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[その後の行動――四つん這いになった彼女の姿からは、ぱっと目を背けて。
時同じくして舞台袖から墨色の男が現れるのを漆黒が捉えた。
近づいてくる男の服には、赤い色がたくさんこびりついているのが
遠目からでもわかって。
ぞっとすると同時に、ぐ、と唇を噛み締めた。]
―――――…。
[やがて男は四つん這いになった女の背へと腰を下ろす。
迷いの無い動作は、女がまるで椅子であって当然のよう。
嫌悪感を抱きながらも、男が着席すれば、静かにそちらを見て。
しとやかに一度頭を下げた。
それは”おかえりなさい”と行動で示すように。]
メモを貼った。
[愛撫にくねる白絹の肌は、ひどく非現実的にも思われた。だから、くちづけ、痣を残さずにはいられないのかもしれない。その滑らかで吸い付くような感触は、触れているだけでイアンに快楽と焦燥をもらたす。頭をかき抱かれると、視線がイアンの身体に絡むのを感じると、漸く、彼女は現実に居るのだと実感する事が出来た。
彼女がイアンの言葉に涙を流す訳は分からなかったから、胸の苦しさは増した。
上気して染まった頬の仄かな血のいろ。イアンの名前を呼ぶ声。形の良い口唇の隙間、すでに何度も重ねたあかい舌が動くのが見えると、気が狂いそうな心地がする。]
見ないのは、無理 だ。
グロリア。
[両腕で自身の身体を抱きしめるグロリアの動作に、今度は「声を聴いてはいけない」と言われるのではと、イアンはびくりと肩を震わせる。息を詰めた所で、奪われるのは厭わない。
伸ばされる腕に吸い寄せられるようにくちびるを重ねた。]
俺は、あんたの ものになったんだぜ。
何処から何処までも。
[涙を流すペニスはグロリアのなかに入りたいと主張している。そのたおやかな手に触れられたいと望む。けれども、]
我慢?
耐えなくてはならないなら、
拷問だ──確かに 嗚呼。
俺じゃあ、だめ だってことなら
あんたは何を言って……?
[言葉の意味が分からず、眉を顰めながら息を吐いた。遠慮がちなグロリアの仕草が、煽っているのか、買ったもののイアンを望まない事を婉曲的に指しているのか。それとも別の理由か、分からない。]
──…ッ あ ああ
グロリア、グロリア。
[耳孔に注ぎ込まれる誘惑の言葉と、イアンのくるおしさの中心に絡む指。
目の前が真っ暗になる。
ただ、掠れて途切れる音に、耳を澄ます。
上手く聞き取れないもどかしさ。与えられる小さな痛みに、グロリアと言う女の存在を感じる。
心臓が跳ねる。
狂ってしまえば良い。
何もかも捨ててしまえば良い。
もし、今此処でグロリアを抱く事で、イアンの人生が終わるのだとしても。]
あいしてる きがくるう。
[くちびるが落とされた場所から新しい熱が広がる。
首根に胸に触れてくるおんなの手を強く握り、グロリアを寝台に押し倒す。
割り開いた内腿をキツく吸い上げ、あわただしく最後の下着を引き抜く。態とゆっくり焦らすような駆け引きをする余裕はイアンの何処にも無い。愛液が滲む箇所を夢中でまさぐり、びしょびしょに濡れたクレヴァスを撫でまわした。グロリアの匂いで鼻孔を満たし、吐息を零しながら愛液をすする。]
グロ リ ア
どうして──泣いて?
[やはりイアンでは駄目なのだろうか?
