254 東京村U
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―午前・原宿表参道―
もうヤダ……絶対にヤダ! 今日帰ったら即効捨てる、こんな服!
[ぷりぷりと怒りを露わにしながら、『解放治療カルテ』へのお土産を求めて表参道の街中を歩いていた。本郷は、周囲に警戒心をもたれないよう、ジリヤから数十歩離れた位置からついてくる。
人通りはさほど多くはなく、ハイソは街並みに似つかわしくない顔はすぐに発見できた]
あれっ、"山岸"……さん?
[あの居心地のよかった時間が脳裏をよぎり、ぽろりと口から言葉が漏れてしまった]
(125) 2016/10/01(Sat) 23時頃
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(え、なに……そんな普通なの!?)
[まったく動じることのない"山岸"の態度(>>126)は、まるで昨日の続きのようで、それだけでなんだか胸がすく思いがした]
(……やるじゃん、"山岸"のクセに)
うん、今日はただの買い物。 ヤヘイは……ちょっと、仕切り直しっていうか。 そっちは?まさか青山に引っ越しとか?
(127) 2016/10/01(Sat) 23時半頃
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ラベイユ? ……そこなら知ってるかも。 たしか、あっちの方だったかな。 近いから、一緒にいこっか? ちょっと道、入り組んでるし。
["山岸"の横に並んで歩き出す]
あー、まぁそうだよね。 えっ、じゃあ、まだあのカラスマンションに? ……大丈夫?あぶなくない?
目玉模様とか、カラスに効くっていうよ?
(135) 2016/10/02(Sun) 00時頃
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ナンパは……うん、気をつける。
[誘われたら断れないからな、と不甲斐なく想ったタイミングで、"山岸"の視線が逸れた。ケヤキ並木の上に巨大なカラスが一羽]
……ヒッ
[咄嗟に"山岸"の腕をとって寄り添った]
えっ、えっ……尾行って それ、ヤバイじゃん…… 顔おぼえられてるって……
(137) 2016/10/02(Sun) 00時頃
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見られたくねーもんって ……カラスだよね?
え、ちょっと…… カラスと張り合ってるの?
やめときなよ、突かれたら痛いよ? きっとビンのキャップとかビー玉とかだよ……
[不安な表情で首を振る]
(138) 2016/10/02(Sun) 00時頃
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それに、その……
人、死んじゃってるんだよね。 ……そのマンション。
笑われるかもだけど…… そういうの、けっこう本当にあると思うし……
[歯切れ悪く言いよどんだ]
(141) 2016/10/02(Sun) 00時半頃
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う、うん……ちょっと、怖いことあって。 全然、寝れなかった。
そんなに顔色、悪く見えるかな? やばいなぁ、これから人と会うのに……
[すこしでも温めて血色をよくしようと、頬に手をあてた]
(147) 2016/10/02(Sun) 01時頃
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わ、笑わないでよ…… 今ちょっと、余裕ないし、 怖いの嫌だって、前言ったじゃん。
[腕をとったまま、すこしでもカラスから離れようと歩く]
えっ、ちょっとまって…… 間違いなくなんかあるって、 それこそ首つっこまないほうがよくない? もう警察が調べて、なにもなかったんでしょ?
["山岸"の言葉(>>145)に、ムッとした顔をする]
……心配しちゃ悪い? だって、こんな話できる人……他にあんまいないし。
(148) 2016/10/02(Sun) 01時頃
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うん、ちょっと……じゃなくて、 すごくややこしくて、うまく言えないんだけど……。
[相談できる人間(>>152)、の言葉には首をはっきりと横に振る]
いないよ、そんなやつ。 周りには誰も…… あたしの話なんて……
(156) 2016/10/02(Sun) 01時半頃
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1人ね、心当たりあるんだけど、昨日あったばっかりでさ。 まぁ、それはあんたもだけど……。
その人、すっごい頭いいけど、忙しそうだったから、 まずは自分で調べて考えなきゃって。
誰だと思う?ホラー作家のすっごい有名な人。 そう、木露先生! どう?あんたも名前ぐらい知ってるよね?
昨日あの後、取材されて、名刺までもらっちゃったんだよ。 ヤヘイに感謝だよね。どう、すごいでしょ?
[ジリヤの頭の中では、木露は偉大な作家先生ということになっているようだ]
(158) 2016/10/02(Sun) 01時半頃
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……性分かぁ。(>>153) 前も思ったけど、強いよね、あんた。 すごいっていうか、正直……うらやましい。
……その強さが、あたしにあったらなぁ。
[実感を込めてそういうと、深いため息をひとつ]
わかった、もう言わないよ。 代わりに、約束しよ? 無理しない。怪我しない。死んじゃわない。 絶対だよ?
