに、喰い締めてくる肉輪を掻いて、再び突き刺す律動を開始。深々と貫くたびに、細い身体に収まる臓腑を突き上げた。 彼の腕を己の背に導き支えれば、身体を跳ね上げさせた。奔放な律動は放縦を与え、未熟な粘膜に雄を擦り付けて歪めていく。]
(122) 2014/09/21(Sun) 01時頃
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ーとある月夜の晩ー
[その日は久しぶりに客をとらずともよい晩だった
理由は簡単、駆け落ちした娼と客を探すのに廓総出での捕物となったからだった
障子をあけて久しく真夜中には見ていなかった月を見つめる
どこか霞がかった朧月、それを見るたび涙がこぼれそうになる
泣く資格すら、ないのに
年期がいつかあけたなら、彼に売られた際に捨てた名を
自分の本当の名を告げたかった。その名で呼んで欲しかった
彼と共にいられたならば、しあわせだったのだ
そんなことは土台無理な願いであるとは、分かっていてもそれに縋りたかったのだ]
……―――
[かつての友の名を、呼ぶ
願わくば手と手とりあった彼らが無事逃げ切れれば良いと願いながら、月を見つめて嘆くのだ]
|
[淡く吐き出す呼気は喉から溢れ、僅かに汗が浮く。 傍に呼んだ花へ片手を差し伸べつつ、数度虚空を掻いてから、紅華の手を取ろうか。]
見ていろよ、丁助。 ――― 眼を逸らすな、嘘吐きめ。
[眼前で殻を破り、新たに生まれ変わるニコラスを見せる。 今の金華には偽りなど欠片もなく、ただ、己の希求に甘んじ、身体を拓いていた。貪られるだけの哀れな存在、しかし、とても、うつくしい。
更に嬌声を聞かせるように、或いは単に蠢動に抗いきれず、麗人の奥まった場所を先端で抉った。白濁混じりの先走りが小さな泡を立てて内で次々弾けていく。
卑猥な水音は際限を知らず、彼の媚肉を酷使させ、視られる喜びを心身に覚えさせる。己の熱塊も、彼を陵辱したがる素直を露呈。 ニコラスの肩に回した腕で圧を掛け、跳ねる隙を狭めてストロークの短い一打を幾度も撃ち込んだ。
傍若無人なる男は一度全てを壊してゆく。 ひっきりなしに肌を穿つ生々しい音が牢を巡り、淫香が濃く煙る*]
(123) 2014/09/21(Sun) 01時頃
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