182 【身内】白粉花の村
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――折角ですし、噂に信憑性でも出してやりましょうか。ねぇ?
["丁度鍵もかかっていませんし"、と。 不自然な程に穏やかな笑みと共に告げたその言葉の意味を、彼はどう取っただろう。 何時ものように、クスリと笑う事もせずに。相手の身体を押さえ付けたまま、片手で髪を梳きながら顔を近付けてやれば――彼は、どうしただろう]
(+15) 2014/07/03(Thu) 14時頃
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[――カリ。 近付けた唇を開き、腰に当てられた手などものともせずに。肩を押さえ付けたまま相手の唇へと歯を立てる。 小さく裂けて滲んだ血を軽く吸い顔を離すと、自らの唇に付着した血液は舌で舐め取りながら。 尚も悪態を吐くその様>>+18を嘲るかのように微笑み、少し身体を起こして相手の顔を見下ろした]
俺が困る? ……何故。
[困るだろうと彼に問われ、今度こそ蔑みの色を露わにする。 まったく、一体何を期待していると言うのだろうか。まさか自分が、そう言われてここでみすみす引くとでも思っているのだろうか、と。 呆れたような溜息を吐き、嘲笑じみた嗤いをひとつ、零す]
(+19) 2014/07/03(Thu) 17時半頃
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――あぁ、もしかして。 俺の立場でも心配してくれているんですか? そんなもの、意外と何とでもなるものですよ。
[そう告げてやれば、果たして彼はどう思うだろう。 口端を上げて見下ろしながら、"それとも被害届でも出しますか"、なんて煽ってやれば…彼は狼狽えでもしただろうか、と]
……明日から楽しみですね。
[もしも誰かに聞かれたら、笑顔で肯定してやろうか、と。 そんな事を考えながら、顔へと添えた手の指の腹で傷を掠めるように擽ってやる。 そのまま喉仏へと滑らせる。出張ったそこを軽く押し、ピタリと閉じたシャツのボタンへと指をかけながら。
――さて。此方も此方で楽しみましょうか]
(+20) 2014/07/03(Thu) 17時半頃
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――――
[細く、深く息を吐く。 吐き出された煙は、薄暗くなってきた部屋に広がり、やがて霧散していく。ベッドサイドへと腰掛けて足を組み、傍らの机にある葡萄の実をひとつ、摘み。
――そう言えば、結局あれから林檎を一欠片しか食べませんでしたね。
その事実と空腹に気付いたのは、その実を口へと含んでからだった。視線を向けた先の皿にある林檎は既に黒ずんでおり、流石にそれを食べる気にはなれなかったけれど]
…お腹、空きましたねぇ。
[それに喉も乾きました、と。 空腹の為に気怠さを増してきた肩を落としながら、ポツリと呟く。 そろそろ煙草で誤魔化すのも限界だ。いい加減、何かを胃袋に入れなければ。 部屋の主に特に断りも無く吸った煙草を、懐から取り出した携帯灰皿へと押し込めながら口を開く]
何か食べますか。
[チラリ、と背後を振り返り。そこに居る筈の部屋主に、医者は何とも呑気な声で問うてみた]
(+21) 2014/07/03(Thu) 17時半頃
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そうですか。
[扉へと向けられた手につまらなさそうに肩を竦め、机の葡萄をもう一粒。 柔らかなその実を喉へと通しながら、震えるその手とその声に、底知れぬ充足感が胸に広がる。 決して此方には向けられないその顔に浮かんでいるであろう表情を思い浮かべながら、漸く何時ものようにクスリと笑みを零した]
それはまた随分ですね、結構いい物を買って来たんですよ。 …林檎はもう駄目でしょうけど。
[哀願めいた声>>+24に、まさか同情心など煽られるわけも無く。立ち上がると、そのままだったナイフを軽く拭いてしまい、黒ずんだ林檎を紙皿ごとゴミ箱へと放る。
――それにしても。 "こう"までされて、まだ自分に返答を返すのか、と。何とも律儀で素直な彼に、少なからず感心を覚えながら、盛り上がったシーツに視線を向けた。 嗚呼、きっと彼は今、死を願う程に絶望しているに違いない。そしてそれでも死ぬ勇気すら持てぬ自分に…嫌悪でもしているのだろうか]
