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─ 神社近辺 ─
[残っていない、という言葉
きつく、唇を噛み締めた]
(……本当に、このっ……)
[続く言葉は、怒鳴り声>>3:*55へと繋がって。
けれど、それがどこかに揺らぎを齎してもいたのか]
……なっ……!
[地より首へと伸びる手腕>>3:*60に気づくのは遅く。
それから逃れる事は叶わなかった。*]
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【人】 機織り 雪客― 通りのどこか ― (0) 2014/02/21(Fri) 01時頃 |
……あぁ……そうさな……
[法泉の言葉に、は、と短く息を吐き、右腕に絡んだ絹糸を跳ね上げ狐狸と人型人形を右肩へ]
(…言うても、防げるんは一回こっきりや)
[耐えれば勝機が、耐えられねば相応の末路が待っている。
火の玉を作り為す法泉を見詰めながら、狐狸が散らした水気含む半紙を扇で巻き上げ蝶を作り。
周囲に纏わせ、揺れる軌道の火の玉に構わず法泉目掛け、駆けた]
泉水ぃいいぃいぃっ!!
[打ち込まんとするは右手の扇───ではなく、それをも離した右の掌。
吸命の力を込めた、致命の一撃]
[揺れる火の玉は華月斎を包み込み、水気含む蝶をじわじわと削り落として]
─────………
[突き出した右手が法泉に触れんとしたところで、動きが止まった。
ぐらりと身体が揺れ、前のめりに倒れ込む。
くすぶる焔の中、全身を焼かれた華月斎が最期の灯火を消さんとしていた*]
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【人】 機織り 雪客……、お前。 (1) 2014/02/21(Fri) 01時半頃 |
─ 神社近辺 ─
[笛が掠めた手応えは感じたけれど、それは闇を吹き払うには至らなくて。
紡がれる言葉を、どこか、とおく、聞く]
……ほん、と。
ばか、だよ。
……俺も、だけど、さ。
[土がとけて崩れ、こちらも合わせて崩れ落ちる。
意識が遠のきかけている。
目を閉じて、そのまま意識を手放したら、それきりかな、なんて予測がふと過ぎる]
……もっと、ちゃんと。
いろいろ…………いえば、よかっ、た…………よ。
[声を出すのも苦しい。
けれど、言わずに終わるのは──嫌だから。
必死で、掠れる声を振り絞る]
……俺、が。
ここにいられるようになったのは、お前のおかげ、なんだって。
こんなこと、なる、まえ、いっとけば、よか、った、か、な。
いま、さら。だけ、ど。
[そこまで言って、咳き込む。
無茶に力を使い続けてきた反動もあって、そろそろ視界も霞んでいて]
お前が、おんなじ、『時』刻んでくれたから。
ほかのみんなとも、できるようになったんだ、って。
……だか、ら。
なくし、たく、なかった、んだけど、な……。
[そう言って、笑おうとしたのは上手くいったか、どうか。
確かめる術などないまま、ふらり、身体から力が抜けて]
…………ごめ、ん…………な。
[そう、紡いだのを最後に。
声は途切れて、緩く、目が閉じて。
意識はくらい、淵へと沈む。**]
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[光が、きえていく]
あ……
[それが何を意味するか。
考えるより先に、案ずるのはその持ち主のこと]
明にい! 華月さん……!
[意識のみの身では、何が出来る訳でもないのだけれど。
不安と焦りのままに、ただ、駆けた**]
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[喉も焼かれ声すら出ない。
もう肌の感覚も無くて支えられたとも分からなかったけれど、法泉の声が近くから聞こえるのは朧気に分かった。
言葉を返す代わりに、口許だけを微かに笑みの形にする]
(おまえが背負う必要は無いんに……)
(やけど……おおきに、な…)
[弟には生きていて欲しい。
けれど、闇に呑まれてしまうくらいなら、そんな想いもあるから。
友に、届かぬ感謝の念を送る]
[闇を祓えず、闇に喰われ、誰一人として救えない。
誓いは破られ華月斎の意識も闇へと蝕まれていく]
[それを優しく包み込んだのは、宿した力に似た温かな言霊**]
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― 神社付近 ―
[内に宿った僅かな温もりが、消えていくのを感じた。
それは今しがた感じた異変を、裏付けるものでもあっただろう。
その力の持ち主を捜し駆ける内に、闇の星宿すお坊さんと擦れ違う。
傷付き焔に焼かれた姿に視線を落とすが、今は倒れた者への心配が勝っていた。
彼が自身の肉体の在処を目指していた
明、にい……。
[意識のない明之進と、彼を背負う一平太の姿を見付けたのは、それから間もなくのことであった。
死に瀕している様子の明之進に、痛々しげに眉を寄せる。
が、彼の命は完全には絶たれておらず。
そして、自身も傷付き今にも倒れそうな一平太が、それでもどうにか明之進を運ぼうとしているのに気付いて。
力が抜けたように、その場に座り込む]
……良かった。
一にいは。まだ、一にい、か。
[心まで闇に呑まれ、本能のままに相手を喰らった訳ではない。
それを見て取り、僅かながらに安堵を感じる。
生死の狭間にある者のことや、使命を果たせず倒れた銀色のこと、不安な思いが消え去った訳ではないのだけれど]
ごめんな、あたしにはもう、何も出来なくて。
[それでもせめて、明之進の体が落ち着けられるまでは見守ろうと。
立ち上がり、二人の後を追い掛けた*]
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[死後の世界なぞ知る由も無いが、死ねばどこかへゆくのだと思っていた。
或いは天へ、或いは地へ。
或いは、輪廻へ]
………っつー話やなかったん?