……あたしも気を付けるから。
(159) 2016/10/02(Sun) 01時半頃
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[Labeilleの看板が出ている店の前にたどり着いた]
あ、ここ、ここ。 なんだ、もうちょっと歩いてもよかったのに。
[ポーチから、ネイビーブルーのスマートフォンを取り出す]
あのさ、もしよかったら、交換しよ? 携帯の番号と、あとメアド。 いつかけてくれてもいいから。
(160) 2016/10/02(Sun) 01時半頃
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[スマートフォンを操作しながら、できるかぎり自然な口ぶりで、一番言いづらいことを口にした]
あたしね……ジリヤっていうの。雪野瀬 ジリヤ。 まぁ……覚えなくていいけど。
(161) 2016/10/02(Sun) 02時頃
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[連絡先の交換を終え、山岸と別れると、大急ぎで本郷の元へ駆けより、車の中へ。『解放治療カルテ』がいるであろう新宿のスタジオへ向かう。
その車内で、交換したばかりの山岸のアドレスへ、2通のメールを送った]
(162) 2016/10/02(Sun) 02時頃
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『すっごい変なこと聞くけど、笑わないでね? ドッペルゲンガーって、本当にあると思う?
あたし、見ちゃったんだ。どうしよう? あたしのドッペルゲンガー、人を殺しちゃったかも。
どうしたらいいかな?』
(166) 2016/10/02(Sun) 02時頃
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『ごめん、今のやっぱなし。
忘れて。またね。』
(167) 2016/10/02(Sun) 02時頃
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お針子 ジリヤは、メモを貼った。
2016/10/02(Sun) 02時頃
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― 昼頃 新宿・某スタジオ ―
[演奏の合間を見計らって、ジリヤが『解放治療カルテ』メンバーの元へ小走りに駆けよってゆく。いまこの瞬間は、まだメディアによく映る空色のワンピースで着飾った、アイドルとしてのジリヤだった]
ごめんなさい!大変、おそくなってしまって! キャンディ・ノヴァの雪野瀬ジリヤです。 今日は、お声をかけていただいて、とっても嬉しいです! ありがとうございます! 『解放治療カルテ』の曲、どれも大好きで、 いつもよく聞いています。 あたしの憧れです。
あの、これ、つまらないものですが、みなさんで是非。
[すらすらと言葉を発しながら、表参道で買ってきたスイーツをテキパキと皿にとりわけてゆく]
(171) 2016/10/02(Sun) 02時半頃
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[ライブで一方的に見知っているメンバーたちと、次々に挨拶を交わしてゆく(>>178)。その誰もが、キャンディ・ノヴァのジリヤと接している。それは本人がよくわかっていた。必要な挨拶は、ひとりでに浮かぶ笑顔と言葉に任せて、心の中は自由奔放に色めき立っていた]
(あー!シーシャ様!挨拶チャラい!想像どおり!
ヴェス様、紳士!礼儀正しーい!
ドラムくん、かーわーいーいー!)
[ただ一人、彼だけは違っていた]
(185) 2016/10/02(Sun) 03時頃
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[微笑みと共に紡がれたドリベルの言葉に、 余所行きの笑顔が凍りついた]
……えっ?
[気付かれるはずがなかった]
な……なんで?
[ライブに足しげく通い、最前列で熱狂していたのは、 ボロボロのダメージジーンズに、無地のTシャツ。 スニーカーにキャップ帽の、 あの"みすぼらしい方"のジリヤなのだから]
(186) 2016/10/02(Sun) 03時頃
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そ、そんな……だって、あたし、ちゃんと髪もセットして、 洋服だって、が、我慢して…… あっ、あっ、あの噂?あの噂、聞いたの!? ……あ、じゃなくて……そうじゃなくて。
[ネット上では、裏でジリヤが弾き語りをしていると見抜いた声が散見される。きっとそれだ、と自分を無理に納得さえようとする。焦るあまり、勝手に動いてくれるはだった口は鈍り、とたんに舌が回らなくなっていた]
(187) 2016/10/02(Sun) 03時頃
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し、知らない……? そう……ですか。
[取り繕うシーシャの声と、後ろから聞こえた本郷の控えめな咳払いが耳に入り、はっと我に返る]
ごめんなさい、こっちもちょっと、勘違いしてしまって。 ドリベルさん、よろしくお願いします……
[そういって、丁寧に会釈するジリヤの胸は、奇妙な高揚感に包まれていた]
(189) 2016/10/02(Sun) 04時頃
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[スタジオのスタッフや他のゲストも合流し、ちょっとした昼食会がはじまった。ドリベルの隣の席に腰を下ろしたジリヤは、タイミングを見計らって、小声で話しかけた。緊張のあまり、声がすこし上ずってしまう]
あ、あの、さっきは、ごめん……なさい ライブのときは、全然違う格好だから、 気付かれるはずないって……そう思って
(190) 2016/10/02(Sun) 04時頃
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……ごめん、なさい。 本当は、おしゃべり、すごくヘタクソ……なんです。 丁寧に話そうとすると、ぜんぜん。
あの、とっても、失礼かもですけど……。 崩して、話しても?
