224 Cнег дьявол〜凍ったケツ村〜
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読書家 ケイトは、メモを貼った。
2015/05/31(Sun) 01時半頃
読書家 ケイトは、メモを貼った。
2015/05/31(Sun) 01時半頃
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─投票前・ヴェスパタインと─
…友情? そんな、安っぽい言葉で片付けないで。 [眼鏡の奥を見つめてくるヴェスパタイン>>3:204を、キッと見返す。 村人全員の命と天秤に。その言葉の意味を投げ返すように。]
せんせい。雪鬼の正体はおばさまにも『殺してみなきゃ分からない』のよ。 この投票って方法を選んだせんせいが、誰よりもこの意味を分かってるでしょう。 こんな、この空気の中で、みんなが誰の名前を書こうとしてるのか、分からないほど馬鹿じゃないわ。 私たちが、村人全員の命と天秤に掛けて、処刑の命を生贄にするのよ。
[ペンを走らせた紙を、ヴェスパタインだけに見えるように向けてから、折って、帽子の中へ。涙はまだ、溢れてはいない。]
なにも持って無い私には、ジリヤは日常のすべてなの。 出てったアランさんもシメオンも、父も母も弟も、なんにもそばに残らなかった私のすべてだったの。ここで、叔父さんと叔母さんと、ジリヤと──それが…っ
(6) 2015/05/31(Sun) 02時頃
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[もしも処刑が行われるとして。 どれほど暴れたところで、きっと自分の力で止めることなど出来ないだろう。 力でどう足掻いても、失ってしまうんだろう。分かっているからこそ、こうすることしか出来ない。]
それが、失くなってしまうかもしれないのに。 些細な抵抗も赦されないのなら、私にとっては雪鬼もあなた達も、変わらない。 ──疑いたかったら、疑えばいいわ。
[言い置いて、二階へと。]*
(7) 2015/05/31(Sun) 02時頃
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─自室前・ジリヤ─
[ケイト。わたし、あなたのことが大好きだったわ。
半ば悲鳴に近いその声>>205に、ノブを回す手が止まる。 肩越しに振り返ろうとすると同時に、冷たい指に手首を掴まれた。]
ッ、ジリ……
[ケイトの声がその名前を刻むより前に、目の前の美しい人の唇が、詰るような響きを吐いた。>>3:207
なんの、誰のことを言っているのかは、すぐに分かった。 彼女の気持ちが何となく分かっていたから。だから、自分は、彼から目を逸らし続けてきた。
あの祭りの日、彼との再会は偶然だ。 けれど、何故、と詰る言葉に直ぐに否定を返せないのは──]
(8) 2015/05/31(Sun) 02時半頃
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『 嫌い。嫌いよ、ケイト。 』
[じくり。 痛む心臓は、氷の破片が突き刺さったようだった。 歌うみたいなリズムは、確かに心の奥深くに刻まれる。たとえこの先生き残ったとしても、きっと二度と忘れる事はない、響き。それはまるで、呪いのように。]
ごめん、…なさい。
[意味をなさない謝罪が溢れる。 泣くものかと思っていたのに、鼻の奥が酷く熱い。 零れ落ちないように必死で飲み下して、耳元で囁くその顔から身体を離す。]
ごめんなさい。ごめんなさい。ごめん、なさい。私…っ、わたしは、
[後手に扉を押して、逃げ込むように部屋の中へ。 ばたん。扉が閉まるその最後の瞬間、向かい合った彼女はどんな表情だったろう。]
(9) 2015/05/31(Sun) 02時半頃
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私は。…大好きよ。 何があっても、あなたに嫌われても、──あなたがだいすきよ、ジリヤ。
[自分の手で締めた扉に泣きながら縋り付く。 目の前で泣く資格なんて無い。 あのたおやかで綺麗な白い指が、それを拭ってくれるのを望んでは、もういけない。
短い嗚咽が扉越しに伝わらないように、しゃがみ込んで口を両手で覆う。ジリヤが去るまで、そこでそうしていただろう。
そして、ケイトが恐れていた通り。 それが、ジリヤと過ごした、最後になった。]**
(10) 2015/05/31(Sun) 02時半頃
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読書家 ケイトは、メモを貼った。
2015/05/31(Sun) 22時頃
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─とある客室─
…………。
[客室のベッドの上では、雪の妖精が眠っていた。
長い睫毛は伏せられ、胸の上で両手を組まされている。一層血の気が引いた白い頬は、淡雪の積もる雪原のよう。 眠っているように見える彼女は、完璧なまでに美しかった──そこに吹き付けたような赤い痕さえなければ。
パルック。 アラン。 ヨアヒム。 オスカー。 そして────]
(70) 2015/06/01(Mon) 00時頃
