156 カイレミネ島の雪
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[誰か、私に、気づいて]
[誰か、私を、見つけて]
[誰か、私を、―――――――…]
―とある子供部屋―
[気付けば見覚えのある部屋にいた。
覚えているのは公園で、
遠く駆けていく眩しい背中を見送ったこと。
抱きしめられて、跳ねる鼓動を抑えて、
そっと抱きしめ返したこと。
…仄かに残る温もりが愛しくて。
私は歌を紡ぎながら、雪の小道を渡っていった。
其処から記憶はぼやけて、
それでも私は、この部屋を確かに知っている]
[暖炉の音がパチパチとなっていた。
整頓された戸棚の1段目には、ぬりえやパズルなど、一人で遊べるような玩具が並んでいる。2段目には、ぬいぐるみや人形がお行儀よく並んでいた。
小さな窓枠には、分厚いカーテンが揺れている。窓の外、小雪がちらついているのが、見える]
…此処は。
此処は、私の部屋だ。
[島へ引っ越してくる前、雪国に住んでいた頃の子供部屋]
[懐かしさを覚えて、見渡した。私は夢を見ているのだろうか。
ふと、戸棚の中に、当時と違うものを見つける]
………?
[ぬいぐるみの中、ひっそりと埋もれるようにして佇むのは、少し不格好な指人形。
…忘れる筈がない。少女の頃、誰かさんへ贈ったプレゼント。
手を伸ばして触れようとしたら、指人形は勢いよく飛び出して、ふわり、くるりと中空へ浮かんだ]
わっ。
[驚いて、きょとんとして見上げる]
[窓の外、静かに雪は、降り続けている]
…きみは。
[何故だろう。今の状況に、すとんと納得がいった]
君が、冬将軍、かい?
[指人形は答えない。代わりに、窓の外の雪が少し強降りになる]
―――――…おいで。
[静かに微笑むと、両腕を伸ばした。
そっと指人形を手で包み込み、暖炉の傍の椅子にこしかける]
ずっと、君に、逢いたかったんだ。
君を、見つけたかった。
…寂しかったのかな。
もう、大丈夫。私は、此処に、いるよ。
[指人形をそっと包んだまま、窓の外を眺める]
雪の華 舞い散る中
眠りなさい お眠りなさい
私はあなたの側にいる
何処へ行ったりもしないから
夢から覚めたら また笑顔でいられるように
眠りなさい お眠りなさい 今は
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