226 【突発誰歓】君の瞳に花咲く日【RP村】
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逃亡者 メルヤは、メモを貼った。
2015/06/09(Tue) 02時半頃
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―夢の中:手紙のゆくえ―
家族に手紙を出している、院内の患者仲間を見てメルヤも手紙を出していた時期があった。
但しメルヤが手紙を出した相手は、両親ではなかった。 両親は、物心ついた頃には不仲だった。メルヤを名門の小学校に通わせ、無事合格した後も教育ばかりを押し付けて、世間体しか見ていない親だった。 メルヤのやりたいこと。 欲しいものなど、気にする母親ではなく、父親は無関心だった。
――彼が病気を最初に発症した、10年前。
中学に上がって間もない頃だった。透明で鋭利な鱗が生える。切除手術をしても、また生えてくる。 子ども時代のメルヤは生意気で愛想が無く、大体のことをこなしてしまうからこそ、同年代の友と呼べる親しい間柄もいなく、気味の悪い子どもだと指を指されて蔑まされた。
世間体ばかりを重んじる母親が、メルヤを厭わしく思うのは直ぐだった。 無関心の父親が、口を出すこともなくメルヤはこの病院に送られた。
外の世界への未練が無い。そのこともメルヤの諦念に拍車をかけていただろう。 幻に両親も知人も現れないのは、メルヤの深層心理を明確に働かせている。
(7) 2015/06/09(Tue) 03時頃
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――彼の世界は、白い箱庭の中から始まっていた。
あれは奇抜なピエロの格好の男が、いなくなった後のこと。 もの珍しそうに、患者仲間が手紙を書いているを見掛けたことがある。 書きたい相手に書けばいい、と屈託のない笑顔で告げられ、戸惑うメルヤに笑顔で便箋を一組渡した。
思い浮かんだのは、突然いなくなったピエロの男。 隔離区域に運ばれたらしい、と耳にしたメルヤは、手紙ならば届くとかすかに期待した。
返事は返らなかった。
もう自分のことを忘れているからだろうか。 あちらでも、元気にやっているから手紙を書く暇が無いのだろうか。 そんな風に考えながらも、メルヤは何通か、ピエロの男相手に手紙を書いた。
(8) 2015/06/09(Tue) 03時頃
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返事は一度も返らなかった。 隔離区域は、この病院の一部。 郵便事故で届かないということもないだろう。
あのピエロの彼が、手紙に返事を書くかどうか――ほぼ確信として言えば書くだろう。
手紙を書いた誰もが返事が返らないことに、メルヤが知ったのは何時だったか。
――――…それでも手紙を書き続ける男がいることからは、目を反らす。
隔離された者とは、連絡が取れない。 それが、真実だと知ってしまった彼は手紙を書くことをやめた。
きっと届けたい相手に届いていたなら 愉快な仕掛けが施された手紙が来ていただろう、とメルヤ思う。
――そんな人だったから。
(9) 2015/06/09(Tue) 03時頃
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逃亡者 メルヤは、メモを貼った。
2015/06/09(Tue) 03時頃
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―翌朝:自室―
――ッ!!
[目覚めは最悪だった。昨夜の酔いが残っているだけじゃない。 シンバルのけたたましい音で、深い眠りから急激に覚醒した。
彼にしか聴こえない幻聴。平常心を心掛けている彼も、心臓が止まるような思いだ。 幻聴や幻視があった時に声を出さないようしていたが、叫びそうになったぐらいだ。]
……部屋の中で良かったよ。
[ぼやきつつ、身支度を整える。普段通りに包帯の替えをポケットに入れる。 ややあって。>>2:81で貰った鎮痛剤も入れた。
ラックから取り出して、いくつかの手品も持ち出す。]
(31) 2015/06/09(Tue) 14時頃
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―廊下―
[廊下に出たなら>>19の背中が見えた。朝から幻覚症状が起きている彼は、佇むシーシャが幻でないと判断出来ない。
周りに人がいないことを確認する。]
おはよう。昨日はごめんね。
[軽い挨拶のみで済ませた。 彼自身の不調もあるが>>19の様子が奇妙であったため深入りしないためもあった。]
(32) 2015/06/09(Tue) 14時頃
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[先を歩く。思考を巡らせていたためどれ程歩いたか不明瞭だった。 廊下の先で>>22と>>26の姿を見掛ける。 ヒナコの今にも泣き出しそうな、様子。ケイトの無表情の裏で、困惑しているような様子。
彼はここのところ病院関係者を避けていた。>>2:192のように勘付いてなどいない。
ただ、予感があった。 ひたひた、と。不穏な足音が押し寄せるような、黒い影のような、予感が。]
二人とも、どうかしたの?
[常と同じような声で、問い掛けるのが彼の精一杯だった。**]
(33) 2015/06/09(Tue) 14時頃
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逃亡者 メルヤは、メモを貼った。
2015/06/09(Tue) 14時頃
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―少し前:廊下―
[振り返る。いつも通りの、澄ました顔。 何ということは、日常の続き。彼はまだ、隔離施設に連れて行かれた者を知らないから、普段通りを繕った。
ケイトとの昨夜の会話が、耳に甦る。 ポケットから新しい包帯を取り出し>>39に軽く投げた。手元に、行くように。]
じゃあ、それで貸し1つ返済にしてね。
[シーシャの指が赤く染まっているのを見る。咎めるような口調で、少しは爪を大事にね、と言って立ち去った。 再三の通告で、医者の部屋へと向かう為に呼び止められても歩みは止めなかっただろう。
未練は残さない。誰の痕にもならぬように。
彼が”また”と口にしなかったことに、シーシャが気づいたかは定かではなかった*]
(41) 2015/06/09(Tue) 18時半頃
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―現在:廊下―
[告げられた残酷な真実は、彼は目を瞠る。 頼りなげなヒナコと、淡々としている奥で動揺をみせるケイトを交互に見つめる。]
ナナオが?
