197 獣ノ國
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[音を拾うたびに小さく震える獣耳。
それは男のフードを押し退ける程度であっても、目の前に佇む黒鹿>>1:391はそうではないらしく。
少し剣の帯びたような眼差しを向け、唇を尖らせるその先を見て男も嘆息。
絶句する自分に驚いている男からすれば、目の前で微かに肩を揺らす少年に視線を一度泳がせてから頬を掻く。
視線を再び少年へと向けたのは、少年が首に巻いた布に触れている時だっただろう>>1:393]
――…へえ? ウソだと思ってくれてたのかい? 君は随分と“素直”なんだね。
[くつりと咽喉が一度唸り出す素振りを見せる、が。 続いた言葉には、曖昧に笑みを浮かべる。]
(3) 2014/10/05(Sun) 01時半頃
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さて、どうだろうね。 世の中には沢山の人がいる。獣だって、きっと変わらないさ。 [見下ろすときの男は先程絶句したものとも違う、好奇心に満ちた瞳。 複雑な色合いの眼差しに口端はにやりと浮かび上がっていく。]
………。君の驚いた顔が見たかったのさ。
[躊躇いは一瞬。すぐに狼男は嘯く。]
――しかし、鹿は大人しいものだと思っていたけれど、随分とお転婆じゃあないか。
今日は何を求めて部屋を飛び出したんだい? 外にいちゃあ、腹は余計に空くだろうに。
[日常会話をする気軽さで男は尋ねる。躊躇なく投げる言葉は些か入り込んだもの。それでも男は気にする素振りは見せないで]
道草は食っても腹は満たされないだろう?
[くつりと、咽喉を震わせる。]
(4) 2014/10/05(Sun) 01時半頃
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[振動>>61が男の腰部分を鳴らす。 咽喉を鳴らして笑っていた男はようやっと飛ばした手紙の返事に気付いた>>1:328>>13>>61]
ちょっと、失礼。
[目の前にいる黒鹿>>1:393に一言断りつつ液晶をスライドさせ、文章を綴る。
宛先は3名。送った先から返ってきたのは2名。
1名の顔をぼんやりと思い浮かべつつも、新たに加わった小鳥が綴った手紙の内容を見れば男は薄く笑みを浮かべて、友からのメールには舌に滲む渋味を思い出しながら、思案。
そして最後、公園にて睦言を共にした少女からの御伽噺じみたメッセージには、睫毛を薄く伏せる。]
(84) 2014/10/05(Sun) 16時頃
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…さて、どうしたものかな。
[ついでとばかりにコミュニティの投稿内容を眺めれば、変動が起きている。『人』が獣をお試しで“飼う”らしい。
男からしたら馴染みのない感覚だ。 何故ならほんの数日前まで男も自分は人間であると認識していたのだから。
動物を飼うことは予想できても、今まで男が知り合った獣人は何の因果か皆人の造形をしている。
人とそう変わらない存在を“飼う”ことにやはり違和感は拭えない。
男は手早く手紙を作成すると3名に送る。 本屋の彼とは昨日約束をしたような気もするから気にはなったけれど、連絡先を男は知らなかった。
けれど狭い小國。いずれ合うだろう。男は楽観的に考えると、再度少年に向き直り]
こんなにも人の目に触れるところに現れてもいいのかい? …君には、飼って欲しいと思う『人』でもいるのかな?
[辿々しく、目の前に佇む“人”に男は尋ねた。]
(85) 2014/10/05(Sun) 16時頃
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―――――――――――――― 差出人:チェシャ猫 宛先:アリス ―――――――――――――― おやおや 20xx年 10月2日 ―――――――――――――― 夢の中の世界は時間なんて概念に囚われることはないさ お茶とお菓子とお歌かい?僕ならそこに綺麗なお花でも持って行こうかな 君に似合う花籠をね
そうかいそうかい そのうち見つかるさ、きっと 白いうさぎかい? それはひょっとして切れ長の瞳をしていたかい? なら見たかもしれないね 彼は僕の友達さ
(87) 2014/10/05(Sun) 16時半頃
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そんな窮屈な場所じゃあないさ彼女はもっと海の遥か向こう 幸せを届けに行くのさ 空に溶けるようにね 臆病な彼女はそうだね 何処かに隠れているんだろうよ 飾られた美しさは部屋の中じゃあ意味を成さないというのにね
泡に溶けてしまう? 君の足は尾びれだったかな? ほら、よく見てごらん 君は二つの足があるだろう?両足に靴を履いているだろう? 鐘はまだ鳴らない 君の魔法は解かれていないよ 迷子の君の手を引くのは、誰なんだろうね また夢の続きを教えておくれよ ――――――――――――――
(88) 2014/10/05(Sun) 16時半頃
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―――――――――――――― 差出人:ヤニク 宛先:トレイル ―――――――――――――― やあ、良い朝だね 20xx年 10月2日 ―――――――――――――― もう昼だけれど、また作品に夢中になっていたのかな? 相変わらず君は花が好きだね!
