人狼議事


197 獣ノ國

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【人】 奇跡の子 カリュクス

―白鳥の停車場―

[とす、と軽い音を立てて窓から停車場に降り立つ。
木の葉が土に枝から地面へと落ちるような軽さ。

もちろん、この身体がそんなに軽いわけもなく、
広げた翼が、落下の速度を和らげてくれたのだが。

そうして降り立った停車場はガランとして
見えるは、質素な改札口と明るい紫の電燈のみ。]

  あぁ、本当に白鳥の停車場ですね。

[そうつぶやいたとき、本屋の店主は
その場にいたのか、いなかったのか。

もしかしたらば、列車に乗ったままであったかもしれない。
なにしろ自分は、窓から出てきてしまったから。]

(72) kuromi 2014/10/12(Sun) 10時頃

【人】 奇跡の子 カリュクス

[裸足の足の裏に冷たい石畳が触れる感触。
ときおり小石が肌をつつけば、それすらくすぐったくて

子供のころ母と訪れた公園で、はたまた川べりで
こうやって裸足になっていたことを思いだす。

足首を痛める細いヒールを履くなんて
あのころは想像だにしていなかった。と]

 お母さんは私を許してくださるでしょうか。

[さっき列車で呟いたセリフをもう一度。
なぞるのではなく心を込めて。

呟いたそれには、悲しみよりも
深い決意が込められていたけれど。]

(73) kuromi 2014/10/12(Sun) 10時頃

【人】 奇跡の子 カリュクス

 あの時のカムパネルラも
 こんな気持ちだったのかもしれませんね。

[感じるのは人の姿を捨てた。という後ろめたさ。
けれど、そこに罪悪感はなく。

カムパネルラが子供を助けるために
水に流され體を失ったように

自分もまた自身を助けるために
『必要』なことだった。その思いが胸を占めて]

 この翼は幻想の空だけを飛ぶのなら
 現実の頁は自分の指で
 捲らないといけませんね。

[くすり、笑いながら指先を見る。

あの日、切った跡はもう痛みも消えて
薄い赤い線が走っていた。]

(74) kuromi 2014/10/12(Sun) 10時半頃

【人】 奇跡の子 カリュクス

[薄い赤の走る指で、河原の砂を摘まむ。
サラサラ サラサラ

水晶のように透き通った砂は
一つ一つ煌きながら風に散っていった。]

 ずっと―――このまま

[ぽつり、心に火が灯るのを感じた。

本で読んだ銀河鉄道ならば
どこまでも行ける切符を持ったジョバンニは
現実世界の草原で目が覚めた。

それが何よりも怖かった。
南十字で天に昇るよりも。

もし目が覚めたなら、もし全てが夢だったなら。
そう、考えずにはいられなかった。]

(129) kuromi 2014/10/13(Mon) 20時半頃

【人】 奇跡の子 カリュクス

――――ペラリ――――

[また、頁の捲れる音が聞こえた。

それは、とても近くで。
まるで自分の手元に本があるかのように

そして、あることを思いつき
河原の芒を手に取った。

カリカリ カリカリ

水晶の砂に文字を刻む。]

(131) kuromi 2014/10/13(Mon) 21時頃

【人】 奇跡の子 カリュクス

――たとえ飛べなくても

    止まる枝は自分の脚で――

(132) kuromi 2014/10/13(Mon) 21時頃

【人】 奇跡の子 カリュクス

[たったそれだけ、短い文を書き終えると
芒を地面に河に浮かべる。

緩やかな水に乗り、芒が流れて行くのを
しばらく見送っていたが。

やがて完全に視界から消えたことを確認すると
列車へと戻って行った。

まだ旅は続く*]

(133) kuromi 2014/10/13(Mon) 21時頃

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