こみ上げるせつなさにただ獣のように呻くと、強く目を閉じた。
茂みを掻き分け、陰核を探す。尖らせた舌先で震わせ、愛撫するだけでは足りず、そこにも歯を立てた。悲鳴があがっても、彼女を逃がす事は出来ない。]
──…ッ
[──腰を捕えて。深く。
グロリアに、凶器のようなそれを突き刺す。
イアンの頬も涙で濡れている**。]
メモを貼った。
― 現在軸・客席 ―
[墨色の男の手は、そっと女の尻を撫でて。
その動作を見れば再度視線を外した。
くちゅ、つぷり。
視線は外せど、隣から淫らな音が耳に届く。
それは数刻前の情事を、一寸前の恐怖を思い出させる。]
…、…は――
[ぶる、と微かに身を震わせたあと、吐息が一つだけ零れ落ちた。]
― 回想軸・道化の部屋 ―
ヒ…っ…、…
[ひゅ、と喉の奥が鳴る。
男の微笑みは何度も見てきたが、この時の微笑が
今までで一番不気味で心底怖かった。
遠まわしに脅されるとカチカチと歯が恐怖を訴えて。
身体も震え始めればそれに合わせて鎖が鳴いた。
男が何か――消しゴムのようなもの――を私の身体に押し付けると、針を一本。その手に取る。
そして、ふっと息を吐いた次の瞬間。]
―――っつぅ!!ぁ、ああッ!!!!
[部屋の中に透明な声が響き渡った。
あっという間の事だったが、顔は酷く歪んで息が荒くなる。]
っは、…はぁ、……ハ…
[痛みと異物感が下腹部に残って目尻に涙が滲む。
だがこれで終わりではない。
同じ事がもう二度、繰り返されると男は言う。]
……や、…ゆる シ―――〜〜イあ ッあああ!!
[顔に恐怖を張り付かせたまま首を振って許しを請えど、
その願いが聞き入れられる事は無く。
針が皮を、肉を貫く度に顔は歪み、悲痛な声が上がった事だろう。
全ての針が身体を貫いた頃には肩で息をして。
呆けたように椅子の背もたれへと身体を預けていた。]
メモを貼った。
メモを貼った。
メモを貼った。
[客席へ向かった頃、あの貴婦人は未だ戻ってきてはいなかった。
どうやら本当に、あの男のウタマロに夢中なのだろう。
犬の調教ごっこの時に触れた箇所の事が東の国の卑猥な絵画に例えられているなど、その国と確執持つ国の男が知れば酷い侮辱に思えるだろうけれど。
差し出した背に躊躇なく掛けられる体重に思わず呻きを噛み殺す。
今の自分は人ではなく椅子。
椅子が重いと悲鳴をあげる訳がない。]
―朝/自室―
[ふぁ、と小さな欠伸。
寝台の上でぼんやりとまどろむ
男の半身に朝日が射している]
今頃何してるんだろ……
[結局カレが誰を飼う事にしたのか
此方へ遊びに来ると言うのはどうなったのか
あれから連絡があるわけでなく
男から連絡を取る事も無い]
メモを貼った。
…く、……ぅぅ………っ
[主人のイタズラな指が、敏感なところを執拗にまさぐる。
声を殺して堪えても、びくりと素直に震える背は上に座る主人には筒抜け。
白い主人の指が次第にぴちゃぴちゃといやらしい音を立てるのは、側の紳士とその横に控えた娘にもしっかりと聞取られてしまうはず。
5番の女について問われれば、死ぬのが怖くないならば、生かされ続ける事の方が辛いのだろうかとはおもえど、声にするほどの余裕はなかった。]
…チャールズ様は便宜上、ツィーと呼んでおりました。
貴方の所へ来たわたくしは、名も無きタダの奴隷でございます。
どうぞ、お好きなようにお呼び下さい。
[名を問われて告げる言葉は、この日の為に教え込まれた事。]
…あンっ!
