299 さよならバイバイ、じゃあ明日。
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[ばさり。 粉屋の軒先で雨宿りをしていた狐は、降りてくる羽撃きの音>>10を聞いて鼻面を上に向けた。 白い大鷲の姿がそこにある。 その口から伝えられた粉屋の死に、あっさりとした答えを返して。]
ええ、昨日お譲り頂いたカラフルでございます。 きっと普段の紅に混ぜれば、虹の輝きを併せ持つ極上の紅ができると思ったのですが。 ソランジュがいないのならば仕方ありませんね、自分で調合するとしましょう。
[狐の家にもすり鉢や乳棒はあるから、粉屋に頼まずとも塊を粉にして、他の粉に混ぜることはできる。 それでもここに来たのは、それが狐にとって特別な化粧となるからだ。]
(+0) 2019/10/12(Sat) 07時半頃
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[たった一度だけ、死出の旅路を彩る紅。 狐は自分の死期が近いことをわかっていた。
八度目の死。 それは今まで繰り返してきた死とは意味合いがまるで違う。 いくつもの生と死と世界を越えて、大願が成就する時。 鮮やかに染めた着物も、虹色に輝く紅も。 待ち望んだその瞬間を迎えるための死に装束だ。
故にこそ、調合と目利きの腕を信頼している粉屋に頼みたい。 それだけと言えばそれだけのことだった。]
(+1) 2019/10/12(Sat) 07時半頃
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[そんな内心をおくびにも出さず。 狐は大鷲の"嫌なものだ。">>14という感想を神妙な顔で聞いた。]
慣れ、そうかもしれません。
[狐は元より、他者の死を悲しむ質ではなかった。 死ぬ度に別の世界に渡り、幾度も生まれ変わってゆく途中、自分以外の多くの死もまた見ることとなった。看取ったことも、凄惨な死に立ち会ったこともある。それこそ数え切れないほどに。 そのひとつひとつを悲しむという情緒は、生まれついての妖である狐にはない。大願に辿り着く通過点のひとつに過ぎない、通り過ぎてゆく者達だから――ということでもなく。狐は元々そういう性質のものだ。 ただ、悼むということは覚えたし、少しの寂しさを感じることはある。粉屋の死に関しては、この狐にしてはかなり"悲しんでいる"方ではあった。]
(+2) 2019/10/12(Sat) 08時頃
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慣れるということは、守ることでもあります。 この街では毎日のことですから、都度嘆き悲しんでいては身が保ちません。
[狐は別に都度嘆き悲しみなどしないので、これはきっとそうなのであろうというただの憶測だ。 狐はもっともらしく推測を語る。 それは、この街に溶け込むため。 この街で無事、八度目の死を迎えるため。]
(+3) 2019/10/12(Sat) 08時頃
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故に、太陽の子。 慣れることを嫌だと思う貴方様は、やはりお強い方でございます。
[そう言って狐は目を細めた。 大鷲が飛び去るのが先か、狐が家路につくのが先か。話が続くならもう暫く。 狐は、妖にも人にも少しずつ似ている、この街の住人と話すのが好きだった。**]
(+4) 2019/10/12(Sat) 08時頃
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イナリは、話題が重たくとも大鷲を持ち上げることは忘れない。
2019/10/12(Sat) 08時頃
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