298 終わらない僕らの夏休み!
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墓
少
霊
全
レイに3人が投票した。
オスカーに2人が投票した。
レイは村人の手により処刑された。
時は来た。村人達は集まり、互いの姿を確認する。
犠牲者はいないようだ。殺戮の手は及ばなかったのだろうか?
全ての人狼を退治した……。人狼に怯える日々は去ったのだ!
[ 9月1日23時59分59秒。
この世に表示されている様々な時刻が
9月2日0時0分0秒に切り替わった。 ]
(#0) 2019/09/10(Tue) 00時頃
ワタルは、スイカ食べながら起きた…おはよう。
wallace 2019/09/10(Tue) 10時頃
ワタルは、……みの?みよ。
wallace 2019/09/10(Tue) 13時半頃
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─ 最後の9月1日・BBQ ─
[宍井が先輩と話している。岸と鹿崎が焼けた肉を配ってる。 俺はそこに呼ばれては皿の上に肉や野菜を乗せられて、何故かやたら気兼ねのないこの連中にいつもなら…何か、嫌だとか、怖いとか、不気味だとか。そういうことを思うんだけど、今日はなぜだかそんなこともなくて。肉が美味いからだろうか。 鉄板を燃やし続ける火の熱も、蒸し暑い日なのに嫌ではなかった。焼きすぎた野菜が燃え上がったときは心臓が止まるかと思ったけど。]
(0) higesorry 2019/09/10(Tue) 20時半頃
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[だから、俺はバーベキューの途中で抜け出したりはしなかった。 解散後は何人かでどこかに移動するみたいだった。何か橋の方に行く、とか言ってたけど。俺やその他の何人かは水難の相…が出てるからダメらしい。変な奴らだ。
だから俺たちは途中で別れることになった。道の脇にはずらりと並んだ祭りの幟がはためいてる。]
(1) higesorry 2019/09/10(Tue) 20時半頃
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[帰り道、遠い祭り囃子といつもよりにぎやかな町の物音に乗せて他のメンツが話す声が後ろをついて歩く俺にも聞こえてくる。
「俺、宍井にお祭り誘われちゃった。」
声の主は、確かにさっき宍井と話していた先輩だった。先輩はキャ、と照れたのを茶化すみたいに報告した後に「でも断っちゃった」と続ける。その後はなにか理由みたいなのをつらつらと話していただろうか。俺は「そんなこともあるんだな」と思った。
もちろんそんなのは俺にとって他人事だ。
─…他人事のはずなのに。]
(2) higesorry 2019/09/10(Tue) 20時半頃
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俺、ちょっと。
[一言だけ。特にグループを離れる理由も、まして離れると報告する必要もないだろうと思った。そもそも理由とかはないんだ。ちょっと、ここに居たくなくなっただけで。
だから本当に小さく声を掛けて道を引き返す。気づいた奴から順に、まばらに挨拶を返してもらえたからそれに会釈とかを返しながら1ブロックほど歩いた。
グループから十分距離が出来た頃、スマホを取り出した。 まだBBQの煙のにおいが鼻に残ってる。]
(3) higesorry 2019/09/10(Tue) 20時半頃
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[どうしてそうしたのか。 俺にはわからなくて、ただ宍井が傷ついているんじゃないかって思って、だからなんなんだっていう話なんだけど、俺にはそれがどうしても気になって。
脳裏に浮かぶのは、見たこともないような、小さく背中を丸めた宍井の姿で 服を引っ張るみたいな重みが、錯覚なんだけど 消えなくて
我ながらキモすぎると思ったけど。
『祭り行こう』
『嫌じゃなければ』『キモくなければ』『変な意味じゃなく』色々書き足そうとしたけど無駄だと思ってその一文だけ。 ……困らせるだろうか。まあいいか。]
(4) higesorry 2019/09/10(Tue) 20時半頃
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[そういう気分になった奴が、 一人でも居たと思ってくれりゃ、それでいい。**]
(5) higesorry 2019/09/10(Tue) 20時半頃
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[ まさか9月2日が巡ってくるなんて、 本当の本当に千早は知らなかった。]
(6) nabe 2019/09/10(Tue) 21時頃
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[ BBQは成功だった。と、思う。
秋山先輩は来てくれたようだった。 手分けして誘った人たちも。
出口先輩が張り切った様子で、 安住先輩が取り分けに気を回している。
食材の焼けるにおいが漂って、 立ち上る煙が時折ひどく目に沁みた。]
(7) nabe 2019/09/10(Tue) 21時頃
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[ それから、叶い橋のほうに行こうって。 そこで千早は確かに願い事をした。
明日がやってきますように。 9月2日を迎えられますように。って。
けれど、きっと明日も同じ繰り返しの中。 ──って、少し投げやりに1日を終えたのだ。]
(8) nabe 2019/09/10(Tue) 21時頃
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──9月2日──
[ 癖のようにいつも通りの時間に目が覚める。
焦りもなく、ブランケットの中から手を伸ばし、、 億劫ぶった手つきでスマートフォンを取った。
液晶を数度タップすれば、 日時表示が液晶に浮かび上がる。
ベッドの上でその文字列を読み取って、 千早はがばりと勢いよく身体を起こした。]
(9) nabe 2019/09/10(Tue) 21時頃
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[ ”9月2日”の文字は、 指でこすっても消えない。
コートハンガーにかかった制服は、 かすかに煙たいにおいがする。*]
(10) nabe 2019/09/10(Tue) 21時頃
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― 5回目の9月1日 ―
[揺れた鉄板は(>>4:151)、倒れることもなく。 オレは大量の肉を平らげたンだ。]
(11) fuku 2019/09/10(Tue) 22時頃
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満足だわ。超腹いっぱい。
[たとえオレに明日が来なかったとしても、きっと、『満足だ』。気持ちに変わりはない。]
(12) fuku 2019/09/10(Tue) 22時頃
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…………って、えっ?
(13) fuku 2019/09/10(Tue) 22時頃
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9月、2日…………?
―9月2日―
[オレはまた、知らない間に布団に横たわっていたんだ。 そしてカレンダーの日付を確認した時の、情けない声。我ながら、カッコ悪い声である。]
(14) fuku 2019/09/10(Tue) 22時頃
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オッ、オフクロっ!今日って『9月2日』だよなっ!!?
[階段を降りて確認する。 オフクロは眉間に皺を寄せて、『なに寝ぼけてンだい、今日から学校だよ。早く準備しな』と返す。]
(15) fuku 2019/09/10(Tue) 22時頃
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『ループ』は、終わったンだな…………
[静かに胸を撫で下ろすオレ。 けれども、オレは聞きたくねェニュースを知ることになっちまうンだ…………**]
(16) fuku 2019/09/10(Tue) 22時半頃
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─ 最後の9月1日 ─
[生きてるフリをするあたしは、 9月2日0時時点をもって居なくなった。]
(17) gekonra 2019/09/11(Wed) 14時頃
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[9月1日のあたしのことを、みんなが覚えているとも限らない。あんなに皆に手伝ってもらったにもかかわらず、秋山先輩だって忘れたかもしれない。
家に帰っても、親にはあたしは見えていなかったわけだし、なかったことになるのかもしれないと思う。
結果がどうなるのか?
もちろん、9月2日の人たちにとっての、見た通りの世界になってるだけだろう。
そこにたどり着けなかったあたしには分からない。]
(18) gekonra 2019/09/11(Wed) 14時頃
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[あたしだって今日のことを憶えているかどうか。
死人の脳はもう動いていない。 あたしの存在はとっくに終わっていて、あたしの未練がどうにかできたって、死者というものに「浮かばれる」なんてあるとも限らないでしょう?
「また会おうね」なんてあたしという人生は颯成に声をかけることになったのだけど、あの世の有無をあたしは知らず、魂がこの世に在り続けているとも分からない。
だから、あたしは死んだ時点で終わっている。 死んだあたしに刻まれるものなんてない。 なにもかもがあたしのなかで無くなっていく。 あたしはそう思っている。]
(19) gekonra 2019/09/11(Wed) 14時頃
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[こんなに繰り返しておきながら、 あたしにとって無意味じゃあんまりかな?
けれど、あたしはあたしに自信がない。 ……こんなに短いあたしの命が、誰かにとっての何かになったなんて思うのは、おこがましいでしょう?
ああ、セミが鳴いている。 体を震わせ、大きな音を出している。]
(20) gekonra 2019/09/11(Wed) 14時頃
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─ 最後の9月1日:夕刻過ぎ ─
[秋山先輩が溺れるはずの時刻、〇時を乗り越えた後まで全員が一緒にいた。それがどれほど状況に役立つか、全員にわからないことだったけど。川には近づくなと言い聞かせて解散する。
あたしはすこし気落ちしていた。 誰か事故にあったわけでもなし、あたしが想像通りあっさり秋山先輩に断られただけのことだ。 落ち込んでいることを隠すことは難しくなかった。普段通りに出来るだけ落ち着いているよう我慢をした。
あたしたちはみんなで叶い橋に向かっていた。 橋の欄干のそばに並んで、各々が紙に書いた願いを投げ入れた。
夜が始まろうとしている。 9月1日の残りが、4分の1程度になろうとしていた。]
(21) gekonra 2019/09/11(Wed) 14時頃
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[スマホが震えた。 あたしはメッセージを確認する。
『祭り行こう』とだけ、あった。
………
―――、あたしは、 ただそれを見てこっそり泣きそうになっていた。
秋山先輩から聞いたのだろう。 彼にとってはきっと、なんて事ないことだ。あたしが黙っているのも、あたしが格好悪いからってだけ。 根岸はきっと、何も知らないだろうに、気を使ってくれたらしい。(>>4)]
(22) gekonra 2019/09/11(Wed) 14時頃
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[泣きそうで鼻の奥が痛むのを隠していたので、挨拶は短かくなってしまった。 寄るところが出来たので行きますと声をかけ、叶い橋を渡った。歩きながら根岸にメッセージを送る。
『いいよ、神社いくね』 ]
(23) gekonra 2019/09/11(Wed) 14時頃
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─ 最後の9月1日:神社 ─
[神社で落ち合ったら、どんな事を聞いてもらおう。
秋山先輩に聞いたでしょ?とか。 ホントは浴衣着たかった、とか。 おなかいっぱいで食べ物は食べられないね、とか。 お祭りといえばはどれ?とか。
したかったこと、話したかったこと、なんでもいいんだけど 思い付くのは、他愛ないことばかりだった。**]
(24) gekonra 2019/09/11(Wed) 14時半頃
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─ 9月2日 ─
[その日学校に宍井澪は来なかった。]
(25) gekonra 2019/09/11(Wed) 14時半頃
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[担任教師が電話をしたところ、しばらく誰も電話に出ず、何度目かの連絡でようやく母親が出たという。娘が体調を崩してといるというので話をきいたところ、話は二転三転し、話声も妙だったので、不審に思った教師は、家へ様子を見に行く事にした。
教師を帰そうと母親が出てきた時に、開いた扉からは異様に冷たい空気と、悪臭が感じ取れたことが切っ掛けだった。
いくら家を冷やしてみたところで、冷蔵庫のなかでも食品は腐る。死んだ生き物は放置すれば基本腐敗する。
徐々に膨らんできた宍井澪に、恥という理由だけで黙ったきりだった彼らもまた、参っていたのだろう。 彼らにとっての恥はその後『娘が死んで正気じゃいられなかった』という悲劇に変更された。
宍井澪は『8月にとっくに死んでいた。』**]
(26) gekonra 2019/09/11(Wed) 14時半頃
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−9月11日−
[延長された俺の夏休みも終わる。 停学明け前日。俺は軋むベッドの上に身体を起こした。俺はあれから毎朝、あの夏休み明けを思い出そうとしている。たかが十日ほど前の記憶が、なぜか霞がかったようにもどかしい。
あの日、俺の思い出す学校は忙しなかった。 無理もない。在校生に死人が、しかも二人も出たんだ。
告げる教師の声に茫然自失したはずの俺は、ふと気が付けば、クラスメイトの一人を殴り倒していた。心無い噂話を口にしたそいつに、俺は無言で殴りかかったのだとは別の友人の証言。]
(27) mononoke 2019/09/11(Wed) 21時頃
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[そう。俺は少し友人が増えた。 漢気だとか、正義感だとか、増えた友人は俺にそんなものを見出したらしい。だけど、俺の中の冷笑的な俺が新しい友人を蔑むように嗤う。俺はそれを押し殺して、こうやってスマホで友達付き合いを始めている。そうさ。俺はただその噂話を聞きたくなかっただけなんだろう。俺には俺の記憶から消えた俺の気持ちが解った。]
(28) mononoke 2019/09/11(Wed) 21時頃
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首洗って待ってろ。 ついでにおパンツも洗って待ってろ
[寝ている間に受け取った他愛もないメッセージに、俺はおざなりに、けれどお似合いな、やはり他愛もない返信を打ち込んだ後、その末尾にクマのスタンプを一つ添える。俺の中の俺の一人が、そのスタンプを使うたびに渋い顔をする。
そのスタンプの由来を俺は知らない。 なぜこのスタンプを俺は使うのか。俺は俺にいつも問いただすが、答えは返ってこなかった。俺は俺に舌打ちを返して引き下がるしかなかった。]
(29) mononoke 2019/09/11(Wed) 21時頃
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はよ…
[自室から出て朝食を食いにキッチンに顔を出すと、父親は出勤前の新聞を読んでいた。両親は俺が停学になった理由を聞いてから、俺に何も言わなかった。]
おひとよしめ…
[俺はそう苦笑せざるを得ない。やがて席に付こうとした俺に、母親は無言で俺に花束を押し付けた。小菊の花束。俺は俺達と一緒に溜息を付いて、頷いた。**]
(30) mononoke 2019/09/11(Wed) 21時頃
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ワタルは、おばんでーす
wallace 2019/09/11(Wed) 22時頃
ケントは、シャーコシャーコ…
mononoke 2019/09/11(Wed) 22時頃
ワタルは、逃げ出した
wallace 2019/09/11(Wed) 22時頃
オスカーは、ワタル先輩たちを追って逃げ出した(カサカサ……)
mmsk 2019/09/11(Wed) 22時半頃
ケントは、急に向きを変えてソウセイを追い始める俺(カサカサ……!)
