91 時計館の魔女 ―始―
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だって……。 あなたのお祖父様、は……。
人狼、だから……だったから。
わたしも……。
(171) 2012/05/26(Sat) 23時半頃
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[ ヴェスパタインの反応は短く、途切れがちだったが、「誇り高い獣」>>179 という表現に、...は涙をこぼしながら言った。]
わたしも、そうだから……。
[ ...の唇は、とりとめもなく言葉をつなぐ。]
9歳のときに、そう教えられて……。 でも、誰にも言ってはダメだ、と。 血族だけが仲間なのだ、と
あなたのお祖父様もそうだと聞かされたときは、どれほど誇らしく思ったか……。 でも、孫に殺されたという噂が本当なら、わたしは……怖い。
(184) 2012/05/27(Sun) 00時半頃
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誰も襲ったことはないのに……そのはずなのに、記憶がなくなって。 皆、心配するなと言うんです。おまえは気にするな、考えなくてよいと。 でも……でも。
何かがおかしいんです。 わたしの中の、何か……どこかが。
[ ...は目の前の相手を見つめた。
祖父殺しだと聞かされていた。一時はそれを信じ、恐怖していた。 けれど、あのランタンを見たときから、違うと思った。 これは、そんな人の作品ではない、とわかった。
同じ説明を繰り返し、いくらか冷静さを取り戻した...は、ぶしつけな訪問に対する謝罪と、祖父の遺品を見せてもらった礼を述べ、丁寧にお辞儀をした。]
(185) 2012/05/27(Sun) 00時半頃
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[ 部屋を出ようと、ドアノブに手をかけた瞬間、...の身体は大きく揺れた。 ドアノブにすがって倒れまいと支える。
身体を起こして、振り向いた。]
ヴェスパタイン・エヴァンス?
[ 問う声色が変わっていた。 ...はその名前の持ち主を押し倒そうとするだろう。]
(187) 2012/05/27(Sun) 00時半頃
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[ ...の手には魔法で出したティーポット。その注ぎ口から、熱湯がヴェスパタインの顔めがけて落ちていくところだった。]
やめろ!!!>>188
[ 大声と、人影の乱入に...の手が滑った。熱湯が向かったのは、その乱入者のほう。]
(194) 2012/05/27(Sun) 00時半頃
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[ ヤニクがいることに気づいたのは、その手から放たれたナイフが>>196 自分の胸に刺さったことを認識した直後だった。]
……あ……わたし、わたしは……。
[ ...はよろよろと立ち上がった。床に広がる熱湯の量は、ティーポットに入るはずのない多さだ。 自分の指をも赤く腫らしている。...はそれを見つめながら、部屋にいるふたりを振り向きもせず、廊下へと出た。]
(204) 2012/05/27(Sun) 01時頃
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― 大広間→森側庭園 ―
[ ...は手すりにつかまりながら階段を下りた。胸にはまだナイフが入っている。呼吸するたびに痛んだ。
が、それよりも重要なことがあった。 急がなければならなかった。――この意識が途切れる前に。
...は大広間を抜け、1-4の扉を通って森側の庭園へ進む。涙でかすれた眼にも、森の緑と花壇の花の色が見えた。
一角に座り込んだ...は、胸のナイフをそのまま、両手で、深く、押し込んだ。]
(214) 2012/05/27(Sun) 01時頃
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