ど、どうしても……これだけは言おうって 決めてたこと、あって。
[紙コップに注いだ烏龍茶をゴクリと飲んで一息つける]
(191) 2016/10/02(Sun) 04時頃
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[誰にも崩した話し方をきかれないように、周囲の様子を伺い、口を開く]
……『解放治療カルテ』は、命の恩人。 例えじゃなくって。
この曲なかったら、あたし、きっと、いまでも意識なかった。 事故にあって、目が覚めなくって…… でも、11の頃にラジオで曲が流れて、やっと起きれた。
『解放治療カルテ』の曲は、あたしの命で。神で。世界。 真っ暗いところから、あたしを引っ張り上げてくれた。
だから、その曲をつくるドリベル様も、あたしの神様。
[真剣な顔で、ジッとドリベルの顔を見つめる。ふいにその表情がほころんだ]
……へへへっ、やっと言えた**。
(192) 2016/10/02(Sun) 04時半頃
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お針子 ジリヤは、メモを貼った。
2016/10/02(Sun) 04時半頃
[そうだ、ここは新宿の街、だ。
私さっきまで家にいたよね?
テラスに出て、それから、手を引っ張られて、どうなったんだっけ?]
あの、すみません、今何時ですか?
[道行く人に尋ねようとする。
答えてくれないそのサラリーマンは、忙しそうに雑踏の中へ消えていった。
はたと自分の格好を確かめると、家に帰ったままの姿で、まだ制服のまま。
肩に背負ったバッグからスマホを取り出すと、画面は黒いままだった]
私、ひょっとして……寝ぼけてるのかな。
[一瞬、死んだ、なんて言葉を出そうになったけれど、意識的に言葉をすり替えた]
[新宿の街を歩く。
行き交う人の流れは、誰も私に気づかない。
誰も私を知らない。
私は、本当にここにいるのかな?]
「ごめんね」
[不意に声が聞こえた。同時に、右手を取る誰かの小さな手。
その手の感覚を知ってる。
『怖くない』方の手だ]
「ただ遊びたかっただけなのに」
[右側を見下ろす。
そこには、小さな影があった。違う、女の子? 私よりも幼い、小学生くらいの]
あなたが、冷蔵庫開けてた子?
ねえ、私どうなったの? さっき家にいたよね。
どうして私の振りをしてたの?
私を、落とそうとしたのはだれ?
[聞いても、答えなんて返ってくるとは限らないのに、少しほっとしたせいでつい口から出てしまった。
こんな、小さな子に]
「うん」
「遊びたかったの」
「こわいひと」
「ここは、シンジュク」
[たどたどしいような言葉で答えてくれる。
でもそれだけで、少し安心できた。
動けなかった私を、その子が手を引いて歩き出す。
素直について行くのは、「そちら側」には連れて行かないとわかっているからかも知れない]
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[想いを打ち明けながら、前髪の隙間からのぞくドリベルの切れ長な目を見つめていた。柔らかく細まり、暖かな声が、言葉が紡がれる(>>194)]
曲もそうだけど、歌詞がよくって。 みんなは、こわいとか、きもいとか、ひどく言うけど。
疵に触れてくれるっていうか、 痛みをわかってくれてるっていうか、 辛いのひとりじゃないんだなって、救われる。
あたしも、そんな曲、歌いたくって 作詞したりメロディつけたりしてるんだけど、 ぜんぜん……
ずっと不思議なんだ。どうしたら、あんな歌詞かけるのかなって。 勝手に頭の中で沸いてくる、とか?
(198) 2016/10/02(Sun) 11時頃
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……これからも、曲つくってね。 どんなことがあっても、 あたし、ずっと、聞き続けるから。
[メジャー進出の噂は、ジリヤの耳にもはいっていた。そのことでメンバー間の意見が割れ、亀裂が生じかけていることも。(>>1:33)自分と似た光彩を放つドリベルの瞳に、もしかして自分と同じハーフなのでは、など勝手な想像を膨らませながら、ドリベルへの想いを語ってゆく]
(199) 2016/10/02(Sun) 11時頃
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[ふとした折に、"シーシャ様"から、顔色の悪さを冗談まじりに指摘され、ジリヤは、はにかんで繕った。
はい、そうなんです。 ずっとスケジュールいっぱいで、全然寝れなくて。 お泊り?大歓迎ですけど、うちはマネージャー怖いですから。
[するとシーシャは続けて、うちにも寝不足が一人いて、とドリベルについて言及する]
え……パズル? ドリベル様、パズルするの?
わぁ、なんかすごく……ぴったり! 知的っていうか、クールな感じ。 天才っぽい。
[知恵の輪でさえお手上げなジリヤは、羨望の眼差しでドリベルを見上げる**]
(200) 2016/10/02(Sun) 11時頃
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