mononoke 2019/09/11(Wed) 23時頃
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― 夏休み・某日 ―
[家でいつも通り受験勉強をしていると、電話が鳴った。家には誰もいないみたいだから、部屋にある子機で出ると学校からだった。
どうやら、今朝方新聞で報じられていたニュースのひとつで、亡くなった人物がうちの学校の生徒らしい。]
まじすか
[しかも俺のクラスの女子ときたもんだ。流石に身近な人の死というのは驚くし、ショックを与える。 女子の名を聞けば、あーー…エミ達といっつも一緒の、と、心の裡で言う。雛子は、うまいこと溶け込んでて若干印象薄めの位置をキープしている印象を受けていた。]
……、はい、 …ぁー。はい。わかりました。
(31) wallace 2019/09/11(Wed) 23時頃
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[新学期、先生方からの挨拶もあるが、生徒会長としての挨拶が予定されている。故に、――先に心の準備と、なんかソレっぽい事を言わせるために電話が来たのだった。]
雛子…確か、就職決まってたのにな
[世の中うまくいかねーな、って俺は心で思った。 でも次の瞬間俺は、さーて、何て言うといいのかな、と挨拶の内容を考え始めるのだった。
ちゃんと挨拶を考えていたはずなのに、9月1日のあの日だけは その事も全てさっぱりと忘れてしまっていたのだった。]**
(32) wallace 2019/09/11(Wed) 23時頃
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墓参る。
[俺はあのBBQの時にチャットグループに登録された後、ろくに参加をしなかった。そこに唐突にメッセージを入れる。何故だろうか。このグループに居るメンバーの顔を思い出すたびに、俺の脳裏には"ループ"という言葉が浮かぶ。そしてそれを必死に掻き消す、俺の中の俺。]
(33) mononoke 2019/09/11(Wed) 23時半頃
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うん… ひさしぶり…… 寂しいな。やっぱり………
[宍井家と書かれた墓石の前。 手にした花束の半分。それを既に供えられた、まだ真新しい花束の隙に無理矢理押し込んだ。]
宍井… 俺…何か忘れてる気がするんだ。なんなんだろうな。
[ひととおり祈りの真似事をした後、 俺はそう呟いて、宍井の墓前を後にした。**]
(34) mononoke 2019/09/11(Wed) 23時半頃
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『カキーン』
(35) fuku 2019/09/11(Wed) 23時半頃
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[最後は(>>0:23)、いつもあっけないモンだ。
野球の試合も、人生も。]
(36) fuku 2019/09/11(Wed) 23時半頃
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…………ヒナコ。そう、か。
[オフクロから聞いたのは、ヒナコが事故で亡くなった、ということだった。 同じ中学の高校生が亡くなったという話は聞いていたらしいが、まさかヒナコだとは思わなかったらしい。 経緯とかもウダウダと話していたが正直オレの足りない頭の中には入っていく余地はなかった。
『ヒナコが死んだ。』 オレの頭の中に残っていたのはこれ、だけだ。]
(37) fuku 2019/09/12(Thu) 00時頃
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なおのこと連れてってやりたかったな、甲子園。
[オレは9月2日もどこかぼんやりとしたままで長い校長の話を聞き流していた。
好きで交通事故に遭いに行くヤツなんかいねェつーの。]
(38) fuku 2019/09/12(Thu) 00時頃
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『でさー、ヒナコが事故にあったのってアレでしょ?遊んでた男の逆恨みとかでしょ絶対』 『やだマジうけるんですけどーヒナコビッチのままじゃ死ねないー』
[廊下で耳にした一言に一瞬で目が醒める。]
(39) fuku 2019/09/12(Thu) 00時頃
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『ドンッ』
(40) fuku 2019/09/12(Thu) 00時頃
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悪ィなァ。季節外れの蚊がプンプン五月蝿くてよォ。 つい壁ドンしちまったけど許してくれよな。
[思わず『利き手』を使ってしまったことは反省している。カッとしたからって冷蔵庫にワンツーを叩き込む外国人投手並みだ。 連れのギャルが『ハァ!?あり得ないんですけど』とかギャーギャー騒いでるので、]
(41) fuku 2019/09/12(Thu) 00時頃
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アイツがお前に何してたか知らねェが、死んでもなお咎めようっつー根性がオレからしたらありえねーわ。
[まだ何か言ってるが正直どうでもいい。 ヒナコはぶっちゃけこれ以上は望んでねェだろ。自分を納得させて、クラスメートの所に行く。]
(42) fuku 2019/09/12(Thu) 00時頃
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安住悪ィ、ちょっと手が痛ェから早退するわ。 ティーチャーに伝えといてくんね?ティーチャーに。
[そういってカバンを持って昇降口へ歩いていく。]
(43) fuku 2019/09/12(Thu) 00時頃
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[行き先はヒナコの家。オレはオレで、*蹴りをつけにいくつもりだ。*]
(44) fuku 2019/09/12(Thu) 00時頃
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─ 9月2日:自宅にて ─
[シーツの上で身を捩る。 いつものように目覚ましのアラームが鳴る前に目を覚ました。 肌にじっとりとパジャマが張り付くほどの、ひどい寝汗もいつも通り。 朝が弱く、頭に靄がかかったようにうまく働かないのも。 どうしようもないくらいにいつも通り。 だから、スマートフォンに表示された日付とか、昨日片付け忘れたアイスのカップがそのままになっているとか、卓上のカレンダーが9月になっているとか、そんな当然の事に違和感などを抱く事なんてなくて。 汗をたっぷりと吸ったシーツとパジャマを洗濯機に投げ込んで、シャワーを浴びて登校の準備を始めた]
(45) sizu 2019/09/12(Thu) 00時半頃
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― 9月2日:奏生橋・朝 ―
[私は朝というものがあまり好きではない。 かといって、昼や夜が好きかと言われればそうでもないが。 昔は、一人で迎える夜の方が怖かった気がする。 今は朝が怖い。 いや、怖かった……そのはずだ。 制服を着て、普段見ないニュースを見て、ポストから回収した新聞の日付を確認して。 なんだかほっとした気分になったのはどうしてだろうか]
[橋の中腹にたどり着き、欄干に身を寄せる。 川面に映る制服姿の自分を見下ろす。 今日も代り映えのしない姿だ。 制服なんて久しぶりに着たはずなのに、そんな風に思った]
(46) sizu 2019/09/12(Thu) 00時半頃
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[朝のメランコリックな気分が薄れているのは、昨日、9月1日のおかげだろうか。 お祭りに行って、花火をして、プールで泳いで、BBQをした昨日。 ……一日でそんなにイベントをこなすほど、行動的だっただろうか。 確か、メンバーは同学年の会堂くん、秋山くん、出口くんと学校の後輩である根岸くん、鹿崎くん、岸さん。それと、大須賀さんちの颯成少年。 ……私の交友関係はそんなに広かっただろうか。それに、何かが足りない気もする。 よくよく考えると、スーパーで炊き込みご飯ときんぴらと揚げ出し豆腐を買って、ただ勉強をしていただけのような気もするから不思議なものだ。 ……どうしてその組み合わせを選んだんだっけ]
[そんな物思いに耽っている場合ではない、学校へ向かわなければ。 流石に遅刻と焦るような時間でもないが。 スマートフォンを確認する。 その画面には、誰からもメッセージは届いていない。 ただ当然のように、*今日が9月2日であるということを示しているだけ*]
(47) sizu 2019/09/12(Thu) 00時半頃
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─ 最後の9月1日・夕刻過ぎ ─
[どうせ断られるだろうと思ったから、 特に言い訳もしなかった。 おかしなことをしたと思う。何の気の迷いなのか、自分でもよくわからない。
だから、こんな奇行なんかさっさと忘れようと思った。]
っはぁぁ……
[けど、宍井からの返事は俺の予想とはかなり違っていた。(>>23)]
(48) higesorry 2019/09/12(Thu) 04時頃
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─ 最後の9月1日・神社 ─
[宍井から返事をもらって、自分から誘っておいてまさか本当に行くことになるなんて想像もしていなかったということを自覚した。祭りなんて、何年ぶりだよ。
『神社いくね』そう返事を受け取ったからには神社で待っていたほうが当然良いだろうと思って、俺は石段の辺りで待つことにした。さっき別れた連中と鉢合わせる可能性もあるだろうか、いや、いいんだけど…なんか嫌だったから少し迂回する道を選んで神社に到着して今に至る。誰にも会わなきゃいいけど。特に鹿崎なんかに見られた日には格好のおもちゃだ。]
(49) higesorry 2019/09/12(Thu) 04時頃
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…よお。
[宍井が向こう側から歩いてくる。まだ俺に気づいてない。それがなんだか気恥ずかしい気がしてきて一度気づいてないふりをして声を掛けられるのを待つかとも思ったけど。 片手を挙げて声をかける。思ったより俺の声は小さかったから、聞こえなかったかもしれない。 けど、俺に気づいた宍井がこちらに駆け寄ってきたから、やっぱりなんだか慣れなくて。]
なんか、ごめんな。いきなり。
[気味悪かったろ。俺もそう思う。]
(50) higesorry 2019/09/12(Thu) 04時頃
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[到着した宍井とは、歩きながら他愛もない話をした。(>>24)
他愛もない話をしたら、少し宍井のことを知った。 当たり前の仕組みだとわかるのに、どこか新鮮な気持ちで、 それが居心地悪く感じるような気もして、くすぐったかった。
秋山先輩のこと。 浴衣を着たかったってこと。女子は大変だと思った。 俺は焼きとうもろこしのニオイに負けて とうもろこしを買ったし 宍井はもう食べられないと言ってた。 お祭りと言えば、という話になれば俺はお祭りに思い出があまりないという話もしたし、ガキの頃に航と来て、俺は親に「高いから」という理由で何も買ってもらえなかったんだけど、航の持ってたヨーヨーが羨ましかったという話も、少しだけ。]
(51) higesorry 2019/09/12(Thu) 04時頃
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…ヨーヨーだけ、買ってみていい。
[許可なんか取る必要もないんだろうけど。 夏に、祭りに浮かれたような奴らの空気は今だって全然好きじゃないしそうなりたいとも思わない。けどこれくらいはセーフってことにした。 宍井が頷けば、俺は水色の水風船をすくい上げて、それをもらう。 あまりにも俺が楽しくなさそうだったんだろう。テキ屋の兄ちゃんは俺に怪訝な顔をしていたし、宍井にはにこやかにしていた。俺はそれが少し怖かったし、ちょっとむかついた。]
(52) higesorry 2019/09/12(Thu) 04時頃
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…ん。
[特に何の理由があるわけでもないけど、さっき掬った水風船を宍井に差し出した。 俺はそれが欲しかっただけで、欲しくはなかったから。 宍井がそれを欲しいかどうかは知らないけど、なんとなく渡したかった。]
………ほら、あれ。 …がんばったで賞…的な。
