人狼議事


308 【R18】忙しい人のためのゾンビ村【RP村】

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視点: 人


【人】 地道居士 エニシ

[部屋はもう、使える状態ではなくなってしまった。
もう動かなくなったお隣さんは毛布でくるんで
ベランダから下へ放り投げたから。
お隣さんはもう部屋にいないけれど、
割れた窓や血しぶきは残ったままだ。

―――ゾンビを殺したら、人殺しになるのだろうか
ならないと、言ってくれる人は居るのかもしれない。

……優しい、お兄さんだったんだ。
深夜に夜食を買いにコンビニに行けば、
仕事帰りにお酒と夕飯を買い込むその人に出くわせば
こんな時間に悪い子だなあ、なんて笑われた後、
「飲むかい?」と、棚から取ったビールを見せられ
へらりと笑いを向けられて
近くの公園で二人、他愛もない話をしたものだった。]

(15) 2020/10/24(Sat) 12時半頃

【人】 地道居士 エニシ

[ベランダの下を、見下ろす。
毛布からはみ出た腕は、血に濡れて赤黒く。
血の匂いや落下した音に反応してか、
そっちに寄ってくる人影が見えた。

見えた人影は、
スーパーで見かける店員さんだった気がした。
お隣のお兄さんだって、あの店員さんだって。
なりたくてなった訳じゃない。
僕だって、兄貴だって……仕方なかったんだ。

兄貴と一緒に簀巻きにした毛布を持ち上げた感触が
まだ両手に残って居る。
僕は少しの間目を瞑り、きつく、拳を握りしめると
やるせない気持ちで、踵を返し、部屋へと引っ込んだ。]

(16) 2020/10/24(Sat) 12時半頃

【人】 地道居士 エニシ

[その日、僕の部屋は片付けず
二階ベランダに通じる僕と兄貴の部屋は封鎖した。

部屋から出した箪笥をドアの前に置いたりして
もしゾンビが入り込んでも簡単に出てこないよう
バリケードを念入りに作る。

必要な物だけを持って一階へ降りて
それからは……毎日。
居間のソファーで、兄貴と一緒に眠った。]

(17) 2020/10/24(Sat) 12時半頃

【人】 地道居士 エニシ

[兄貴は日に日に、何かに耐えるように頭を抑えたり、
自分の身体を掻きむしることが多くなっていった。
時には、何を言うこともなく、
ぼんやりと僕の方を見ているだけのこともあった。

 「自分が自分じゃなくなる気がする」
 「俺、どうなるんだろうな…えーくん、怖い……」

僕より全然大きくて、
いつも頼れるばかりの兄貴だったのに。
お隣さんを撃退したときの気迫や強さは
もう、見る影もなくなって。
泣きそうな声で漏らすのは、そんな弱音だ。

こんな兄貴は、今まで一度も見たことがなかった。
胸が破裂するんじゃないかってぐらい、辛い。]

(18) 2020/10/24(Sat) 12時半頃

【人】 地道居士 エニシ

[痛みで発熱する身体が辛いのか
(それとも、動いてると考えてしまうことがあるのか)
ソファーに横たわったままが多くなった兄貴は
僕が水と焼き鳥とか肉の缶詰を持ってきたのを見ると
ぽつ、ぽつ、と。決まって弱音を吐く。

兄貴は「連絡がつかない友人が毎日増える」と。
「次は自分の番なんだ」と。

 「俺はもう、駄目だからさぁ……
  えーくんは、安全な場所に逃げてよ」

……そう、震える声で、何度も言うけれど。
僕は笑って、言うんだ。]

(19) 2020/10/24(Sat) 13時頃

【人】 地道居士 エニシ

[他に行くところも、向かうところもないんだ。
最後、一人になんてするもんか。]

 大丈夫だよ、兄貴。
 僕は……最後まで一緒に、居るから。

[兄貴の、指先の冷えた手を握る。
それは自分でも驚くほど、穏やかな声だった。]