[彼は、内心決めつけていた。 次に”連れて行かれる”のは、彼自身であろうと勝手な解釈をして、少しでも引き延ばすために足掻いたのだ。
ナナオの症状が悪化しているような様子は、少なくとも彼には見えなかった。 過剰なまでの心配は、ナナオの持つ病ゆえだ。彼より後から入ったから、憶えている。何もかも。 優しい、優しすぎる彼女のこと。>>2:110>>2:111 その心の傷みには、触れずにいた。]
(43) 2015/06/09(Tue) 19時頃
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…僕に言うことじゃないよ、それは。 覚えてる。忘れない。
忘れないんじゃない、忘れられないんだよ。
[呟く声は、少し弱々しい。拳を握りしめた。 起きてしまったことは、取り返しがつかない。
(――――…もしも)
そんなことが、過ぎっても仕方がないのだ。]
……ケイト、ヒナコをお願い。 僕は、ちょっと寄るとこあるから。
タルトや、他の人も気に掛かるしね。
[厚い包帯の上でも壊れもののように、ケイトの肩にそっと触れて足早に歩く。 ”連れて行かれた” 他の人が無事かどうか定かではない。安否が気掛かりだった。]
(45) 2015/06/09(Tue) 19時頃
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[ヒナコの背に生える青い翔に、ふと目を向ける。 また、少し大きくなっただろうか。
こんな時に綺麗な翔だね、なんて。言葉を掛けた時のことを思い起こした。
こんな時だから、思いだした。**]
(46) 2015/06/09(Tue) 19時頃
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メルヤは、シーシャに包帯を投げた。
2015/06/09(Tue) 19時頃
逃亡者 メルヤは、メモを貼った。
2015/06/09(Tue) 19時頃
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―医務室― [彼が足早に向かったのは、再三の通告を渡された医者の元。 彼はごく普通に訪れていた。鱗の増加具合。他症状。精密検査を受けながら、医者や看護師に愛想笑いを浮かべる。]
……先生。
[検査と検査の合間だった。 病院関係者の前では、彼はなるだけ気弱な青年を装う。彼が、身体的には健康な青年だったからだ。他の患者との相違点。 故に彼は模範的であろうとした。シーシャもそういった点で身体的障害は無いが、軽業や手品で鍛えていたせいで彼の身体能力は低くない。
鱗が増えれば、トレイルやヒナコのように足が動かしづらくなるなどの弊害が生じるかと思えばそういった症状は起きなかった。
代わりに生じたのは、幻覚だ。]
(61) 2015/06/09(Tue) 20時半頃
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……先生。 僕が、早く。来ていたら……ナナオ”達”は連れて行かなかったんですか? [>>45もしもの続きの言葉を、弱々しく吐く。 演技半分、本音半分。歯噛みしたくなるのを、彼は抑えながら注意深く医者を見る。]
「ナナオとゆりは、病気が進行して――」
[かすかな動揺が、医者の瞳に生じるのを見逃さなかった。 その後のお定まりのような、言い訳は彼の耳には入らなかった。彼とナナオ達とは関係がない。病気の進行度合いによって――。
そんな言葉が、耳に滑っていた。
引っ掛かった、と彼は思う。複数が”連れて行かれる”ことも多いから彼はわざと”達”と言って鎌を掛けた。
だが病院関係者は、彼が普段どんな行動をしているかも記録しているから、既に気づいていると勘違いしたのだろう。]
(……ナナオ、ユリ)
[診察台に座っているため、拳を握ることも出来ない。 彼は見誤った。次は自分の番だという思い込みが、あった]
(62) 2015/06/09(Tue) 20時半頃
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[診察台に座っているため、拳を握ることも出来ない。 彼は見誤った。次は自分の番だという思い込みが、望みがあった。
[最近、特に距離感を気にしていたのも。少しでも引き延ばそうとしたのも。 少しでも、他の家族が穏やかに過ごせたらいい、という願いだった。
喪われることは、恐ろしい。誰がいなくなっても、心臓を抉るような傷みを刻みつける。
(消えられたら、いいのに。)
頭の過ぎる歪んだ思考は、追い払う。]
(63) 2015/06/09(Tue) 20時半頃
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……せんせい。
[掠れた声が意識せずに出た。 連れて行かれた人々が過ぎる。新たに加わったふたりを想う。]
(64) 2015/06/09(Tue) 20時半頃
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(――…ナナオ。 君が来た時には、僕はもう手品をやめていたんだったかな。 だからこそ。未来を紡ぐような詩を、歌を紡ぐ。君はみんなの心を明るくしていたよ。
君から見れば遠くからだったけど、僕にとっては君の家族だった。 明るくて優しくて、優しすぎて人を傷つける。
……誰かに触れたがっていた、寂しそうな君。 僕とは違う。触れることを、諦めた僕とは違う君の長所。臆病な部分も。 妙に一緒にいることが多いせいで、君が誰を見ていたかも、本当は知っていたけれど。
――触れない僕が、どんな風に見ていたかなんて伝わらなかったんだろうね。)
(65) 2015/06/09(Tue) 20時半頃
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(――…ユリ。 来た時には柔らかな笑顔を見せる、子だった。 徐々に言葉を喪い、感情を喪う君を、僕は他同様に黙って見守っていた。
喪われていく君を、僕は憶えていようと思った。 君が忘れたくなかったであろうことも、君が好きだと言ったものも、怖いと言ったものも、憶えているから。)
[人間は、残酷だ。 誰の存在もが平等でなど、あり得ない。
彼が、ピエロの男がいなくなった時だって、他にもいなくなった人がいた。だけど、彼はピエロの男がいなくなったことに、悲嘆に暮れた。
人はそうやって枠組みを作る。余り言葉を交わさなかった相手のことほど忘れやすい。 だからせめて。彼は、誰にも深入りしないように。誰にも深入りさせないように。
誰がいなくなった時も、同じぐらいに心を痛めて、悲嘆し、誰かの大切な相手が連れて行かれた時に同調する]
(66) 2015/06/09(Tue) 20時半頃
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[メルヤ自身がいなくなった時。 ――…誰も余り悲しみに暮れないよう、余り傷つけないように深入りさせないようにしてきた。
あくまでも彼自身がそうしてきたつもりであって、実際は定かではない。彼自身気づいていない、気づかない振りをしていることがある。]
せんせい、次は僕の番ですか?