(+25) 2014/07/03(Thu) 20時頃
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…何時になったら、"同じ目に"合わせてくれるんでしょうね。
[シーツに潜る彼に顔を近付け、態とらしく呟いてやりながら。いつぞや、彼に言われた恨み言を思い出させるかのように。 そうしてそっと身体をなぞるようにシーツ越しに触れてやれば、彼はどんな反応を返しただろうか]
(+26) 2014/07/03(Thu) 20時頃
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[触れた手から伝わる小刻みな呼吸>>+27。短く浅い息を吐き、何かに耐えるように小さく震えるその身体に、まるで子供をあやすように触れながら。 嗚呼、何と惨めで傷ましい事か。屈辱に震え、恐怖に怯え、嫌悪に嘔吐きながらも、尚。この手を振り払う事すらも出来ないだなんて]
何が嫌なんですか。 あんなに焦がれていた物を手に入れて、命の危険も取り払われたのに。
[いつか聞いたものと同じ言葉。 己のの行く先に絶望し、か細く吐かれたあの言葉と同じ言葉を、あの時とはまた違う心境で吐くと言うのか。 その顔はもう、動くではないか。 その命はもう、病に侵されてはいないではないか。 ならば何故、その言葉を吐くと言うのだろう]
……………、
[ピクリ、と。呆然と吐かれた続く一言>>+28に、触れる手が止まる。 ――そして目を見開き、嗤う。あれ程までに焦がれていた物を、自ら拒絶するだなんて。
そうして呟かれた声に微かな嗚咽の響きを見れば、深く被られたシーツを剥ぎ取りその顔を掴み取る。 身体を乗り出し手に力を込め、余程の抵抗が無い限りは汗と涙で濡れて歪むその顔を、無理やり此方に向けただろう]
(+30) 2014/07/03(Thu) 22時頃
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…なら、今度こそ。 その皮を剥いであげましょうか。
[僅かに高揚したような呟きは、彼にどう届いただろうか。 すぐにまた"――冗談ですよ"と呟いたとしても、彼にその言葉が届いたかどうか。
――医者は気付いているのだろうか。 自分が今、恍惚としてそれでいて――まるで慈しむように、その泣き顔を見下ろしていることを]
(+31) 2014/07/03(Thu) 22時頃
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[己の喉を抑える様>>+32に、ボロボロと零れる涙に。そしてそれが指の間を伝う感触にす、と目を細め。 嫌だ、触るなと力無く繰り返す彼はまるで、追い詰められた鼠のようではないか。 此方の行動一つ一つに翻弄されるその様は、実に愉快で堪らない]
…痛いのは嫌いですか。
[袖へと添えられた手を取ると、するりと触れた後にシーツへと落とし。ついに泣きじゃくり出した彼を見下ろし、小さく笑う]
(+34) 2014/07/03(Thu) 23時半頃
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[――最初は、ただの興味だった。 己を見せる事を嫌う自分と、己を見せる事の出来ない病を嫌悪する彼と。 この仮初めの不完全な笑顔を羨む彼は、それは何とも惨めで滑稽で、そして何よりも自分の優越感を煽ってくれたから。
彼の退院を知った時。胸に渦巻いたのは紛れもない"嫉妬"。 自分へと漏らした、か細いあの絶望の声はどれほど甘美に自分の心を擽っただろうか。 それなのに彼はその絶望を無きものにしようと、胸に希望を抱いているだなんて。
存外素直な彼の事だ、きっとその冷たく氷った顔が溶ければ、躊躇いも無く己の内を晒すのだろう――晒してしまうのだろう。 それが、その素直さが。歪んだ自分には何とも妬ましく、そして許し難かった。 素直に内面を吐露したとしても、きっと何も失わないであろう彼に――そう、羨望に似た思いを抱いていた事は、終ぞ認める事は無かったけれど]
(+35) 2014/07/03(Thu) 23時半頃
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[しかし、まさか。先程まで見下していた相手を妬むだなんて。そんな事を、自分のプライドは許さない。 ――ならば、いっそ。 彼が苦難の末にようやく得た、その希望を塗り潰してやれば良いと。笑みを浮かべる度に、自分に与えられた恐怖と痛みを思い出させてやれば良いと。 そうして彼が自ら切り裂いた傷を、この手で更に深く抉ってやったと言うのに。