(20) 2020/10/24(Sat) 13時頃

【人】 地道居士 エニシ

[騒動からずっと、苦しいばかりが積もる毎日で
僕にできることはなんだろうと考えていた。
いつかSNSで見た"悔いのない選択"。

大丈夫。悔いなんてない。

そう信じて。手を、強く握った。]*

(21) 2020/10/24(Sat) 13時頃

地道居士 エニシは、メモを貼った。

2020/10/24(Sat) 13時頃


【人】 地道居士 エニシ

[前にゾンビが二階に入ってきたときは
僕が寝ぼけて壁を蹴ったりしたのが原因だろうと。
不必要に音さえ立てなければ、
奴らは中に入ろうとしてこないだろうと。

兄貴のその推測は当たっていた。
それから今まで、ゾンビは家に入ってきていない。]

(29) 2020/10/24(Sat) 21時頃

【人】 地道居士 エニシ

 ……兄貴。もう、大丈夫だよ。
 じっとしてれば……ゾンビは、来ないんだ。

[一階の居間の横の、両親の寝室。
そこにあるクローゼットの前で体育座りをして
目の前で鈍く光る銀色を見つめる。]

 「えー、くん…………
  そ、か……よ、かっ た……」

[獣が唸るような音が混ざった兄貴の声が、
クローゼットの中から聞こえるのに、
僕は膝の間に顔をうずめた。

クローゼットは中から簡単に開かないよう、
外の二つの取手同士を紐で結んである。]

(30) 2020/10/24(Sat) 21時頃

【人】 地道居士 エニシ

[兄貴が噛まれてから、五日。

兄貴は最初、僕に逃げるよう何度も頼んで、
僕が逃げないなら、自分を殺してくれと言った。

 ――まだ、ゾンビになるって決まった訳じゃない。
 なってもいないのに、殺すなんてできるもんか。

僕は毎回、そう言って断った。
ワクチンの開発とかが間に合って
ゾンビになった人も助かるかもしれないじゃないか。

その言い分が何の気休めにもならないのは、
僕自信がが一番よくわかってた。
だって。毎日、テレビをつけてみても、
ネットのニュースを漁ろうとしてみても。
ここ数日は何の情報も流れてこなくなっていたから。]

(31) 2020/10/24(Sat) 21時頃

【人】 地道居士 エニシ

[対策を練る筈の政府や医療機関の人だって
今どうしているかの情報が、何も無いんだ。
今一番、リアルタイムの情報が流れてくるのはSNS。
それも悪い情報ばっかりで、
事態が良くなりそうな兆しは欠片も見当たらない。

両親だってもうゾンビになってしまったんだろう。
兄貴ももう、助からないんだろうか。
ゾンビになってから助かったという情報はない。
こんなんで、希望を持つことなんてできなくて。]

(32) 2020/10/24(Sat) 21時頃

【人】 地道居士 エニシ

[そして、兄貴は僕に言った。]

 「多分もう、俺には猶予がない。
  今のうちに、手を縛って。閉じ込めてくれ。
  俺……えーくんや、他の人達を、
  食べたりなんて、したくないんだ。
  だから、えーくん。こんなこと頼みたくない、けど
  逃げないなら……俺のことを、]

 ……ゾンビに、なっちまったら、だからな。
 まだ、ならないかもしれないじゃないか。
 でも―――、兄貴。約束、するよ。

[閉じ込めるのは、僕へ考える時間をくれたからだ。
ゾンビになって暫くは、迷えるように。
逃げるか、……兄貴を、殺すか。それとも。

僕は全部わかってた。もう避けられないことだって。
わかってて、兄貴を閉じ込めた。
けれどまだ僕は、どうするか何も決められてなかった。]

(33) 2020/10/24(Sat) 21時頃

【人】 地道居士 エニシ

[クローゼットに背を預けたまま、話す。]

 なぁ、兄貴。

 「な、に……えーくん、」

 兄貴は……心残りとか、悔いって、ない?
 僕は……後悔ばかりだよ。

 「……あるけど、さぁ…………
  でも、俺は、最後、
  えーくんの声聞けて、良かった。
  あぁ……そうだ。この後のこと、かな、
  俺の分まで、えーくんに生きて、ほし、、
  ……げほっ!!ごほ、っ……!!」

[ぜぇぜぇと、背中の下の方から蒸せる声。
クローゼットを開けようとして立ち上がりかけ、
"殺さないなら何があっても開けるな"
兄貴の言葉を思い出し、その場にまた座り込んだ。]

(34) 2020/10/24(Sat) 21時半頃

【人】 地道居士 エニシ

[背中からは、辛そうな息遣いに、笑い声。
僕がしたことは筒抜けだったんだろう。
その後また、咳き込む声と唸り声が続いて、]

 僕は、……兄貴だけだったんだ。
 兄貴が居なくなったら、僕、

[背中から聞こえてくるのは呻き声ばかりになった。]

(35) 2020/10/24(Sat) 21時半頃

【人】 地道居士 エニシ

[……ポケットで、震える感触がする。
SNSの通知だろうかと、スマホを取り出し。]
[通話相手の名前を見て。嘘だ、と思った。]

 ―――父さん…?