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…… 、
[小さく名前を読んで、押し黙る。 俯いた瞳は酷く昏い昏い地の底のような色を帯びて、勝手に落ちる雫に気付いてもいないように表情を失っている。]
同じよ…みんな、おなじ。 人殺しだわ…みんなも──私も。
[椅子の上で膝を抱え、蹲る。 その表情は誰にも見えやしない。]*
(71) 2015/06/01(Mon) 00時頃
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『 悪い子のところには、雪鬼がきて──── 』
(72) 2015/06/01(Mon) 00時頃
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読書家 ケイトは、メモを貼った。
2015/06/01(Mon) 00時頃
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……………。
[小さくノブが回った音。>>74 名前を呼ばれた気がする。 顔を伏せたまま、腕のと髪の隙間から視線だけ上げると、開いた扉の前に金髪の青年が立っていた。]
シメオン……
[酷く気怠い声で、呼ぶ。 眼鏡は外してしまっているから、相手がどんな表情なのか分からない。
ベッドの上の彼女に会いに来たの?そう聞こうとして、やめた。 鉛のような重さが体を支配して、指ひとつ動かすのも億劫だった。 暗い声が、言う。簡潔に。]
……なに。 邪魔なら出てくわ…。
(76) 2015/06/01(Mon) 00時半頃
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……羨ましい…?
[青年が、力無く語りかけてくる。>>78 視線が確かにぶつかった。 薄いレンズ越しじゃないぼやけた視界は、今更もうそれを拒みはしない。]
……ふふ。なぁに。 あなたがそんなこと言うなんて。 私、今夜にでも死ぬのかしら。 [疲れた顔で少し笑って、背を丸めたシメオンを見詰める。 いつも気付かれぬように横顔だけを見てた、自信家で、飄々とした、ランタン職人の弟子。友人の幼馴染。]
(81) 2015/06/01(Mon) 10時頃
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王子様、なんて。
[ぽつり、と。 否定でも揶揄でもない響きで言う。 自分にとっての彼を探そうとして、どうにも見当たらなかった。]
王子様なんて、御伽噺の中だけで十分よ。 …あなたは、あなたで、それで、十分──、……。
[途切れた語尾を飲み込む。 今更。何もかもが、今更だ。 憧れや、嫉妬や、後ろめたさも、全部たったひとつの感情から目を背けるための、柔い壁だった。
けれど、こんなことになって今更、言うべき言葉なんて持っていやしない。]
(82) 2015/06/01(Mon) 10時頃
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ねえ、シメオン。
[やがて背を向けた青年を>>80呼んだ。振り向いてくれるだろうか。背を向けたままだとしても、気にせずに続ける。]
駅の東の、小さい丘。…覚えてる? 上まで登ると、モスクワ行きの列車が一番遠くまで見えるの。
[子供のころ、手を引かれて登った事がある。 アランが出て行ったその日に、泣き止まない自分をそこへ連れて行ってくれたのは、彼だった筈だ。]
土曜日の午後にはね。 あそこに登ると、向こうから来る列車もよく見えるのよ。 駅で、誰が降りたかも。
[膝の上に抱えた布地を抱く腕に、そっと力を込める。淡い菫色の刺繍が施されたワンピースは、体温が移って仄かに温かかった。
長いこと逸らし続けた視線を、今度こそ逸らさずに、扉の前で揺れる金の髪を見詰める。 瞬きをすると、何度もひとりで登った丘の上までの道が、はっきりと思い描ける。
けれど、続く言葉が紡がれる事はなく、ケイトは押し黙って顔を伏せる。]
(83) 2015/06/01(Mon) 10時頃
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…あなたも少し、休んだほうがいいわ。 起きたらまた、…疑い合わなきゃいけないないんだから。
[沈んだ声を床へ落として、今度こそ出て行くシメオンを見送った。]**
(84) 2015/06/01(Mon) 10時頃
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読書家 ケイトは、メモを貼った。
2015/06/01(Mon) 10時半頃
読書家 ケイトは、メモを貼った。
2015/06/01(Mon) 10時半頃
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─4日目・早朝─
[金髪の青年が去って、どのくらい経ったか。 俯いたまま、少女の指先はベッドの上の雪の妖精の頬を、優しく撫でていた。肩が震える。徐々に、その震えは大きくなって。]
……っ、ぅ、……────ふ、…ふ、
(90) 2015/06/01(Mon) 13時半頃
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ふふ、ふふふ、はは…っ、あはははははははは!