完成か、ありがとう 君なら大層素敵な作品に仕上げてくれたんだろうね 大は小を兼ねる、だっけ? 楽しみにしているよ
…これは君にケーキを届けないといけないのかな? なら君はおばあさんのフリをしといてくれよ 狩人を探してから向かうからさ まあ、いい 悪くはない いつもと違う日常は、僕の好きなものだからね
追伸:僕は君のことを信じているね? ――――――――――――――
(90) 2014/10/05(Sun) 16時半頃
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―――――――――――――― 差出人:ヤニク 宛先:カリキュス ―――――――――――――― 届いてるよ 20xx年 10月2日 ―――――――――――――― おつかい、ありがとう
きっと初めて見る小鳥に驚いたんじゃあないかな 冒険が上手くいったようでよかったよ
また、彼と話せるといいね 公園近くの喫茶店にいたようだからまたそこで会えたり、ね
僕も冒険に出てみるよ 君もまた何か楽しいことがあれば教えてくれないかな?
たとえば、素敵な本との巡り合わせ、とかね ――――――――――――――
(91) 2014/10/05(Sun) 16時半頃
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[メールを送信しつつ男はある失態に気付く>>91]
――…名前と記念日は、間違えちゃあ駄目、だったかな。
[いつか唇を尖らせ非難を受けたあの日を思い返し、男は手早く液晶を操作。誤ちを訂正する。]
指一つで変えられる過去、ね。 人が獣、なんて。…望んでそうなる人はいるんだろうか。
[独り言はきっと小さなもの。鹿角を持った彼には届いただろうか。 なるべく声を抑えたつもりだけれど。]
(93) 2014/10/05(Sun) 16時半頃
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[曖昧な言葉、浮かべられた瞳の色から相手の意図を察することは出来ない。
「世話焼く狼」>>97と喩えられれば、男は口端を上げたまま無言になる。
白か黒か。それをある人は一種の矛盾概念ではないかと告げていた。
風流のある抽象さは好きだ。 けれど、答え>>98が明確でないことは男の胸に引っかかりを覚えさせる。
それがまた、好奇心を引き立てて仕方のないものだから、男は小さく息を漏らす。]
なるほど、なるほど。外に出ると君が思える何かがあったらしいね。
――何とも素敵な話だ。
[それでも男は微塵にも不満を出させようとしない。なんでもないと世間話を吟じる。]
(109) 2014/10/05(Sun) 17時半頃
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今までもそうだったのかい?
[日常生活においては、そんな呟き。]
…仲間、ね。
――まあ、君がそう思うなら遊びにおいで。 ここに、…君携帯持ってる?
[何せまたとない極貧生活を繰り返している少年だ。男は思わず尋ねる。 持っていると彼が告げたのならば、自身の連絡先を綴ったメモを手渡そうとしただろう。
彼の呟きには、]
同感。 まあ、狼なんて飼う好きものなんてそういないさ。 ありのままの君を受け入れてくれる人が、見つかるといいね。
[秀でた獣耳は微かなれど音>>99を拾ってしまったらしい。 随分と気を散らしているような瞳を男は静かに眺めて切り出す。]
(110) 2014/10/05(Sun) 17時半頃
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――…さて、これから僕はお買い物だ。 とりあえずそこのカフェでケーキと、雑貨屋で手紙を買わないといけない。
君はどうする? 着いてくるならケーキくらいは奢ってあげるよ? 何たって、僕は世話好きで優しい狼だからね!
[大仰な態度。大袈裟な口笛で狼は笑う。]
それとも、花畑で花束でも作るかい?
