56 いつか、どこかで――狼と弓のワルツ――
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[辺りを見ながら砦の中を歩く。 中庭まで来れば、その場にへたり込んだ様子の男の姿が見えた。>>19]
おい、お前。 どうかしたのか?
[近寄り、声を掛ける。 様子を見るが、怪我をしているというわけではないようだ。]
(21) 2011/07/02(Sat) 03時頃
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ミッシェルは、小さく拳を作った**
2011/07/02(Sat) 03時半頃
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…はっ! あ、ああ、はい、いえ。だ、大丈夫です。
[>>21声をかけられるまで放心状態だったようで、目の先にはヤニクの姿が認識できた。
反射的に立ち上がってみたものの、足の震えが微妙に残っていた。]
あの、ヤニク殿、でしたか。 実は神父君とフィリップ殿が、何者かにで、死んで…。
[言いたい事はあるのにきちんと言葉が紡げない。 泳ぐ視線に若干の錯乱が残っていた。]
(22) 2011/07/02(Sat) 03時半頃
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……何? どうした。なにがあった。
[男の口から告げられた文章として成り立っていない単語に耳を疑った。 どこか泳いだような視線>>22に彼が動揺しているのかとも思ったが、信じたくないと言うようにその顔をまっすぐ見つめる。 何故か、動悸が激しくなっていた。]
頼む。落ち着いてもう一度言ってくれ。
(23) 2011/07/02(Sat) 03時半頃
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そだ、こいうときは話し方…。
[>>23ヤニクの真っ直ぐな視線が、遠くに見えた幻を消し去ってくれた。思考が若干回復したようだと自覚を持った。涙を服の裾で拭う。]
先ほど、本当に先ほどですが。 従軍―神父殿と、馬の世話をしていたフィリップ君が。
[そこで言葉を切り、一呼吸置いて。]
亡くなり…ました。 見つかけた時にあ、二人とも血が流れてて、目の前で事切れて。
しかも、何者かに、殺された、と。
[裾でもう一度、涙を拭った。 看護士の言葉から、殺された事は想像がついた。]
(24) 2011/07/02(Sat) 03時半頃
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………………そうか。
[戦場で感じた嫌な予感はこれのことだったのか。 落ち着いた彼から告げられた言葉>>24に、短く返す。
こんな時に嘘を吐く理由も、冗談を言う状況でもないことも彼は分かっているだろう。 そしてなにより、先程の彼の様子は、それを事実だと言っていた。]
それは、砦の中でのことだな? 二人は同じ場所で、殺されて、いたのか?
[戦場でなら――言いたくはないが、仕方がないことだろう。 確かにフィリップの姿は戦場で見かけた。 しかし、ムパムピスは砦にいたはず。 内心の動揺を隠し、確認するように更にそう聞いた。]
(25) 2011/07/02(Sat) 04時頃
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>>25そ、です。 あっち―牢屋があったとこの近くです。 そこで二人とも倒れてました。
倒れたとこに、たくさんの血があったので、恐らくは同じ場所です。
[言葉の中には少し繰り返しがあっただろう。 力無く握られた拳は、感情の入り混じりを表現していた。]
(26) 2011/07/02(Sat) 04時頃
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そう、か。 牢屋……分かった。
[己も動揺しているからか、男の感情は分からないままそう繰り返す。
捕虜が居たことも、その捕虜が逃げたことも知らないが、場所を聞けば察することは出来る。 参謀に報告と確認をしなければならないだろう。]
どうして、神は……先にあいつらを呼んだんだろうな。 俺とは違って、きちんと聖堂に行って祈っていたのに。 一番、祈っていたのに。
[悔しげに、小さく漏らし。]
俺は参謀殿に報告しに行くが、お前はどうする。 お前から直接話してもらう方が良いかもしれないが……無理なら食堂で水でも貰ってくると良い。
[彼の返事を待った。**]
(27) 2011/07/02(Sat) 04時半頃
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>>27無論、行かせて…もらいますよ。 砦の中でこういうことが何度も起こったら大変な事になってしまうんで。
ましてや他人事じゃないですし、それに…。
[最後の言葉は徐々に言葉は小さくなり、ついに途切れた。
問われれば、いや何でもないんです、と首を振りながら返しただろう。]**
(28) 2011/07/02(Sat) 04時半頃
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[赤緑の両参謀のまわりが、騒がしくなっていく]
副団長が退却命令を? そうか、正しいな。深追いはせぬよう徹底を! また、赤の団長の無事を急ぎ確認するのじゃ…!