[全然それを良いものだと思ったことはない。がんばったで賞。馬鹿にしてんのかとすら思う。けど今はそれ以外に思いつかなくて、俺はそう言った。本当に、そう思ったから。**]
(53) higesorry 2019/09/12(Thu) 04時頃
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|
[ 千早がすべてを知ったのは、 夏休みが終わり、数日経った日のことだ。]
(54) nabe 2019/09/12(Thu) 21時頃
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[ ……嘘。全部なんてわかっていないのかも。]
(55) nabe 2019/09/12(Thu) 21時頃
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──9月2日/全校集会──
[ ぱちん。 ──と、一度瞬きをしたきり、 千早はどうしたらいいのかわからなかった。
壇上では先生が深刻そうに話をしていて、 かと思ったら、生徒会長が挨拶をしていた。 夏休み明けの全校集会でのことだった。
瞬きの間に入れ替わったのなら、 とんでもない早業だわ。なーんて。
亡くなった。とされる生徒の名前に、 千早は確かにふわふわの優しい色の髪と、 同じく優しげな顔立ちを思い浮かべて、
……それから、ええっと。 確かに、確かにそれだけじゃない何かを。]
(56) nabe 2019/09/12(Thu) 21時頃
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[ なのに。
隣に立っていたクラスメートが、 ちょっとアンタ制服煙くさいよって。
場違いなことを千早に囁くもんだから、 千早は、我に返ったようにそちらを向いた。
意識をその場に帰すかわりに、 頭の中で膨らみかけていた何かが、 ぱちんってはじけた。シャボン玉みたいに。
だからね。だから……、 千早はすこうし混乱している。
今朝、あんなに慌てて飛び起きたのは、 一体どうしてだったのかしらん。]
(57) nabe 2019/09/12(Thu) 21時頃
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[ はじけちゃったものが何かなんて、 もう千早にはわかるわけもないから、 当たり前のように日常を過ごしたの。
放課後、1年生エリア的な廊下に、 千早はあの人の姿を見つけて、駆け寄った。 目配せで呼ばれた。って思ったものだから。
連絡先も聞いてないし、 下駄箱もどれかわからなくて。 1年生ってことは知っていたから。
って、あの人は言って、 他に方法がないからってわざわざ出向く、 そういう人の好さが、千早は好きだった。]
(58) nabe 2019/09/12(Thu) 21時頃
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[ 結論から言えば、千早は謝罪を受けた。
「 よく知らないから 」「 ごめん 」
──というのがおおよその内容で、 千早は別に、傷つきはしなかった。
脈があるなら、その場で引き留めるなり、 夏休み中にどうにか連絡を取るだろうし、
脈ナシとなると、きっとこの夏休みは、 あの人にとってももやもやする夏だったろう。 なんだか悪いことをしたな。って千早は思う。
それから。 嫌い。って言われたわけじゃないもの。 と、千早は何度か心の中で唱えてみる。]
(59) nabe 2019/09/12(Thu) 21時頃
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[ その晩、千早の恋を唯一知っている人に、 『 ごめんって言われちゃいました 』って。
メッセージを送ってみたりしたんだけれど、 返事が来たら『 まあ嫌いとは言われてないんで 』って、 強がってみようって心に決めてたんだけれど、
返事が来ないな。ってスマホを握り締めたまま、 千早はすっかり眠りこけていたらしい。
それが、千早の夏の終わりだった。]
(60) nabe 2019/09/12(Thu) 21時頃
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[ 神さまや運命への八つ当たりってやつだけど、 予行演習をさせたなら本番の舞台も与えるべきだし、 練習不足の千早をいきなり本番に投げ込むのはずるい。
……と、千早は思って。たぶん。思ったのかしらん。 ごめんなさいをぶつける相手もいなくって、 きゅっと掌に爪を立てるように握り締めたとき、
頭の中でまた、ぱちん。って音がする。
驚いたように、ぎゅっと目を閉じて、 ゆっくりと瞬きをしたそばから、
特に理由のない涙がつうっと零れて、 千早は変なの。って思って、それを拭う。]
(61) nabe 2019/09/12(Thu) 21時頃
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[ 澪先輩が死んだ。
──って、千早も聞いて、 一度だけメッセージを確認したのだ。
いつまで経っても既読がつかなくって、 千早はこの恋を終わらせられないまんまでいる。**]
(62) nabe 2019/09/12(Thu) 21時頃
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サミュエルは、マジ泣きだもの…
higesorry 2019/09/12(Thu) 22時頃
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― 9月2日 ―
[朝、目覚ましが鳴り目を覚ます。いつも通りの時間だ。 今日の準備を終えた鞄と、昨日まで解いていた赤本とノートが机の上にある。
そう、俺は昨日は…夏休み最後だから、勉強をしていたはずだ。疲れていたのだろうか、記憶がそれくらいしかない。
身支度を終えてリビングに降りると、仕事へ向かうスーツ姿の父親といつも通りの母親が、おはよう、と言ってくれた。
「昨日の祭は楽しかったか?」 と、父親が言って来た時、―― …?一寸だけ、記憶を辿る間と疑問符が浮かんだ。覚えていない。そう言う事が有り得るのだろうか、と、考えるが、なんとなく疲れていたんだろう、で解決して、「それなりに。息抜きにはなったかな。」と返しておいた。父親は根岸家でしこたま酒を飲んできたのか、ちょっと二日酔いっぽく見えた。だらしないな、と心の裡で思う。]
あれ
[机の上に、小さなブーケみたいな花が飾ってあった。 俺は、毎年9月の頭に母親が花を買って来ている事をよく知らない。その理由も―――知らない。]
(63) wallace 2019/09/12(Thu) 22時半頃
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[気付きはしたけれど、特に花について言及はしないまま、朝食を取る。どうせ誰かから貰ったとか、綺麗だったから買っただろう、と、母親との余計な会話を避けるため、花を見つけるだけで済ます。]
…、…
[ああ、でも] [教室に行けば、雛子の机の上に]
―――…
[同級生でクラスメイトである彼女の死を思い出し、少しだけ瞳が細くなる。]
(64) wallace 2019/09/12(Thu) 22時半頃
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* * *
(65) wallace 2019/09/12(Thu) 22時半頃
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『次に、生徒会長の会堂航より新学期の挨拶です。』
(66) wallace 2019/09/12(Thu) 22時半頃
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ワタルは、壇上に上がると生徒に一礼をしてからマイクに向かう
wallace 2019/09/12(Thu) 22時半頃
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みなさん、おはようございます。 みなさんにとって、この夏休みはどういう夏休みでしたか?
夏休みの前、僕は、二度と来ない夏休みを ぜひ、楽しんできてください。
そう言って、皆さんとお別れしました。
…、… [ 間 ][少し、俯く]
(67) wallace 2019/09/12(Thu) 22時半頃
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まさか、こんな悲しい別れがあるなんて 僕は正直、思っていませんでした。
先ほど、先生方もおっしゃっていましたが 亡くなった明加 雛子さんは僕のクラスメイトでもありました。
彼女の明るい未来を奪ったこの出来事を 僕の心の中で、どう受け止めたら言いか 正直まだよくわかっていない部分もあります。
勿論、皆さんの中にもそういう人がいると思います。
(68) wallace 2019/09/12(Thu) 22時半頃
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亡くなった人は、戻ってはきません。 わかりきった事ですが、簡単に受け入れられない事ってあると思うんです。
だから、僕はまず、彼女との思い出を ゆっくりと思い出していこうと思っています。
そして、それを胸に刻み、忘れずに持ち続ける。
そうしてみようと思っています。
(69) wallace 2019/09/12(Thu) 22時半頃
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[ここで一礼し、献花のように壇上に薄紅の花を置く。 そして、表情をぱ、と明るくし、]
さて―― これから、2学期が始まります。
学園祭という大きなイベントも待っています。
僕の最後の仕事です…―――
[と、苦難を乗り越えて前に進もうと明るく振舞う姿を見せたのだった。]
(70) wallace 2019/09/12(Thu) 22時半頃
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* *
(71) wallace 2019/09/12(Thu) 22時半頃
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[教室に戻ると、エミらが人にわざと聞こえるような大声で雛子の話をしていた。
「ひなこさぁー、マジでビッチだったからねぇ〜〜。」 「男とかとっかえひっかえだったじゃん。」 「友達の彼氏とか、へーきで奪っちゃったりしてさーー」 「終いには、エンコーでしょ。」(取り巻き達が笑う) 「で、金奪って逃げた時だったらしぃーじゃん。」]
…、おい。
[普段よりも、ワントーン低い声が出た。] [別に無視して放っておけばいいはずなのに、――理由はわからないけれど、なんとなく、俺は怒っている気がした。]
(72) wallace 2019/09/12(Thu) 22時半頃
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「なによ、カイチョーさま、説教でも垂れるつもりぃ?」
死んだ奴に何を言うかは自由だけど 人を貶めることばっか言ってる奴の傍なんて 誰もいたくないと思うよ。
そうやって人のこと悪く言ってさ 自分の価値を落として…、楽しい?
[エミが何か反論を言うより前に]
(73) wallace 2019/09/12(Thu) 22時半頃
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――― あ、ごめん。本題忘れてた。 課題提出まだなんだけど?
[と、普段と同じ顔をしてエミに言った。 ま、返ってくるのは嘘で塗り固められた言い訳だったけど
(74) wallace 2019/09/12(Thu) 22時半頃
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[別に言う必要がない言葉まで言った気がする。 秋山が後から、あそこまで言うなんて珍しいな、と言ってきた。
そうだな。俺も、俺が少し理解できなかったよ。]
(75) wallace 2019/09/12(Thu) 22時半頃
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* * *
(76) wallace 2019/09/12(Thu) 22時半頃
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― 9月某日 ―
[新学期が始まり、実力テストも無事に終える。 秋山と、昼飯を賭けて順位を競ったが無事に勝利となり、有難く学食のカツカレーを食べていた昼休みの事だ。
『生徒会長の会堂航君、至急、職員室まで来てください』]
うぇ、まじか
[3分の2食べたカツカレー、残りはまるで飲み物のように食べる事となった。秋山が、ざまぁ、みたいな顔していたから、このやろ、って目で見た。]
(77) wallace 2019/09/12(Thu) 22時半頃
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[―――そして、 職員室へ向かうと、その奥の校長室へ通される。]
?