[別離を望むのなら、男は見送ろうと。 男はなぞかけにも似た曖昧な言葉を歪む唇で綴った。]
(111) 2014/10/05(Sun) 17時半頃
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[好奇はすっかり成りを潜めてしまったらしい>>122 淡々と落とされる情報から黒鹿達の近状を掠める。
先の金糸雀といい、この黒鹿といい、互いにその存在を知れど、深く関わりは持っていないのだろうか。
疑問が一つ浮かび上がりつつも、男は問いかけることはしない。 問いかけずともいずれ見えてくるものもあるだろう。 (僕には牙があるのだから。) たじろぐ様子のない雄鹿に狼は刹那歪んだ認識を持ち、振り払うように視線を泳がす。
それもすぐに何でもないようなに取り繕って会話に勤しむ。]
[マフラーに埋もれてしまっては相手が浮かべた表情は今男が見ている全てになる>>125 だがお行儀良く良い子を演じるような仕草に、愛想笑いに男も抜けるように笑みをこぼし]
ああ、それがいい。 急ぎ過ぎて靴を脱がさないように。
[ひらりと揺れる白い手一つを視界に認めながら、狼も牙を抑えて喫茶店へ。次に彼と出会う時には老婆の皮でも探す必要があるのだろうか。それは物語次第。]*
(127) 2014/10/05(Sun) 18時半頃
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―商店街→カフェ―
[ショーケースに並ぶ色とりどりのお菓子。 普段から進んで選ぶことのない愛らしく飾られた幾つものケーキに男は首を傾げる。]
――どうせなら、とびきり可愛いものを選ぶのもありかもしれないね。
[花屋で務める友人は大層店先の主人に可愛がられていたような気もする。なら、あえて女性が好みそうな愛らしいそれを送りつける。 想像は容易い。男は肩を小さく震わせる。 しかしいつまで経っても注文せずに眺めていれば、訝しげな視線を頂いてしまうことになる、から。]
――苺のタルトとショートケーキ、と。チーズケーキ、あとモンブラン?…、と。
[一瞬、ちらりと香ばしいチョコレートケーキを視界に掠める。 思い出すのは白と黒のコントラスト。先程時間を共にした遊び相手。 金糸雀の通達から、忘れ物は無事彼の元へ渡ったらしいのだが、あのシミはどうするのだろうか。暫く考えて男は、首を傾げながら]
――じゃあ、それも…追加で。
[無意識に選び取っては、会計の際に現れた箱の大きさに笑みが少し引き攣ったのはここだけの話。]*
(133) 2014/10/05(Sun) 19時頃
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ヤニクは、ルーカスが珈琲を好む理由が理解出来ない。
2014/10/05(Sun) 19時頃
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―カフェ→雑貨屋―
[そうしてカフェからつま先を差し出して、天候が荒れていることを今更になって知る。]
――フードじゃあ、無理かな。
[獣耳をヒクヒクと動かしつつ男はごちる。 こんな日こそ常の男ならば、ベネットの店で仕入れてきた本と一日を共にするところだが、生憎と今日は約束がある。]
濡れ鼠になる前に終わらせてしまおうか。猫から鼠は少し――笑えない。
[急ぐ足は目的地、ただ雑貨屋へと向かって。
――ブチッ、
何かを踏んだ。それが何かだなんて男に確かめる余裕はなかった。
踵の陰から現れる、それは。 八本の脚を持った蟲。蜘蛛。 男がこの世で最も煩わしいと感じる生き物であったことも、気付かなかった。]*
(134) 2014/10/05(Sun) 19時半頃
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―雑貨屋―
そして辿り着いた店先。 可愛い小物が入り乱れたそこは下半身をずくずくに濡らした男には酷く不釣り合いに見えた。
その上ケーキの入った紙箱を手に持っているのだ。 他に客がいたらそれこそ怪しような視線をひとつふたつ頂戴したか。
それでも男は素知らぬ顔で店内を物色する。
そして空色を模したレターセットと、気休め程度の傘を購入しようとレジへと歩を進めれば、鼠から小鳥へと姿を変えた少女>>128と鉢合わせることはあったか。
もし擦れ違う際にでもその姿を見咎めたのなら「おつかいかい?」なんて笑みを浮かべただろう。]**
(135) 2014/10/05(Sun) 19時半頃
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―雑貨屋→花屋『Ramo』―
[雑貨屋では少し話をすることでもあっただろうか。
男が次に向かった先はとある國では“花束”という意味合いの持つ店先へと。
傘をくるりと回しながら見慣れたその店へと足を運ぶ。 いつも通り連絡も無しに。
客の来店を告げる鐘を鳴らさせる。
きょろりと瞳を泳がせつつ、目当ての人物を探す最中、店前にて言葉を交わした青年>>42の姿に笑みが僅かに崩れる。
咳払いの後、男は手土産>133片手に友へと歩み寄る。 白の薔薇と紫色のライラックで作られた花籠の賛辞を忘れることはせず口にしながら。]
(139) 2014/10/05(Sun) 20時頃
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紫色のカラーってカラーという名前の花のつもりだったんだけれどね。
でも君に任せてよかったよ、ありがとうトレイル。
これは君との約束の品。代金?勿論払うさ。
予約に来た時はいきなり追い出されてしまったものだからね。…人生は何が起こるか分からないね、本当に。
君一人じゃあ流石に無理だろうから、そうだね。 ――君と食べたいと思う人でも誘ってみるのはどうだい?