[途方に暮れた子どものような、頼りなげな表情を浮かべる。 医者の男の、瞳が一瞬泳いだ]
(67) 2015/06/09(Tue) 20時半頃
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それが、答えだった。
[――…ナナオ達のことは残念だったが、とか。君は気にしないで生活していい。 列ねられた言葉は、彼の耳にも心にも届かない*]
(68) 2015/06/09(Tue) 20時半頃
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―医務室前廊下―
――うげっ…!
[>>70医務室から出たのを見られたかどうかが、先に気になった。 猛獣にでも出会したかのように、距離を取る。息を詰める。泳ぎそうになる目を必死で堪えた。 ひとつ咳払いをして、必死で表情筋で口を引き攣らせながら笑みを向ける。]
トレイル、おはよう。 変なとこで偶然だね。
[――…それじゃ。手を振って逃げ出したくなるのが何故か、彼自身には不明だった。理性で必死に留まる。
逃げ腰なのは、ここ最近のいつも通りだった。]
(76) 2015/06/09(Tue) 21時頃
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逃亡者 メルヤは、メモを貼った。
2015/06/09(Tue) 21時頃
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……――。 [彼の心に、さざ波が押し寄せるような感覚が陥った。 伊達に。長い付き合いではない。無遠慮に踏み込まれることも、多々あった。]
トレイル
[固い声。呼び掛けた意味は、彼にも不鮮明だ。 ――…喪われていく。欠けていく。
直視して刻みつけて置くのが、記憶に留めて置きたいと思ったのを、話したことはあっただろうか。話したとして、忘れただろうか。]
化け物なんて、生易しいよ。 ……君こそ珍しく先生に用?
じゃあね。
違和感と言うには、大きな差異を、彼は見逃さない。残酷な現実でも、優しい虚実を振り払い、心に芯を定める。 今更のことに。狼狽した理由が彼自身、わからない。 素っ気無い振りをして、辞去する。その横を通り際に>>79の横を通る。]
(84) 2015/06/09(Tue) 21時半頃
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(――…ナナオとユリが”連れて行かれた”)
[その呟きだけを残して、廊下の奥へと去る。 後で話がある、とは何故か声が出なかった。
果たされないかもしれない約束を、口にしたくなかったのだ。*]
(86) 2015/06/09(Tue) 21時半頃
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(何がちょっとだ、人のこと言えないけどさ。何がちょっとだ。) [>>90に、彼は何故か苛立ちを憶えた。何故かはやはりわからない。重々しい口振りに勘付いてないとしたら、甘くみられたものだと思う。 彼自身が見ないようにしているものが、見える。
何時の間にか。彼の隣にはピエロの男が佇んでいた。
『スマイルー♪ スマイルー♪』
今だけ黙ってて欲しいなどと思ったが、幻覚の相手をしないように努める。 呼び掛けに、振り返る。真っ直ぐに鳶色の双眸を、ぶつけた。]
――――……ヒナコと、いま、先生から聞いた。 間違いないよ。
こんな冗談、嘘でも口にしたくない。
(97) 2015/06/09(Tue) 22時頃
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[一旦、立ち止まる。 >>91を見る目は、常ならず穏やかじゃない。]
……トレイル。 ”ここ”で話すことじゃないよ。君らしくもない。
[躊躇うように一拍置く。 どう声を掛けるべきか、逡巡する。]
君”らしく”ない。 落ちつきなよ。普段通りに、タルト達にどう話すかとか考えててよ。
……もし。詳しいこと聞きたかったら、昼ぐらいに部屋に居てよ。
[辛辣なようで、取り乱している>>91を叱咤しているつもりだった。 喪失は恐怖だ。互いにとって意味合いは違うけれども。
今度こそ踵を返し、医務室から少しでも離れようと足早に廊下を去る。 彼が何か声を掛けたとしたら、振り向いて頷く程度だったろう。*]
(98) 2015/06/09(Tue) 22時頃
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逃亡者 メルヤは、メモを貼った。
2015/06/09(Tue) 22時頃
メルヤは、ケイトのことがふと過ぎったのは、診断を終えた後だからだろうか。
2015/06/09(Tue) 22時半頃
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[>>106かすかな、返答とも溜め息ともならぬものは、耳聡く彼は聴いていた。 深入りはしない。いつも踏み込んで来るのはあちら側。 勝手にこちらが言い捨てたことだ。昼に部屋にいなくとも、気にはしない。
彼自身見て見ない振り。]
[廊下を通り、食堂へと向かおうとした。彼には目的があった。 中庭を見つめる。
そこにはキルロイとオスカーとタルトが、和やかそうに談笑をしていた。 気づいているのか、いないのかは不明だが、どこか遠い風景のように思えたのは、何故だろう。]
……。
[誰かと目線があったなら、ややぎこちない笑顔で手を振ったことだろう。*]
(110) 2015/06/09(Tue) 22時半頃
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[中庭に目を向けていると、こちらに歩き出す>>109の姿。 オスカーとタルトが居たならば、おはよう、と挨拶ぐらいしただろう。]
キルロイ、おはよう。 天気が良いね。
…僕は食堂に行くつもりだけど、君はどこいくんだい?
