212 Dark Six
情報
プロローグ
1日目
2日目
3日目
エピローグ
終了
/ 最新
1
[メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
視点:
人
狼
墓
少
霊
全
|
―本部跡地―
[澄んだ空が赤く染まる程に、紅の花弁が舞っている。
恩師が身を削り引きつけ、始祖が岩石で絡め取った、 吸血姫の僅かな"隙"に。 雪狼の祈りと共に護符が奉じられ、血桜は此世と断たれる。
護符より離れ、名残り雪のように舞う桜に身を焼かれつつも、 銀の食虫花は大きな口を開き吸血姫を丸ごと飲み込んだ。
『―――魂を喰らう』
彼女の意識はきっと、緩やかに落ちていく。 今まで食虫花に喰らわれた他の魂達と共に、無に還る。 そして最後には、百合の花も消えていく。 さらさらと砂の様に崩れ落ち、風に舞い煌めきながら]
(0) hayase 2015/01/23(Fri) 18時半頃
|
|
[ミツボシの亡骸は綺麗なまま、 まるで眠っているかのように崩れる花の中から姿を現した。 落下する彼女の身体を優しく地上へ受け止めると、 蔓も砂へと還る。
食虫花を失った男は意識を失い、 飛び上がっていた中空より地上に落下する。 そのまま倒れ伏し、目を閉じたまま**]
(1) hayase 2015/01/23(Fri) 18時半頃
|
|
[―――――十年前]
[目覚めた食虫花は、自分が何者かよく分からなかった。記憶も名前も何もない。唯一彼が持っていたのは、魔物を駆逐しなくてはいけないと言う凶暴的なまでの本能だけ。
故に、彼は直ぐに自分が"ケイイチ"であるということを受け入れた。少年と食虫花、二人の意識は最初から分離してはいなかった。十年間、同じ景色を見て、同じ声を聴き、同じ体験を繰り返してきた。そしてその間に、静かに蝕まれるように、"ケイイチ"の性格は変質していった。
次第に暴走を始める残虐性に、疑問を持つことさえ忘却する程に。彼は魔物を喰らう本能と同化する。闇の中で哂っていたのは、青年であり、食虫花であり、"ケイイチ"だった。
本能を使命に塗り替えたのは、遠い昔《アンバー》の記憶。記憶に魂が宿るならば、今の彼の名は。 花は咲く。運命の悪戯で上がることを赦された最後の戦場で、只管に咲いて、散った]
(5) hayase 2015/01/24(Sat) 17時頃
|
|
―本部跡地―
[横たわる男の頬に一片の花弁が触れた。 酷く懐かしい、穏やかな声>>4を聴いた気がする。
―――――…
―――…
――]
…………先生?
[やがてゆっくりと瞼をあげる、両の瞳の色は黒]
(6) hayase 2015/01/24(Sat) 17時頃
|
|
[緩やかに意識が覚醒していく。吸血姫と対峙した記憶は、はっきりと残っている。共に消滅することを覚悟していた。だが、死ななかった。 大好きな人の声>>8がする。満身創痍ではあるが、彼も無事なようだ。良かった。本当に、良かった]
先生。
[身体が重く、起き上がることが出来ない。それでも緩慢とした動きで腕を持ち上げて、彼の頬へ触れようと指先を伸ばした]
―――…親より先に、死ねませんから。
[薄らと微笑む]
生きなくては。
[自分の為、犠牲になった全ての者の為、そして未来の為に。 …初めて素直に、そう思えた]
(9) hayase 2015/01/24(Sat) 21時頃
|
|
[引き寄せられる手>>10。 相手を確かめるように緩く力を込める。 指先に触れた涙すら、今は酷く温かい]
……まだまだ、恩返しさせてくださいね。
[くすくすと、悪戯っぽく笑う。 彼がミツボシのことを今なお子供だと言ったことが、 嬉しくて、悲しかった。
舞い終えた薄桃色の桜が、周囲に絨毯の様に散っている。 幼い頃に笑いあった無邪気な少女の面影を一瞬思い、そして。恩師の力を借りて身体を起こすと、ゆっくりと歩き出そう**]
(11) hayase 2015/01/24(Sat) 22時半頃
|
|
―後日談/墓地―
[しんしんと雪が降っている。 黒い傘を墓石に差しかけながら、肩に雪を積もらせる男が一人。 足元には、白い花束が置かれている]
……ごめんな、護れなくて。
[後輩の少年が、組織にやって来たのは三年前。詳しい事情までは知らないが、かなり悲惨な目に合っていたことは理解している。だからその死を故郷に伝えることもしなかった。 亡骸も残っていない彼の死は、鍵が失われている事実によりあっさりと認められた。遺体の代わりに遺品を埋めて、墓の体裁を整えた。 ただ、銀の弾丸を詰めた拳銃だけは、今も男の懐に]
