156 カイレミネ島の雪
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[──何故あたしが産まれたかの物語を綴りましょう]
[声なき聲で。言葉なきことばで]
[あたしは“仲間”たちとは異なる存在です]
[認識されず、聲は届かず、“仲間”の聲も聴こえない]
[けれどあたしには“仲間”の気配が分かるのです]
[誰かを眠りにいざなえば、その居場所が分かるのです]
[さみしいと叫ぶ魂の所在を知れるのに]
[あたしの存在には気付いてもらえない]
[そのもどかしさが分かるでしょうか]
[重なることのない永劫の孤独は彷徨って彷徨って]
[擦り切れながら、もがきながら、届かない“仲間”の影を追いかけて]
[この島へ来たのは先に“仲間”が居たからよ]
[さみしさに凍えてないているの、どこにも行かないでと震えているの]
[冬を呼んで。雪を降らせて。海を凍らせて]
[誰も離れていかないように、ならばいっそ眠ってしまえと]
[さみしいなら、ここへおいで]
[どうかあなたを想うあたしに気付いて]
[あたしは気付いてもらいたいのです]
[消せない疵は虚無のゆりかご]
[慟哭に吹雪く哀しみの果てに]
[あなたも雪解けのあたたかさに触れると信じて**]
―とある子供部屋―
[冬将軍の声は聞こえない。
それでもその想いは鈴の音を通して、確かに届いた気がした]
雪は儚く溶けて、消えてしまう。
でもその欠片は空へ昇って、いつかまた舞い降りる。
それまでは、何処までも続く空をゆっくりと揺蕩う。
空はどんな世界ともつながっている。
…愛すれば、世界はきっと優しいんだ。
[そっと指人形を持ち上げて、抱きしめた]
[こん、こん、と窓を叩く音。
久しく聞かなかった音。ひどく懐かしい、温かい音。
驚いて顔をあげ予想通りの姿を見つけると、少女のようにふわりと微笑んだ]
ヒュー。
[これは夢。冬将軍の見せる夢。
だから目の前の彼が本物の大工の青年かは、分からない。
それでも良かった。ただ、嬉しくて]
…もう、逢えないかと思っていた。
[窓へ駆け寄る。体がいつもより軽い。窓を開ければ冷たい風が吹き込んだが、いつものように咳が出ることもない]
冬将軍は、此処にいるよ。
[ふわり、くるり。中空を舞う指人形は、鈴の音を返すだけ]
君は、ねえ、どうして此処にいるの。
[もしこの夢が現と繋がっていて、彼が冬将軍の眠りに落ちたというのならば。
…何か異変に気づいて、雪雫草を自分自身で飲んだのだろう。彼は、そういう人だ。自らの危険をかえりみることもなく、場合によっては気づきもせず、ただ、馬鹿正直に自分ができることに必死になる人だ。
そんな、強い、人だ]
…本当に、馬鹿なんだから。
[冷えた彼の右手を、暖炉で暖まった手で包み込む。
冬将軍を助けたい。それと同じくらい、島の皆も助けたい。其処には間違いなく、彼のことも含まれていて]
[自分が冬将軍を温めてあげることができたなら、眠りに落ちたヨーランダも大切な人の元へ帰れるのではないだろうか。
雪で覆い閉じ込めてしまわなくても、私は何処へも行かないと信じてくれるならば、きっと。島は冬の不安から救われるのではないだろうか。
それはまるで、
少女のように夢見がちな思考だったのかもしれない]
お願いをしても、良いだろうか。
―――…みんなで、海を見に行かないか?
[みんな、とは勿論、冬将軍も含まれる。
そしてポケットから取り出すのは、渡すことができなかったはずの彼へ編んだ毛糸の手袋]
今日は、とても元気なんだ。
[本当は、あの日もそうしたかった。
そんな想いを微笑みに託して、手袋で彼の手を包んだ**]
…さて、ここはどこかしら?
[浮上する意識に合わせて、きょろきょろよ辺りを見渡す。
確かに自分は薬を飲んで眠ったはずだ。ではここは夢の中とでもいうのだろうか。]
……?
[誰かの声が聞こえる。それは悲しみに満ちていて。
聞いているだけで、心が痛くなる。]
誰?どこにいるの?