思い出せば良い。笑う度に、泣く度に。焦がれてやまなかったその表情を浮かべる度に。 恐怖で、痛みで、絶望で。 この自分に縛られてその生を終えれば良い。
――縛られているのはむしろ自分の方なのだと、最後までそれに気付く事はなく]
…………、
["泣かないでくださいよ"、なんて。 そんな優しい言葉を、精々態とらしく、さも心配しているかのように、かけてやるべきなのかもしれないけれど。 尚も震えるその頭を、不気味なくらいに優しい手つきで抱き寄せて。あやすように髪を梳いてやれば、彼は一体どんな反応を返しただろうか。 ――しかし、その口から出た言葉は]
(+36) 2014/07/03(Thu) 23時半頃
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………もっと泣けばいい。
[ポツリ。零した言葉は、果たして彼へと届いただろうか。過去に一度だけ零したものと同じ"本音"を、彼は一体どう受け取っただろう。
そうして今宵もまた、その傷へと手を伸ばすのだろうか。癒えかけたのならば、また抉ってやろう、決して忘れる事のないように。 お気に入りの玩具に傷を付け、自分のものだと誇示するような。そんな子供じみた事をしている自覚すらも持たずに。
その瞳にこの姿を写しているその間だけは。その間だけは、ざわつくこの胸の内が何とも穏やかなものになってくれるから。 ――例えその瞳が、恐怖に怯え、嫌悪に染まり、昏く冷たく青ざめていようとも]
(+37) 2014/07/03(Thu) 23時半頃
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[向けられる眼差しに、僅かに不服そうにピクリと眉を持ち上げる。 ――嗚呼、その瞳は気に食わない。そんな虚ろで濁った瞳は…感情の無い瞳は気に食わない。 恐怖も嫌悪も滲まないそんな瞳なんて。きちんと映してくれなければ――"意味がない"のに]
…どうしました、大丈夫ですか。
[微かな苛立ちのままに、抉った傷へと触れてやれば堪らず嘔吐くその様に、ようやく嗤う。 それでも言葉に載せるのは、さも心配しているような一言――"あぁ、満たされますね"なんて、心の中では思っているけども。 押し退ける手をそっと払いながら、まるで介抱でもするように背中をさすってやれば、その体は果たして震えてくらいはくれただろうか。
ひとしきり吐き終えた彼を見つめ、微かに嘔吐物の散った白衣を脱ぐ。 見るな、見るなと呟きながら顔を覆い、嗚咽を漏らす彼>>+44の前に広がる、ツンとした臭いを放つそれ。 そこへ脱いだ白衣をパサリと被せて立ち上がり、彼の涙で濡れた頬へと手を伸ばしながら]
口を濯ぎましょう。立てますか?
[告げる声は優しく、穏やかに。そしてたっぷりの憂慮の色を乗せて。 絶望に咽ぶその顔へと触れる手には、一欠片の悪意すらも乗せぬままに]
(+47) 2014/07/04(Fri) 02時半頃
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["こんな筈じゃなかった" 小さく聞こえたその声に強まる笑みには、彼はきっと気付かなかったに違いない。 微かに昂る感情に小さく息を吐きながら、医者は顔を覆う彼のを取り、両手でもってその涙で汚れた顔へと触れただろう――彼に振り払う事が出来なければ]
――あぁ、でもやっぱりこっちの方がいいですね。 笑顔よりもずっと、こっちの方が。
[まっすぐに相手の瞳を見つめながら、さも嬉しそうな声でそう言ってやる。 笑顔よりも、泣き顔の方が。きっと感情が分かりやすいと、そう告げた言葉を裏付けるような――甘美な泣き顔。 そうして触れる事が叶っていてもいなくとも、医者はそっと、その頭を抱き寄せただろう。彼はそれを、拒絶したかもしれないけれど。
自分に縛られ、支配され。恐怖と絶望を植え付けられても尚、逃げる事も許されず。 只々、一人咽ぶだけの存在に、底知れぬ愛おしさすらも感じながら。 ――自分のこの歪みに歪んだ愛憎の念は、彼には到底理解出来ないものなのだと。そんな事は――とうに知っている]
(+48) 2014/07/04(Fri) 02時半頃
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良く泣きますねぇ。 …何か、解らない事でも?