そっちには、俺の父さんと母さんもいるし。 優しい人達だから、 きっと君を放っておかないんじゃないかな。
息子が愛想が悪かったから、その反動かも。 ま、構ってあげてよ。
[苦笑と共に、白い息が零れる。まだ暫く、寒い日は続くだろう]
(16) hayase 2015/01/25(Sun) 13時半頃
|
|
俺が逢いに行けるのは、もう少し先になりそうだから。
その時は、今度こそ一緒に飯でも食いに行こう。 良いお店、探しておいてね。
[そのまま足を引きかけて、ふと思いついたように留まり。 傘を墓に立て掛けるようにその場に置くと、立ち上がる]
それじゃ、またね。
[淡く微笑むと、今度こそ踵を返す。 頬に触れる雪は、あの日の桜と違って冷たい**]
(17) hayase 2015/01/25(Sun) 13時半頃
|
|
―エピローグ/何処かの街の片隅で―
[空には白い月が浮かんでいる。千砂倉の外、近隣の都市に吸血鬼が確認されたという情報を受けて、男は調査と対応の為にやって来ていた。
血桜事件の後、食虫花を失い大きく戦闘力を落とした彼だったが、"Dark Six"の実動可能な構成員不足という事情も相まって、未だに戦闘に携わる機会も多い。 傍らには狼が二匹。件の事件で共に戦い生き延びた、カリュクスの狼達を譲ってもらったのだ。彼女のような動物と心通わせる異能はないが、それでも今では随分彼らと意思疎通が出来るようになってきた]
……どうしたの。そっちが気になる?
[人の気配のない路地裏で、狼の視線の先を気にしつつ頭を撫でる。鋭く向ける眼差しの色は黒。注意深く様子を伺いながらも、こんな夜は、どうしても金の眸を思い出してしまう]
(18) hayase 2015/01/25(Sun) 21時半頃
|
|
――――回想、吸血姫との闘いの果てに。
[恩師>>12に手を借り、立ち上がる。 近づいてくる雪狼>>15の姿に表情を緩めかけるが、 その眸に薄らと残る金の光に息を呑んだ]
―――――…っ。
[だが、それは直ぐに消え去り。 後には無垢な獣が残されただけ]
…ただいま。
[だから男は、ただ、泣きそうな顔で微笑むのだ*]
(19) hayase 2015/01/25(Sun) 21時半頃
|
|
[忌まわしいあの眸を見たのは、それで最後だった。自分が知る限り、イワンが記憶を取り戻したと言う話は聞かない。
かつて、自分はイワンを赦すと言った。今際の心算で出た言葉だったが、本心から大きく外れていた訳ではないと思う。
彼がいなければ、両親は死ななかったかも知れない。だが、彼が望み悦んで人を喰らったのではないことも理解している。彼も被害者なのだ、といえば聞こえは良い。しかし、そのように単純に割り切れるものでもない。 恨み切れず、赦し切れず、複雑な想いの果てに聞いた恩師の言葉は、鮮烈だった。憎んでも良かったのか。怒っても良かったのか。真っ直ぐな怨嗟は、初めて自分に、純粋に憤ると言う新たな選択肢を与えたのだ。
――そして、その上で、赦すと言った。 聖人になりたかったわけではない。ただ、何も知らない故の雪狼の愚直さは、羨ましくもあったから。揺らぎかけた不安定な自分の心を、何度も救われてしまったから。恨めない。記憶のない彼を、これ以上自分は、…恨めない。
きっと自分は、本当の意味で薄情なのだ]
(20) hayase 2015/01/25(Sun) 21時半頃
|
|
[気配のする方、路地の奥へ奥へと足を進めていく。 ぴくり、と狼が反応した。 銀の弾が詰まった拳銃に手をかけて、 男は壁に背を付けて息を潜める]
どさり。
[物陰から倒れ伏したのは、大柄の男の亡骸だった。 そしてやや間を開けて暗闇から姿を現したのは、 未だ幼い少女の姿をした吸血鬼。 酷くぼろぼろの姿で、泣いているようにも見えた]
―――――…っ!
[一拍の間が置かれた後、乾いた銃声が*響いた*]
(21) hayase 2015/01/25(Sun) 21時半頃
|
1
[メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
情報
プロローグ
1日目
2日目
3日目
エピローグ
終了
/ 最新
視点:
人
狼
墓
少
霊
全
トップページに戻る