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…… あぁ、
[吐息めいた息が、零れる。 男の視界に映るのは屍。二つの屍。そして、赤。 赤く赤い、その光景を見て、男は、まず、 安堵した]
(5) 2016/04/12(Tue) 01時半頃
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[相討ち。 それはそれ以上でも以下でもないもの、単直な事実だった。 それは男にとっては忌まわしいものではなく、 むしろ片方が勝るよりは遥かに歓迎出来るものだった。
不毛な闘争に、男は巻き込まれはしなかった。 そしてこれから巻き込まれる可能性もない。 彼らは、終わってしまったのだから。 安泰だ。これはゾンビムービーの世界ではないのだから。
それに、いがみ合っていた彼らの相討ちなんて、 きっと誰も疑いはしないだろう(実際それは事実なのだ)]
(6) 2016/04/12(Tue) 02時頃
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[男は、遠巻きのまま、 彼らを眺めて、佇んでいた。 もはや、いまさら、見回りなど、 ありえるものでもなかったのだし**]
(7) 2016/04/12(Tue) 02時半頃
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[銃声は高らかに響き渡っただろう。その音に駆け付けてきたオレンジの姿に、男はゆらと視線を向けた。露わな警戒、懐に在る片手に、男は掌を――その片方を、もう片方は下ろしたまま――向けた。は、と有音の息を漏らしてから]
……あ、あぁ、あの…… 見ての通り……見た、まま、で…… 二人……あの……
[不十分な言葉の代わり、つ、と其方を一瞥して示す。 広がる赤、二つの屍と転がった銃を**]
(19) 2016/04/12(Tue) 18時頃
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[死体らを確かめるオレンジの様を、男は黙って見つめ、 なんの言動も返す事なく、あったが、 ただ一たび、眉を、口角を、震わせた。 その刹那が、彼に見て取られたか否かは、知れない]
え……えぇ、……ええ、そうですね…… もう、なにもない、何も……
[促され歩む、足取りは緩慢に]
(27) 2016/04/12(Tue) 21時頃
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……イヌ、い……イヌです、ですか、…… それは、……ええ……
[歩みゆく、其処にレッドから問いかけられれば、ぽつりと]
……ぶ、ブラウン、ブルー……は、違う…… 違った、のでしょうね、こんな…… こんな事になったのだから、そ、それは、そう、 は……は、派手な自滅とでもいうなら、し、知りませんけれど。
違わなくても、それは…… もう、問題にはなりえない、問題ではない、ですけれど。 死んでしまったなら、もう……
[それから、一息置き]
(37) 2016/04/12(Tue) 22時半頃
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……しょ、……わかってはいません、正直…… でも、逆に、それ……言うならば、あるいは、……
れ、レッドなんかは、イヌなら、あからさま過ぎて…… 好戦的、過ぎて、 い、イヌだったら、馬鹿……賢くは、ないと、思う…… 思います、けれど、
[重ねた、直後、新たな銃声。 黙り、あらぬ窓外を見た]
(38) 2016/04/12(Tue) 23時頃
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[戻ってくれば、見えるはヨアヒムに銃口を向けるグリーンの姿。事情の説明はオレンジに任せて、男はその先の窓を見やっていた。行き交う、二つの人影。ここからはよくは見えないが]
……、 み、みんなで、死のうとでも…… 死ぬ、とでも……言うくらいな…… やりよう、です、でして……
ですね、……
[グリーンの声に反応して零すは、現状について、 四白眼は、窓を離れ、オレンジを横切り、 彼を、グリーンを、見据える]
(50) 2016/04/13(Wed) 00時頃
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……そ、……そう……そうですね…… そうです、確かにその通りです、死に損なった…… 幸運に、さいわい……さいわいに、 あ……ぁあ、貴方がた、も、……
[グリーンの言葉に、見やるのは二つの屍の方向と、二つの人影の窓外と。どちらも僅かで、すぐ向き直り。 沈黙、 問いかけには、二度目、沈黙]
……
……、貴方は……ど、どう、どうなんですか……? Mr.グリーン、
[まず返したのは、あるいは愚答の代表であり、 あるいは惑わしの常套である、 問いをそのままに戻す言葉]
(55) 2016/04/13(Wed) 01時頃
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[グリーンの返答するのを黙って見つめる、男の右手はシャツの胸元をネクタイごとぐしゃりと掴み、左手は下ろされたまま――オレンジが訪れた時と同じように――上衣の裾、「それ」がある腰の付近にあって]
……私、は…… わ、私は、殺しません、よ。 殺さない……殺せるわけがない、です。殺さない…… そ……そんなの、そんな、のは……慎重でないから……
[改めて答える声は、およそ常のよう、掠れ、震え]
……い、意味が、なければ。 メリットが……ないなら、そんな事…… ない、です……ないのなら……
[足された語調も、同様に]
(60) 2016/04/13(Wed) 02時頃
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[新たに聞こえる銃声は、 何色が何色に向けるものか、 その色彩は此処からは到底見えない]
…… 貴方、は、 あ、貴方……も……い、いえ、あの、
わ、たしが、その……殺さない側……なら…… 貴方も……そうして、殺…… 殺さないで、いよう……と?