[抱き竦めた中、ポツリと呟かれた言葉にそう問い返し。ほんの小さな力で押し返して来るその腕は、少々邪魔臭くはあったけれど。 しかし、何と白々しい。我ながらそう思いながらも、失笑は胸の内だけに。彼からすれば、むしろ解る事の方がきっと少ないのだろうか。
解らなくとも構わない。 理解される必要など何処にも無い。 "君はただ、そうやって素直に足掻いていればいいんですよ"、なんて。 ――それで十分、自分の心は満たされるから。
そんな自分勝手な思いを胸に、抱いたその背をその髪を、宥めあやすように撫でてやれば。心も身体も抉りに抉られ、弱って力の無くなっている哀れな彼は、一体どうしただろうか。 ここまで何もかもを壊した何もを壊した中でのそれがきっと、余計に彼の不安や不信を煽る事など…容易に想像出来るけれども]
(+52) 2014/07/04(Fri) 11時頃
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…また開きましたね、手の傷。
[包帯の巻かれた手を取り、そこに薄っすらと血が滲んでいるのを見るなり嘆息混じりにそう呟く。 "誰のせいか"なんて、そんな"意味の無い"事をこの医者が考えるわけもなく。ただ包帯の上からそっと傷をなぞり、"もう少し気を付けてくれないと、治るものも治りませんよ"なんて嫌味としか取れぬような言葉と共に、もうひとつだけ溜息を]
少し待っていてください、物を持って来ますから。
……ちゃんと、待っていて下さいね。
[顔を近付け囁くように呟かれた声には、"逃げようなんて馬鹿な事は考えないように"なんて言葉を言外に込めながら。 最後にもう一度だけ、涙を拭う為に伸ばした手は、果たして受け入れられただろうか――相も変わらず、その顔には愉悦の笑みは浮かんでいたけれども。
そうして立ち上がると、おもむろに部屋の出口へと向かう。 扉を開けたところで鉢合わせた、"噂"を聞いてやってきた看護師は適当に追い返しておき、そのまま部屋の外へと出て行った]
(+53) 2014/07/04(Fri) 11時頃
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[カラカラ、カラカラ。小さな音を立てて転がる回診車を引きながら、あの病室へと戻る。 さて、果たして彼はちゃんと"待って"いてくれているだろうか]
(…まぁ、あの状態で逃げられるとも思いませんけど)
[浮かんだ懸念に微かに笑いながら、扉に手を掛ける。程なくして、音と共に病室の扉が開いたであろう]
(+54) 2014/07/04(Fri) 11時頃
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[カチャリ。小さな音を立てて扉を開き、まず真っ先にした事は――空っぽのベッドを見て、怪訝そうに眉を寄せる事だった。 寄せた眉は、次第に深いものへ。柔らかかった表情も、徐々に不機嫌そうなものへと]
…ディーン?
