289 【ペア】風邪引いたあの子ん家に行く村
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[ウツギが妙な呟き>>0:94を投稿していることを岩動が知るのは、もう少しあとになる。 何故なら彼は今絶賛運転中だからだ。 赤信号に引っかかるたびに通知を気にして見てはいたが、ウツギがうわごとのようにアマルテアおねえちゃんの名を呼びながらスケベピクチュァを収集していることなど、予想はできても知りはしなかった。というかいつものことだった。予想はできた。]
えー…鮭おにぎりと味噌汁とスムージーと…
…カップ酒でも飲みた〜い〜♪
[車内に流している音楽に合わせて気持ちいいところだけ歌う。 もちろんアニソンだ。]
(6) 2018/11/28(Wed) 09時半頃
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[道すがら、通りがかったコンビニに寄って最低限の買い物をする。鮭おにぎり、味噌汁…味噌汁は何が良いんだ。適当でいいか。野菜多めのカップ味噌汁を手に取る。あとは、スムージーにヨーグルトとゼリー、あとはプリン。水とスポーツ飲料と…冷却シート…は要るのかわからないが念の為。
ついでに雑誌コーナーを見て、自分用に漫画雑誌を一冊。一番くじやコラボキャンペーンのコーナーを見て対象のお菓子を数個、流行ってるけどあまり見てないアニメ作品のクリアファイルを一つカゴに放り込む。今度見てみよう。
大体こんなものか。]
……
…カップ酒でも飲みた〜い〜…♪
[ふらりと店の奥まで戻り、缶ビールを2本カゴに放り込み、レジへと向かう。 見舞いに行くにしては随分買い込んでしまったが、既に遊びに行く感覚になっていた。]
(7) 2018/11/28(Wed) 09時半頃
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[再び車に乗り込み、程なくしてウツギの住むアパート近くに着いた。近所の駐車場に車を停めて、袋をガサガサと持ち出しながらスマホを覗くが、通知はない。]
「着きました 鍵開けといて」、と… ……起きてるかね。
[簡潔に連絡を入れ、サイドのボタンを押してスリープ状態にする。 既に買い物袋と鞄とで両手がふさがってしまったので、返信を見るより先にウツギの顔を見ることになるだろう。
自宅にまで来るのはまだ3度目だが、まあ大体勝手は知ったようなものだ。 アパートの階段をのぼり、ウツギの部屋の前にたどり着くと、岩動は無遠慮にドアノブに手をかけた。]**
(8) 2018/11/28(Wed) 09時半頃
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[玄関扉はなんの抵抗も見せずにすんなりと開いた。>>9どうやら起きていたらしい。]
寝とけって言ったでしょうが。
[宇原の照れくさそうな笑みは、具合が悪いと思い込んで来ている岩動からすれば症状が重いようにも取れて。さっきまで遊びに来るテンションで買い物していたはずの男は、相手の顔を見て本来の目的を思い出した。]
おじゃましまー
[す。と口だけ動かして。 後ろ手に鍵を締めて、靴を脱ぐ。 それにしても相変わらず…]
(15) 2018/11/28(Wed) 11時頃
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ほんとこの部屋、情報量がやばい。
[きょろきょろと見回しながら3度目の来訪の感想を口にする。何度来ても圧がすごい。非オタの者たちが描くTHEオタクの部屋。 岩動もオタクではあるがここまでの派手さはなく、彼の自宅はもっとこざっぱりしたものだ。年齢通りオタクとしての年季は上回っているはずなのに、こう、なんだか負けたような悔しいような、全然そうでもないような気持ちになる。
なんというか、欲望のるつぼというか。 見る者によっては悲鳴すらあがりそうな光景ではあるが、同類である岩動にとってはいっそ小気味好い。 実際不思議と居心地は悪くないのだ。しかし断じて、]
いや、キモいわ。
(16) 2018/11/28(Wed) 11時頃
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[笑いながら本音を漏らす。結局感想はそこだ。 欲望のるつぼであるこの部屋はいくら清潔に保たれていても、籠もった邪念が凄まじかった。つまり人で言うところの生理的に無理というやつだ。岩動にとってはそこもウツギの面白いところでもあるのだが。素直過ぎる欲を垂れ流している様子は普段のネトゲでの会話からも見える。この裏表のなさや、懐っこさには好感が持てた。]
[「なに買ってきたの?」そう訊ねる彼の笑顔には]
ごはんとお菓子とお土産と酒。
[そう言いながら袋を広げてみせて、肩でウツギの肩を押し、部屋の奥へと促し、いつもの定位置の床に座すると]
しゃけおににり〜〜〜〜
[某たぬき型ロボットのような口調で袋からおににりを取り出し、テーブルの上に置く。同じ調子で袋の中のものを次々と取り出してそこら中に並べて回った。]
(17) 2018/11/28(Wed) 11時頃
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言う割に片付いてねえし。
[>>23「片付け」という単語の登場にふん、と口角を持ち上げて意地悪そうに笑う。というか、圧倒的に物が多いのだ。どうせ片付けもそこそこに、だらだら起きて遊んででもいたのだろう。 特に咎める気もないが。]
(41) 2018/11/28(Wed) 22時半頃
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[この宇原宙という男。 キモオタというかなりパワーのある属性を持ってしてその顔面によってあばたをえくぼに変えてしまう男だ。おそらく本人もそこはなんとなく自覚しているのだろう。
多少悪態をついてみたところで、ものともしないのがその証拠のように岩動は感じていた。 なんとも清々しく、憎たらしいことだ。
