182 【身内】白粉花の村
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階段→自室
[あの後、足早に部屋に戻り、ばふ、とベッドに身体を埋める。 少しだけ上がった息をはぁっとつくが、すぐにそれも収まった。沢山の人に心配をさせて、それこそまた自分の寿命を縮めることはしてはならない、と。なんでだかそう思ったから。
ーでも。
デメテルは、天井に向けていた目線をちらりと壁のカレンダーにずらす。
"自分の寿命は、あのカレンダーをめくれないほどに短い"
残り数週間という長いようで時間を大切にしなければあっというまに過ぎてしまうその時を、自分は。どう生きようか、と。 …そんなに簡単に向き合える問題でも無かった。結果として、逃げた。わざと品のいい口調を崩して、 甘えて、迷惑をかけて(けちんぼせんせいはけちんぼだと思っているけれど。) そうして、"あおいとり"を求めて、 起こりもしない奇跡を夢見る少女のように振舞った。……否、求めているのはきっとフリなんかじゃない。 確かに求めているのだ、 "病気が治る"という奇跡を。
ーでも、だからと言って、]
(92) 2014/06/28(Sat) 05時頃
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…これで、いいのだろうか。
[掠れるような呟きは、伏せられた睫毛に奪われた視界と共にそっと暗闇に消え去る。 こうして甘えることは、嫌いではないけれど。かすかな痛みも分かち合えない、一方的な、そんな存在で良いのだろうか。]
(ーこの病気ならそれも認められる気はするけれど)
[それでも、違う。自分は、そうして生きても、きっと、"あおいとり" ー奇跡になんか、会えやしないのだ。 少ない日数を、どう足掻けば。 生きることを諦めずに生き抜くには、どうすれば。]
………、
[ぎゅ、と握られたシーツの皺に、どれだけの葛藤があるのだろうか]
(93) 2014/06/28(Sat) 05時頃
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……
[暫しそのままぼうっとする。もしかしたら、少し微睡んでいたかもしれない。ベッドから身体を起こして、崩れた髪を整えながら窓に向かった。
シャー、と小気味の良い音を立ててカーテンを開ける。外に出るのが叶わなくとも、これ位は怒られないだろう、と。 そのまま窓も開ければ、へりに肘をついて中庭を眺めた。梅雨時の中でたまに晴れると、何だかとても嬉しくなり。 きらきらと輝く日差しに目を少し細めながら、ふと植物が多くある場所ではしゃぎ回る少女を眺めた>>95]
(…デメテルも、ああして外に出る事が出来るのなら)
[少し彼女を羨ましく思いながらも、彼女もまた何か深刻な病気に侵されているのかと思えば、羨ましいなどと軽々しく口にしてはならないと思った。 はあ、とため息をつく]
(100) 2014/06/28(Sat) 15時半頃
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…!
[楽しそうに遊ぶ幼子>>114に手をふられれば、驚いたように目を見開くが、ちゃんと手を振り返す。 幼子のあどけないこちらを呼びかける声が、とても愛らしかった。]
(デメテルに妹がいれば、あんな風にしてくれるのだろうか)
[そこまで考えて、家族の事を思考の繋がりで思い出す。 …優しい母様、父様、兄様。 ……もう、戻っては来ないけれども 沈んだ気持ちは、睫毛と共に落ちていった]
(141) 2014/06/29(Sun) 00時半頃
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