は…ぁ、…ふふ、……もう駄目よ。 飽きちゃったわ、『ケイト』。
[喉を見せて仰け反った少女は、どろりと濁った瞳で、嗤った。]*
(91) 2015/06/01(Mon) 13時半頃
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読書家 ケイトは、メモを貼った。
2015/06/01(Mon) 13時半頃
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[ギシ、と足下で廊下の板が鳴く。 手入れは行き届いている建物だが、そう新しくは無いので、決まった場所が軋むのだ。
ゆっくりと歩く途中、客室での喧騒が耳に入る。>>96>>97虚ろな目がそちらを向いた。]
────… 、
[唇が少し動いて、冷えた指が手の中のものを握り締める。 ここに来る途中、叔父の部屋へ行った。オスカーへ充てがわれた部屋にも行ったけれど、目的のものが見当たらなかったからだ。
冬の森に出る狼を追い払うのに使っていたモノだから、使えるのは知ってる。 当てることは、あまり考えて無かった。]
……まって、…し合い…しましょ…
[ぶつぶつと何か呟きながら、菫色のワンピース姿の少女は、羽織ったカーディガンの下に──銃を握り締め、階段を登っていった。]**
(102) 2015/06/01(Mon) 19時半頃
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読書家 ケイトは、メモを貼った。
2015/06/01(Mon) 19時半頃
読書家 ケイトは、メモを貼った。
2015/06/01(Mon) 21時頃
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[誰か、と聞き覚えのある金切り声が上がる。>>105 ほぼ同時に駆け上がっていったのは、メルヤか。>>106ヴェスパタインも一緒だったかもしれない。
バタバタと床の鳴る音にゆるりと顔を上げ、急ぐ風でもなく追い掛ける。折り返し手前。 助けてくれ、とまた上がる声。>>110虚ろな瞳が微かに開く。ひくりと動いた喉には、誰も気付きはしない。
部屋から飛び出してきたシメオンの姿に、先に上がったメルヤが動揺した声を出した。>>111 折り返しの踊り場でそれを見上げた少女は、ゆっくりと階段を登る。一段。また一段。
最後の三段、登り切る手前で足を止めた。 シメオンが怯えた声で叫ぶ。>>115 追ってくるのは誰か。全員の姿が見えるまで、その場で待つ。
もしかしたら傍目には、怯えて立ち竦んでいるようにみえたかもしれないが。]
(117) 2015/06/01(Mon) 21時頃
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[階段の先の廊下に人影が増える。>>119>>120 リーと、ドロテア。 リーの視線がこちらを向いた気がした。押し殺したような呟きにも、表情は動かない。]
なんだ。みんないたのね。
[はくり、低く息を吐き出して。カーディガンの下に利き手を差し込む。ワンピースのベルトに引っ掛けた『それ』を引き抜いて──カチリ。撃鉄を起こす、音。]
(125) 2015/06/01(Mon) 21時半頃
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[ ────ガァン!