…今日は帰るよ。また、日を改めてジュースで酒盛りでもしようか。
[事情は知らぬところではあるが、ただならぬ青年の様子に男は思わず視線を再度透けるような肌に送る。
けれどすぐ逸らせば、外への入り口へとドアノブに手をかけて]
次は外で散歩でもどうだい?
[口約束を挨拶代わりに花屋を後にした。]*
(140) 2014/10/05(Sun) 20時頃
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―花屋『Ramo』→公園―
[目当ての人物からの連絡はまだない。 正確な日時も場所も設定しなかったのだから当然といえば当然のこと。
曇天から降り注ぐ雨粒を透明の傘越しに眺めてはため息を吐いた。
童話では雨を涙だとか喩えている描写はよく見る。それを風流だと思う人もいれば]
――つまらない。なんて陳腐なんだろうね。
[つまらなさそうに吐き捨てる者もいる。
少し大きめに作られたという生花から漂う花の香りは甘く、退屈に沈んだ気持ちを僅かばかりに浮上させる。
それもそのうち変わることのない情景に飽きた男の意識はゆっくりと沈んでいき、音を立ててビニール傘が転がり、隣に花籠を左腕にショップ袋を携えた男は――…眠りへと。]**
(144) 2014/10/05(Sun) 20時頃
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―回想・雑貨屋―
[男には馴染みのない小物ばかり並ぶ柔らかなその場所。
されとて大した様子も見せずに男は買い物を終えれば、ショップ袋片手に歩を進める。
ナゾナゾ>>152を解くために。]
――なるほど。なら当ててみようか。当たったら…そうだね。
小物を、君も会っただろう?あの白いコートの人。
僕は失敗してしまったものだから、お詫びに何か選ぼうかなと思っているんだ。だから君が綺麗だと思うものを教えてくれるかい?
外してしまったのなら、どうかな。君にタオルでもプレゼントさせてくれると助かるかも、ね。
[どう?雑貨屋というそぐわない場所での提案。見るも哀れなその姿に少々酷なお遊び。]
(157) 2014/10/05(Sun) 21時頃
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必要なものは、タオル。 必要になるものは、メモ帳。 ないと困るものは――傘。
[果たして彼女はナゾナゾに付き合ってくれるだろうか。
もし、遊びが始まり答えがあっていたのなら少女が指し示す物を追加で買ってみようとするのだろう。
もし、遊びが始まり答えが間違っていたのなら、彼女にタオルをプレゼントしようとするのだろう。
買っていようと負けていようと、少女が急いでいるようならすぐに身を離すのだろう。
少しでも困ったような素振りをされたのなら、冗談だと笑みを浮かべて、この場から立ち去っただろう。
――果たして、答えは?]
(160) 2014/10/05(Sun) 21時頃
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―公園―
[深く寝入る男に近寄る気配>>154 むずがるように口元を歪めど、起きる気配はなし。
それでも嗅ぎなれぬ人の臭いが濃くなれば、獣の瞳は鋭さを増し、無意識に開いた口元からは鋭く尖った犬歯が見えただろう。]
――…誰、だい。君。
[けれどもそれが唯の人間であることに気付けば、眠気まなこのまま男はゆっくりと瞬きをし、まだ残る夢の気配を乗せながら、その人を睨むようにして見つめた。]
(161) 2014/10/05(Sun) 21時頃
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[何処か朧気な瞳で佇むその陰>>162を見遣る。
寝起きの頭は鈍い。自身の様子を“警戒”だと受け止められれば、男は鼻を鳴らす。]
――随分と可愛らしい声で鳴くんだね、君。獣みたいだ。
[意識しているのかしていないのか。青年の様子からして無意識なのか。
男にそれらを判断する材料など手元になくとも、印象的には後者に捉えて。]
亀吉、ね。どうも。僕のことは…そうだね。君が亀なら鶴にでもしようか。
[などと巫山戯た提案を。 職業は聞いたことがないのか首を傾げ、雨粒落とす淡藤には双眸を眇めて傘を差し出す。]
――ほら、濡れてる。半分でいいなら少しの間、雨宿りでもするかい?亀吉。
[幾分か、穏やかな声を意識して捻り出し、声をかけてみた。]
(163) 2014/10/05(Sun) 21時半頃
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[ふわふわと揺れる視線>>164に男もつられるように口元を緩める。
浮かべられる表情が喜色を含んだものへと変わりゆく瞬間を眺めながら頷いてみせる。]
そうかい?そう言って貰えるのは嬉しいよ。
――君が精一杯考えたものに相手が喜ばないってことはない…なんてベタ過ぎるかもしれないね。
[綺麗なものを考えている少女の傍で男は、綺麗事を呟いては失敗した笑みを零す。]
[答え合わせの結果、男の答えは“惜しかった”よう。
けれども見開かれたまんまるの紅玉>>165に映る男は、尚も目元を緩めたまま、正解を耳にする。]
(180) 2014/10/05(Sun) 22時半頃
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なるほど、ペンか。 メモ帳も必要だなんて、これから君も誰かに手紙を送るのかい?
