197 獣ノ國
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シメオンは、一時離脱を**
omusouu 2014/10/11(Sat) 06時頃
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――回想昨日:???――
[ 動かなければ何も始まらない。 手を伸ばさなければ、こちらを見てもらうことも出来ない。名前を呼んでもらう事すら。
硝子箱の中で桑葉を食むだけの、擡げた視界で終わりを待つのも。 解にすらならない目的を作っては、逃避するように家を出るのも。何も生まないんだと、ずっと前から気付いている。]
……、――
[ 方向を定めないのは、自分が思う通りに進んでいるのだと思い込みたかった為で。己の意思で、誰のものでもないその足で踏み開く感触が欲しくて。
――だから、ねじを緩めては忘れる事を選んだ。 それが桑葉を食む行為だと気付かないまま。]
(52) omusouu 2014/10/12(Sun) 02時頃
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[ 告げた御伽噺の問いの答えもまた、自身への子供染みた苛立ちとしての回答になれば。それを求めるように既知の、忘れる事が出来なかった時間を過ごした先輩へ。 落とされた糸を手繰るようにその手を取って、 “行方不明になってもいい”と告げた相手>>1:110に焦がれるほどに羨望を覚えて、 ――乞うほど欲しいと思った。
……たとえ相手のその手を取るのが、端役に揶揄う己には荷の勝ちすぎた行為だったしても。]
……先輩。
[ “ここ”で夢を見たかったのは、自分自身だったのかもしれない。ただ、先輩と。 手放す事も到底できない為に、相手に自身を焼き付けたくて。掴みたくて。
欲しければと以前を反芻すれば、自然身体を建物の壁から離し、歩みを進める。僅かに標の落ちる視界に、一人だけを求め路地を鳴らした。
……乞う糸が千切れ、その先が―でもと。
己の我が儘に任せては。*]
(53) omusouu 2014/10/12(Sun) 02時頃
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[ 道筋が示される事も無ければ、向かう先に標が落ちている訳も無く。それでも鮮に映る自身の影が、やがて周囲の色と溶け落ちても、足を止めなかった。 街灯すらない路地を抜けて、大通りを抜け、以前立った公園へと。そうして、どこにも繋がらない掌を握りしめては。
――欲しくとも迷っては、時間は過ぎる。端末の電源も切れていれば、やはりその日会う事も叶わないまま。
――…… やがて家で目を覚ました。 自室には変わらずの咀嚼音が小さく聞こえている。擡げかかるその顔を、こちらも斜にした視界に捕え見据えた。
……あの硝子箱に映るのは母でも、蚕でもなく。ずっと前から己自身だったと分かっていれば、視線を外の陽へと向けゆっくりと身体を起き上げる。
中心部から響く鐘は今朝も聞こえていたか。 サイドテーブルに置いた端末を手に取り、手早く操作しては家を出たままの父親へ。数個連絡を告げ、大した追求もされなければ部屋着を脱ぎ捨てた。自室を見回しては、必要そうな幾つかに目星を付ける。
――伸ばし続けた手が取られては、ただ名を呼ぶその声を思い返して。]
(89) omusouu 2014/10/12(Sun) 21時頃
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―― 回し車を押し続けるのは、もう止めにする。
[ 滑車は止まった。
陽の掛かる室内は柔い色を落とし、しかし近づく冬の空気にしんとした感触を滲ませている。硝子箱の向こうに静かに頬を緩ませれば、もう一度端末を開いた。幾つかの項目を流し、ただ一人へ。
呼び出しかけた所で>>78 開いたそれが震える。表示されたその名前に瞠目し、コールを止めて耳元へと向ければ、流れる声には静かに相づちを打った。 ……俺も家出ようと思って、と小さく挟み。
――やがて届いた言葉には、壁に掛けていた背を放した。 相手の家の場所を手短に聞けば、支度し終えた身を自宅から路地へと移す。晩とは異なり陽は道を照らしていれば、標とした近な塔へと足を進めた。
見知ったそこを叩く跫音は、以前のような響きでなく。習慣付いた斜の景色にもまた暗灰色を緩めながら。]
(90) omusouu 2014/10/12(Sun) 21時頃
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[ ――辿り着いた扉へ、ノックの音を立てる。 やがて迎えるだろう相手の目を数瞬見つめては、視界のうちに手を伸ばした。その腕を取ることが許されたなら、僅かに力を込めては足を一つ近付ける。 迷う事を求めたのは、と小さく脳裏に過らせながら。
希求し続けたそれに、ただ声を上げた。]
―― 俺は、少しじゃ足りない。この先も、欲しい。 ……先輩と居させて。――俺だけ、に。
(91) omusouu 2014/10/12(Sun) 21時半頃
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[ 家を出る、と告げた時の電話越しの拍を思い返しながら。 身の回りを纏めた鞄を下げては、中心部へと足を進めた。新居もまだ求めてなければ、最低限しか詰めていないそれは、ただ一度硝子箱から出る為に。 ……けれど、一つ早く足を進めた相手の、零す最後を耳に聞けば。――欲深に全てを欲しがる“意図”を堪え切れずに。