[普段通りの笑顔と声で、彼に話しかけた。 元より覚悟は出来ている。だから、今日も普段通り。
普段と違うのは、誰に対しても”また”と言わないことだけだ。]
(113) 2015/06/09(Tue) 23時頃
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キルロイ。
[僅かな逡巡は、数拍。少しだけ>>115廊下の方に手招きする。]
…その様子じゃ、まだ知らないんだね? ナナオと、ユリが”連れて行かれた”
ユリは、よく図書館に居た子なんだけど…
[続く言葉を、選ぶように。黒瞳を静かに見つめる。 息を吐いた。本気の本音は、トレイル辺りにいつも通り押し付けようと思ったのだが、そうも行かない様子だ。]
……誰かが、タルトに話さないといけない。 ヒナコにそんなことさせられない、から。
[伺う視線の先に、オスカーを見る。 老年の精神を持つ彼がいるなら、まだ、自分だけでも上手く伝えられるか、と逡巡する。]
僕にも弁当…出来ればサンドイッチみたいなのがいいな。 あと、バナナ。一房おっちゃんから貰ってきてくれない?
(117) 2015/06/09(Tue) 23時頃
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[>>124見る見る内に青ざめていくのが、わかる。 キルロイに、その役目を押し付けようとは思わなかった。
なるだけ、タルトの発作を引き起こさないように、上手に言う。 頭の中でトレイルが以前、幼い子に言い聞かせていた時のことを思い起こそうとして――
その時、大体、彼自身は他のことに追われていることが多かったのを思い出す。]
役割分担、ってね。 キルロイ、君は君の、気に掛ける人に掛けてあげて。
[激励のようにそっと肩に触れる。 両手とも鱗が突出してしまったため、傷つけないように柔らかく。]
(127) 2015/06/09(Tue) 23時半頃
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バナナも、忘れないでね。
[心の中で、謝罪する。 おそらく近い内に、自分も連れて行かれることを確信していた。
彼がいなくなっても、誰も傷付かないよう。振る舞ってきた、つもりだった。彼自身は。]
[キルロイが食堂に向かったかどうか。わからないがもう一度。 励ますように、そっと。肩を叩き。
中庭のオスカーとタルトの方へと足を向けた*]
(128) 2015/06/09(Tue) 23時半頃
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タルト、おはよう。
ちょっとおいで。オスカーさんと一緒にキルロイ待ってる間に…僕とお話しようか?
[手招きをしながら、オスカーの元へと歩み寄る。 意味深な視線を、彼はオスカーへと投げた。彼は今勘付いたが、オスカーの背がまた縮んでいるようだ。]
オスカーさん、僕、メルヤだけどわかる?
[まずは、世間話をしつつタルトの方へも、何気ない話を投げてみた。]
タルト。絵本呼んで貰ってたのかい? [昨日、彼が選んでトレイルに渡した絵本を、見つける。 顔が、強張りそうなのを総動員して宥めた。
医者の顔を浮かべて、人の良さそうな愛想笑いを浮かべる。少しでも、タルトが安心出来るようにという配慮だった。]
(130) 2015/06/10(Wed) 00時頃
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……。
[>>138の視線には、無言で頷く。 明日も明後日もしあさっても。会える日が来ない。
誰かがタルトに、その真実を告げないとこの子はずっと待ち続けるだろう。 かつての彼自身がそうであったように、ずっとずっと待ち続ける。 誰かが伝えなければ、ならなかった。 約束があるならば、なおのこと。
――”彼女が待ってる、ナナおねえちゃんともうひとりが”
そう、小声で応えた。]
(141) 2015/06/10(Wed) 00時半頃
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タルト、そっか。
[幼気な笑顔。 まだ、この病院の醜悪さを知らないような。 非情な現実を知らないような、幼子に彼は笑顔を保つのが精一杯だった。
息を呑む。蜃気楼のような影がタルトの横に浮かぶ。浮かんだのは、同じ年頃の男の子。 その隣には気遣うような、薔薇の香りがする女性。白い影でしかない、幻だが判別がつく。
彼はタルトと目線を合わせるべく、屈み込んだ。鳶色の双眸が、細められる。]
その絵本は、そうだね。 ヒナコおねえちゃんに読んで貰うといいよ。
(142) 2015/06/10(Wed) 00時半頃
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[息を吸う。言葉を選ぶ。 頭の中を捲るように、捲るようにして。
タルトの頭を、そっと壊れ物のように撫でながら。]
ナナオはね、もうここには帰って来ないんだ。 僕は、それを、タルトに教えに来たんだよ。
[どんな顔をしても、タルトは傷付くだろう。 悲しい笑顔を浮かべながら、彼は思う。悲しませない術なんて、無い。
伝えないという選択肢は、現実に待ち人がいた彼には無かった。*]
(143) 2015/06/10(Wed) 00時半頃
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メルヤは、ヒナコが大丈夫かふと気に掛かった。
2015/06/10(Wed) 00時半頃
逃亡者 メルヤは、メモを貼った。
2015/06/10(Wed) 01時頃
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[>>167見て、ゆっくりとした手つきで撫でながら、微笑んだ。] ごめんね? きっと、タルトは…明日も明後日も、しあさっても、ナナオを待つんだろうなって思ったら
ナナオがいなくなったことを、タルトにも言わなくちゃって思ったんだ。 [かつての彼がそうであったように。 蹲って泣き続けて、どこかの誰かに見つけて貰うまで泣いていたように。]
タルト。僕たちは大丈夫。 だから、笑って?
タルトの笑顔が、ナナオはきっと。とても好きだったから。
[にっこりと、笑う。 握手を求めるように、包帯をしている右手を差し出した。]
(170) 2015/06/10(Wed) 07時半頃
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[>>169の優しい嘘は、彼には吐けなかっただろう。 幻に取り込まれないように、現実を直視する。嘘は吐けない。 彼自身が、奈落の底に落ち掛けない。甘い夢は見ないようにする。]
[どこか。淡い笑みを浮かべながら>>169にそっと視線を送る。 (笑って。安心させれば、治まるんで)
小さく声に出さず、伝わればいいと思ってオスカーに伝えようとした。 あまり酷くなるようだったら、医者を呼んだほうがいいのかもしれない。
彼はひどく気が進まなかった。 朝のやり取り。張り付いたような笑顔を思い出せば、タルトを医者に診せるのも考えものだ*]
(171) 2015/06/10(Wed) 07時半頃
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[>>173(何でそうなった?!)