[納得したように男は頷きながら、問いかける。
そしてないと困る物には確かにそちらが優先かと雨に降られた少女を見下ろした。]
――じゃあ、
[どんなタオルがいい?そう続けようとして、見下ろした先柔らかい方が膨れたように見えて。]
――…。
[雫を浮かばせる淡い紫色を一度、柔く撫でるように指先を伸ばそうとした。]
(181) 2014/10/05(Sun) 22時半頃
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[取り繕うとする様子>>173に音の無い笑いを零す。 今日は何と言うか獣に会う日だな、なんて。 胸中でごちりつつ渡された名刺を眺めながら、告げられたその職業を口元で反芻させる。]
――便利屋? へえ、何でもしてくれるのかい、君。
[そうして男が視線を落とすは、自身の傍にある友から頂戴した花籠>>144を見下ろして]
郵便屋さんとどちらが早いのかな?
[なんて問うてみる。心地よくて、の言葉に男は瞬きを。]
雨が好きなのかい?
[心地よくて忘れるだなんて随分と変わっている、なんて感想を隠しつつ笑みを浮かべ続ける。 目線での質問には、]
――今更だろう?
[眉を下げながら、口端を上げて花籠を自身の膝に置いた。]
(182) 2014/10/05(Sun) 23時頃
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―回想・花屋『Ramo』―
[予定より大きくなった花籠>>193を受け取りながらも男は詫びる気配を見せない。 何時ものこと。日常。そう判断してのこと。]
いいや。いつも期待通りをしてくれるのが君の美点じゃあないか。そんなに謝られちゃ背中が痒くなる。
…まあ、好意には甘えておこうか。 お代無しなんてフェアじゃあないね。だから、交換しよう。
――君の花籠の大きさにちょうど見合う。
[悪戯めいた笑みを乗せて一言。 去り際に紡ぐ。 そして新たな約束に手のひらを左右に泳がせつつ、生真面目な友人宅を後にしたのだった。]*
(216) 2014/10/06(Mon) 00時頃
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―回想・雑貨屋―
[先ほどまでは丸みを帯びていた紅玉が、今や細まり言葉を紡ぐ。 小鳥の囀り>>198に男は思考するように顎に指をあて、肩を小さく落とす。]
――なるほどね。多くの人に慣れ親しまれている。それだけその人々の心に残ったもの、なんだろうか。
自己紹介、か。なら、君はどんなものを選んでくれるんだい?
[真剣味を帯びる雰囲気にそれ以上は声をかけず。 彼女の選ぶ自己紹介を待つ。]
(217) 2014/10/06(Mon) 00時頃
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[今度は不正解だったよう>>199 けれども男は笑みを絶やさない。 ポツリと呟かれる音が木霊している内に届けば良いと男が口にしたのは、一言。]
――僕の文通相手となる子も、そう言ってたよ。
[白か黒か。思考に耽る少女に届いたかは分からないけれど、男も呟きを落として。
何と無く彷徨った手のひらは彼女の頭上へと止まる。]
――さて、どんな色のタオルが良い? 女の子は身体を冷やしちゃあいけない。
遊びに付き合ってくれたお礼さ。
[人差し指を唇の端にあてながらニヤリとしつつ、一度髪を撫でては色とりどりのタオルの山を指差した。]
(218) 2014/10/06(Mon) 00時頃
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―現在・公園―
[不満げな顔>>202には口角を上げて応える。]
――…そうかい、随分、と…
[便利だ、なんて告げようとして震える携帯>>204>>205
誘われるまま指を伸ばし、宛先を見つめれば開封する。 そして綴られたピリオドに男は瞬きをして、そして――]
――女の子って、分からない…なぁ。
[なんて渇いた声と共に笑みを零す。 端末を綴ろうとして、そばにいる青年が腰掛けようとするのなら特に抵抗はなく受け入れて。]
(220) 2014/10/06(Mon) 00時頃
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