[怪訝そうに名を呼びながら、部屋の扉を閉める。脱いだ白衣も汚れたシーツもそのままに、ただ姿だけが無い。
ひとつ、頭に浮かぶ顔があった。へらりと笑い、掴み所の無い振舞いをする――先程見事に邪魔をしてくれた、あの青年の顔。 退院して真っ先にここに来るくらいだ、そこそこに仲が良いのだろう。それについては、特に何の感想も無いのだけれど。
――正直な所、猫耳の青年の事など"どうでもいい"。別に彼自身を気に入っていない訳ではないけれど、それでも自分にとっては取るに足る存在でないのは確かで。 自分がディーンの心を最も蝕んでいる自信くらいは優にあったから――他の、追随を許さないくらいには。 例えそれが、暗くドロリと粘ついている、忌むべきものだったとしても]
(+59) 2014/07/04(Fri) 14時半頃
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[嬲られ惨めな姿のまま、誰かに助けを求める事などありはしないと。そう思っていたのだけれど。 ――もしも、あの猫耳の青年が彼にとってそこまでの信頼を――その姿を見せれる程の信頼を寄せられているのだとしたら。 それは少々、"面白く無い"。
一歩、足を踏み入れながら。首を回して部屋の中を見回してみる――まさか本当に、あの状態で逃げたわけでもあるまいと]
――あぁ。 そこに居たんですか。
[タオルで顔を覆い、壁に背を預ける彼の姿>>+57を見つけると、寄せた眉をようやく解いて、また表情を和らげる。内の心を隠すように、ただ"良い"ものだけが見えるように――そんなものに、今更意味など無いのだろうけれど。近くに引いた車をそのままに、首を傾げて彼の前へとしゃがみ込むと、精々心配そうな視線を彼へと向ける]
(+60) 2014/07/04(Fri) 14時半頃
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どうしました、気分でも優れませんか。
[そんなもの、優れているわけが無いだろうに。 それでも口からそんな言葉を吐いてみせるのは、癖か何かだろうか――"医者"としての、自分の。 最早遠慮する素振りすら見せずに、蹲る頭へと触れながら幼子にするようにその頭を撫でようとすれば、その手は振り払われでもしただろうか。 外も内も散々痛めつけてやったその後には、何とも気分が穏やかになってくれていた――どうやら自分は今、すこぶる機嫌がよろしいようで]
痛むでしょう、傷。包帯を変えましょうか。 …痛いのは、嫌いなんでしょう。
[手を差し伸べ、立ち上がるように促してみるも、彼は果たしてそれに従うだろうか。 従うのならば、医者は彼を椅子に座らせただろうし、従わなかったとしても、肩を竦めて仕方無しに床の上で――医者としてどうかとも思うけれど――手当を始めようとするだろう]
……どうして、"君の泣き顔"が見たいか。 教えてあげましょうか。
[浮かべた笑みの中で漏れた、そんな小さな呟きと共に]
(+61) 2014/07/04(Fri) 14時半頃
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[払われた手>>+63に肩を竦め、これ見よがしに溜息を一つ。 薄ら笑みと共に吐かれた拒絶の言葉には、やはり嗤いはしたけれど――嗚呼、本当に。その素直さは何処から来るのだろう。 自分を偽り、媚びへつらう事の一つでも覚えていれば、もしかしたらこうも酷い事にもならなかったかもしれないのに。
先には振り払っておきながら、今度は取られた手>>+64には僅かに目を瞬かせる。 手のひらを震わせながらも取られたその手が、彼の虚栄を表しているとは気付く事も無かったけれど。
包帯を取り、傷を見て処置をすすめながら、聞こえてきた曖昧な一言に一瞬だけ彼の顔へと視線を向ける]
(+65) 2014/07/04(Fri) 17時頃
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泣き顔は、笑顔よりも"作りにくい"ですから。 内を晒させるには、うってつけです。
[傷へと包帯を巻きながら、視線は手へと戻し、ポツリ。 此方が触れるその度に、目に見えて強張るその身体に苦笑を零しはしたけれど。 その顔に――恐らく無理に浮かべているのであろうその無表情は、何処か以前の彼を思い出させて。それが何とも可笑しくて小さく吹き出せば、彼は気分を害したかもしれない。
顔を上げ、彼の視線が未だ机のナイフへと向かっていたとしても、特に何も咎める事もせず]
――見たかったんですよ。 表情が無くてもあれ程"分かり易い"君が、泣けばどれだけその内面を晒すかを。
[本音と、嘘と。細切れにしたそれらを、流す言葉に混ぜながら。 常のように笑うでもなく、ただ曖昧な笑みをその顔に浮かべ、何処かぼんやりとした口調で呟いていく]
………痛い思いを、させましたね。
[彼の顎の傷に視線を移して零した最後の一言は、故意に何の感情も込めずに。恐らく気付かれない程度に目を伏せて、ただ淡々と、言葉だけを彼へと送る]
(+66) 2014/07/04(Fri) 17時頃
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…美徳ですよ。君のその――愚かなまでの素直さは。
[吐いた言葉はまるで揶揄るように、しかし紡ぐ声は――まるで微かに羨むように。 呆れたような溜息と共に、いつもと"逆"に作られたその言葉を残し、包帯を巻き終えた手を眺める。そうして小さく肩を竦め、"終わりましたよ"と一言告げて]
……吸っても?