[酷い雑音の中で。発砲音や、呻き声がする。
その中でも近くで聞こえる、荒い息遣い。]

 『……エニシ。良かった、無事だな。
  ヨスガも、無事か。』

[父親と話したのは、本当に久しぶりだった。
間違いない。本人だ。でも……なんで、"僕"に。]

(36) 2020/10/24(Sat) 21時半頃

【人】 地道居士 エニシ

[こみ上げてきた涙を堪えて
数秒の悩む間を置いてから、震える声で答える。]

 大丈夫。僕も、兄貴も、無事だよ。
 ……母さんは?

 『そうか。……良かった。
  母さんは…………無事だ。』

[心配するな、とその後に続いたけれど
僕は、気づいていた。
僕が答えるまでの間と、父親が言い淀んだ間。
その意味が、殆ど同じものだってことに。
父親も気づいていたに違いないのに、
そのことに触れてこなかったのは、優しさなんだろうか。]

(37) 2020/10/24(Sat) 21時半頃

【人】 地道居士 エニシ

 『やっと電波が入るところにこれたんだが
  ヨスガに電話する暇は、もう無さそうだ。』

[ (え、…………)
言葉を、失った。
兄貴に電話してから、僕に電話したんじゃないのか。
僕は大学に入ってから学部に馴染めなくて、
苛めにもあった挙句不登校の引きこもりになって。

たまに家で顔を合わせても父親は僕には文句ばかり。
僕も食卓で父親と会っても一言も会話せずに
二階に上がることが殆どだったっていうのに。]

(38) 2020/10/24(Sat) 22時頃

【人】 地道居士 エニシ

 『……最後に、お前に言わせてくれ。』

[最後って何だよ。
僕は父さんに、まだ聞きたいことが、]

 『俺も、母さんも。
  お前のことを本当に大事に想ってた。
  ヨスガだって、お前が居ないところで
  あいつは自慢の弟だって、いつも言ってた。
  だから―――お前は、胸を張って、生きるんだ。』

 待、っ…………!!!

[プツッ……ツー……ツー……ツー……]

(39) 2020/10/24(Sat) 22時頃

【人】 地道居士 エニシ

[ ]
[   ]

[電話が切れてから、どれだけ経ったのか。
僕は呆然と、画面がついたままのスマホを見ていた。

打開策を調べる気力ももう起きなくなっていて
ここ数日、SNSを見る頻度は落ちていたけれど。
それでも、数日間充電をしていないスマホの電池は
後数%だと表示されている。

かりかりと、ドアを齧るような音を背にしながら
いつもスマホを持ったらするように、
僕は無意識に、SNSを開く。]

(47) 2020/10/24(Sat) 22時頃

【人】 地道居士 エニシ

[本当は、兄貴に噛まれてしまうのもいいと思ってた。
兄貴を殺す勇気なんてないし、
一人で生きていく自信もないから。
約束までした頼みを聞けないのは悪いけれど、
僕は、臆病で何もできないやつなんだと、思ってた。

でも。これが最後かもしれないっていうなら
託された想いに応えるのもいいかもしれない。
だって、今頑張らなかったら、もう。
僕は本当に、兄貴のただのお荷物になってしまう。

僕は生きていていいのかと
そう思っていたのは間違いだった。
兄貴と、両親の言葉を、思い出す。]

(48) 2020/10/24(Sat) 22時半頃

【人】 地道居士 エニシ

[生きていていいか、じゃない。
がむしゃらに、生きないといけないんだ。

僕の大好きな兄貴の分まで。
父さんと、母さんの分まで。]*

(49) 2020/10/24(Sat) 22時半頃

地道居士 エニシは、メモを貼った。

2020/10/24(Sat) 22時半頃


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