合ってるけど、少し違う。合ってると言えば合っているので、唐突に始まった百面相に、堪えきれずに噴き出す。]
ぶはっ! お、オスカーさん、そうだけど、違う。 いや、合ってるけど…合ってるけど…
[大真面目にはじめるものだから、つい状況を忘れて肩を震わせ笑う。
そもそも、どうして笑いだけで百面相をつくれるのか。 亀の甲より年の功なのか。メルヤはツボに入った。見事なまでに。**]
(174) 2015/06/10(Wed) 08時頃
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逃亡者 メルヤは、メモを貼った。
2015/06/10(Wed) 08時頃
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[唐突に>>180に噛み付かれた。予想外過ぎてトレイルと鉢合わせた時のような奇妙な声が出そうになって堪える。]
タルト、鼻に指突っ込んだら、めっ、て言われなかった?! [彼自身何を言ってるのかよくわからない。 ちょっと、どうしてこうなった状態である。]
ははっ! あー…だめだな、二人には敵わないよ。 [励ましに来て励まされたような気分だった。
改めて、と言わんばかりにタルトに向けて包帯の巻かれた手の平を向ける。]
はい。ワン、ツー、スリー! [ポンッ。と小気味良い音とともにタルトの周りに紙吹雪が舞う。 朝仕掛けていた手品のひとつ]
どうぞ。小さなレディ?
[おどけた調子で、笑いつつ差し出す。彼の手には、紙吹雪と一緒に出した小さな白い花。 タルトが興味を持って手に取れば、花弁が舞い、苺ミルクのキャンディーになる仕掛けだった*]
(181) 2015/06/10(Wed) 10時頃
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[タルトはその時笑っていただろうか。渡した飴玉は受け取って貰えただろうか。 >>210姿を見掛ければ、穏やかな笑顔で振り返る。]
ああ。キルロイ。……それにケイト。
頼まれてきたもの、持ってきてくれたんだね。ありがと。
[近づいてきただろう。キルロイにお礼を言う。 バナナとサンドイッチを受け取るべく、包帯の巻かれた手を広げた。
中天にかかっている、空はどこまでも青く眩しかった*]
(211) 2015/06/10(Wed) 20時頃
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|
え? バナナほど栄養価が高くて素晴らしい果物ないよ?
[>>212には至極大真面目な顔で、彼は返答した。 実は彼は知らなかったが、彼のバナナへのこだわりはピエロの男の影響だった。 バナナのたたき売りなどと言った真似を、この中庭でやってのけた道化は、バナナをよく食べていた。頻繁に食べていた。
中にはバナナの皮で滑っていた者もいたが、彼もつられて一緒に食べていたのは、良い思い出である。 あくまで彼の中で、でだ。その頃既に、入所していた。ヒナコやシーシャやトレイルがどう思っていたかは知らない。]
うん。何だか凄いね。ほんとうにピクニックみたいだ。
[共に来ていたケイトはどんな顔をしていただろう。 彼は既に、彼の処遇を知っている。それが今日であるかまでは知らないが。確信を得ている。
いつも通りを装っているのではなく、彼はいつも通りだった。当に心は決まっていたのだろう*]
(214) 2015/06/10(Wed) 20時半頃
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ケイト。僕はサンドイッチとバナナを、キルロイに頼んだだけだよ。
[>>218に応える。追い風が少し増して肌寒さを覚えた。 彼は、弁当が広げられた場所より少し離れて、風向きを考慮して樹の枝へと、身軽に登る。
少し不健康そうに、最近は軽業をしなかったが今一度ぐらいは良いだろう。]
(220) 2015/06/10(Wed) 21時頃
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さて、と。 種も仕掛けも ご ざ い ま す♪
[おどけたような高らかな声は、手品をする時だけの彼の声。 白い布を捲れば、雪のように小さな白い紙吹雪と、七色の小さな造花が空に舞う。追い風が運び、3階ぐらいの窓ぐらいにはかすかに届いたぐらいだろうか。
一陣の風がさらっても、高い掘の上には超えられない。
彼は眩しそうに、眺める。掘の上には、ピエロの格好をした男がひとり。
見上げるほどの掘の上に、彼の視界にしか映らないピエロが立って、彼の手品の助力をするように帽子から白い鳩を出してみせた]
(221) 2015/06/10(Wed) 21時頃
|
|
[白い鳩は、遠く、遠く。
青空の向こうへと、羽ばたいていった。 力強く、雄大に。
彼の視界のしか、映っていない。
甘やかな幻想を、振り仰ぎ、思う。想う。]
(222) 2015/06/10(Wed) 21時頃
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[――喪失は、恐怖だ。 二度と会えないことの悲嘆はひとり、ひとり刻み込んで。時折ひっそりと涙を浮かべる。
――消失は、救済だ。 別れの刻には僕自身の存在が消えるか、みんな一緒に消えられれば良かったのに。
救いがない。救いようがない、この白の世界で。 僕はいつもそれだけを願っていた]
諦念に充ち満ちた僕がそれでも想い続けるよ。 (例え、閉じこめられ体の自由を奪われようとも。 心は想いは、自由だ。)
――歌を詩を好んだ明るい、ひと (ナナオ、辛い病なのに他人を労る優しくて強かった)
穏やかさの中で、情熱を秘めた、ひと (ヒナコ、自由な心を忘れない君が眩しかった)
(223) 2015/06/10(Wed) 21時頃
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[都合の良い幻なんて、僕にはいらない。 過酷な現実でいい。僕が見ていた、みんなを憶え続けるよ]
――感情《きおく》の篭もった宝石を流す、ひと (ケイト、君の心は何時だって雄弁だった)
苦痛の中でも人を労り、絵を描いていた、ひと (キルロイ、君の絵が君の心そのもののようで素敵だった)
[幻覚が現実を侵していく。 ……感触まで、現実感を伴ってきた。
喪われていく。 定義が違えど、誰もがそれを恐れている]
(224) 2015/06/10(Wed) 21時頃
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――空の青さを、喜ぶ幼い少女 (タルト。君の笑顔はみんなの宝物だった)