[只ならぬ空気を感じ、少しだけ表情が硬くなる。]
どうしました。
[俺はそこで、宍井澪の死を知る事となった。 名前も殆ど知らない生徒の名前だった、のに、]
(78) wallace 2019/09/12(Thu) 22時半頃
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っ、…
[ぉえ、と食べたばかりのカレーが逆流しかけた。 酸っぱい味交じりの辛味が喉を通ると気持ちが悪い。]
(79) wallace 2019/09/12(Thu) 22時半頃
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…、え、 8月中に ですか
[どうやら今後警察も介入する案件のようで、学校側も対応にこれから追われるようだった。立場上、人よりも先に知る事が出来たけれど、これは生徒全員に知れ渡るのなんて時間の問題っぽいな、と思ったりもした。]
(80) wallace 2019/09/12(Thu) 22時半頃
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[彼女の詳細を聞いて、俺は、「ふぅん」とまず思った。 家庭環境はさまざまだけれど、子供の死を隠蔽する親の心境と、事前に何らかの体調の不調があったはずなのに死んでしまったという宍井澪という生徒。]
(81) wallace 2019/09/12(Thu) 22時半頃
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[なんというか、俺は、宍井の話を聞いて
不器用、とも違って。 死亡願望があったわけでもなくて。 家庭がどうであれ生きてる奴はいるわけだから、…
―――「生き続けるのが苦手」そうな奴だな。 という感想を彼女に持ったのだった。]
(82) wallace 2019/09/12(Thu) 22時半頃
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* *
(83) wallace 2019/09/12(Thu) 22時半頃
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[教室に戻ると、秋山が学食から戻っていた。 なんとなく、だけど、]
2年の宍井って生徒…、知ってるか?
[と、聞いてみた。]
(84) wallace 2019/09/12(Thu) 22時半頃
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「ああ、水泳部の背の高い!知ってる。 "夏休み最後の日、祭りに誘われた"よ。 あんまよく知らない奴だったから断ったけどなー。」
[――― ―――]
……、へ ぇ
[全身が凍りつくかと思った。 なんとか固まった表情のまま返事を返す。]
(85) wallace 2019/09/12(Thu) 22時半頃
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[夏も終わり、この前まで鳴いていた蝉の声も少なくて。 窓の外の木の下で ひっくり返って*蝉が死んでいた。*]
(86) wallace 2019/09/12(Thu) 22時半頃
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『ボール!』
(87) fuku 2019/09/13(Fri) 00時頃
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― 明加邸 ―
スイマセン。まだ落ち着いてもないのに。
[学校をサボってから数時間後、オレはヒナコの家に来ている。 ヒナコの母親は、かなりやつれているように見えたが、快くオレを迎え入れてくれた。]
(88) fuku 2019/09/13(Fri) 00時頃
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[遺影の中のヒナコは、『9月1日』のあの姿のままだった。
そりゃそうだ。 最後の最後まで、『オレたちはヒナコの姿を目にしていたんだから。』]
(89) fuku 2019/09/13(Fri) 00時頃
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おばさん、アルバム見せてもらってもいいですか? よく野球部の試合にも来てもらっていたみたいなんで。
[正直、ヒナコの中学時代の印象があまりない。 オレが高校で再会した時にはもう渋谷かよ!?みたいな容貌になっていたから。]
(90) fuku 2019/09/13(Fri) 00時頃
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[ぺらぺらと、アルバムのページをめくる。
時折、ヒナコの母親がオレにその都度都度の話を教えてくれる。 しばしば、言葉に詰まる場面もあった。]
(91) fuku 2019/09/13(Fri) 00時頃
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アイツ、こんな試合も見に来てたのかよ――――
[オレの初レギュラーの試合だ。 しかも初打席初ヒットの試合。
やっぱり、オレは女心がわかってねェんだろうなって実感する。]
(92) fuku 2019/09/13(Fri) 00時頃
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化粧しない方が、綺麗っつたら怒られますかね、やっぱり。
[ヒナコの母親には、少しきょとんとした顔の後に、
『そういうのは女の子相手には口にしちゃダメよ、いくら友達でも』
と、たしなめられた。 やっぱりオレは、デリカシーのない男らしい。]
(93) fuku 2019/09/13(Fri) 00時頃
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おばさん、すいません。
[ひとしきり挨拶をして、帰ろうとする直前に、]
すっげェ失礼なお願いついでなんですが、何個かヒナコさんのモノ、頂いてもいいですか? オレ、凄く良くしてもらったんで。
[失礼なお願いとはわかっている。 ヒナコの母親は、少し悩んで、許可をしてくれた。
なんも、アクセサリーとか高価なモンを貰おうって気ではない。むしろ、ヒナコがつけそうなアクセサリーとかゴツいファッ○ンバット野郎がつけてもおかしいだろう。]
(94) fuku 2019/09/13(Fri) 00時半頃
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[忘れてはいけないのだ、彼女のことを。
彼女の生きた証を覚えていられるのは、*限られた人間しかいないのだから*]
(95) fuku 2019/09/13(Fri) 00時半頃
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─8月某日・幹線道路─
[ これはただの都合の良い夢だ。
こめかみのあたりに痺れるような熱がある。 茫漠たる視界の中、じわじわと黒いアスファルトに広がっていく水溜まりが、明るい色の髪を汚して行く。 投げ出された身体は脱力しきっており、酷く重い。 胸の辺りが何かに圧し潰されたようでうまく息が継げずに、はくはくと喘ぐように酸素を求めた。
酷く遠くに人の叫び声やざわめきがあるのを感じるがどれ一つとして意味を掬い上げる事はできない。 わんわんと何処かに反響し、増幅してまた何処かへとぶつかる音の連なりが場に満ちており、水面に走る波紋を連想させた。 思い浮かべるその波紋図が脈略も無く霞みつつある視界に重なる。]
(96) 662 2019/09/13(Fri) 02時頃
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[目の前に重なり浮かぶいくつもの光景、書物で見た事のある図形や文字列が現れては消えるのをただ成すすべもなく茫然と見つめる。 極限状態の今一斉に蘇った記憶が、支離滅裂に重なり、再生されて行く。 所謂走馬灯と呼ばれる現象だと思い当ればまたそれに関連する記憶が引き出されるように別の光景が差し込まれる。
だからこれは、命を繋ごうと懸命に脳が検索する情報の中から己に都合の良いものを選び取ってつなぎ合わせただけの、ただの夢なのだ。]
(97) 662 2019/09/13(Fri) 02時頃
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[これまで身を置いて来た群を追われて独り彷徨う夏の終わりの祭の日。 ひと月ほども先のはずの一日を過ごす、あり得ぬ事ばかりの光景に手を伸ばしたい。
近付いては何処かへと遠ざかる幾人もの顔、大切な約束をした筈の誰か、此方を振り返るいくつもの眼差し、柔らかな頬の丸み、己の名を呼ぶ優しい声、何処か遠い知己の姿、切実に響いた誰かの願い、痞えるように、零すように幾度も囁く何かの気配、そして]
(98) 662 2019/09/13(Fri) 02時頃
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[ 『オレがそんなにイケメンか?』
その通りだよ、莫迦。 言う事を聞かない腕を叱咤して、どうにかようやく指先だけを持ち上げる。
一つだけ色を塗られた爪先が彼のシャツを掴まえる。 布地の表面を引っ掻く音が耳に届いたような気がした。
ああ、ようやくこの爪の先、僅かに彼の心に触れられたような安堵が広がる]
(99) 662 2019/09/13(Fri) 02時頃
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『ボール!』
(100) fuku 2019/09/13(Fri) 02時半頃
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[ヒナコの家から戻った、数日後の話――――]
(101) fuku 2019/09/13(Fri) 02時半頃
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― 9月12日 ―
[オレは、この日になるまで待たなくてはならなかった。 何故なら、ソイツはクラスメートをぶん殴って停学になったからだ。 馬鹿なヤツだ。オレみたいに壁ドンで済ませておけばよかったのに。もしかしたら頭もパンツのゴムみたいに弛んでいるのかもしれねェな。 自分の事は棚に上げて笑う。]
(102) fuku 2019/09/13(Fri) 03時頃
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ちょっと悪ィ、2年の鹿崎ってお前でいいのか? 少し時間あるか?
[鹿崎を2年の教室前の廊下で呼び止める。 オレはウソをついた。オレは鹿崎を覚えている。 向こうに警戒されないための、ウソを。]
(103) fuku 2019/09/13(Fri) 03時頃
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ちょっとお前に渡したいもんがあるんだわ。 なに、そんなやべーもんじゃねぇからビビった顔すンなよ。
[カバンの中からオレはお目当てのモノを探す。]
(104) fuku 2019/09/13(Fri) 03時頃
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はい、コレ。
[オレは鹿崎に『パンジー』の栞を手渡す。]
コレさ、『ヒナコ』からの贈り物。 どうするかは、『君次第』だわ。
[無理矢理にでも鹿崎に手に取らすと、オレは踵を返し、その場を去ろうとする。]
(105) fuku 2019/09/13(Fri) 03時頃
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あ、そうそう。『パンジー』の花言葉って知ってるか?
[振り返って鹿崎の眼を見つつ。]
ヒナコの母ちゃんから聞いたんだけど、
(106) fuku 2019/09/13(Fri) 03時頃
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『一人にしないで』、『私を忘れないで』って意味なんだと。 そンだけだ。ほいじゃァな。
[回りに囲まれても、『一人』だったヒナコに寄り添おうとした一人の少年。 彼の思いも、オレは『覚えている』。 今は覚えていないのかもしれないけれど。
忘れさせてはいけない、使命がオレにはある。 オレに『記憶が残ってしまった』のは、きっと女心のわからねぇオレに課せられたヒナコからの『おしおき』なんじゃねぇかなァとか*思ってみたり*]
(107) fuku 2019/09/13(Fri) 03時頃
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『ボール!』
(108) fuku 2019/09/13(Fri) 12時半頃
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― 9月某日 ―
[鹿崎に会ってから数日後、オレは廊下で『アイツ』を呼び止めた。本来ならもうちと前でも良かったンだが。]
(109) fuku 2019/09/13(Fri) 13時頃
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会長。『久しぶり』だな。
[――――『会堂航』。『9月1日』の記憶が無ければ、久しぶりなハズだ。]
(110) fuku 2019/09/13(Fri) 13時頃
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突然申し訳無ェな。ちょっと『貰いモン』したんだが、オレよりも会長にピッタリだと思ってな。
[オレはカバンから会長に差し出したのは、]
(111) fuku 2019/09/13(Fri) 13時頃
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ホラ、コロンとかオレのガラじゃねェだろ? いや、会長なら少しはさ。いい匂いだろ?会長イケメンだしなんとかさ。
[某有名ブランドのコロン。バラの花束に『スイートピー』のベースノートを感じるヤツなんだと。 こっそり岸に教えてもらったから遅くなったの、ここだけの秘密な。]
(112) fuku 2019/09/13(Fri) 13時頃
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ここだけの話、『ヒナコ』から貰ったヤツだからな。 お前大事にしないと『泣かれる』からな。 ま、よろしく頼むわ。
[『スイートピー』の花言葉は、『束の間の幸せ』 彼女の『束の間の幸せ』を埋めてくれた会長を、正直羨ましく思っている。オレは、鈍感過ぎて叶えられなかったから。 女性陣から総スカンだろうな。岸からは呆れられ、安住あたりは狐の面をつけたまんまで『また怒らせたんですか』とか言われても仕方無いな。]
(113) fuku 2019/09/13(Fri) 13時頃
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あ、あと従兄弟の彼にも『よろしく伝えといて』くれよな。ほいじゃ。
[オレは会長に『貰いモン』を半ば押し付けると。 オレは、人気の無くなったプールを見つめる。]
(114) fuku 2019/09/13(Fri) 13時頃
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あとは、颯成(アイツ)だよな…………
[気にかかるのは、宍井と親しげにしていた、少年の姿。 宍井を忘れないでいてあげるのは彼の『使命』だと、オレは思ってるけれど。
せめてキャッチボールくらい出来たら、*なんてナ*]
(115) fuku 2019/09/13(Fri) 13時頃
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俺…鹿崎って言います。 明加先輩は俺の事、覚えてないかもしれないけど…
[ただの墓石を前に、緊張している自分が可笑しかった。]
事故って…聞きました。
[聞いたのはそれだけではなかった。 自宅で謹慎させられていても、聞きたくもない噂を届けてくるヤツは居た。何かを飲み込むように、そして吐き出すように深呼吸をした俺は。]
(116) mononoke 2019/09/13(Fri) 20時頃
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夏休みの前…俺がもし先輩に告白して… それで先輩の未来が、ほん少しだけでも変わってたら…
[事故に遭わずに済んだかもしれない。そんな空想。]
だったら俺、死ぬ気で告白したのに……
[冷笑癖のある俺が俺を嗤っている。 号泣している俺も居るし、あろうことか先輩の下の名前を呟いてる俺も居て、心は千々に乱れた。俺はそれをなんとか黙らせた後。]
先輩。俺…先輩のこと好きです。 もう少しだけ、先輩のこと、好きで居させてください **
(117) mononoke 2019/09/13(Fri) 20時頃
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−9月12日−
[俺は職員室を出て、学校の廊下を一人歩いている。 出席日数は既にアウト。とはいえ残りの学校生活真面目にやれば見逃してやらなくもないと、その教師は少し悪戯っぽい表情で俺に告げた。
文字通り生殺しな気分で教室まで戻ると、そこにはガタイの良い3年生の有名人が、俺の名前を呼んでいる(>>103)。]
(118) mononoke 2019/09/13(Fri) 21時頃
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まる一年分たっぷり…
[俺はまず通じないだろう最新の留年ネタで返してみたけれど、この先輩は頓着もせずに話をつづけた(>>105)(>>106)(>>107)。俺はそれを聞いて目を見開きながら、その栞をロボットのような手つきで受け取るしかない。]
アザス…
[俺にはその理由がよくわからなかった。 全校集会のあの所業にほだされた一人なのだろうかとも思ってみる。それにしては何か俺をかき乱すものがあって、俺はようやく戸惑うように礼を言った。]
(119) mononoke 2019/09/13(Fri) 21時頃
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先輩…アザーッス!!!