[闇に喰われた後、華月斎が居たのは───狸の布人形の中だった]
[狸の中と言っても、目覚めたらそこに居たと言うだけで、外へと出ることは可能。
その気になれば離れることも出来そうだったが、ただたゆたっているだけであれば、人形の傍に戻されるようだった。
己の写し身のような存在になってしまっているのだろう]
四六時中泉水の傍ってどうなん…。
[物凄い微妙な気分になったのは言うまでもない]
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[するりと狸の外に出る。
川辺からは移動して、どこかの家屋に居るようだ。
眼下には法泉の綺麗に剃り上げられた頭が見える。
更にその先にあるのは、かつて同じ鼓動を抱いていた少女の姿]
…………日向になんやする気ぃかおまえ。
[剃り上がった頭をべしべし叩くも、手は擦り抜けるばかり。
ちぇ、と短く漏らし、狸から少し離れて辺りを窺った。
華月斎の爪先からは糸のようなものがあり、その先は狸と繋がっている]
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[気づけば雷門邸の大きな門の上に座っていた。]
……ふむ……終わり、じゃと思うたがのぅ。
[今ここにいる自分に、およそ「肉体」と呼べる何かがあるわけではないことは感づいた。しかし死者の世界と言われるとまだ納得もできない。
里で大量に亡くなったはずの人々の姿も見えないのは単に、宿した星によるものだろうか]
ここに登るのも……何年ぶりだったか……のぅ、雷門や。
[もうどこかに行ってしまったであろう、友の名を呟く]
─ 神社近辺 ─
(しかたない、だろ)
[震える声が紡ぐ、なんで、という言葉
(改めていうには、当たり前すぎて、さ)
[だから。
自分のいきたい道を決めるまでは、言う事もないだろう、と。
そんな風に思っていて。
零れた感情。向けたのとおなじ言葉。
つきり、と痛むような感覚が走るが、いたんだのが何かは、曖昧なまま]
(……なんで、あやまるんだよ)
[そんな事を考える間に、意識は冥き泡沫に沈んで、そして]
[名を呼ぶ声
また、同じ声
それが、近しい気配を感じさせるものと気づいて。
ふわり、意識が彷徨い出る]
…………俺…………は?
[目に入るのは、背負われ運ばれていく、動かぬ自分
…………日向?
[先に聞こえた、声の主の姿。
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[辺りを見回しても、日向は近くには居ないようだった。
同じような状態にはなっていないのか、はたまたどこかへ出向いているのか。
どうしているのかは判ずることは出来ず、もう少し範囲を広げてみようとした矢先]
ぬおおおおおおおお
[何かに引っ張られる感覚を受けて後方へとぶっ飛んだ。
狸自体は日向の身体の傍
くっ……!
なんや今ん力は……!
[狸から離れても繋がっていると知るのはもう少し先]
― 神社近辺 ―
[肉体から意識が離れるところ
明にい……見えるのか、あたしのこと。
[それはつまり、明之進が自分と同じ状態になったということだろう、とも思う。
それに対する言葉が見付からず、しばらく押し黙った後]
ごめん……なんか心配で、追っかけてきた、けど。
あたし、出来ることとかなくって……。
[明之進の身体、そしてそれを運ぶ一平太の方を見る。
一平太への心配と、闇を祓えなかったことへの不安もまた、綯い交ぜになって胸の奥を締め付ける]
ごめんな……。
[他に言葉も見付からず、ただ繰り返した]
─ 神社近辺 ─
[見えるのか、という言葉
押し黙る様子に、きょと、と不思議そうに瞬いた]
……ああ。
[続いた言葉にようやく合点が行って、浮かべたのは、苦笑]
なんで、お前まで謝るかなあ、もう……。
[困ったようにいいながら、手を伸ばす。
頭に届けば、ぽふ、と撫でて]
謝る必要なんて、ないだろ。
多分、言い出したら、きり、ないぞ?
【人】 機織り 雪客― 通りのどこか ― (20) 2014/02/21(Fri) 22時半頃 |
【人】 機織り 雪客
(21) 2014/02/21(Fri) 22時半頃 |
― 神社付近 ―
[ぽふ、と、触れた感触はなくとも、撫でられたことはわかる。
きりがない、という言葉には頷いて]
わかってる。
どうしようもないこととか、多すぎて……でも……。
[ぎゅ、と、胸元を押さえるようにして目を瞑り、俯く]
なんか、悔しいよ。こんなの。
[風の力を宿しはしたものの、何かを為せたという実感もないまま、それは闇に呑み込まれ。
仕方ないと思いつつも、後悔だけは今も燻る]
それに明にいには、二回も助けてもらって――
[その力も今は消えてしまい、凍り付いた身がどうなるかはわからない。
そう思った、刹那]
あ…………!?
[
すぐに意識が戻るまではいかないものの、肉体の鼓動は力強さを増し、氷の温度となりかけた身は再び熱を取り戻しつつあった]
今、誰かが……。
[自宅の、自身の肉体が寝かされた方向を振り返る。
先に擦れ違った坊主の姿は、視線の先にはなかったが――
今この里で動けるのは、闇の星宿す者だけであるのだから。
その内の誰かが、身に力を送ってくれたことはわかった]
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