空気を揺るがす衝撃音。真っ直ぐに上に向けられた腕が、宿屋の天井を撃ち抜いた。 握られたモノの銃口から一筋の煙が上がる。
視線がこちらに集まるなら、その手を今度は、皆の方へ向け。構える。カチリ。]
うごかないで。 ────だめよ、こんなところで。 話し合い、しましょう? 誰彼構わず、死にたくなければね。
[場違いな笑顔で、言葉を、投げる。]
(126) 2015/06/01(Mon) 21時半頃
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黙んなさいよ、人殺し。
寄ってたかってジリヤを殺した癖に、今更キィキィ喚かないで。 言ったでしょ?私にとっては雪鬼もあなた達も変わらない。
[冷え冷えとした声で言い放って、ヴェスパタインの手から逃れる為に身を逸らす。]
さがって。 自分たちは疑われもしない位置で散々人を殺して、満足? あなたが決めたルールよ、せんせい? そして、誰が雪鬼でも、それに従ってきた。『あなたの決めたことルール』にね。…おかしな話。
[は、と鼻で笑う。 銃口を降ろすつもりも、奪わせるつもりもない。]
さあ。おばさまも、リーも。 せんせいもよ、武器を捨てて。 そうしたら、私も、面倒なことをしなくて済むわ。
(135) 2015/06/01(Mon) 22時頃
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[怒鳴り散らす声>>134に、笑い声が漏れた。 全員見渡して、黙れ、と再度、口の動きだけで示す。 武器を下ろしたリー>>137に視線をやって、口元を緩める。]
リー。良い子ね、賢い人は好きよ。 せんせいのそれは、蛮勇っていうの。あなた達じゃあるまいし、別に殺すだけが手段じゃないわ。 なんでもこだわりなく読んでみるものね。撃っても問題無いパーツって、沢山あるのよ。 でも、無意味に痛い思いをする必要はないでしょう。
[銃身を引かぬまま言い、リーの言葉に>>137目を細める。]
恨んでる? 同じだなって、思っただけよ。 ヨアヒムさんを殺したときは気不味い顔してただけなのに、 それが自分の親しい人間になった途端に悲劇ぶってるおばさまも、メルヤも。 他の解決策のひとつも考えずに、せんせいのやり方に従った私たちも! みんな下らない、人殺しの、悪い子よ、そうでしょう!?だから────
(140) 2015/06/01(Mon) 22時半頃
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[半ば叫ぶように言って。 視線が、無意識か、意識してか。廊下の中央にいる──彼>>134を、見る。]
────居なくなって、くれないんでしょう? 雪鬼は、
[『悪い子のところには────』]
(141) 2015/06/01(Mon) 22時半頃
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ケイトは、シメオンに話の続きを促した。
2015/06/01(Mon) 22時半頃
ケイトは、シメオンに話の続きを促した。
2015/06/01(Mon) 22時半頃
ケイトは、シメオンに話の続きを促した。
2015/06/01(Mon) 22時半頃
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[近寄ってくるリー>>142やドロテア>>147を見据えて、しっかりと握った銃身を向ける。そのまま、降りようとするメルヤは放っておいて、入れ替わりに二階廊下に上がる。全員が見渡せる、廊下の一番奥。]
動くなって言ったでしょ。 ……でもいいわ。おばさまの言う通りよ、リー。 死んでくれって言ってるんじゃないの。 全員、降りて。 せんせいもよ、そっちの階段から。 [メルヤが降りた方に黙って続いてくれるなら、それでいい。 懐かしい筈なのに、もう見たくもないあの帽子は、その先の酒場のテーブルに鎮座しているのだから。]
(157) 2015/06/02(Tue) 00時頃
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[銃はしっかりと握ったまま、けれど銃口はもう下ろされている。 全員が階下へ向かう中、少し間を空けて降り始める金髪の後ろ姿>>153を、ケイトは最後尾で見詰めていた。
ギシ。ギシ。足元で階段が軋むたび、数えなくともそれが何段目なのかが分かる。 すっかり慣れているはずのこの宿屋が、今はまるで別の場所に思えてならなかった。
先程の熱気がすっかり取り払われた、耳に痛い沈黙の中、粛々と続く『話し合い』の準備。 小さく切った数枚の白紙と、懐かしくも忌まわしい、叔父の古い山高帽子。 話し合い、とは名ばかりの、殺し合いに課せられた『ルール』だ。
皆が同じ名前を書くのだろう。 分かりきった事だ。 読み上げられる事を待つ必要もないほどに、分かりきった、事なのだ。]
(160) 2015/06/02(Tue) 00時頃
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[開票結果を待つこと無く、少女は酒場の一角で壁に背を預ける青年に近付く。>>155
俯いた彼は、誰のどんな声にも全く反応を示さない。 視界の端で、開かれる票。一枚。二枚。 青年の見えないその表情を、伺い知ることは、出来ないけれど。]
ねえ、シメオン。
(161) 2015/06/02(Tue) 01時頃
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[少女の下ろされていた腕が、再びまっすぐ上がった。撃鉄は、とっくの昔に起こしてある。
合わせた照準の先にあるのは────]
(162) 2015/06/02(Tue) 01時頃
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……──── =B
[食堂の空気を切り裂く破裂音。 唇から滑り落ちた、たった5文字の別離の言葉は、他の誰に聴こえる筈もなく。
青年の心臓を撃ち抜いたその瞬間、菫色のワンピースを纏った少女の口元は確かに、笑っていた。]**
(163) 2015/06/02(Tue) 01時頃
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