――…… そうして求めたそこへ辿り着き。扉が開けば、新しい部屋の匂いが僅かに香った。向き合った視線が微かに色を変え、笑むのを見れば口角を上げる。習いめいた斜に、しかし慣れないそれを浮かべながら。
――やがて告げた欲に片手を回されれば>>117、こちらも腕から腰元へと緩く腕を回す。互いに引きつける様に距離を縮めつつ。確かに腕のうちにある相手の身体に、暗灰色を小さく細めた。]
……先輩、
[ 静かに落ちた声に、抱き寄せる力を一層強めては、咽喉奥に詰まる感情にただ息を吐く。]
(121) omusouu 2014/10/13(Mon) 17時半頃
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――この先、迷っても。…必ず、先輩の所に帰るよ。
[ ただ忘れる為だけに迷う事は、もう無いだろうとは思いながら。 取られた手に従って真新しい部屋に、軽く頷きつつ身体を進める。掛けられた愉しげな声色に、“これから好きな物を、”とこちらもふざけ、愉しむように返しては。 そういえば先輩は何の花が、と以前を反芻してはその顔を覗き込もうと。]
――…、…
[ 閉じた外界に。それでも踏み出した一歩への祝福を黙ったままに受け取った。 交わされる視線に静かに顔を寄せれば、その頬に口付けを掠らせる。また同じ様に額に触れては、一度身体を離して。]
(122) omusouu 2014/10/13(Mon) 17時半頃
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[ 相手が背を向け続けた言葉には、一間置いて心中に落ちる感覚に、取ったままの腕をもう一度引き寄せた。 傾くだろう身体へと向かうように足を進め、その顔をこちらへと向けさせる。
それが叶ったなら、振り向いた相手には緩く口付け、ようやく届いたその目に暗灰色を絡めては。]
先輩が作るなら、なんでも。
――幸せにする、先輩。*
(123) omusouu 2014/10/13(Mon) 17時半頃
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――回想>>4:34-36:本屋前 後路地――
[ こわい、と言われたとき。 獣人の彼が、友達だと一度声を交わした彼が。 己をこわいと言うのが―― 酷く、嬉しかった記憶がある。
度胸が無い、と告げたのは事実だった。 硝子箱のなかで終わりを待ち、桑葉を食みながら、それに気付かない振りをし続けていても。
ほんの揶揄いじみた気持ちで、それでも“友人”の手が差し伸べられるのも。 大した目的でもないそこへ出向くのも、確かにその感触は残っていたのであれば。 漏らした一文はただ密やかなものだった。
……例えば、初めての友人へ手向けるように。]
(134) omusouu 2014/10/13(Mon) 21時半頃
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[ ――度胸がない。硬く両顳かみの奥から生えるそれが。その足先にあるかもしれない蹄が怖かったわけじゃない。 差し伸べられる手に、無垢に向けられ続ける己への友情に、唐突に恐怖を覚えた。何も知らない仕草をしてみせた彼が妬ましかった。 ――だから。駄駄を捏ねる子供のまま。
最低な行為を。身勝手に、彼の気持ちを裏切ろうとした。 その手を止めたのは>>3:315 彼の声へ子供染みた期待を、苛立ちを自覚したからで。
“友達”でも、“友人”でも。どちらでも良かったんだ、と。 獣でも人でも。だからまた、嘘を吐いた。
“言っておくけど、”]
恐がり、は。
[ ――ただ自分へだよ、オズ。 誰にも届かない場所でまた、掠れた声で呟く。擡げた首で。 最後に見えた、自分と鏡映しのような薄笑いを思い浮かべながら。]
(135) omusouu 2014/10/13(Mon) 21時半頃
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[ ―― 薄緑色を差す陽はやがて数度昇り、落ちては。褪せた黄金色は何度その音を鳴らしたのだったか。 蚕はもう、飼う事は無い。……ねじを緩めては首を傾げるそれも、やがてただの習いの名残のみになれば。 確かな足取りを中心部へと向ける。
慣れた所作で鍵を取り出し扉を開く。待っていると告げた相手を認め、外界に開いたそれを後ろ手に閉めては。
――いつものように。欲しい様にその腕に手を伸ばす。身体に触れ、それでも足りないと思うまま、その首元へ顔を近付けては。まだ、と眉根を寄せれば小さく、僅かに身体を離す。どうにもならない、と膨らみを増していくばかりのそれに声を潜めた。
それでも目の前に、手を取ったその姿があるのなら。確かめるよう視線を絡め、布越しの胸元へ、口を掠める。
……静かに暗灰色を相手に向ければ、噛み締めるように息を殺し、望み続けたただ一人へ。]
(175) omusouu 2014/10/14(Tue) 01時頃
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ずっと、 ―― 『 、 』*
(176) omusouu 2014/10/14(Tue) 01時頃
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