[男の瞳は、揺れる。揺れて、揺らいで、 だが外れず、グリーンの顔を、それ以上に手元を、捉え続ける。握られた銃、その様子と比例させるように、骨めいた指を微か蠢かせて]
(63) 2016/04/13(Wed) 03時半頃
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あな、あなた……の、意味が…… お、同じなら、いいのですけれど。 同じ……意味が、無意味が、同じなら…… 無論、いいのですけれど、……そ、そう、でしょうか。
そ……そうなら、それは……いいのですけれど…… そう、ですか? そ、そうですか、ね。
[瞳に重ねて、窺う言葉。 薄い瞼を、ぴくり、痙攣させつつ、 一歩、後退る**]
(64) 2016/04/13(Wed) 03時半頃
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[ それなら、 そう零されたグリーンの声を聞いた、瞬間。 ぞわりと、冷たい、なまぬるさが、 「冷たい生温さ」が、首筋を撫でた]
っ、――!
[反射的に左手を――男は本来左利きの、今は両利きであり、けれども「主要」にはやはり左手を使う人間である――動かし、それを、銃を、取り出しては、構えて、同時に引き金を引いた。 影の中、刹那逆光になった相手、当たりはしたか、少なくとも致命傷にはなり得なかっただろう、 影の中、刹那逆光になった相手、その弾は男の右脇腹を、貫きはせずも、抉るように通り過ぎて]
ぐっ、 あ、 ……っひ、
[漏れる吐息、呻き、揺らぐ痩躯。 からりと、瓶詰めの錠剤が、音を立てた]
(72) 2016/04/13(Wed) 22時半頃
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……っは、…はぁ……
[荒い息が漏れる。動悸がする。冷えた汗が流れる。 常用の精神安定剤を余程飲みたいと思ったけれど、 それは転がり落ちてしまって、残った胃薬では気休めに過ぎる]
……っわ、わたし、は、
[薬瓶が割れる。硝子が砕ける。 どこかきらびやかな、しゃらしゃらとした音]
い、意味が……あ、あぁ、あるなら、 あ……メリット、が、あ……ある、あるなら、 あぁ、……
[揺れる、揺れて、溶け消えそうな声。 抉るに収まった一撃はけれどもけして些少でもなく、 血管を破り滲み広がる赤、元より白い掌でそれを押さえた。 銃口は、下ろさないまま]
(80) 2016/04/13(Wed) 23時頃
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[殺しというのは、それを専門にする者でもなければ、 大概は、ハイリスクローリターンなものだ。 それは必ずしも避けるべきものではなく、 けれども、叶う限りは、避けるべきものである。
それが男の認識だった。
だから、この計画が破綻した後も。 ヨアヒムが呪詛を吐いて死んでも、 男は進んで他を殺そうなんて思っていなかったのだ。
損失よりそれを追っての更なる、 致命的な、損失こそ、 終わりこそ、恐るるべきだと、わかっていたから。
だから、男の理由は、殺されるなら、それであり、 男のメリットは、生き延びられるなら、それだった]
(83) 2016/04/13(Wed) 23時半頃
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[二発目、放った銃弾は、 グリーンに当たっただろうか、 今度こそは、外れただろうか。
少なくとも、三発目は、続かなかった]
っあ、 あぁ、 ああぁあぁ、
[強かなようなか細いような悲鳴めくものが、口から漏れる。 グリーンではない、オレンジによって放たれた一発。 それは男の薄い手を貫き、その銃を床に落下させて]
……ふっ、……ふざ…… ふざけるな、ど……どいつもっ、こいつも…… あぁあ、
く、あぁ、
あああああ、ああああぁ、 私は、私は、私は、私は、私は、
(88) 2016/04/13(Wed) 23時半頃
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[引き攣れる。 表情も、声色も、言葉も。 男は蒼白で、震えて、焦点も合わず、
それこそ、犯罪者の巣窟よりは、 狂人の巣窟、 精神病院でも似合うような、有り様でいて]
っぐ、……うぅ、……う……
[左手に空いた穴の付近を、噛み締める。 そうして右手がふわりと揺らぎ、 もう一丁の銃を取り出し、引き金を引く、 それが何処かに当たったか、当たったなら何処かは、知れない]
(89) 2016/04/13(Wed) 23時半頃
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