298 終わらない僕らの夏休み!
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(197) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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― 大学時代 ―
[俺は、最低限の荷物で家を出て1人暮らしをはじめた。 結局、出口から貰ったコロンも持ってきてしまった。 インテリアとして置いててもいいし、大学になったら使う機会もあるかもしれないと思っての事だ。 瓶を手に取ると、白い花の絵柄とその花を英語で書いていた。 一年くらい遅れて、俺は『スイートピー』の存在を知った。]
…、…
[徐にスマホを手に取り、「スイートピー 花言葉」と検索をかけた。どうやら色ごとに花言葉が違うらしい。]
(198) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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門出、…… 別離、 ほのかな 喜び …、 優しい 思い出、―――
[読み上げる言葉、喉の奥に詰まる何かを感じる。 それが何かはわからない。どうしてか高3の夏休み辺りにあった出来事が関連すると、自分の理解ができない感情がわきあがってくる事がある。]
明加、 雛子、だった か
[俺は、彼女と――――――――――――??] [――――――――、 、 思い出せない。]
(199) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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[そこに 何があるのだろうか]
(200) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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[解らなくて。]
……、っ
[もどかしさを覚え、胸元の服を握り込んだ。]
(201) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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(202) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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[ある夏の日、大学の講義が突然休講になったものだから 俺は本当に気まぐれに、とある場所へ向かっていた。]
(203) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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[高校3年になって、夏休みの前、 教室でエミらのギャル達が盛り上がってたんだ。
「雛子、就職決まったってマジ?」 「上京すんの??」 「***ってとこだよー」
大声すぎて 覚えていた。]
(204) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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[あの夏、彼女が死ななければ、 「存在していたであろう場所へ」向かった。]
『いらっしゃいませぇー』
[店の暖簾を潜ると何か揚げてるいい匂いがした。 昼飯時、少ない空席に座って店内を見渡す。
そこに彼女はいないのは当たり前だけど、 ――― 、いたらどうだったんだろうな。
なんてガラになく思ったのは、 出口から押し付けられたコロンを付けた日だったから ってことにしておいた。]
(205) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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(206) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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[大学時代、一度だけ。 スマホの連絡先を断捨離していたら、 根岸政宗の名前があった。
高校から姿を消して、それっきり――…]
―――
[今更、とか、どの面下げて、とか] [そんな気分にさせるんだろうと解っていた。けど、]
(207) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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「久しぶり。だな。」
「〒***-**** 東京都○○区 ……」
「いま、ここに1人で住んでるから」 「本当に困ったら、頼りにして欲しい」
[偽善な言葉しか並べられない。 そういう生き方に浸かりすぎていたから、仕方ないのだろうけど。それでも、俺が本来の俺である事を取り戻せるとしたら、それはきっと――彼なしでは不可能なのだろうと、勝手に思い込んでいるのだから。
返事はなくてもいい。 せめて、「既読」がつけばそれで、いい。
生きている、生き続けている、 その証が、確証が―― …欲しいから。]
(208) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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(209) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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― 10years after ―
[俺の輝かしい学歴とその後の功績は言わずとも解るところであってほしい。俺は、無事に、大学を卒業し、修士、博士課程を終了した。 社会人も経験し、お盆休みに久しぶりに実家へ帰った。
俺は、この10年欠かさずに、 明加家へ雛子の命日が近くなると、花を贈っていた。
高校の連中に連名する奴らを募り金を集めたりと、「卒業後もしっかりとした元生徒会長」として振舞っていたわけだ。 元クラスメイトだったから、同じ3年だったから、みたいな理由をつけて始めた恒例行事もすっかり10年目だ。雛子の母親からお礼の手紙も貰った事がある。秋山や出口辺りは、毎年きっちりと連絡くれる辺りマメな奴らだなと思う。あと、ちゃっかりエミの奴も。]
(210) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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[久しぶりの家に帰れば、「優秀な息子」として扱われる。根岸の家よりも会堂の家で、祖父母と話す機会も随分増えた。いずれは、家業を継ぐため…なんだろう。 今年、帰ったのは、いい加減身を固めろ、という上からのお達しがあったからだ。これから、ずらりと並べられた写真の女性の顔とにらめっこをしなければならないらしい。 ……、正直、女の顔とか別に興味ないんだけどな、という本音は置いておく。
俺は、相変わらず、流れまかせの人生で、のらりくらりと生きている。あの9月1日を忘れたまま、生きている。]
(211) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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(212) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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[酒も入り、会堂の家から開放された夜。 夜風にあたってくると、俺はふらりと根良伊川へと向かった。
夏のまだ暑い日、蝉が鳴いていた。 すっかりと歳を取った自分の姿が、川面に映る。
きらりと星が空に輝き始める。]
……、嗚呼、 アンタレス ―――
[赤い色の星が、空に瞬いていて、 あれ、だれかと 俺は、 あの星を、みていた―――?]