[グイと強く付く指に、はしたなく悲鳴じみた嬌声が漏れる。
ふるふると耐える白い太腿を湿らせる汗と粘液は、薔薇水の香りと女の薫りが混ざった甘ったるい濃厚なもの。
粗相をせぬように耐えながら、何処か艶めいて幸せそうな貴婦人が戻れば、その祝福の言葉に返す表情は同じように満たされたものに見えたろう。]
― 現在軸・客席 ―
[頑張りなさい、と主人は言い、指先をすっと襦袢の合間へ寄せる。
ちりん…、――りりん。
身体が揺れれば、二つの鈴の音がした。
一つは此処に来た時につけていたように、首から下げられた鈴。
それは今では本当に飼い猫の鈴のよう。
そしてもう一つは、一寸前に付けられたばかりの―――]
…、…ん……っ
[主人の指を拒む事はしない。
ただじっと声を殺して耐え、嫌悪感を押し留めた。
下腹部の痛みは熱を持って、じんと身体を蝕む。]
[そして、墨色の男が客席へと戻ってから。
傍らの主人は、舞台を見て大笑いしていた。
そのうち、客の最後の一人も客席へと戻ってきたか。
それにもしとやかに一礼して。
けれど心はそこにあらず、そろりと視線を舞台へと戻した。
金目の青年に奉仕を続ける少女。
その姿を見れば胸が苦しくなる。
青年が声を上げていたなら尚更、顔を顰めただろう。]
―――、…っ!
[黙ったまま舞台を見詰めていたが、墨色の男の声に促されて
少女が台に攀じ登った時、動揺の色が隠せなかった。]
メモを貼った。
メモを貼った。
[かすかな呟きをマイクは拾っていたのだろうか。
解らないけれど、でも男は現れた。
精神的な限界は、そこまで来ていた。
口元に近づく耳。いつもなら噛んでやろうとか、そんな事も思いつく。
けれど、今はそんな事を考えている余裕もない。
ただ一刻も早く助けてもらいたくて、掠れた囁きのような嘆願を繰り返す。
額に触れた指先が温かくて、それだけで涙が落ちた。
それぐらい、こわかった]
…『あ、さ』…?
[唇は呟く。
寒さで動かないのか、喉が痛くて動かないのか。
そのどちらでもない可能性。解らないけれど。
のこされた言葉に小さく頷いて、また扉が閉まるのを聞いた。
寒いな、とは思う。でも、今はとにかく疲れていた。
目を閉じる。冬よりも寒いと思った。
疲れ切っていたから、そのまま意識は遠くなった]
メモを貼った。
メモを貼った。
メモを貼った。
ああ、やっぱり一匹だと手かけるぶん壊れるのも早そうだ。
処理用にNo2かNo6でも買っておけばよかったかな。
……でもあの姉弟がお気に入りだったみたいだしね。
ご婦人の機嫌損ねた身としちゃ引くしかないよなぁ。
[肩を竦めて身を起こす。
寝台から降りて身支度を整えながら男は呟き、テーブルの引き出しから黒いナニカを手に取った]
さて。
[口元に薄く微笑みを乗せ、部屋を出る。
髪の短い召使は彼を死なない程度に見張っているだろうか。
暖をとっているかもしれないなと思いながら
あえてモニターを見ずに惨状を想像しながら地下室へ向かった]
やあ、おはようJade。
[扉をあけ、石造りの冷たい寝台へと近づく。
顔を覗き込んで挨拶をかけた]
朝だよ。
生きてるかい?
― 回想軸・道化の部屋 ―
[そっと男の指先が此方へと伸びて。
優しい言葉をかけながら涙を拭っていく。
その様子にもただ、荒く息をするだけ。
意識はじくじくと痛む下腹部に集中して、思考が溶ける。]
あ…、ッ やだ…!
[しかし、男が言葉を紡ぎながら指先を下ろし、胸元の膨らみへその指が到達した時。
びくん、と身体が揺れて咄嗟に脚を閉じそうになった。]
っ!―――ン、…んぁ!!
[すんでの所で脅し文句を思い出して、必死で衝動を耐える。
身体に入れられたままのカプセルが微かに動けば、それにも身をよじった。
嫌悪感と不快感ばかりが募る。
けれど、指が胸の膨らみの先端を悪戯に弄っても耐えるしかなくて。
この時はまだ懐に入れてあった鈴の首飾りは、
私と同じように小さくりんと啼いたか。]
……、…?