[ふと気が付くと、俺は廊下のど真ん中で、白昼堂々衆人環視の中で、背を向けた先輩に咆哮していた。うわ……やめてくれないかな意識奪うの。これ以上やらかすと留年どころか退学になるんだけど俺。俺は俺に苦情を言ったけれど、俺の片割れはそれっきりまたそっぽを向いて何も言わなくなった。俺はこの最近現れた意味深な俺にイマイという仮名を付けることにした。それを見た冷笑癖のあるタドコロが俺達を嗤っている。それを囲むように、まだ名もない俺達がいっせいに肩を竦めるのが、俺には解った。*]
(120) mononoke 2019/09/13(Fri) 21時頃
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――9月2日――
[はっと目を覚まして、しばらくそのまま天井を見て、何回か瞬きをした。]
(121) mmsk 2019/09/13(Fri) 22時頃
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[何が起きたのか、わからなかった。 目が覚めたそこは、自分の部屋のベッドの上で、寝汗をじっとりとかいていた。
記憶と繋がらない、と思った。]
(122) mmsk 2019/09/13(Fri) 22時頃
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[9月1日のことだ。 公園でBBQをして、肉を焼いているうちに何だか頭がふわふわしてきて、足に力が入らなくて、座って分けられたぶんを食べていた。 食べるほどに飲み込むのがつらくなって、喉の奥に押しこむたび戻ってきそうだったけど、BBQやりたいって言った張本人だしって、ぐっとこらえた。 出口先輩から追加の肉がやってきた時は絶望に目の前が真っ白になりそうだった。目元が熱くなってきて、ぐるぐる回りそうで、ちゃんと話ができていたかもわからない。
それでも、川に願いを流すまでは、って思ったんだ。]
(123) mmsk 2019/09/13(Fri) 22時頃
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[だってそれは、一世一代の覚悟だった。]
(124) mmsk 2019/09/13(Fri) 22時頃
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[手を離れた紙はひらひらと落ちて、水に乗った。 明日を迎えるために、9月1日を水に流している気分だった。
全部流れて、流れて、終わった、と思った瞬間にもう立っていられなくなったんだっけ。 とっくに地面を踏んでる感覚はなくって、橋の上にいられてるのかどうかもわからなかった。 川の上に浮いてるような気がする、なんて考えてたら、反対にずぶずぶ沈んでいく錯覚。 身体の中身がひっくり返って出てくるみたいに、食べたものを全部吐き出した。]
(125) mmsk 2019/09/13(Fri) 22時頃
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[ごぷ、と時々喉の奥に引っかかる。 あんまり噛めていなかった肉が詰まって、息も止まりそうで咳き込むと勢いをつけてまた溢れ出す。 せめて川に吐ければよかった、って思っても、場所を変えることも出来なくて橋の上を汚し続けた。
病院投げ込みかな、って過ぎって、そこから先の数時間の記憶はない。]
(126) mmsk 2019/09/13(Fri) 22時頃
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[だから、家の天井が見えるはずがない。 自分の部屋のベッドで、起きるはずがない。
さすがに東京で目が覚めるとは思ってなかったけど、近所の病院のベッドの上だと思ってた。 夏休み中でも急に具合が悪くなったら行くことが決まってたんだ。 だから、家のベッドのはずが、ないんだけど。]
(127) mmsk 2019/09/13(Fri) 22時頃
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[しばらくベッドの上でぼうっとして、ようやくひとつ思い当たる。 "この世界は、誰かの明日を犠牲にループしてる"っていうこと。
ループした時はリセットされる。 財布の中身も返ってくるし、適当に放り投げたスマホがループと同時に充電器に戻ってたのも見た。 つまり、ループと同時に「別の場所に行ったものは、戻ってくる」んだと思う。 そして、昨日は未練が晴れるだけでなく、"宍井澪の明日が犠牲になった"と言えるんじゃないだろうか。]
(128) mmsk 2019/09/13(Fri) 22時頃
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[これはあくまで推測でしかないし、誰かが自宅を突き止めて連れて来てくれたのかもしれない。 その頃には少し熱が落ち着いて、夜だったのも含めて自宅で様子を見るだけになったのかもしれない。
ただ、あんまり不思議なことがある夏休みだったから、最後にまた少しだけレイ姉のことを思えるような、そんな奇跡があってもいいんじゃないかと思うんだ。]
(129) mmsk 2019/09/13(Fri) 22時頃
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[とはいえ一晩眠ったくらいじゃ倒れるくらいの熱は下がりきらなくて、シーツが湿るくらい汗をかいても、見た目から病人だったらしい。 起きるなり熱を計れと言われて、液晶を見せた結果連れて行かれたのは、東京じゃなく少し先の総合病院。
もともとしばらくは療養で、本格的な治療はまだはじまらない予定だったから、その"しばらく"の部分を夏呼町で過ごすことになったらしい。 向こうの病院に連絡をしているのが見える。 夏休みのロスタイムから、引っ越しのロスタイムに変更だ。]
(130) mmsk 2019/09/13(Fri) 22時頃
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[ベッドに寝転がりながら、点滴の落ちるのを見ている。 つまんない、と思ううち、いつの間にか眠っていた。
大丈夫。 もう覚悟は出来てるから、大丈夫**]
(131) mmsk 2019/09/13(Fri) 22時頃
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― 9月2日:学校・校門 ―
[校門の前にたどり着けば、そこはすでに学生服を着た生徒達で賑わっていた。 だるそうだったり、夏休み中にあったことを話したり、日焼けを比べたり、お土産を渡しあったり。 皆それぞれに校舎へと吸い込まれていき、それで夏が終わる。 昨日の静けさが嘘のようだと思いながら、校門を抜ける。 私の夏はまだ終われていないのかもしれない]
(132) sizu 2019/09/13(Fri) 23時半頃
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― 9月2日:学校・全校集会 ―
[ぼんやりとした意識をはるか遠くへと持っていかれそうになる、校長先生の話。 ただ今回は少しばかり、いやかなり様子が違う。 長いのは変わりないけれど。 休み中の交通事故で亡くなった生徒の話]
[彼女、明加さんとは同学年ではあるけれども、接点はほぼ無いと言っていい。 住む世界が違った、といっても良いくらいだ。 だから、私は彼女の事を何も知らなくて。名字が明加だというのも今知ったぐらいだ。 学校という狭い空間の中ですら交わる事のなかった私と彼女。 だけれど、ひょっとしたら、ほんの少しのきっかけでもあれば交わる事もあったのかもしれない 黙祷をしながら、そんなことを思った]
(133) sizu 2019/09/13(Fri) 23時半頃
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[今度は生徒会長である会堂くんが、壇上で話をしている。 たしか、明加さんと同じクラスなんだっけ。 校長先生の話と同じように通り過ぎていく言葉。 だけど、その一言だけは耳に残った。
『亡くなった人は、戻ってはきません』
胸に熱く痛みが走ったような気がした。 その言葉は当然で、当たり前で、わかりきったことで。 どうしようもなく正論で。 だから私は、その言葉を受け入れるしかない]
(134) sizu 2019/09/13(Fri) 23時半頃
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[気だるげに教室に戻ろうとする人の波が、ふと堰き止められる。 何か騒ぎが起きているようだ。 あれは、二年生の列の方だろう。 聞こえてくるざわめきを拾うと、どうやら明加さんに関する揉め事のようだ。 人の隙間を縫って、その場を立ち去る]
(135) sizu 2019/09/13(Fri) 23時半頃
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― 9月2日:学校・廊下 ―
[お花を摘み終えて、手を拭ったハンカチをしまう。 教室へと足を向ければ、聞こえてくる噂話。 固いものを壁に打ち付けたような音が廊下中に響く]
わかりました、先生に伝えておきます。 出口くんは、昨日生焼けのお肉を食べすぎてお腹を壊したようなので早退しますと。
[昇降口の方へと去っていく背中に、そう返答をした。 彼らはああして、感情を発露することができる。 それを酷く羨ましく思えた]
(136) sizu 2019/09/13(Fri) 23時半頃
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[隣のクラスを覗き込む。 果たさなければならない約束がある気がしたのだ。
『また、学校で』
相手からしてみれば、ただの社交辞令と思われたであろう約束。 私には、それがとても大切なものであるように思えた。 だけど、探す相手は見つからない。 それはそうだ、私自身ですら誰を探しているのかわからないのだから]
(137) sizu 2019/09/13(Fri) 23時半頃
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[そうして入り口から覗いていると、明加さんが所属していたグループの話し声が聞こえてくる。 ああ、そういえばここはヒナコさんのクラスだったっけ。 なら、あの机はヒナコさんが座っていた席か。 しかしなるほど、対象が故人であるかそうでないかに関わらず、ああいったものはやはり気分が良いものではない。 ふと、教室中に聞こえそうなほど大きく饒舌な声が止む。 会堂くんが集団に近づいて、何事かを告げる。 まめな男である彼にしては珍しく、強く突き刺さすような言葉だったように思う。 あ、秋山くんだ。彼は今日も無事元気なようだ]
(138) sizu 2019/09/13(Fri) 23時半頃
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[私には、スクールカーストの頂点に位置するらしい彼女たちの会話を咎める気は起きない。 二年と半分、それまでの事を見過ごして来て、ヒナコさんが対象になったからというのはムシが良すぎるというものだ。 それに、事故にあったのが彼女じゃなくて、その話の対象が彼女じゃなければ、彼女もあの輪の中に加わっていたのだろうと思う。 ただの私の想像だが。 これ以上ここに居ても探し人は見つからない気がする。 そっと、その場を立ち去った]
(139) sizu 2019/09/13(Fri) 23時半頃
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― 9月2日:学校・放課後の廊下 ―
