270 食人村忌譚
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それすらも、家畜と感じてしまうのでしたら、
ミナカタさんのことを、寂しく思えてしまいます
[目は伏せたまま、殺しあう姿は、
これ以上は、もう見ない]
もし、変えることができるなら、
もう、終いにしませんか 人間同士の殺し合いは**
…… かかさま。
[続けて聞こえた声。明瞭な輪郭を持っていく視界。見えた姿に、娘はそう呼ばわりを口にした。死する手前と、同じように]
……いっしょ。
みんな、いっしょ。
[言葉を重ねるように呟く。
ふ、と。にこりと、嬉しそうに微笑んで]
私、 しあわせ、 だよ。
[その幽かに、抱擁を返した**]
真剣師 鬼丞は、メモを貼った。
2017/12/03(Sun) 01時頃
[己には子がいない。
女と関係をもったことは幾度かあるから、もしかしたら、どこかで知らぬうちに生まれているかもしれないが、おそらくは相当薄い。
なにせ、初めて女を抱いた頃には、もう脚を病み始めていて、ろくに相手を満足させることができなかったし、それ以前の問題として、こちらがあまりまともに勃たなかったのだ。
勃つには勃っても今度は、精を放つまで至らなかったり。
それらは、己の脚が不自由で、女のほうに事を委ねることが多かったせいだと。]
[──────そうじゃないと気付いたのは、いつだったか、兄に、世話をしてもらった時のこと。
女相手にはやたら時間を要したくせに、兄とだと、いとも容易く達することができた。
触れられ慣れているからだ、なんて思いもしたけれど、そんな程度の感覚ではなかった。
兄に対し、己は、明らかに、情欲を抱いていた。
どこまでも卑しくて、どこまでも純粋に。
胸の奥底で、兄だけを求めていたのだ。
そんな、馬鹿げた感情を。
兄は、どこまで気付いていたろうか。
ただ少なくとも、拒絶はされていなかった。
故に。
依存は……歪な愛は、より深く…………**]
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[この小刀がとらえた、一番柔らかいものだった。 人の目玉を、生きているうちに抉ったことはない。 食べたことはあるが、あまり好みではない。 こうして潰してしまえば、食べることもないだろう]
殺すなら、刺せ! 切り付けろ!
刃物なら簡単に殺せるぞ!!
[闇雲に振り下ろされた数は何度だったか。 小刀は右目に刺さったまま、離した手は伸び、避ける間もなく鍬に捕らえられた。鈍った刃は骨で止まる。もう一度振り上げられ、新たな血が粘着質な音と共に飛び散った]
(44) 2017/12/03(Sun) 01時頃
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[得物は全てこの手を離れた。 腕も一本とられ、それでもまだ、こちらには正常な視界がある。 二の腕から先が千切れかけた右腕のことは、後で考えればいい。生き延びたら、その時に。 元気なままの足を使ってその場を転がるようにして逃げた。
あるいは、その鍬が足を捉えたら、それで終わり。 無事に距離をとれたら、その時は――体当たりでもなんでもいい。 気絶なんて生易しいことは言わない。 口に出した通り、殺すつもりで立ち向かっている]
(45) 2017/12/03(Sun) 01時頃
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