[邪魔な回診車を脇へと追いやり、椅子の背にもたれながら煙草の箱を掲げて見せる。 彼が許せど許さねど、医者は結局は吸うだろうけども。 掲げた箱を相手に向けて、"君もどうです"なんて勧めてみれば――彼は、どうしただろうか]
(+67) 2014/07/04(Fri) 17時頃
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[言葉を落としていくたびに、彼から伝わってくる苛立ち>>+70。それを感じれば、思わず漏れそうになる苦笑を堪えて。 嗚呼、そうだろう。そうだろう。君には到底、理解出来ないに違いない。 手前勝手な我儘で、傷付け、嬲り、振り回している自覚は大いにあるとも]
(…それでも。俺を追い出す事すら出来ない癖に)
[ここまで痛めつけられて尚、大人しく手当を受けている青年の事を嗤いながら。 褒められているとは思えないと言われれば、"褒めてますよ、心から"なんて平然と言ってのけてやる。 ――褒めている事自体は、事実そこそこに嘘では無かったのだけれども]
止めるわけ無いでしょう。
[小馬鹿にしたように笑って見せた言葉>>+71には、肩を竦めて言い返しながら。しかしそれでも相手が箱から一本取れば、少し驚いたように目を瞬かせる。 マッチで火を付ける様を――そもそもマッチを持っている事に驚きながら――半ば呆然と見つめながら、咳き込み始めれば思わず失笑を漏らした]
(+75) 2014/07/04(Fri) 21時頃
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おや、煙草は嫌いですか。
[取り出そうとした手を止めて、突き付けられた煙草を肩を震わせて受け取り、そのまま口へと含む。微かに俯き、ゆっくり、少しずつ肺へと送り込みながら]
(……少し、喋りすぎましたかねぇ)
[吐き出した煙を見つめ、ぼんやりとそんな事を思う。そう言えばいつぞやも確か、同じ事を思っただろうか。 ――どうにも喋りすぎてしまいますね、なんて。常ならば、こんなに自分の事を話す事などしないと言うのに。 しかしその理由など、考えるだけ"意味が無い"と捨て置いておく。いつにも増して饒舌なのは、余程機嫌が良いのだろうか、と適当な結論だけはつけておいたけれど]
(………、まぁ、いいか)
[どうせ、嘘を混ぜてしか無いのだし。彼にこの、歪んだ心の内を晒す気など、更々無いのだから。
深く息を、肺に溜まった煙を吐き出しながら。顔を上げてチラリと彼の顔を見て、手にした火の付いたままの煙草を向けてやれば、彼はまた怯えてくれるだろうか。 ――そうして、そのままその頬へと触れれば。顔を近付けて掠めるように、唇に触れてやれば。 煙草の匂いと共に掠めた、きっと不意打ちになるであろう口付けは――果たして成功しただろうか]
(+76) 2014/07/04(Fri) 21時頃
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(……噛みつかれるくらいの覚悟はしていたんですけどね)
[ポツリと胸の内にそう零しながら、聞こえてきた間抜けな声に目を細める。 そうは言うものの、噛みつかれでもしてきた日にはそれ相応の報復はしてやるつもりだったのも確かだが。
小さく息を吐きながら、火を向けた時の顰められた顔を思い返せば、どうにも愉楽を感じざるを得ない。 火の燻るその煙草を、自分の顔に、或いは傷にでも押し付けられると思ったのだろう。 ――まさか、まさか。痛い思いをさせるつもりはありせんよ――"今は"。
触れた時間はほんの僅かな間だけれど。押されて僅かに離れた距離に、クスリと笑い。 押し返してきた手>>+78を掴み、カタン。小さな音を立てて立ち上がり、身を屈めてもう少しだけ深く唇を押し付けてみようと顔を寄せれば、彼はまた更に抵抗しただろうか]
――喉。痛みますか。
[顔を離し、先程から幾度か喉を抑えている彼にわざとがましくそう尋ねる。 心当たりなんて、それこそあり過ぎる程にはあったけれども。それでも素知らぬフリをして、不思議そうに首など傾げてみせながら。 ――きっと、この一言がまた、彼の不信と苛立ちを煽る事を期待して]
(+79) 2014/07/05(Sat) 00時頃