[階段の踊り場から降り廊下へと出て、一人の少女、岸さんとすれ違う。 頭を下げて、挨拶を交わす。 たしか、岸さんは澪ちゃんと仲が良かった気がする。 どこでそう思ったのかはわからないのだけど]
[そんなことを考えつつ口を開こうとすると、岸さんがはっと顔を上げて廊下の奥を見る。 そこには一人の男子の姿。 私には誰かわからないが、岸さんにとっては大切な人なのだろう。 私へ頭を下げた後に男子の元へと駆け出す岸さんを見送る。 邪魔しないように別の場所を通ろうか]
(140) sizu 2019/09/13(Fri) 23時半頃
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― 9月2日:学校・放課後のプール ―
[昨日とは違い、その場所は部活動で賑わっていた。 もちろん皆、水着で泳いでいる。 当然の事だ、普通は水着に着替えず服を着たまま泳いだりなんてしない。 その皆の中に、澪ちゃんの姿が見当たらなかった。 私の姿を見つけた友人が、『昨日はゴメンね。どうしたの?』と寄ってくる。 だから、澪ちゃんの事を聞いてみることにした。 8月の途中から部活に顔を出していなかったこと、今日は連絡なく学校を休んでるらしいことを聞く]
(141) sizu 2019/09/14(Sat) 00時頃
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[そして、『心配なら連絡してみればいいじゃん?喜ぶと思うよ』。 なるほどと思いさっそく、メッセージを送ってみる。 澪ちゃんにメッセージを送るのはいつぶりだろうか、それほど前の事でもないような気もする。 そんなはずはないのに。
『お久しぶりです。お元気ですか』
返信が来ることはなかったけど]
(142) sizu 2019/09/14(Sat) 00時頃
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[『泳いでいかないの?』、平泳ぎの身振りを添えて尋ねられた。 首を横に振る。 今日は水着を持ってきてないから]
(143) sizu 2019/09/14(Sat) 00時頃
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― 9月2日:学校・放課後の図書館 ―
[早く帰って勉強をしなければ、と思いつつも足を運んでしまい、何故か、これまで見向きもしなかった郷土史の棚の前に立つ。 こういうのに興味があっただろうかと一冊手に取り、ページをめくる。 中に書かれていた伝承は、読んだことなどなかったはずのにどうしてかその中身を知っていた]
[せっかく来たのだから一つ勉強でもこなしていくかと、書架を抜ける。 出た先は、図書館の奥の奥。窓際の席。 そこにはやはり、後輩の根岸くんが座っていて本を読んでいる。 軽く二回、人差し指と中指でテーブルを叩く。 そうしてから、頭を下げて挨拶。 そして、颯爽と少し離れた席へと向かうのだった。 今日も暑かったけれど、事前にちゃんと汗を処理したから残り香は以前と同じ、女子高生のフローラルな香りのはずだ]
(144) sizu 2019/09/14(Sat) 00時頃
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― 9月2日:放課後の帰り道 ―
[スーパーに寄って夕食を買った帰り道。 エコバッグの中には、ポテサラとナスの煮びたしに大玉のトマトが一つ。 それと、チョコミントアイス。 バッグを揺らし、歩いていると近所の奥様方に呼び止められる。 頭を下げながら、長くなるな、長くなるな、と心の中で祈る。 私のチョコミントアイスが溶けちゃうでしょうが]
[受験生ということが考慮されてか、予想より早く解放された。 これならチョコミントアイスは軽傷だろう。 聞かされたのは、大須賀さんの家の話。 颯成くんのお話]
(145) sizu 2019/09/14(Sat) 00時頃
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― 9月2日:自宅・夜 ―
[帰ってからは、シャワーを浴びてまず勉強。 その間にご飯が炊けているから、夕食をすます。 改めて勉強をしてから、ゆっくりとお風呂に浸かる]
[パジャマに着替え、湯上りの火照った体をクーラーの効いた部屋の空気がひんやりと冷ます。 さらに、チョコミントアイスで内側からも。 空になったアイスの器をテーブルの隅に置いて、しばしぼーっと]
(146) sizu 2019/09/14(Sat) 00時頃
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[ふと、なんとなく、引き出しを引くと見覚えのある文字が飛び込んできた。 見覚えがあるも何も、長年連れ添ってきた私の字だ。 【私は忘れない】、そう書かれた紙に手を伸ばす。 開くとそれは地図になっていて、そこに書かれている内容は良くわからなくて。 それでも、その蛍光ピンクを引かれた能天気な文字を見ていると、胸が苦しくなって、熱くなって。 紙上に落ちた雫が文字を薄めて歪めてしまわないように、*丁寧に丁寧に拭き取った*]
(147) sizu 2019/09/14(Sat) 00時頃
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根岸! よう…久しぶり!
[俺はそう言いながら根岸の肩に手を回す。]
閑居して不善をなすってヤツ? 親友が退屈してんだからさぁ…遊びに来いよなぁ。
[わかってる。根岸がそういう奴じゃないってことくらい。でもいいだろ?俺は俺の思った事をそのまま伝えたいって気がし始めている。]
なあ根岸。 俺も図書館連れてけ。面白い小説かなにか教えろよ。
[俺はそう言いながら、学生服のポケットに仕舞ったあの栞を思い浮かべる。なにかそこだけ暖かいような、そんな幻想を感じる。俺はこの栞を大事にする。だから、大事に使うために本を読みたい。俺には形而上学的な何かなんてわからないかもしれないけど、そんな動機だっていいだろ?な?親友…]
あ。岸! 俺来年も二年だから。よろしくな! **
(148) mononoke 2019/09/14(Sat) 00時半頃
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─ 最後の9月1日・神社 ─ (>>48 >>49 >>50 >>51 >>52 >>53)
[根岸と神社で合流した時、根岸は図書館で会った時みたいに片手をあげていた。あの時みたいにさっさと背を向けてしまうこともなくて、待っていてもらった。 根岸にすぐに謝られたから、あたしはまずは秋山先輩の話をした。]
ううん。秋山先輩に聞いたんでしょ? はずかし…… とりあえず、ありがと。気使わせちゃったね。
[あたしが前から秋山先輩が好きで、ちょっと長めに片思いをしていることも、友達に応援してもらっていたことも、何も。わざわざ根岸に聞かせたりはしなかった。]
(149) gekonra 2019/09/14(Sat) 18時半頃
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[鳥居をくぐったら屋台が並んでいて、食べ物のにおいがあちこちから漂ってきてた。暗くなってきたなか、浴衣の女の子たちが歩いてたのが羨ましかった。 あたしも浴衣を着たかった。 あたしはもうお腹いっぱいだったけど、根岸はトウモロコシを買っていた。]
マジ?まだ食べれる?
[男子すげーなってあたしは笑った。]
根岸は昔からあんまこういうの興味ないかぁ……。
[ああ、そうだ、そんなようなこと一番初めの9月1日に聞いてた。あたしも根岸はこういうのはあまり好きじゃないだろうと思って……付き合いで来てくれているのが、よくわかっている。 少し考えて根岸は近くにあったヨーヨー釣りを選んで、あたしは近くでそれを眺めてた。 話あわせてくれてるんだろう。水色のヨーヨーを根岸が釣って、それを手渡してくれた。 頑張ったで賞だというそれを受け取ってあたしはぽかんとしていたと思う。 手の平の上、水風船のなかに入った水がひんやりしていて、丸い空間のなかを揺れているのがわかった。]
(150) gekonra 2019/09/14(Sat) 18時半頃
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……頑張ったのかな。 よくわかんないや。
[結局はダメだったわけだし。 先輩はあたしのことよく知らないし。当たり前だ。
努力なんていったって、あたしだけでは踏み出せない一歩を、後輩たちに一歩踏み出せるようにしてもらっただけ。
あたしは水風船のゴムに指をひっかけた。 ああ、なんだか今更無性に悲しい。 背のせいで俯いても泣き顔がみえる気がするのが嫌いだ。 あたしは我慢してみようかと思ったけど、失敗した。]
(151) gekonra 2019/09/14(Sat) 18時半頃
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かわい。 貰っていいの?
[鼻がぐずぐずいっている。恥ずかしい。 ゴムで指とがつながった水色の水風船を、地面目掛けて放った。戻ってきて、じゃぼじゃぼ音をたてていた。]
次、なにしよっか。
[じきにお祭もお仕舞の時間がくるんだろう。 それから0時が来て、そう、9月2日が来る。
どうしてか、あたしは今、明日が来るような気がしている。 よかった。千早ちゃんが待っていた、明日だ。]
(152) gekonra 2019/09/14(Sat) 18時半頃
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『ボール!フォアボール!』
(153) fuku 2019/09/14(Sat) 19時半頃
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[オレは今、タコ焼きを焼いている。]
(154) fuku 2019/09/14(Sat) 19時半頃
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― 7 years afterな9月1日 ―
お待ちどうサン、毎度ありっ!!!
[といっても、ただタコを焼いているわけではない。 大学にいけるほどのアタマがなかったオレは、夏呼から遠く離れた具多川(ぐたかわ)市のショッピングセンターでタコを焼いてる。 いわゆるフードコートってヤツだ。]
(155) fuku 2019/09/14(Sat) 19時半頃
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[社長は女性で野球にはそこまで興味は無いが、『槍!三本槍!』とか言いながらフンスフンス言っている。 どうやらソーシャルゲームのキャラクターに重ねているらしいが。なるほどよくわからん。
たまに同期のがっちりした野郎と並べて楽しんでるみたいだけど、正直そっちの気は無いンだよなァ。]
(156) fuku 2019/09/14(Sat) 19時半頃
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あっ、3時じゃんか。今日はオレ、アレだから早く上がるな!あとはよろしく!
[オレは急いで着替える用意をする。
夏呼の連中とはちょこちょこ連絡は取ってる。 随分と遠くまで来ちまったンでなかなか会えないけど。]
(157) fuku 2019/09/14(Sat) 19時半頃
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[なァ、ヒナコ。お前はあっちで元気してるのか?]