人生の素晴らしさを説く、少年姿の老人。 (オスカーさん、あなたの朗らかさがみんなを和ませた)
[歌を作る約束。 本を読む約束。 手紙を交わし続ける関係。 本を読み合って感想を言い合う。 絵本を描き、絵を描き、補い合う。 創作を、讃え合う。
この牢獄のような箱庭で、皆が皆、だれかを大切に想う。 僕にとっては外の世界より、ずっと綺麗で。
腐敗した場所で、挫けずに優しく強く生きる人達が誇らしかった]
(225) 2015/06/10(Wed) 21時頃
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――桃の花を好きだと言って柔らかく笑っていた人。 (ユリ。喪っていく君を見守っていたけど、君の笑顔が好きだった)
痛みを記憶として、病と戦い続ける人。 (シーシャ。君が思うよりずっと優しくて、勇敢だった)
[長閑な光景の中に何時だって僕達の中に翳りがあった。 みんなの、喜び。悲しみ。 僕が見つけたものは、すべて。大事に、大事に、していく]
――…宛名の無い手紙を綴り続ける、ひと。 (トレイル。君に伝えることは何も無い)
[僕の大事な、大事なひとたち。 みんなのことが、大好きだった]
(226) 2015/06/10(Wed) 21時頃
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[万感の想いは言葉のすべては託せない。 青空から目を反らす。目を閉じる。幻覚には囚われない。目を奪われてはならない。
高い掘の向こうには、彼らは羽ばたけない
それが、残酷な現実。
――手品の名残を終えれば、彼は登った時と同様に身軽に木から下りた*]
お粗末さまでした、と [久々に、手品を終えた彼は、そうおどけて笑ってみせた*]
(228) 2015/06/10(Wed) 21時頃
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逃亡者 メルヤは、メモを貼った。
2015/06/10(Wed) 21時頃
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ありがとう。 [心からの簡単を述べる>>233には、やや照れ臭そうにして彼はお礼を述べた。 物憂い表情の>>230には視線でだけ。
(僕の心は、もう決まっているよ)と告げた。]
[>>236にも少しだけ照れたような、彼は名残をみせた。]
ええ。ちょっと、最近触ってたら懐かしくなって。 本当に、お粗末だけどね。
[彼の基準には大いなるピエロの男が立ち塞がっている。ピエロの男は手品じゃなくて最早、常軌を逸していたが少年だったメルヤが知る由もない。]
[タルトは喜んでくれただろうか。少しだけ顔を覗かせた後に、空を仰ぐ。]
(239) 2015/06/10(Wed) 22時頃
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じゃあ、ちょっと。僕バナナ届けに行くとこあるから。 バナナと、サンドイッチいくつか貰っていくね。
じゃあね。
[彼は広げられた>>213の中で、比較的手づかみで食べられそうなものを選別して、空いていたバスケットに詰める。 タルトのこと、よろしく。 そう、オスカーに目線で告げた。
”また”とは口にせず、バナナを、届けに行くために彼は中庭を去って行った。*]
(241) 2015/06/10(Wed) 22時頃
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逃亡者 メルヤは、メモを貼った。
2015/06/10(Wed) 22時頃
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―中庭→自室― [中庭を辞した後、彼は自室へと一旦戻った。 包帯を一度解いて巻き直す。鱗の広がっている部分に、ピンセットと折り畳んだ紙ヤスリを仕込む。
病院関係者は、彼の鱗を気味悪がった。運ばれる時に包帯を巻き直すとも、思えない。 鱗ばかりが生えている背中は、彼が見ても鳥肌が立つほど気味が悪い。
ほんの一部分しか見ていなくても>>0:295「きれい」だと純粋な気持ちが伝わった、ヒナコの言葉が嬉しかった。傷付けたくなかったから、包帯をし出した、増えて気味が悪いから、包帯を厚くしたとは、伝えない。
彼の記憶にある手品よりはずっと稚拙なものを凄いと称賛をくれたキルロイの姿>>2:212も思い起こした]
(251) 2015/06/10(Wed) 22時頃
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―自室→― [[彼は、彼自身を臆病な諦観者で傍観者気取りだと揶揄している。心の底では、彼らの幸せを願うからこそ、諦観した。気づいている者は、おそらくいないと彼は思う。
ポケットに新しい包帯を入れる。 自室を辞去する際に、>>2:130>>2:131で貰ったシーシャのノートも手に持って運んだ。色々あってまだ中身を読んでいなかったからだ
転がっていた、ベニトライト>>2:279を拾って内ポケットに入れて自室を後にした*]
(252) 2015/06/10(Wed) 22時頃
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メルヤは、キルロイの絵がもう一度見たかったかもなあ、などとぼんやり思った
2015/06/10(Wed) 22時頃
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―シーシャの自室― [シーシャの自室のドアに、袋に入れたバナナを三本程。
白いメッセージカードには素っ気無く。 『これで貸し二つ返したよ』それだけを、書き置きした。
何もメッセージを残さずに置いていくことも考えたが、誰が渡したかわからないだろうと、思って彼は書き記した。]
さて、と。
[次に行く場所はひとつだけ。 気が進まない。とても気が進まないが。仕方ない。自ら蒔いてしまった種でもある。
彼が移動している姿は、渋々といった態を露わにした様子で、トレイルの自室の方へと足を向けた*]
(261) 2015/06/10(Wed) 23時半頃
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逃亡者 メルヤは、メモを貼った。
2015/06/10(Wed) 23時半頃
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―シーシャの自室前→トレイルの自室前― ……――。
