184 【肩書遵守】Lunatic Nights in Heathling
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[背後から爆発音。 確かめるまでもなく、背を灼く熱に動きが止まる。 フランシスカから目を逸らし、ゆっくりと振り返る。
見覚えのあるアンバーの瞳が獣を見ていた。 呼ぶ名前の先にいるものは、男の知る女ではなく金色の獣。
撃たれた痛みが心臓まで伝わっているかのよう、 鼓動が速い。]
(2) rucoco 2014/07/16(Wed) 00時頃
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[低く吼えて、威嚇するよう男を見る。 両手には預けた銃が握られていた。
背を流れる血が体毛を伝わり、地面を汚す。 逃げられるかどうか――。 未だ無傷なフランシスカとラルフを見比べ、一瞬の迷い。*]
(3) rucoco 2014/07/16(Wed) 00時頃
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[銃を撃ったものの、ラルフの顔に血気逸った様子は窺えず。 脅せば追い払えるかもしれない、そう判断したのか、獣は醜悪な面を歪ませ咆哮する。 交わる視線を振り切るように。
だが、次に男の洩らした名は確とした響きをともなったもので。 ――己の正体が知られたことを理解する。 そらさず見つめてくる男の瞳から逃れようと頭をぐるり廻せば、さらに呼びかけられる声。]
(わからない。) (わからない。) (お前など、知らない。)
[のけ反りもがくメアリーと様子を窺うフランシスカが墓地の夕闇に溶け込んで、 ミッシェルの意識には入らなくなっていた。 やがて狼は、覚悟を決めたよう男を睨み返す。
バレてしまったのなら、生かしておいても厄介なだけだ。]
(11) rucoco 2014/07/16(Wed) 22時頃
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(殺してしまえ。)(殺してしまえ。) (これからも、増えていく獲物のひとり。) (それだけのこと。)
[受けた弾丸の一発は確実に獣の動きを制限したものの、 致命傷には至らないだろう。 男の元へ駆け、真正面から襲いかかろうと――。
跳びあがった瞬間、
>>4:6>>4:7 思い出したのだ。 振り下ろそうとした前脚の動きが鈍る。*]
(12) rucoco 2014/07/16(Wed) 22時頃
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[自分に向かって獣が向かってくるのを見ても、 男の持った武器が二発目を放つことなかった。 暫し静寂の時間が流れる。]
ばかねラルフ。
[男が再び目を開けた時、眼の前にいるのは獣ではなく、 痛みに眉寄せ汗を浮かべる女の姿。]
こんな状況でも……、撃たないって。
気付いたんでしょう? 人狼が――。
[言葉を切り、背に廻した手のひらにべったりと血が付く。 どれくらい流れたのだろう、いつもより身体が重い。 このまま手当てをせずにいれば、意識を失うだろうか、 ともすれば見失いがちになる焦点を苦労して合わせ、男を見る。]
(21) rucoco 2014/07/18(Fri) 00時頃
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ラルフ……。 あなたが、謝ることはないのに。
(その銃を手渡したのは私。)
[三年前、ミッシェルの兄はその銃で、人狼である妹を撃ち殺そうとした。 その時のことはよく覚えていない――が、斃れたのは兄の方で、 銃だけが手元に残った。]
(30) rucoco 2014/07/18(Fri) 01時頃
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[男の謝罪の意味は問わず、抱きしめられるに身を任す。 これが初めての抱擁だと気付けば笑みが浮かぶ。
鈍い人間の感覚でも、新たな、それも大勢の気配を悟る。 振り向く気はなかった。 ただ、黙って眼前の男の顔を見返す。
男は微笑んだ。 思えば、笑顔を見た記憶も殆どない。]
(31) rucoco 2014/07/18(Fri) 01時頃
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一緒……ね、考えもしなかったわ。 いいわよ、だから。
[――泣かないで。 呟いて、目を閉じた。
ああ、あの時も、”一緒に”、その言葉があれば、 私は業をなさず死んでいったかもしれないのに。
刹那、再びの――熱。 最期にいまいちど男の顔を目に焼き付けようと、 アンバーに笑みを向け。
三度目の銃声を聞いた。**]
(32) rucoco 2014/07/18(Fri) 01時頃
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