52 薔薇恋獄
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ヨーランダは、紅子さん捕まえてそこに顔を埋めてちょっとしょんぼり。
2011/05/20(Fri) 22時半頃
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ふーまくん、とーへんぼくなの?
[紅子さんに顔を半分埋めたまま首をかしげ。 伸びてきた手に頭をぐりぐりされれば>>193驚きつつも嬉しそうに笑い身を委ねた]
――……ねえ。 二人は、いなくなったり……しないよね?
(199) 2011/05/20(Fri) 23時頃
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―自室らしき部屋―
[肩に回される腕も、謝る声も、眠りを妨げるには至らない。
消耗もあったし、安堵もあった。とかく疲れていたし、蓮端が最低でも傍にいること。規則的な呼吸音だけさせて、ただ、ただ、静かに眠っていただろう。
はじめの、うちは。]
[そのうち深い眠りは、知らぬ世界の夢を呼び起こした。
この屋敷の、野薔薇の絡むトンネル。まだ踏み入ってもいないそこに、自分は立っていた。
甘い薔薇の香り。濃いけれど、まだ青い茂りの瑞々しさも残すそれは、野薔薇特有のものなのだろう。
花に詳しくない自分はよく知らないが、きっとそうなのだと思った。
そして、そう思うからこそこれが夢だとも思った。
晴れた庭。知らない香り。薔薇咲くトンネル。そこに立っていて。
その、野いばらの蔓に、絡めとられる。
息苦しくて、呼吸が浅くなる。
手を、伸ばして、そこにあるものを、つかむ。]
[つかんだものは、何だっただろう。温かくて、近くにある、もの。
悪夢に魘されるように、すぐ傍らの蓮端の身体に縋りつく。
苦しげに、強く、目の前の細い身体に力をこめた。]
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置いて……いかないでね。 一緒にいて。 ずっと、一緒に…… ……いたいよ……
[『ずっと』とはいつまでを指す言葉なのか。 部員が、消えて。まだ見つからない。そんな状況で。 いつもは考えないようにしている未来が、恐ろしい]
(211) 2011/05/20(Fri) 23時頃
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鳴瀬先生……
[視線だけ、ちらと向けた。 その目は不安の色に塗りつぶされている]
3人も、いなくなってる、のに…… 休んだり、できないですよ。 それに、さっき、……っ……
[思い出す。浴室で『見た』見知らぬ姿。 明らかに自分の理解を超えた何かが起きている]
(215) 2011/05/20(Fri) 23時頃
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[ふと、意識にはっきりとしたものが戻った。
それは緩やかに寄り添っていたところだったのが……急に、強く縋られたためだった。]
テ、ツ?
[瞼を開いた。苦しげな哲人の姿が判った。
思わず、瞬いてしまった。
いつかのあの時、おれは哲人に繋ぎとめて貰いたくて、ぎゅっとして、と願った。
けれど今は逆に、彼の方から求められているような……。]
……テツ、大丈夫。
[だから、肩に回していた方の手で、その背中を、緩く擦った。
握っていた甘味の袋が、掌から零れてベッドの下に落ちた。]
大丈夫……おれ、ここにいるよ。
う、ぁ……
[小さく呻いて、は、と荒く息を吐いて。
背中に触れる感覚に、意識が覚醒する。
目を見開いて、肩で息をして、しばらく、そのままで。]
[それからもう一度、ぎゅう、と強く縋った。
行くな、ではなくて、いる。その確認に似た、体温の絡め合い。]
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ふーまくんッ!?
[突然走り出す姿に、弾かれたように立ち上がる。 その前の一連の流れのことなどもはや頭の中から弾き出された。 ただ同じように、そのまま靴も履かず中庭へ飛び出す]
[いかないで、いかないで!!]
(227) 2011/05/20(Fri) 23時半頃
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[彼の目が覚めた。そう、思った。
だから、少し弱弱しくではあったけれど、笑ってみせた。
怖いことなんてないから、と示すように。
もう一度、縋られた。
今度はおれも、哲人をぎゅっとした。強く、抱き締めた。]
……だいじょう、ぶ。
[……吐く息が身体に触れる度、ぞくっとして、熱い。
もうそろそろ熱っぽいのも引いてきたと思ってたところでの、そんな感覚。
手は無意識に彼の顎の方に伸びて……顔と顔を合わせるような形になるように、軽く力を加えた。]
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[体を打つ雨も吹きすさぶ風も何一つ気にならない。 脳にその情報は届かない。 思考を支配するのはただ一つ]
楓馬君……ふーま、くんっ……! おいて、いかないって! 置いてどっか行ったりしないって、言ったばっかじゃない!!
[泣き出しそうに顔を歪め、叫ぶ。 雨でぐしゃぐしゃに濡れたせいでむしろ泣いてるように見えるだろう。 だけど、泣く資格がないから、泣いたりは、しない]
(247) 2011/05/20(Fri) 23時半頃
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―― 薔薇庭園 ――
[闇雲に走る。追いかける。 咲き誇る薔薇に体を引っ掛けようと、その勢いを止めたりはしない。 今更痛みなんかで戸惑ったりはしない。 すぐに飛び出し追いかけたけれど、身体能力は高くない。 見失ったか(1)、追いつけたか(2) 運次第だっただろう。2]
(248) 2011/05/20(Fri) 23時半頃
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楓馬君――!!!
[視界を奪う雨の中、それでもその姿を認めると。 転げるように近付いて、しゃがみこむ]
やだ……やだ。 おいてったら、やだ……
[弱弱しく首を振り。 相手の腕に絡んでいる茨を、素手で掴み解こうと]
(251) 2011/05/20(Fri) 23時半頃
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ゆう、き……
[力なく唇から漏れるのは、蓮端、でなく。
荒い吐息交じりのそれは、艶を帯びて、広い部屋の空気に消えていく。]
[縋りを抱き締め返されて、ようやく、少し落ち着いた。
呼吸も緩やかに規則性を取り戻し始めたところで、顎に手が触れる。
拒否する意識もない、その顔は簡単に上向くだろう。]
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[ぶちり。茨を引きちぎる。 ぶつり。茨が皮膚に穴を空け血を流す]
[痛みなんてない。あるわけがない。 そんなことを認識する容量が脳に残っているはずもなく。 ただ、ひたすらに]
ふーま、くん…… どうして……どうして……
[幼馴染の体を抱きしめる]
(263) 2011/05/21(Sat) 00時頃
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[名前を、呼ばれた。
前までであれば、哲人からはこのように呼ばれた覚えがなかった。
嬉しかった。嬉しくて……煽られも、した。]
テツ。
……良かった。ちょっと楽になったのかな。
[彼が落ち着いてきたところで、顎に触れたまま、その瞳を見つめた。
どきどきした。それは哲人に対しても、自分の行動に対しても。
少しの間の後、そっと、唇を寄せた。]
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――……
[どこからか聞こえた声。 それはいつか、部屋の中。 会話を交わして。 その時自分の中に目覚めた、黒い感情。 自覚しなかったそれが。 また、じわり]
……ふーまくんは……渡さない……!
[それは何に対する言葉なのか。 幼馴染の体を、強く。強く抱きしめて]
(272) 2011/05/21(Sat) 00時頃
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な、んで……謝るの。 なんで、そんなこと、言うの。 それじゃあ……
[それじゃあ、まるで]
(273) 2011/05/21(Sat) 00時頃
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