[そして、戦況情報に混じり――]
……何? 砦で? バカな、一番あってはならん事態じゃ! 赤の参謀殿。わっちは新たな捕虜の話は聞いておらなんだ。ご存じか?
[どんな答えがあったか。いくつかのやりとりの後] 団長か副団長に連絡。編成は任せるゆえ、すぐに一隊を砦へと!
[戦況が覆りかねない事態に顔を顰めていた**]
(29) 2011/07/02(Sat) 08時半頃
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[詰め寄ってきた女の姿>>18を見遣る。]
奴が、お前の「敵」か。 ………下らん。
[彼女の持つ翡翠の眼は、皮肉にも敵の翡翠によく似ていた。 苦悩に歪められたそれを直視することはままならず、瞳を伏せる]
お前一人の敵意の為に、私の騎士達に死ねと言うのか。 この戦線が突破されれば何が起こるかお前には見えないのか。
……お前一人の為に、我らが祖国に亡びろと言うのか!!
[それは、誰が見ても分かる――激昂。]
(30) 2011/07/02(Sat) 08時半頃
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[砦に充満する血の匂いは、脳裏にこびりつくイメージと結びつく。]
(31) 2011/07/02(Sat) 09時頃
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[幼い頃から、幾度となく奇妙な夢を見た。
ありとあらゆる時代・場所の、会ったことも無い人々の夢だ。 ノルドハイムの美しき公女。脚を怪我した女性兵。 黒き馬に跨る敵国の将。見知らぬ公国の若き公子―――。
その中でも何度も繰り返し、繰り返し再生される悪夢。 転がる骸。蹂躙される祖国の大地。 廃墟となった砦と――― あかい……、そしてくらい。
それを「予知夢」と呼ぶのだと、恐ろしい夢に疲れ果て、泣き叫ぶ少年に教えたのは町の教会の老神父だった。]
(32) 2011/07/02(Sat) 09時頃
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[「神が与え賜えたのだろう」と、老神父は語った。]
「それは試練ではない。使命なんだよ、セドリック。
恐怖に目を凝らして、その本質を見抜きなさい。 未来を知るお前なら、未来を変えられるかもしれない」
[そして―――少年は「力」を求めた。 未来を斬り拓き、護りたいものを護るための力。 力を求めに求め、辿り着いた最後の形が「騎士団」だった]
(33) 2011/07/02(Sat) 09時頃
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[そして、今。 過去に向かった意識を振り払い、再び目の前の女騎士を見る]
祖国の為に戦えぬ騎士など要らん。 我が騎士団を潰すつもりなら……もういい。
―――――今すぐ、帰れ!!