(213) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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…、 ……
俺らは みんな、 星の欠片 なんだろ。
[ぼろりと零れた言の葉は、願い川が一寸叶えた何かの力かもしれず。だけど、俺の横を見ても、
そこには誰もいやしなかった。]
(214) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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[それがとても、"寂しい"と、俺は思ったんだ。
俺はあの夏の日から随分と歳もとったし、成長も経験もしてきたのに、本当に大事で大切な9月1日は、奪われたままなのだ。俺は、これからもずっとずっと奪われた事に囚われ続ける―――**]
(215) wallace 2019/09/15(Sun) 23時頃
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─ 数年後 ─(>>207>>208)
[相変わらず存在感のないスマホが通知音を鳴らす。 スマホを替える余裕なんてなかったし、登録してある連絡先も元々多くなかったからそのまま。]
航ぅ…?
[床に転がってるスマホを拾い上げて、画面を覗き込んで背中を丸める。 意外と俺は すげえ久しぶりだな、くらいの感想だった。
その画面には久々の挨拶と、現住所。
それから頼りにして欲しい、と。]
(216) higesorry 2019/09/15(Sun) 23時半頃
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おお……
[何と返事をしたものか、考え込む。 航はどうせ立派な大学に合格してるだろう。かたや俺はしがないフリーター。 なんとも肩身が狭い。夏呼町に居た頃を思い出してそんな気分になった。]
うーん。
[考えて、スマホに指を滑らす。]
(217) higesorry 2019/09/15(Sun) 23時半頃
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「久しぶり。」
「今度メシでも行きましょう。」**
(218) higesorry 2019/09/15(Sun) 23時半頃
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― 数年後 ―(>>216>>217>>218)
[「既読」さえつけばそれでいい。 そう、思って送ったメッセージ。
「返事」をもらえるなんて思ってなくて、]
[気付けば寝落ちてて翌日くらいに、 届いていた返事を見て、 飛び起きて、え?マジ?え?E? と独り言を言った後、再度、返事を見た。]
(219) wallace 2019/09/15(Sun) 23時半頃
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……、 っは ぁ
[「生きてた」という事がわかっただけで 俺はすごく「嬉しい」と思えた。 人の死なんてあまり重く考えない性格のはずなのに、どうしてかそれに拘ってしまっている。よく、わからないけれど。]
[今何をしているのか、とか、どうして家を出たのか、とか。政宗に聞きたいことはあるけれど、それもあるが、何より、昔の自分を唯一見せられる相手と再び繋がった事に対しての喜びが、じわじわと押し寄せてきて、口許が綻んだ。]
(220) wallace 2019/09/15(Sun) 23時半頃
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「なんでも奢るよ。」
[1歳だけど「兄」ぶって、スマホに返事を送った。 「今度」がいつかは、まだわからないけれど、ね。*]
(221) wallace 2019/09/15(Sun) 23時半頃
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[きっと、それは、もっともっと先の話で。]
(222) fuku 2019/09/16(Mon) 00時頃
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[けれども、確実にあった話。]
(223) fuku 2019/09/16(Mon) 00時頃
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ずっと、お前のこと、忘れてないぜ。
(224) fuku 2019/09/16(Mon) 00時頃
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[好きだって言えない、オレの負け。]
(225) fuku 2019/09/16(Mon) 00時頃
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『デッドボール!押し出し!*ゲームセット*』
(226) fuku 2019/09/16(Mon) 00時頃
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