156 カイレミネ島の雪
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[ねえ、さみしさが埋まるなら]
[この孤独が消えるなら]
[──あたしでも誰かを愛せるのかしら]
[そうして幸せになれるのかしら]
[歌声に耳を傾けながら、発せられない声の代わりに]
[チリンと小さく鈴の音が響く**]
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― トレイルの部屋 ―
[>>36 ではこの香気は、ミナカタの計ったことなのだと知る。 それがどんな作用のものかはわからないが、 ミナカタとマドカは疾うに対立しているのだろうか。 反射的に飛びかかった自分とは異なり、 確とした様子のミナカタを見てそう思う>>38]
(今だ)
[ミナカタが押さえる今がチャンスと、 力を込めてマドカを何とか振りほどこうとする]
わたし、ヒューさんのとこ行ってくる……!
[トレイルを後に残すことは気を引けたが、 ミナカタがいれば大丈夫、などと根拠のない自信を持って、 身を翻し、家の外に駆けていった]
(42) 2013/12/23(Mon) 13時半頃
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[マドカは追いかけてくるだろうか、 その場の”獲物”に手をかけようとするのか、 定かではいが、より勢いを増した雪の中をひた走る]
(なんだかここら一帯、特に雪が強いみたい……)
[それは、マドカが冬将軍だから――その影響? 掴まれた箇所は赤い痕を残し、今更のように恐怖が沸いてくる]
怖い……。
(追いかけてこられたらどうしよう) (次は逃げられないよ) (ヒューさん、ブローリンさん……お師匠……)
…………あれ?
[そこではた、と足を止め]
診療所どっちだったけ……。
(43) 2013/12/23(Mon) 13時半頃
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[先ほど場所を聞いてワンダへの道案内もした筈なのだが、 視界のせいだろうか、慌てて駆け出して来たらわからなくなってきた]
どうしよう……うろうろしてたら、 もし追われてたら……。
[ここで自分が捉えられたらおしまいだ。 暫しの逡巡の後、 その足は診療所ではなく、通い慣れた工房へ向かう]
確か距離はそう変わらなかったし。 とりあえずお師匠に話して……。
[呟きながらいつもの道を進んだ**]
(44) 2013/12/23(Mon) 13時半頃
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― 楽器工房:ルルイエ ―
お師匠ー。 大変なんだよ、雪山でマドカがシー君も、 ジリヤが……。
[工房に入るなり、大声で師を呼ぶ。 興奮して碌に筋道の通らない説明に師は唖然としていたが、やがてモニカの様子がおかしいことに気付き顔を顰める]
『 あんなどうしたの、随分顔赤いわよ? 』 『 !! っ、ひどい熱! 雪山? まさかそんなとこ行ってたんじゃ…… いいから、横になってな! 話は後だ 』
[無理やりベッドに担ぎ込まれる。 抵抗しようにも、この2日間の騒動で自分で思うよりずっと気力体力を使っていたのだろう。 もがく手足に力は篭らず、 うわ言のようにトレイルさ…薬、マドカ……などと、切れ切れの単語を発し、 やがて力尽きたように眠りに落ちた]
(47) 2013/12/23(Mon) 18時半頃
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― 翌昼 ―
[目が覚めた時の感覚は、 休日の日にうっかり寝すぎてしまった時の手遅れ感にも似たもので。 まだうまく回らない頭で視線は時計を探す]
…………。
[針を読んで、怖々仰ぐ窓の外。 白い景色は今日も変わらず。 だがそれは夜の暗さではないことを知り、 がば、と布団を撥ねのけた。
傍らには昨日着ていた衣服とタオル。 夜中に汗を拭ってくれた師の記憶がぼんやりと思い返された]
(48) 2013/12/23(Mon) 18時半頃
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え……今日はなんにち?
[丁度様子を見に顔を出した師に問うと、 トレイルの家を出た翌日であることがわかる。 丸二日寝ていたとかでなくて良かった、と思う反面、 今皆はどうなっているのだろうという焦りも募り]
確か、そろそろ薬できてる頃だよね。 行かなきゃ……。
[止める師を ”いいからわたしの目を見て!” という、 勢いだけの謎の説得で押し切って、なんとか外へ]
(49) 2013/12/23(Mon) 18時半頃
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[念のため師に場所を確認し、診療所へ走る。 寒さは相変わらずだったが、一晩以上ぐっすり眠ったせいか身体の調子は良かった。 墓地に通りかかればトレイルのことを思い出し、 2度もトレイルを置いてきたという事実が胸を刺す。 ” 誰か ” 彼は確かに何かを求めていたというのに――]
(ううん、大丈夫) (あそこにはミナカタさんもいたし、いざとなればマユミだって)
[根拠などなかったが、そう言い聞かせ、 やがて目的の場所へ辿りついた]
(64) 2013/12/23(Mon) 22時半頃
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― 診療所 ―
ヒューさん、ブローリンさん……!! 薬は……!!
[勢いよく扉を開け放ち、声をあげる]
あ…あ、ブローリンさん……! 薬、ちゃんとできたかなあ?
[近寄って問い掛ける。 その場に見えないもうひとりの姿、 包帯姿の男が深い眠りに就いていることなど知らずに]
(75) 2013/12/23(Mon) 23時半頃
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ひょっとしてブローリンさん。 ずっとここいたの?
[ブローリンの肩に小猿の見えないことに気付いて問う]
気のせいかな。 来る途中マユミ見た気がして、声かけたのだけど、 反応なかったの。 ここ来てた?
あとヒューさんは? 疲れて寝ちゃってる?
[矢継ぎ早に言葉を紡ぎながら、 きょろきょろと辺りを見渡す]
(77) 2013/12/23(Mon) 23時半頃
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[ブローリンから、家に戻っていないこと、 マユミが来て去ったことを聞く]
じゃ、さっきのはやっぱりマユミだったんだね。 何か急いでたみたいだし、わたしも急いでたし……まあいっか。 また近いうちに会うだろうし。 シー君と会えないの、寂しいねえ。
[シー君も寂しがってるだろうな、と思いつつも、 口にしたら余計に気を揉ませるかもしれないと言葉を呑み込む]
あ、これがお薬?
[話を変えるように、 机の上に置かれた様々な道具に関心を示した]
(82) 2013/12/23(Mon) 23時半頃
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[机の上には蒸留中のレトルト。 花弁の入ったビーカー。 空になったフラスコ。 そんなものが並んでいて]
? 空だよ? お薬……できてない?
[まるで今し方、中身を取り出した後のように、 わずかガラスの内壁を濡らすフラスコを不思議そうに。
突然、はっとしたようにブローリンを見る。 その表情は帽子の影になって読み取れない。 男は、ただ、ゆっくりと首を振った]
(84) 2013/12/23(Mon) 23時半頃
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ヒューさん…………!!
(85) 2013/12/24(Tue) 00時頃
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