308 【R18】忙しい人のためのゾンビ村【RP村】
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いつか救援がくるのではないか
あるいは、治療薬ができるのではないか
(#0) 2020/10/26(Mon) 00時頃
明日も見えぬような景色の中でも、
そんな僅かな希望を抱き、耐え忍び、
生き延びていた人たちが世界中にいた。
(#1) 2020/10/26(Mon) 00時頃
――― 4日後。
(#2) 2020/10/26(Mon) 00時頃
混乱と荒廃の果てに、
あなたたちを待ち受けていたものは、果たして、 **
(#3) 2020/10/26(Mon) 00時頃
[ そのあとしばらくして、
ジャーディンは静かに立ち上がり、
覚束ない足取りで部屋に帰っていった。]
[ 少し前からいずれ止まるだろうと警戒して、
できるだけ水を貯めてはいたけれど、
無尽蔵に使えるわけではなくなってしまった。
あの日以来、
わたしたちはまたわずかな食糧で、
糊口をしのいでいる状態だった。
できるだけ長く生きるために。
今あるもので、できるだけ長く。]
[ 平和的に過ごしている理由は、
それだけではなかったわ。
ジャーディンが降りてこなくなったの。
一日中、犬たちのいる部屋で過ごしてね。
毛布を一枚持ち込んで、
お手洗いに立つ短い時間以外、
部屋の壁にもたれかかるようにして、
じいっとその場を動かなくなってしまった。
食事の時間になるたびに、
わたしはあの子の分を部屋まで運んだ。
それから、時折犬にエサをやるときも。]
[ もうとても毎日はやれなかったけど、
残り少ないエサをたまにやっていたのね。
それは必ずしもわたしの役割ではなくて、
部屋にいるあの子に任せてもよかったけど、
たぶんわたしはあの部屋に行く理由がほしくて、
度々エサをやりにいっていた。
わたしがエサ皿にフードを流す間、
ジャーディンは何一つ見逃すまいとするように、
じいっとこちらに視線を注いでいたわ。
そんな状態だったから、
誰もそろそろ≠ネんて言い出せずにいた。]
[ 日に日にチビちゃんたちの口数が減って、
大人たちも塞ぎこむことが増えた。
お隣の息子さんはしきりに、
外へ出ようとご主人に訴えかけてたわ。
また何か見つけられるかもしれない。
また何か捕らえられるかもしれない。
その可能性に縋っているようだった。
あの手この手でそれを躱していたご主人が、
その日、ついにわたしの元へやってきたの。]
わかっているでしょう。
もう、次の手を打たなくては
[ それが何を意味しているかなんて、
火を見るよりも明らかだったわ。*]
[ 扉を開けたわたしを、
あの子はじいっと見つめていた。
何も言わずに、ただわたしだけを。]
……ジャーディン、
[ 犬たちと寄り添いあうようにして、
ジャーディンは足を投げ出していたわ。
切れ長の目はこちらを向いていたけど、
そこにあまり力はなかった。
どこか気だるげにも見えたのね。
緩慢な動作で傍らの犬の毛を梳きながら、
それでもあの子はゆっくりと口を開いたわ。
平坦でいて咎めるような声色が、
はっきりわたしに向けられているのが分かった。]
[ ああ、ジャーディン。
あなたはこのまま死ぬほうがマシだというの?]
ジャーディン、わたしは……、
[ わたしは……何と言いたかったのかしらね。
あの子に何を伝えたかったのかしら。
あなたに生きていてほしいってこと?
それを伝えることに意味があるかはさておき、
確かにそれはわたしの最大の望みだった。
あの子が望むと望まざるとにかかわらず。
けれどね、
わたしがそれを口にすることは叶わなかった。
しびれを切らしたお隣のご夫婦が、
様子をうかがうように部屋の中に入ってきた。]
[ この間のように、
わたしが犬を連れだす算段だったのね。
けれどわたしはちっとも出てこないし、
あの子が部屋に居ついていることは、
当然彼らも知るところであったから、
自分たちで直接説得しようと思ったのかも。
とにかく、彼らは部屋に入ってきて、
それでもあの子はわたしを見つめていた。
視線ひとつとして揺らすことなく、
ただ、わたしの答えを待つようにして。]
[約15日。
二週間と一日。
土日がたったの二回きり。
世界がこうなるのにかかった時間。]
[あれから俺は何度か元帥と外に出向いて
無い食料を探してはゾンビを殺し続けた。
ちょっと昔のホラーゲームに
主人公が永遠にゾンビを殺すエンドがあったけど
ちょうどそんな風に、どこからともなく沸き続ける連中を
殴って殴って殴り続けた。
都内ってこんなに人住んでたっけ。
こじんまりしたかつての首都の中に
滅亡とゾンビがみっしり詰まってる。]
[元帥は相変わらず
何事にも関心がなさそうな冷たい目をしてたけど
たまにゾンビを殺す俺を複雑そうに見るようになった。
聞いてみたら、元帥もまた、
ゾンビになった恋人を殺したんだそうな。
俺にシンパシーでも感じてんの、と笑ってやったら
そんなわけねえだろ、とそっぽを向いていた。
へんなやつ。]
[ショッピングモールの中で
元気に遊んでた子供たちが倒れだす。
大人も動くことが減った。
「このままじゃもう保たない」と叫んで
バリケードの外に出ていこうとした男が
ゾンビの襲撃を恐れた人間たちに撲殺された。
限界がすぐそこに来ていた。
崩れるのはあっという間だ。
俺の楽しい大学生活が
ゾンビに侵された時のように。]
[――だからその日は、ほんとにあっけなくやってきた*]
[ 犬たちがけたたましく吠え出したの。
はじめは一匹。呼応するように次々と。
普段はそんなことなかったのよ。
そりゃ来客も少ない家だったから、
彼らを刺激するものも少なかったけど。
それにしたって、
思わずその場にいる誰も硬直するくらい、
尋常じゃない勢いだったの。
わたしたちは揃って数秒間、
あっけにとられたように固まっていたわ。
ジャーディンでさえ心底驚いた様子だった。]
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