[ちりん。
懐とはまた別の場所から、鈴の音が聞こえた。
音がしたのは、男の手から。
その手のものを見て、漆黒はぱちりと瞬く。
3つの、金のリング。
それを見て暫くして、何かに勘付くと大きく漆黒が見開いて。
声も無く、微かに左右に首を振った。]
[扉のあく音で目が覚めた。
幾らか夢を見ていた気もするけれど、覚えていない。
酷く寒かった。そう言えばもう一人誰かいた気がするけど]
『……生きてる』
[まだ掠れていた唇で音にする。
ゆっくりと自分の中で繰り返した。
まだ、生きてる]
嗚呼、本当だ。
随分冷たくなってるから、殺しちゃったかと思ったよ。
オスカは見張りご苦労さま。
[片手を後ろに回したまま、空いた手で頬を撫ぜる。
召使の首元にあったはずのマフラーは青年の腹の上にあったが、男がそれに対して口を出す様子は無い]
じゃ、約束どおり枷は外してあげよう。
体調はどう?
[髪の長い召使が現れ、青年の手足を拘束していた枷を外していく]
…『まだ、死んでない』
[そのうち殺される可能性は十分に見ているけれど。
腹の上に置かれていたマフラーに気づいたけれど、
何でそんなものが腹の上に乗っていたのかは知らない。
ただ、小さくく首を捻った]
『体が冷えてる。気分は最悪。
そんなところだ』
[漸く外された枷。
起きあがれば全身が凝り固まっていて痛む。
背中の傷もまだ痛かったけれど]
メモを貼った。
減らず口きけるくらいには元気みたいだ。
これなら大丈夫そうだね。
体が冷たいのは動かせば温まるだろう。
[起き上がる力もあるようだと、青年を見ながら思う。
髪の短い召使の頭を一度撫で、二人を下がらせた]
先ずは傷のチェックをするよ。
その後で御前に焼印をあげる。
奴隷の証が必要だろう?
俺としたことがすっかり忘れてた。
[薄く笑み、首を傾いで寝台に身を起こした彼を見下ろす]
…ッ
[睨む。苛立ちは今日も消えない。
残されたマフラーはどうしたものかと思ったけれど、
畳んで置いておくことにした]
『そんなもの、要らない』
[まだ首輪や枷のほうがましだと思った]
[同じ姿勢を保ったまま蹲る姿は辛く、横のフリル豚よりはマシとは言えじわじわと掛かる重量。
その上指は、遠慮なしに内側の悦いところを掻き回すのだから、ふるふると膝が笑うのも仕方の無いことで。]
…ひゃん!
[ぱしんと小気味よい音を尻たぶがたて、同時に上ずった悲鳴が漏れる。
くぅ…と眉を寄せ歯をくいしばると、食いちぎられた舌先がジンジンと痛んだ。]
[鋭い硬翠に男の唇がつり上がった]
要らない?
御前の希望は聞いてないよ。
でもまあ、選ばせてあげてもいい。
[腕を伸ばし、爪先で頬の薄くなった鞭の痕を撫で
顎へ首筋へと滑るように下ろしていく]
此処に首輪も用意してあるよ。
焼印とどっちが良いかな。
[後ろに回していた手を男の顔の横へ翳す。
細い二匹の黒蛇が絡み合う一見チョーカーのような首輪。
ただ、蛇は鎖を繋ぐための輪を噛んでいる]
『俺に選択権はない、だったか』
[拒否するたびに言われる言葉。
小さく息を吐きだして、首を傾げる。
爪が頬をなぞれば微かに眉を寄せる]
『…相変わらず、センスは悪いのだな』
[見えたのは蛇を模したもの。
どっちも嫌だ、と言ってしまいたい]
俺が与えてやるまでは、無いね。
それは褒め言葉だと思っておくよ。
[刷り込みの要領で覚えたのか
青年の言葉に頷きながら付け足すように告げる]
……で、どっち?
[眉を寄せた表情を見下ろしながら、
首筋に触れた爪の先が肉に食い込んでいく。
力加減から、本気で抉り取る心算は無いことが解るだろうが]
メモを貼った。
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