[ドアの前まで来て彼は往生際が悪かった。 彼のほうから、トレイルを尋ねるのは、何時ぶりか。見掛けたら避けはしないが、歓迎しない。最早、刻み込まれた、拒否反応なのだ]
(……。明日がないといつも思ってるのに、油断するんだよね)
[コン、コン。コココココココン。と奇妙なリズムでノックする。 最終手段には、ピエロ直伝の鍵開けマジックがあったが、する気は起きなかった。]
[いないなら、いないで仕方ないと思っている。 ただ、彼は。どれひとつとして、未練を、約束を残したくなかった。 >>98昼に、だとか。>>1:294『後で』だとか。言わないように気をつけていたのに、相手が悪いとしか思えない。ペースを乱される自覚が彼にはあった。 彼の我が儘でしかないのは承知だ。トレイルの部屋の前のドアの横で、バナナが房半分ほど入った袋を持って、待ってみた。*]
(277) 2015/06/11(Thu) 00時頃
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メルヤは、シーシャは、バナナ喜んでくれるだろうか、とふと思った。
2015/06/11(Thu) 00時頃
逃亡者 メルヤは、メモを貼った。
2015/06/11(Thu) 00時頃
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[(聞こえない振りして帰ろうかな。)
一瞬そんな思考に駆られた。何だろう。尋ねたのは、彼の方なのに、凄く入りたくない。 渦巻く欲望に理性を働かせた。]
入るよ。
[>>280気怠そうな姿を見て、彼はげんなりとした。諸に。愛想もなにもない。]
うん。トレイル何してるのかな? [サンドイッチとバナナの差し入れをしながら、白と紫の部屋を見る。 ドアの前にいるのは、反発心のせいだったろう。]
(281) 2015/06/11(Thu) 00時頃
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[腑抜けた顔晒して何やってんだ。 >>286何故か。酷く、苛立つような思いがしたが飲み込んだ。 机の上。花の鉢。視線を逡巡させた。]
そう。 ……そうだね、どうなんだい?
君が、あの医者に向かうぐらいには悪いんじゃない?
[鳶色の双眸を、真っ直ぐぶつける。かすかな、彼にも気づかない苛立ちが灯っていただろう。それは、トレイルの方が看過するかもしれない。]
(288) 2015/06/11(Thu) 00時半頃
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あと。……ナナオとユリのことだけど。
[かすかに息を詰めて、サンドイッチに手を伸ばす。 誰もトレイルの分だけだとは言ってない。]
ヒナコは、ケイトが見てくれてたし大丈夫だと思う。 タルト…にも言って来た。
オスカーさんが、フォローしてくれたから、何とか…もう会えないことはわかってくれたと思う。
シーシャには言ってないけど…まあ、キルロイにも伝えてるからいずれ伝わると思う
[妙に饒舌だな、と彼はぼんやり思う。 立場が逆な気がしている。何だろう。何かが、朝から引っ掛かっていた。 さっきの青空の下にいた、爽やかな気分は霧散してしまっている。*]
(289) 2015/06/11(Thu) 00時半頃
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……そう。
[彼は知っていた。彼の願望。彼とは少し尺度が違うこと、気づいていた。]
望んでも叶うかは、知らないけど。
[>>292の諦めと、厭世を帯びた響きにサンドイッチを粗食しながら、ぽつり。 嗚呼。感情か。妙に得心した。]
[淡紫の花の鉢に、目を向ける。]
(297) 2015/06/11(Thu) 01時頃
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[ケイトの声が、ふと甦る。
――……不安定さが急速しているトレイルを 残していくのが少しだけ、少しだけ。
続く言葉が、彼にもわからず。自らに胸の内で歯噛みした。]
(298) 2015/06/11(Thu) 01時頃
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……矛盾してるよ、トレイル
”そろそろ”がいいなら、僕のことも落とす。 僕のことを落とした君を、僕は毎日”初めまして”って言うぐらいしか出来ないよ。
[諦観と退廃に身を寄せようとする。
だけど、この感覚は彼には喪失だ。 彼が一番恐れる喪失。それを望むトレイル。]
せめて…
あー、いいや、何でもないよ。 [続く言葉は、喉奥へと呑み込んだ*]
(299) 2015/06/11(Thu) 01時頃
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(背中合わせの意地っ張り。鏡の先を見つめれば、分かり合えるようで分かり合えない、彼がいるようだと、僕は思っていた。)
―裏返しの終わりと始まり―
Since brass, nor stone, nor earth, nor boundless sea, 《真鍮も、石も、大地も、無辺の海も》 But sad mortality o'ersways their power 《重々しい死の支配をまぬがれることができないとなれば》
七年前。僕は、ピエロの格好をした彼にしか懐いていなかった。 その時には既に、トレイルもシーシャもヒナコも居たのに。他の人とは関わろうとせずに、医者や看護師の前でだけ愛想笑い。 ピエロの彼にだけ。笑顔を浮かべていたと思う。
どんな風に周りが思っていたか、その頃周囲を気にしていなかった僕にはわからない。 時折、視線が合ったのはトレイルだった。辛辣な、とでも言う視線。 僕は、ピエロの彼にぶつけられている気がして庇うように前に出たりもした。
だからこそ。 ――――…最初の喪失は、空虚さを膿んだ。
(302) 2015/06/11(Thu) 01時頃
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―裏返しの終わりと始まり―
外の世界への酷薄さ。それを忘れさせてくれた、道化の格好をした男のひと。 もう会えない。もう会えない。世界が白くて見ていたくなかった。 蹲って泣いていたのを、見つけたのは他ならぬトレイルだった。 冬の寒空の下だった。 ただ、黙って僕の頭を撫でていた彼が何を想っていたかは、僕にわかる筈もない。 粉雪舞う中、喪うことの恐怖を僕が憶えた。