[体の動かし方もわからない。それでもがむしゃらに声のする方に向かう。]
見つけた。
[そこにいたのは小さな少年。
例え涙は流れていなくても。彼は確かに泣いていた。
さびしい、と。]
ごめんね。
[隅でうずくまる少年。それが誰なのかはすぐに分かった。]
私、ずっと間違えていたのね。
[大切な人を失って、孤独に苦しむ彼を見て。
雪を見せてあげたいと思った。
美しい童話の世界。誰もがハッピーエンドで終わるその物語をなぞれば、きっと彼も幸せになってくれると。]
そうじゃ、なかったのよね。きっと。
[薬を煽った瞬間。自分は確かに思った。
とても寂しい、寂しい。寂しい。
ああ、どうか。誰か―――。]
あなたがさびしくて泣いているのなら。
私にできるのはきっと、
あなたの側にいること、だったのよね。
[せめてと、幼い少年を抱きしめる。
だが少年の悲鳴はやまない。苦しみは終わらない。
当然だ。今の自分は、そこにいないのだから。]
こうなってから気が付くなんて。
私、本当に…馬鹿ね。
─子ども部屋の窓辺─
[窓を叩く音にこちらへと視線を向ける瞬間の、無防備なその横顔。
自分に気付いて微笑むその表情は懐かしく、そっと目を細めて。駆け寄る姿を見守る。
何故だか、公園の時のようにそれを咎めたり慌てたり、といった感情は浮かんでこなかった。表情も足取りも軽やかで、記憶にある病弱な少女の動きではなかったけれど、でも、すべてはジリヤ以外の何者でもなく。
窓が開いて、声も視界もクリアに彼女を捉える。
彼女が笑ってくれることが、ただ、嬉しくて。頷く]
…うん、俺も逢えると思ってなかった。よかった
[チリン。鳴る鈴の音に、そちらに視線を向ければ──]
[──冬将軍は此処にいるよ。
そう告げられて、視界に入る、ふわりと舞う懐かしい指人形。
赤いリボンと鈴が追加されているが、彼女から初めてもらったそれを忘れる筈もない。それよりも。くるりと舞う指人形に、右腕を伸ばす。無意識に。
届きはしなかったけれど]
(…ああ、そうか。そう、だったのか)
[冬将軍と、目が合った。その瞬間にすべてを思い出した。
思い出したというか──深層意識の、更に奥。この冬将軍が取り込んだ部分よりももっと奥のどこかで、自分と“こいつ”は繋がっていた。“こいつ”にも知らない場所で。
──どうして此処にいるの。
ジリヤの問いに、そっと、微笑む]
…“こいつ”が薬を飲みたがったんだ
マユミが、さ
薬で眠った冬将軍を判じることが出来るって、言うから
俺が薬を飲んで、マユミに調べてもらったら
みんなが“こいつ”の存在に気付いてくれるだろ
この島にもう一人いる冬将軍に、
自分がここにいるんだって…知って、もらえるだろ
あなたは独りじゃないんだよって、伝えられるだろ
冬将軍はふたりいた
俺はそれを知っていたんだ、うん、知ってた
[マドカを取り込んだ冬将軍の存在も、自分は知っていた。そうだ知っていたんだ。
だから薬を作る為に動いて。ヨーランダが眠り、もうひとりの冬将軍の位置を知って、マユミの能力が判明してからは、急いで、最初に薬を飲むために急いで──]
[薬を飲んだら命を摂られることも、本当は知っていた。
けれど、多分、どうでもよかった。トレイルとはまた別の意味で自分の命をどうでもいいと思っている。なぜなら満足しているからだ。故に後悔がないからだ。だから、いつ死んでも自分は笑っていられる自信がある。
この人生が、最良であると]
うん、バカだなあ
自分でもバカだって知ってたけど、本当にバカだわ
[包まれる右手。あたたかい。
そうか、この身体はもう死に体だから寒さを感じていなかったのか。そんなことに気付くけれど、でもジリヤの手は温かいと感じる。
それはきっと、この心に取り憑いた凍える“こいつ”が溶かされているから]
[あたしを埋めて、どこへも行かないで]
[そう願って取り込んだのは、さみしさを知らない男の心]
[リンリン、チリリン。その心の一部を借りて]
[何より大事にされたもの。何よりあたたかい心の欠片]
[無意識に選んだ、あたしはこの姿を纏う]
[だからあたしが奪うのは、この莫迦な男だけでいいのよ]
[いとしいひと。愛をくれたひと。あなたはあなたの在るべき処へ]
うん、行こう。海を見に行こう、一緒に
他に誰か居るかもしれない
[行き方なんて分からないけれど、どうにかなるだろう。
ここにどうやって辿り着いたかも分からないのだ。願えばきっと行ける。
実家の近くの、あの海辺へ。依り代が早く眠ってしまったが為に、会いに行けなかったと悔しがった“こいつ”が焦がれた歌が聴こえたあの日の海へ。
手袋で包まれた手のぬくもりがいとしくて、目を細める。
ちょうど自分の手に馴染む手袋。これが自分の為に編まれたものだと、分かるから。
幼いあの日は、叱られて連れ戻されたけれど。
今度こそは手を繋いだ君を、窓から外へと連れ出してみせるから**]
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