[きっと睨み付け、言い捨てて。 参謀を探し、男は再び*歩き出した*]
(34) 2011/07/02(Sat) 09時頃
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…引くぞ。
[ベネットを回収しようとこちらに駆け寄ってきたペラジーを目に入れて、衛生兵が出張ってくる事ができるまでに戦況が落ち着いている事を把握して。
ペラジーに大声で名を呼ばれているイアンを目の当たりにして、一呼吸置いて。]
(35) 2011/07/02(Sat) 12時半頃
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一時撤退だ! 余裕のある者は負傷した兵を連れて防衛線まで後退しろ! [戦場で今なお牙を向いている同胞に向けて、鋭い咆哮をあげた。]
(36) 2011/07/02(Sat) 12時半頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2011/07/02(Sat) 12時半頃
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[強く耳に響いた叱咤にちらりと目をやれば そこには白いフードがあって>>14]
…
[少しだけ気丈に、笑みを浮かべて見せた。]
んなの、分かってんよ。
[ただ、忘れられなかった。 最期にベネットが残した言葉が。 今も、延々と頭の中を回っていた。]
ベネットを、…頼む。
[そして、オスカーの咆哮に手繰り寄せられるように 敵軍から手を引いて、撤退の体勢を取ったのだった。]
(37) 2011/07/02(Sat) 12時半頃
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あまり時間がない。 急げ。
[ベネットを運ぶと言うペラジーに声をかけて。 ペラジー達を先に向かわせた後にオスカーもまた、撤退しようと愛馬を呼んだ。]
お前も先に行け。
[イアンを先に行くように声をかけ、自身は数名の騎兵達と共に、しんがりを勤めようと。]
(38) 2011/07/02(Sat) 13時頃
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「兵がいる中での激昂。 一目も憚らず怒鳴り散らされた。」
違います! 私はそんなつもりは…!?
[ここまで言いかけて女は気がつく。必死で弁解するのも無駄。 女の行動は誰が見ても同じことを言われる行動だった。
己の行動は自らの首を締めあげた。]
(39) 2011/07/02(Sat) 13時頃
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『―――――今すぐ、帰れ!!』
[言葉は胸に突き刺さる。 剣や弓で傷をつけるより痛い傷。 兵士にとっては屈辱的な言葉は鋭い刃に変わり、女は見えない血を流した。]
申し訳ありませんでした。
[目を伏せて静かに答えた謝罪。これ以上の言葉は発することは出来なかった。
女は男とは逆の方向に向かって歩いて行く。向かう先は礼拝堂**]
(40) 2011/07/02(Sat) 13時頃
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…分かってる。
[オスカーに言われるまま、愛馬に跨り、砦へ引き返そうと。 負傷した兵士がいるならば、声をかけて行くだろう。
普段から何事にも動じずに来た青年だったけれど、 手を組んだ次の瞬間、その相手が居なくなった、という事実は 心身に、大きなダメージを与えていた。]
(41) 2011/07/02(Sat) 13時頃
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― 砦 ―
[生きている騎士たちを撤退させ、ようやく砦へと戻ってきたオスカーが耳にしたのは、フィリップと神父が自分の捕まえた捕虜に殺されたと言う話で。]
何だと…逃げた捕虜は何処に居るんだ!?
[オスカーらしくもなく、その情報を伝えに来た兵に大声で詰め寄ったのだった。]
(42) 2011/07/02(Sat) 13時頃
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イアンは、その眼が見据える先には、何があるか**
2011/07/02(Sat) 13時半頃
記者 イアンは、メモを貼った。
2011/07/02(Sat) 13時半頃
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[イアンが浮かべた笑みに、少し安心したような、まだ少し心配しているような表情になるが>>37]
……はい、任せて下さい!
[今すべきことは、ベネットを運ぶことだと言い聞かせて。 生存者優先の為、他の兵の力を借りられはしなかったが、鞄が軽くなっていたのと、ベネットが軽装備だったのが幸いし、何とか背中に背負う。]
うん、!
[オスカーに声をかけられて、強く頷くと足を速める。>>38 駆ける、というわけにはいかなかったが、砦が近づけば、手を貸してくれる者もいただろう]
(43) 2011/07/02(Sat) 14時半頃
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―砦―
[砦に着くと、ベネットの遺体を安置所まで送り届けに行く。そして、その場にいた他の看護士から、ムパムピスとフィリップの訃報を聞き、目を見開いた]
なんで……?ムパさんとフィリップは、砦の中にいたんでしょ?