(158) fuku 2019/09/14(Sat) 19時半頃
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[オレは練習場の更衣室のドアを開けると、ユニフォームに袖を通し、スパイクを履く。
バタバタしているうちにロッカーから何かが、落ちた。]
(159) fuku 2019/09/14(Sat) 19時半頃
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センス、センス。出口さんのバッティングセンスはハイセンス。
[朝顔の押し花が施された、扇子。 そうだ。ヒナコの部屋から拝借してきたンだ。 勝手に持ってってゴメンな。 頼むから泣くのは勘弁してくれ。会社の人間に昔話したら『出口くんの萎れバット野郎!』って言われたんだぞ。セクハラだろ。]
(160) fuku 2019/09/14(Sat) 19時半頃
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[それは兎も角、オレは今も野球続けてるぞ、お前のいう通り。
来年、社会人野球の予選に出られるから、来てくれよな。 ま、言われなくても来るよな。お前なら。]
(161) fuku 2019/09/14(Sat) 20時頃
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[くだらねーバッティングするようなら、容赦なくヤジってくれや。そいじゃ、*またな*]
(162) fuku 2019/09/14(Sat) 20時頃
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ワタルは、うっうっ……泣きながらお布団へ…*
wallace 2019/09/14(Sat) 23時半頃
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─ 最後の9月1日・神社 ─ (>>149>>150>>151>>152>>*6)
[宍井が先輩を祭りに誘って、断られたこと。それを先輩が話しているのを聞いたこと。 何も言ってないのに宍井にはお見通しだった。 そういう人だ、って知ってるんだな思うと宍井も案外アホなのかもしれないなと思った。 いや、先輩にも補って余りある長所はあるんだろうけど。 「気を使わせた」と宍井が言うから首を横に振る。 別に気なんて使っちゃいない。…と思う。
俺が先に歩きだしたら、宍井がついてきた。俺とほとんど背丈の変わらない髪の短い女の子は、俺が気にしたほどに参ってはいなさそうだった。 むしろ気遣わせることになったかもしれないと思うと少しいたたまれなかった。]
(163) higesorry 2019/09/15(Sun) 04時半頃
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そのあと祭りでは何をしたっけ。 そうだ、宍井にヨーヨーを渡して。宍井はついに、しょぼくれたような顔してたような気がするけど、気まずくて顔なんて見れなかったような気もする。 頑張ったのかよくわかんない、なんて頼りなげな声をしていたのは確かだ。
頑張ったんじゃねえのかな。
だってそれは、今より良くなりたいって 諦められなかったってことだろ。 『踏み出したい』とか『人と一緒に居たい』とか『他人に頼る』とか。 どれもすごいことだと思う。…俺は。
(164) higesorry 2019/09/15(Sun) 04時半頃
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引っ込みがつかなくて半ば押し付けるようにして宍井に渡したヨーヨーは、随分華奢に見える手のひらで居心地悪そうにしている。 貰って良いのか…って良いに決まってるだろ。 きっと宍井は欲しい物が手に入らなかったんだろうから。
まあ記念に。 …要らないモンの方が良いだろ。貰っといて。
俺が昔欲しがったもの。 何年越しに、今手に入れたもの。 今は俺にも宍井にとっても要らないもの。 よく知りもしないやつに素敵なもの貰うより、よっぽどいいだろ。
…そんなおもちゃひとつで宍井が泣き止むなんて思わないけど。 我慢してたんなら、少しくらい泣けばいいと思った。 俺なんてのは居ても居なくても同じだから。 誰にも見られてないことにしたらいい。
(165) higesorry 2019/09/15(Sun) 04時半頃
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──────…
ああ、俺なんとなく、宍井のこと… どうかな。仲間みたいに思っていたのかもしれない。
どこが?って… や、怒るから言わね。
仲間っつったって、俺は全然…なんだけどさ。 踏み出すなんてとんでもなくて、同じとこでずうっとふてくされてるだけだから。
だから俺は宍井が羨ましい。 諦めないで、変わりたいと思える宍井が。
(166) higesorry 2019/09/15(Sun) 04時半頃
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……ああ、あと 別にこういうの、…祭りとか興味ないわけじゃなくてさ。 昔から絶対誰にも誘われないから、嫌いだってだけで。
だっせえよな。
[自分で言っておいて俺は吹き出して。 かなり久しぶりに、声を出して笑った。 久しぶりに笑ったのがこんなことって、俺らしすぎるなと思った。]
(167) higesorry 2019/09/15(Sun) 04時半頃
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また明日な。
[別れ際、俺は宍井にそう言って。 宍井の手元で跳ねるヨーヨーを見て。 宍井を見て、手を振る。
当たり前に来る明日を、ずっと嫌いだった明日を、心のどこかで少しだけ待っていた。]
(168) higesorry 2019/09/15(Sun) 04時半頃
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─ 9月某日・教室 ─
["宍井澪さんがが亡くなりました" ……俺が宍井の死を知ったのはHRで担任がそう口にした時だ。きっと周囲と比べれば随分遅い頃合いだったろう。 進んで俺に噂話を持ちかけるやつなんて、鹿崎くらいのもので。その鹿崎も停学くらっていなかったし。
夏休みが明けてすぐ──始業式にも夏休み中に先輩の女子が亡くなったと聞いた。全校生徒の前でニュース番組のアナウンサーみたいに会長がなにか喋ったりもしていた。騒然とした学内で聞こえてきた分にはギャルの人だったらしい。その日の学校はすすり泣く声と、随分ひどい噂話が印象的だった。鹿崎が誰かに殴りかかったりもした。あまりの惨状に、死んでよかったかもな、と一瞬思う。それでもきっと、多分、俺よりは生きたがってた人なんじゃないだろうか。そう思うと、気が遠くなりそうなほど、気の毒だった。
──けど
宍井も夏休み中に死んでた、っていうならどうして、今頃。 彼女と同じ頃に知らされてもいいじゃないか。 いや、そんなことは 別にどうでも。どうでもよくて。]
うそだろ……
(169) higesorry 2019/09/15(Sun) 04時半頃
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─ 9月某日・自宅 ─
[帰宅した俺は、部屋に入るなり朝から敷いたままの布団に潜り込んだ。暑い。
真っ暗な布団の隙間で目を開いたまま。何も見えないはずの隙間に何かを探しながら。 宍井が死んだのは夏休みのいつ頃だったんだろう。 聞いた話によると宍井の親が宍井の死後もずっと家に寝かせていたんだとか。]
………っ
[もう会えない。
その日俺は、よく知りもしない、友達ですらない女の子の最後に見た日の姿を思って泣いた。]
(170) higesorry 2019/09/15(Sun) 05時頃
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・ ・ ・
(171) higesorry 2019/09/15(Sun) 05時頃
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[「お前のクラスの子、死んだんだってな。」
「親は一体何してたんだ」 「死ぬまで放っておいたくせに、その上隠しておくなんて」 「子供を死なせるなんてあり得ない」 「私なら耐えられない」
俺の両親の言葉だ。
他所の家の子供の死を、自尊心を満たすためだけの話題に使っている。 どんな神経してるんだろう。 安心しろよ、俺が死ぬときは遺書にお前らへの恨み辛みを書いてやるから。
この人達の血が自分にも流れていると思うとゾッとした。]
(172) higesorry 2019/09/15(Sun) 05時頃
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・ ・ ・
(173) higesorry 2019/09/15(Sun) 05時頃
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夏休み以降、やけにリアルな夢を見る。
焼け死ぬ夢だ。
夜の町を俺が歩いていて、向こう側から大きな炎が俺の方へ近づいてくる。 炎は俺に何か言って、俺はいつもずっと、ずっと一人ぼっちのくせに 一人になりたくないって思いながら なにか大事な思い出ごと燃やされてしまって 寂しくて、悲しくて、苦しくて、怖くて、つらくて そしたら目の前の女の子が俺を呼ぶから───
それだけの夢。
俺は毎回汗だくで目覚めて、逃げ出したいような気持ちになる。
(174) higesorry 2019/09/15(Sun) 05時頃
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・ ・ ・
(175) higesorry 2019/09/15(Sun) 05時頃
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[その後の話だ。
俺は卒業を待たずに家を出た。 半ば家出のような形になったので、もちろん夏呼西へはもう通えない。 息子が家出した…子育てに失敗した、という傷を少しでもあいつらの根拠のない自尊心につけてやれたかとおもうと清々した。
俺は少ない荷物を抱えて東京へ向かう。 住むところも、働き口も、きっと探せばどうにかなるだろう。 何、俺らしくない? そうかな。 不安で足が震えてるけど。]
(176) higesorry 2019/09/15(Sun) 05時頃
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[宍井澪は夏休み中に、死んだ。 だから9月1日に俺が見たあの宍井は…本当は居てはいけなかったということになる。 その証拠におれのスマホには、宍井から貰ったはずのメッセージが残っていない。
つまりあの祭りの記憶は俺の妄想か、夢か…なにかの思い違い。そういうことになるんだろう。 あのバーベキューの時に居た人の誰にも確認はとっていないし、俺の頭がおかしくなったのかな、とも思う。
けど、俺が今夏呼町に居ないということが、あの祭の夜が俺にとって嘘じゃないというただ一つの証拠だ。真実なんてもんは見るものによって形を変える。 なら、あの日あの場所に宍井は生きていた。 俺にとっての真実はそれでいい。]
(177) higesorry 2019/09/15(Sun) 05時頃
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[俺達はただ、あの9月1日の続きを*生きている。*]
(178) higesorry 2019/09/15(Sun) 05時頃
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― 9月2日:自宅・夜 ―
[ねぇ、やっぱり変だと思わない? 何かあったんだって、9月1日に。 忘れちゃいけないようなことが]
[【私は忘れない】だっけ? そんな風に誓っておきながら、薄情なものだよね。 でも、いいじゃない、しょうがないじゃない。 どうしても思い出せないんだから、さ。 過去に囚われてもしょうがないでしょう。 それも、記憶に残っていない過去に。 ひょっとしたら、辛くて嫌な記憶かもしれないしね。 忘れたことを誰かに責められたとしても、その責められる理由を忘れてるんだしさ]
[え?うるさいって……酷くない? 私は私なんだよ?うるさいのは自業自得じゃない。 ん……【ちゃんと思い出してしまえば忘れたことにはならないでしょ】? そっか、そりゃそうだ]
(179) sizu 2019/09/15(Sun) 20時頃
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― ?年後・9月1日:夏呼駅 ―
[夏も終わり、なんて言われるけど 帰ってくるのはきっかり一年振り。 一年に一度、9月1日に私はこの地を訪れる。 帰省したところで家には基本的に誰も居ないのだから、今日以外に帰ってくる意味は無い。 思い出深くも思い出が薄れてしまったあの夏の後、私は無事志望校に大学に進学した]
[9月3日の夜、眠い目をこすりながら玄関で父を待ち、決意を伝える。 志望校は変更しないけれど、受験する学部を変更したいと。 学校自体は両親の希望をのみ、学部の方は自分の進みたいものにする。 これならば、時間を掛けてでも説得する自信はあった。 が、返ってきたのは『愛海がそうしたいと思って自分で決断したなら、そうしなさい』と言ったもので、とてもとても肩透かしされた気分になる。 ありがたいけど。 母には父から伝えておくとも、言われた。 ちゃんと話すの久しぶりなんじゃないか、この夫婦。 愛があれば大丈夫なのか。そういうもんか]
(180) sizu 2019/09/15(Sun) 20時頃
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[かくして、目的と目標を得ることで受験ノイローゼから開放された私は、それまでの悩みが嘘のように成績がぐんぐん伸び、自分の受験番号が張り出されるのを見上げる事ができた。 今では、【弔いの文化】研究のため各地を歩き回っていたりする。 ……それと、【繰り返し】の伝承なんて言うものもほぼ趣味のように収集していたり]
(181) sizu 2019/09/15(Sun) 20時頃
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― ?年後・9月1日:墓地 ―
[墓前に花を供える。 真新しい花が供えられていたので、私の前にも誰かが来たのだろう。 澪ちゃんの命日はもっと前のはずだ。 だから、そういう事だろう]
[あの、9月1日の事は少しずつだが思い出す事ができている。 日常のほんの些細な出来事や、または調査のため出向いた先なんかで、ふと。 きっかけを見逃さないように気をつけていれば、少しずつ確実に、思い出せる。 一緒に花火をしたり、制服のままプールに飛び込んだり、BBQをした、あの夏の事。 それでもまだ、全てを思い出せたわけじゃない。 例えば、澪ちゃんがあの日どんなふうに未練を果たして、どんな結末だったのか、とか]
[墓前で手を合わせる、なんてことはしなかった。 それをここでしても、届くかどうかなんてわからないから]
(182) sizu 2019/09/15(Sun) 20時頃
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― ?年後・9月1日:とある道端 ―
[目印となる電柱に花を供える。 やはりここにも、真新しい花が供えられている。 毎年のことだ]
[私は彼女の事を知らない。 繰り返しの中で共に過ごした日々のことは少しずつ思い出してはいる。 でも、彼女がどんな気持ちであのグループの中に居続けようとしていたのかとか、どうして事故に合ってしまったのかとか、彼女自身が作る明加家の味とか、私の自撮りどうだったとか、出口くんと会堂くんどっちが好きなのとか、他にも趣味とか色んな事。 逆に、私の事で知りたいことはないか、とか。 全部、私の思い出の中には無いもので、直接彼女から知りたかった事。 もう、それが叶わぬ事だとわかっているけど]
[せめて安らかになんて、そう祈る場所はここじゃない。 ここは、彼女にとって良くない出来事の場所だろうし。 なんて、私の思い込みだけど]
(183) sizu 2019/09/15(Sun) 20時半頃
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― ?年後・9月1日:奏生橋 ―
[高校生だろうか、制服姿の少年少女達が何事かの願いを託し、白い紙を流す。 それを邪魔しないように見届けてから、橋の欄干に身を寄せる。 川面には、学生服でない別の私が居た]
[こうして毎年この時期にこの土地を訪れてたり伝承を収集している理由を尋ねられて、答えたりすると、『君はその過去に囚われているんだよ』、なんて指摘を受けたこともある。 『過去に囚われることなく前に進むことこそが望まれているだろう』とも。 実に失敬な話である。 囚われるなどという受動などではなく、私は自分で望んでそうあろうとしている。 それは私を形作る、一本の芯だ。 それがなければ今の私は無く、忘却する事を受け入れてしまえば、私は私ではなくなってしまう。 そういうものなのだ。 前に進んで、たまに後ろを振り返って、そしてまた前に進む。 すべてをなかったコトにしてただ前に進むことも、過去に囚われ歩みを止めることも、私は拒絶する。 過去も、未来も、そしてもちろん現在も、私は諦めるつもりはない]
(184) sizu 2019/09/15(Sun) 20時半頃
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[二人の少女を象ったお手製のフェルト人形。 我ながら、可愛くできたように思う。 一枚の紙を握らせて、川に流す。 それは一つの誓い。 【私は忘れない】 あの夏は、*私の9月1日はまだ続いている*]
(185) sizu 2019/09/15(Sun) 20時半頃
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― 9月某日 ― >>109>>110>>111>>112>>113
[放課後、生徒会室へと向かう前に呼びかけられ振り向いた。「久しぶり」と掛けられた声の主は――、そうだ、野球部だった出口だ、と、記憶はすぐに結びついた。 その「久しぶり」がどれくらい久しいかという点は相違があったとも知らずのまま、]
出口。 …、…そうだな。
こうして話すのは久しぶりだが、どうかしたか?