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[手にした煙草はそのままに、寸刻その髪へと髪を指を絡ませようと手を伸ばす。揺蕩う煙がその髪を撫でるのを、彼は嫌がりでもするだろうか。
そのまま距離を取ると、棚からコップを取り出し水差しから水を注ぐ。先程酷く吐いていたし、そろそろ水でも飲めるだろうかと。 小さな音を立て、彼の目の前にコップを置いて、チラリ。持ってきた果物の籠へと視線を寄越す]
食べませんか。腹が減って。 ……君が食べないと食べにくいんですよ、これ。
["一応見舞いの品ですし"、なんて不服そうな溜息と共に、何とも自分勝手な要求を押し付ける。そろそろ麻痺してきた空腹に、げんなりとした顔を浮かべながら。 食堂に行こうにも、この空腹では持ちそうにない――いい加減、動くのも億劫だ。 たかだか葡萄を二粒食べた程度では、それが癒されるわけもなく。
椅子に腰掛け机に肘をつき、そして見舞いの果物達を軽く指で指しながら。来訪者にしては酷く尊大な態度で、部屋主の顔を見つめた]
(+80) 2014/07/05(Sat) 00時頃
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……"あんな事"? さぁ、"どんな事"ですか。
[馬鹿にしたような一言>>+86に、目を瞬かせてとぼけてみせる。その後くしゃりと歪んだ顔には、思わず苦笑を漏らしはしたけれど。 ――折角、口にしないでいてあげたんですけどね。 殆ど空気を震わせずに呟いたその言葉は、果たして彼には届いただろうか。届いても届かなくとも、医者は小さく肩を震わせて笑っただろうが]
あんまり邪険にされると傷付きますよ。 …"さっき"はあんなに素直だったんですけどねぇ。
[懐の携帯灰皿に灰を落とし、短くなってきた煙草をまた口へと咥え、近くのタオルで手を拭い。態々言葉を強調するように揶揄ってやる。素直もなにも、力で無理矢理ねじ伏せて、有無を言わせずそうさせていたのは――他ならぬ自分なのだけれど。
チラリ、と愉しむように相手の顔へと視線を向けて、おもむろに傍らの籠の中に入った桃を掴む。 置いたナイフで皮を剥きながら――彼はまた、怯えるかもしれないけれど、そんな事は気にもしない風に溜息をひとつ]
(+88) 2014/07/05(Sat) 02時半頃
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(…我ながら、酷い執着ですね)
[胸中の呟きと共に、微かに自嘲じみた笑みを浮かべ、ペロリ。先に触れた味を――その時の彼の顔を思い返すかのように唇を舐める。震える身体>>+85に浅い呼吸に。嗚呼さぞかし自分は憎まれているのだろう、忌まれているのだろうと笑いながら。
髪に着いた煙草の匂い。部屋にも僅かに残るであろうこの匂いに、また自分を思い出して苛まれてくれるのだろうか。 ――元々、一つの事に酷く執着する性質でありはするのだ。今回はたまたま、その対象が"彼"だっただけで]
(まぁ、やめる気も治す気もありませんけど)
[欲しい物が手に入らない事など慣れている――分かりきっている。 ならばいっそ、無理矢理奪い傷付けて、決して逃げる事の叶わぬくらいに縛りつけてやればいい。 そうして得たものが例え紛い物なのだとしても、そこに違いなど――きっと無いに違いないと。 今迄だって、ずっとそうしてきたのだから。そしてこれからもきっと、そうしていくのだろう。 ――自分はこれしか、やり方を知らない]
(+91) 2014/07/05(Sat) 02時半頃
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…そろそろ空腹で苛ついてきました。 痛い思いをしたくなければ、食べて下さい。
――あぁ、それとも。 食べれないのなら、食べさせてあげましょうか。
[微かに感じる苛立ちを隠す素振りすら見せず。にこりと笑い立ち上がると、摘まんだ桃の一欠片を彼の口へと近付ける。 そのまま桃を口にすれば、自分もまた別の一欠片を口にしただろう。 彼が桃を口にしないのであれば、医者は笑みのままに顎を掴み、その喉の奥へ無理矢理ねじ込むくらいはしたかもしれない]
(+92) 2014/07/05(Sat) 02時半頃
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