『敵軍の捕虜がいたらしいの。捕らわれていたんだけど…牢が、空になってたって。その近くで、二人は倒れていたという話よ。まだ捕まっていないから、私たちも警戒の必要がある』
[もしかしたらそのまま外に逃げたかも、という同僚の言葉は既に耳に入っていなかった。時折戦場にでるフィリップとは違い、ムパムピスが自分より先に死ぬことはないだろうと思っていたのに。突然の死が、まだ信じられずにいて。
戦の無情さを改めて感じ、唇を噛んだ]
(44) 2011/07/02(Sat) 14時半頃
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[休憩をとる旨を同僚に伝え、砦の中を歩いていく。 戦の始まる前に、ムパムピスと話した事を思い出しながら。>>0:153>>0:157
――生まれ変わりが本当にあるのなら。 いつか死んでいった人たちとも、再び会える? でもムパさん。私は、戦のある世界には、生まれたくないよ。
あの時、言えなかったことを胸中で呟いた。 もし生まれ変わりがあるというなら…戦のない平和な世界。せめて、彼らがそんな国に生まれているのを願う。]
(45) 2011/07/02(Sat) 15時頃
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[バーナードの返事>>28を聞き、頷く。 小さくなる声に首を傾げたが、彼は彼で失った二人と親しかったのだろうと一人納得した。]
ありがとな。その方が俺も助かる。 じゃあ、一緒に来てくれ。
[敵が砦に潜んでいるのだとしたら、一刻も早く見つけ出さなければならない。 バーナードを連れ、参謀の許へと向かった。]
(46) 2011/07/02(Sat) 15時半頃
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―礼拝堂前―
……んっ、
[つきん、と一瞬、頭に痛みが走る。奇妙な光景が頭に浮かんだ。 見た事のない景色。覚えのない、顔の見えない誰か。 騎士とは違う服。臙脂色に緑色…それと赤い…狼?
ふるりと頭を振り、押さえた。 戦の中だと、たまにそんな白昼夢?を見ることがあった。健康に異常はなかったから、殆ど気にしたことはなかったけれど。
…従軍神父のことを考えていたからだろうか。 気づけば、礼拝堂の前にいた**]
(47) 2011/07/02(Sat) 15時半頃
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[参謀の許へと向かう間、就任したばかりの赤副団長の訃報を聞いた。]
な……。
[言葉を失う。 これが戦。誰が死んでもおかしくない。 しかし、あまりに早すぎるのではないか。上に立つものを失えば、士気にも関わる。
赤騎士団のことが気になる。 そこに所属する幼馴染のことも気にはなったが、それよりも先に参謀に話をしに行かなければと足早に向かった。**]
(48) 2011/07/02(Sat) 16時頃
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[>>46ヤニクの言葉に頷き、半歩後ろから付いていく。 途中、彼に届いた言葉は自分も聞こえて。]
>>48あの…赤の副団長殿が、ですか。
[見張り台の情景が甦ってくる。腫らした視線にある柔らかさ、副団長になると意を決した言葉、騎士の佇まい。]
ヤニク殿…。
[止めた緑の騎士殿の足は、早くなっていた。彼に言葉を自身からかけようとは思えず、そのまま慌ててついていった。]
(49) 2011/07/02(Sat) 16時半頃
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バーナバスは、周囲を見回しながらヤニクについていく。**
2011/07/02(Sat) 17時頃
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[礼拝堂から外に出る。鍵を持ち出すのは憚られ、扉は閉めず
――ひゅん あまりにも小さな音、首元に刺激 それと共に、身体がすうと浮き上がり
『ローズマリー様!』
身体が壁に押し付けられる痛みと ローズマリーを庇うように覆い被さるノーリーンの暖かさ
『居たぞ!こっちだ!』
騎士の声と共に、ばたばたと走る音 ノーリーンの肩越しに見えた、逃げる人影は]
(テオドール……)
[それは、かつてセシルの側にいつも控えていた、青年の顔に他ならなかった ローズマリーを庇ったノーリーンの血で、公女の身体は、赤く染まる]
(50) 2011/07/02(Sat) 18時半頃
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