(186) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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[>>111出口の鞄から取り出されたのは、父親の部屋とかで見た事がある瓶に似ていた。ふわ、と鼻に届く香りは、出口が持っているには、正直不釣合いな気がして、ん?と思う。]
…、…
いや、俺もコロンとか普段もつけないよ?
[『スイートピー』の香りをかぎ分けられる嗅覚は持ち合わせてなくて、なんとなく「花!」としか認識できないそれ。]
(187) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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―――― 、ぇ
[『ヒナコ』という音に条件反射みたく小さく声を出す。それから出口の顔を見る。出口と雛子の関係性を思考するも、彼女が野球の応援に行っている事とか知るはずもない身。]
…、っお い 、まッッ
[半ば押し付けられるように貰ってしまったコロン。 いらないと言っても全然良かったはずなのに、――『泣かれる』という言葉に、俺の知らない俺が、何かを訴えたみたいな心地になったせいで、動きが遅れた。]
(188) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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…、…
[>>114 「従兄弟」の言葉に、出口を驚いた顔で見てしまっただろう。出口に根岸と従兄弟といった記憶は、ない。俺の知らない俺が、何かをしたのだろうか。解らない、覚えてなんていない。 「知らない」事に対して、嫌な感じを抱いて、もやぁ、っとして、同時に苛立ちも覚えた。]
それくらい、出口が言え…っ
[八つ当たりのように言ってしまったのは、彼の姿が見えなくなった後。政宗と会話をしたくても、開いてしまった距離の埋め方が解らなくて、結局、ずっと後回しにしていた事を指摘されたみたいで、すごく、嫌だった。]
(189) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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* *
(190) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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[―――、それなのに俺は、結局政宗に言う事ができなかった。
政宗は家を出た、と、根岸の家から電話が来て学校の連中が噂するより先に知る事が出来た。これが親戚付きあいという奴か。]
(191) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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…、…
[俺は、今更、どんな言葉を政宗に掛けたらいいかわからない。あいつが家で抱えていた辛さみたいのに気付いていたのに、顔を背けた、視線を外し続けたのだから。]
…、……、 ああ、そうか
[誰もいない部屋でひとり、ぽつりと]
(192) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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[これが、『後悔』というやつか。 そう目を瞑る。
ガキの頃に根岸の家で一緒に遊んだ思い出、夏祭りで俺だけ持っていたヨーヨー……、随分と、俺は、 自惚れていたのだなと。 まさか政宗が家を出るなんて決断をするなんて、思ってなかったのだから。誰かが背を押したのかも、知る由もなく。]
(193) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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* *
(194) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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[俺は、昔の俺に戻る術を失って。 周りに合わせて、流れに乗り、染まる存在であり続けた。
無事に文化祭も終え、志望校にも合格した。 そうして、俺は都内の有名大学経済学部へと入学していった。 秋山も同じように同じ大学の違う学部に合格しやがった。
卒業後は、優秀な大学生としての俺として振舞うんだ。 これが俺の生き方だからね。]
(195) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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[けど、たまに酷い頭痛がして起きる。 それはおそらく夢なんだけれど、やけにリアルなやつだ。
翌日は、たこ焼きと焼きそばとソーセージ辺りを全く食べたくなくなる。理由はわからないけれど、胸焼けか疲れだろ、って思っておいてる。]
(196) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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(197) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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― 大学時代 ―
[俺は、最低限の荷物で家を出て1人暮らしをはじめた。 結局、出口から貰ったコロンも持ってきてしまった。 インテリアとして置いててもいいし、大学になったら使う機会もあるかもしれないと思っての事だ。 瓶を手に取ると、白い花の絵柄とその花を英語で書いていた。 一年くらい遅れて、俺は『スイートピー』の存在を知った。]
…、…
[徐にスマホを手に取り、「スイートピー 花言葉」と検索をかけた。どうやら色ごとに花言葉が違うらしい。]
(198) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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門出、…… 別離、 ほのかな 喜び …、 優しい 思い出、―――
[読み上げる言葉、喉の奥に詰まる何かを感じる。 それが何かはわからない。どうしてか高3の夏休み辺りにあった出来事が関連すると、自分の理解ができない感情がわきあがってくる事がある。]
明加、 雛子、だった か
[俺は、彼女と――――――――――――??] [――――――――、 、 思い出せない。]
(199) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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[そこに 何があるのだろうか]
(200) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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[解らなくて。]
……、っ
[もどかしさを覚え、胸元の服を握り込んだ。]
(201) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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* *
(202) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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[ある夏の日、大学の講義が突然休講になったものだから 俺は本当に気まぐれに、とある場所へ向かっていた。]
(203) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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[高校3年になって、夏休みの前、 教室でエミらのギャル達が盛り上がってたんだ。
「雛子、就職決まったってマジ?」 「上京すんの??」 「***ってとこだよー」
大声すぎて 覚えていた。]
(204) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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[あの夏、彼女が死ななければ、 「存在していたであろう場所へ」向かった。]
『いらっしゃいませぇー』
[店の暖簾を潜ると何か揚げてるいい匂いがした。 昼飯時、少ない空席に座って店内を見渡す。
そこに彼女はいないのは当たり前だけど、 ――― 、いたらどうだったんだろうな。
なんてガラになく思ったのは、 出口から押し付けられたコロンを付けた日だったから ってことにしておいた。]
(205) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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(206) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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[大学時代、一度だけ。 スマホの連絡先を断捨離していたら、 根岸政宗の名前があった。
高校から姿を消して、それっきり――…]
―――
[今更、とか、どの面下げて、とか] [そんな気分にさせるんだろうと解っていた。けど、]
(207) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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「久しぶり。だな。」
「〒***-**** 東京都○○区 ……」
「いま、ここに1人で住んでるから」 「本当に困ったら、頼りにして欲しい」
[偽善な言葉しか並べられない。 そういう生き方に浸かりすぎていたから、仕方ないのだろうけど。それでも、俺が本来の俺である事を取り戻せるとしたら、それはきっと――彼なしでは不可能なのだろうと、勝手に思い込んでいるのだから。
返事はなくてもいい。 せめて、「既読」がつけばそれで、いい。
生きている、生き続けている、 その証が、確証が―― …欲しいから。]
(208) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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(209) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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― 10years after ―
[俺の輝かしい学歴とその後の功績は言わずとも解るところであってほしい。俺は、無事に、大学を卒業し、修士、博士課程を終了した。 社会人も経験し、お盆休みに久しぶりに実家へ帰った。
俺は、この10年欠かさずに、 明加家へ雛子の命日が近くなると、花を贈っていた。
高校の連中に連名する奴らを募り金を集めたりと、「卒業後もしっかりとした元生徒会長」として振舞っていたわけだ。 元クラスメイトだったから、同じ3年だったから、みたいな理由をつけて始めた恒例行事もすっかり10年目だ。雛子の母親からお礼の手紙も貰った事がある。秋山や出口辺りは、毎年きっちりと連絡くれる辺りマメな奴らだなと思う。あと、ちゃっかりエミの奴も。]
(210) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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[久しぶりの家に帰れば、「優秀な息子」として扱われる。根岸の家よりも会堂の家で、祖父母と話す機会も随分増えた。いずれは、家業を継ぐため…なんだろう。 今年、帰ったのは、いい加減身を固めろ、という上からのお達しがあったからだ。これから、ずらりと並べられた写真の女性の顔とにらめっこをしなければならないらしい。 ……、正直、女の顔とか別に興味ないんだけどな、という本音は置いておく。
俺は、相変わらず、流れまかせの人生で、のらりくらりと生きている。あの9月1日を忘れたまま、生きている。]
(211) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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(212) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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[酒も入り、会堂の家から開放された夜。 夜風にあたってくると、俺はふらりと根良伊川へと向かった。
夏のまだ暑い日、蝉が鳴いていた。 すっかりと歳を取った自分の姿が、川面に映る。
きらりと星が空に輝き始める。]
……、嗚呼、 アンタレス ―――
[赤い色の星が、空に瞬いていて、 あれ、だれかと 俺は、 あの星を、みていた―――?]
(213) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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…、 ……
俺らは みんな、 星の欠片 なんだろ。
[ぼろりと零れた言の葉は、願い川が一寸叶えた何かの力かもしれず。だけど、俺の横を見ても、
そこには誰もいやしなかった。]
(214) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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[それがとても、"寂しい"と、俺は思ったんだ。
俺はあの夏の日から随分と歳もとったし、成長も経験もしてきたのに、本当に大事で大切な9月1日は、奪われたままなのだ。俺は、これからもずっとずっと奪われた事に囚われ続ける―――**]
(215) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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─ 数年後 ─(>>207>>208)
[相変わらず存在感のないスマホが通知音を鳴らす。 スマホを替える余裕なんてなかったし、登録してある連絡先も元々多くなかったからそのまま。]
航ぅ…?
[床に転がってるスマホを拾い上げて、画面を覗き込んで背中を丸める。 意外と俺は すげえ久しぶりだな、くらいの感想だった。
その画面には久々の挨拶と、現住所。
それから頼りにして欲しい、と。]
(216) higesorry 2019/09/15(Sun) 23時半頃
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おお……
[何と返事をしたものか、考え込む。 航はどうせ立派な大学に合格してるだろう。かたや俺はしがないフリーター。 なんとも肩身が狭い。夏呼町に居た頃を思い出してそんな気分になった。]
うーん。
[考えて、スマホに指を滑らす。]
(217) higesorry 2019/09/15(Sun) 23時半頃
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「久しぶり。」
「今度メシでも行きましょう。」**
(218) higesorry 2019/09/15(Sun) 23時半頃
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― 数年後 ―(>>216>>217>>218)
[「既読」さえつけばそれでいい。 そう、思って送ったメッセージ。
「返事」をもらえるなんて思ってなくて、]
[気付けば寝落ちてて翌日くらいに、 届いていた返事を見て、 飛び起きて、え?マジ?え?E? と独り言を言った後、再度、返事を見た。]
(219) wallace 2019/09/15(Sun) 23時半頃
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……、 っは ぁ
[「生きてた」という事がわかっただけで 俺はすごく「嬉しい」と思えた。 人の死なんてあまり重く考えない性格のはずなのに、どうしてかそれに拘ってしまっている。よく、わからないけれど。]
[今何をしているのか、とか、どうして家を出たのか、とか。政宗に聞きたいことはあるけれど、それもあるが、何より、昔の自分を唯一見せられる相手と再び繋がった事に対しての喜びが、じわじわと押し寄せてきて、口許が綻んだ。]
(220) wallace 2019/09/15(Sun) 23時半頃
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「なんでも奢るよ。」
[1歳だけど「兄」ぶって、スマホに返事を送った。 「今度」がいつかは、まだわからないけれど、ね。*]
(221) wallace 2019/09/15(Sun) 23時半頃
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[きっと、それは、もっともっと先の話で。]
(222) fuku 2019/09/16(Mon) 00時頃
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[けれども、確実にあった話。]
(223) fuku 2019/09/16(Mon) 00時頃
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ずっと、お前のこと、忘れてないぜ。
(224) fuku 2019/09/16(Mon) 00時頃
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[好きだって言えない、オレの負け。]
(225) fuku 2019/09/16(Mon) 00時頃
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『デッドボール!押し出し!*ゲームセット*』
(226) fuku 2019/09/16(Mon) 00時頃
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