彼が先に僕の幻覚に勘付いたから、偶然部屋を覗いた時に見た薄紫の花に触れた。 僕の不調にすぐに勘付くから、こちらも辛辣に指摘した。
僕たちは、どこまでも相容れなくて。とても気があった。 僕たちはきっと、似ていて。似ていなかった。 僕にとっての喪失は(恐怖は)、誰かが喪われていくこと。 君にとっての喪失は(恐怖は)、自らが喪われていくことだったように思う。
今更だから。 《答え合わせ》なんてしないけれど、さ。
(303) 2015/06/11(Thu) 01時頃
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―裏返しの終わりと始まり―
それに。おそらく僕は多分。――…君の、欺瞞に気づいていたかもしれない。 面倒見の良い、おとなの振りして。気遣う振りも本当だろう。 その裏に潜んでいるのは、自己保身。
誰だって、自分のことが大事だよ。 それを隠したがるのも、君らしいんだろうけどね。 そんなこと、大人振って格好つけてる彼に、絶対に言ってやらないけれど。
(僕に、みんなに。掛けていた言葉の、半分以上は本当だろう? だったら、自分を卑下しなくていいのに、さ)
強くてしなやかで、故に脆くて弱いひと。 無遠慮に踏み込んで勝手に世話を焼く、ひと。
(304) 2015/06/11(Thu) 01時頃
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―裏返しの終わりと始まり―
偶然に積み重ねって出来た関係は まるで補う合うようだったと僕は勝手に思っていたようだ。
ほらね。トレイル。
大嫌いな君に (背中合わせの意地っ張りの僕が)
(305) 2015/06/11(Thu) 01時頃
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[――…伝えることなんて、
今更、何ひとつとしてない。ないんだよ]
(306) 2015/06/11(Thu) 01時頃
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[>>311(ろくなことを考えてないな) 何を考えているかは、わかる筈もない。当て推量でしかない。
お互いどこか似ていたような気が、彼はしていた。
”みんな 一緒に 消えてしまえば いいのに。”]
それ、君がいうの? ”らしくない”のは、君の方だろ。トレイル。
あー、本当らしくない、らしくない。
[言っている彼自身、そんな風に想ってない。本性あらわしたな、とか思っていたが口にしない。
ひどくトレイルの双眸が>>311頼りなげだった。まるで。そう。 ”おまえはいかないよな?”と、伝えているようなのは、かすかな。かすかな罪悪感だ。]
(314) 2015/06/11(Thu) 01時半頃
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……はあ゛?
あれもそれもこれも、なんて無理なことぐらいわかるだろ。 じゃあ言わないよ。
[何なら約束してもいい、と売り言葉に買い言葉で言いそうになって押し留まった さすがに勘付かれると思って、慌ててサンドイッチで口を噤む*]
(315) 2015/06/11(Thu) 01時半頃
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[>>316いつも通りの、皮肉めいたような、他の情が混ざっているような双眸だった。 ひどく安心した、メルヤ自身。 その顔がせめて見たかったのかもしれない。などと、思った。
欺瞞かもしれない。トレイルの、思慮に。]
そうだね。 …そっくりそのまま、返すよ。
[手を伸ばしてくれば、払う理由も特にない。 メルヤも鱗が増えていた。頭の皮膚にも髪に隠れて見えない部分があるけど、放って置いた。 その仕種はひどく、何故か。懐かしかった。]
坊主とかアンタとか呼ぶのやめてくれないかな? ……それ、聞くの? わ ざ わ ざ
[わざわざを、強調した。いつもの調子を、取り戻したか。そんな振りをしている。
>>316どこか、真剣さが帯びている声に、溜め息を細長く、吐いた。]
(322) 2015/06/11(Thu) 01時半頃
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――みんな一緒に、消えられたらいいのにと思っていたよ
それが、無理なら
[ふ、と。彼自身いまさらのように勘付いた。 堪えたのは、あふれ出しそうになる。
救済なんて、どこにもない。唇が、歪む。]
(323) 2015/06/11(Thu) 01時半頃
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知るもんか。それぐらい、自分で考えなよ。
…君が。 どれだけ、忘れても僕は忘れない。
忘れない、落とさない、零さない、欠けない。 幻覚にだって、何も渡さない負けない…!
君が忘れることを許されることなんて望んでなくても、僕は勝手に許して、それで。
勝手に消えていってるとこ
……見届けたかったよ。
[最後は、声が震えていた。 視界が、不鮮明だったのは何故だろう。わからない。]
(333) 2015/06/11(Thu) 02時頃
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[最後を見届けたかった、僕の自己欺瞞。 言わないけれど、絶対に言わない。彼にとって、関係性に名を付けることも躊躇われた。]
[ぽつり。知らず零れた涙が一滴。 叶わないことばかりで、現実は残酷で無情だ。
(名前、呼ばないよね。本当)]
邪魔したね。 ……ごめん。
[後は引き止める声があろうとも 振り返ることもなく、急ぎ足で自室へと*帰っていった*]
(335) 2015/06/11(Thu) 02時頃
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―深夜:自室―
[不意に彼の周囲に、病院の関係者が数人訪れた。 彼は溜め息ひとつ吐く。常と同じ愛想笑いすら浮かべて、おとなしく指示されるままに従う。 差し出されたのは、粉薬と水。毒でも入っているのかと訝しんだが、彼は気にしなかった。]
(……みんな。 僕のこと、早く忘れてね。)
[小さな、小さな呟きは誰の元にも届くことなく。 彼は出された薬を飲み、すぐに深い眠りに落ちて意識を失った。
ナナオとユリ達が居る場所へ、彼は夜の静寂に溶けるように 担がれて*連れられて行かれた*]
(336) 2015/06/11(Thu) 02時頃
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