こちとら生まれてこの方冴えないオタクである。]
(42) 2018/11/28(Wed) 22時半頃
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[岩動には、宇原を憎たらしく思う理由がもう一つあった。]
(43) 2018/11/28(Wed) 22時半頃
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[半年ほど前…―ギルドのオフ会でのことだ。 宇原ことウツギとは、オフ会を開くにあたって住まいが近いという偶然の事実が発覚し、ギルド内では特に遊ぶことが多かったということもあり集合場所の少し手前の駅で、二人で落ち合うことにした。
岩動は少し緊張していた。
なぜなら彼は、Utsugi SpacecatのことをJD(女子大生)だと思っていたからである。]
(44) 2018/11/28(Wed) 22時半頃
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[「メイさん?」そう呼ぶ声は確かに男のもの。そして姿はどこからどう見てもそこらの軽率なイケメン呼ばわりイケメンとは一線を画したワンランク上のイケメンだった。
ショックだ。 つい先日まで聞いていた可愛い女の子の声はなんだったのか?でも口調は間違いなく慣れ親しんだウツギそのものなのに、目の前にいるのは何故イケメンなのだ。 そこで混乱した岩動が瞬時にとった態度はこうだ。]
(45) 2018/11/28(Wed) 22時半頃
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おー、おっす。 ウツギくんだ?大学生若ぇー。
[こうだ。
しれっと既に男だと気づいていた風を装い、落胆を見せることをせず、普段どおりに会話を始めた。実際話は盛り上がった。先日まで通りに。ただ相手が男だと…イケメンだとわかっただけで、特に何も変わりはない。な〜〜〜んにもかわらない。 軽く、ほんのちょっぴりだけ失恋しただけで。
―メイは今の攻略PTへの参入が皆より少し遅かったのだ。なので、不幸にも詩人とウツギの声が似ていたという経緯を知らなかった。それ故にまんまと、やたらとなついてきてくれる猫耳美少女に少しばかり舞い上がっていたのである。]
(46) 2018/11/28(Wed) 22時半頃
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[いやいや、たったこれだけの理由で5つ以上年下の相手を憎たらしいと思うほど子供ではない。 問題はその後、ギルドメンバーと合流したあとのことだ。
こともあろうにこのウツギという男は、当然だがモテていたのである。 ギルドの女子から露骨にモテていたのである。
そしてその露骨かつ猛烈なアプローチをことごとく避けて、なんとこちらに来るのだ。しめたものだ、女の子との会話に混ざれる!と思うだろうか? いやいや、女の子たちは俺との会話など望んではいないのだ。つまり女の子たちにとって自分は完全に邪魔者。
…岩動は生まれてこの方オタクである。 年代的にもオタクが爪弾きにあいやすい時分に学生時代を過ごしたし、大人になってからも別にオタクコミュニティにのめり込むほどオタク文化に身を置いてはいなかった。つまりぼっち…改め、ソロ活が得意なタイプだった。 なので、ゲームでの知り合いは数少ないオタクコミュニティとも言える。そこで女性と親睦を深める機会をみすみす失ったというわけだ。
その時ばかりはこの世の不平等を呪った。]
(47) 2018/11/28(Wed) 22時半頃
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[しかしどうしたことか。オフ会以降彼と話すことが以前よりも増え、仲が深まった…というか、一層懐かれているように感じる。勘違いだろうか?
けれど実際、学生時代の友人たちより高い頻度で会っているし、ゲーム内でもよくつるむようになった。もちろん悪い気などするはずがない。それに彼の裏表のなさは気楽と言うかなんというか。 まあ、そんな感じで最近は弟分、と言うと陰キャ的には陽キャ要素が強すぎて抵抗があるが、そんなような気分で接していた。]
(48) 2018/11/28(Wed) 22時半頃
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[そう、だから岩動にとってウツギのこのキモオタ的要素はプラス要素なのである。随分ネガティブなプラス要素のような気もするが、親しみが持てるという意味ではポジティブだろう。]
ああ、ビール?
(49) 2018/11/28(Wed) 22時半頃
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[自己紹介モノローグを終え、コンビニ袋を覗き込む宇原が目に入る。>>31 普段より心持ち力の抜けた、顔の良い男の期待に満ちた笑顔はいつもの何割増しかに見える。なんというか、乙女ゲームのスチルのような顔面だ。 着ているTシャツは激ヤバだが。
咳きが出ているということや、少し声が鼻にかかっているような気がするということもあるが、表情を見て普段より元気がなさそうだ、とわかってしまう程度には彼の顔色を読めるようにもなっているのだろう。そして期待を裏切るようで、次の言葉を紡ぐのをやめた。]
(50) 2018/11/28(Wed) 22時半頃
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[「ビールは持って帰って飲むつもり」だった。つい、遊びに行くノリで買ってしまったがここで飲んだら車には乗れないから帰れなくなるし。具合が悪い時に長居するのもなんだか悪い気がするし。]
ウツギくんのも買ったからね。 具合良くなったら飲みな。
[定位置についたメイえもんがコンビニ袋から次々と戦利品が飛び出す。何が必要かわからず雑にたくさん買ったので、宇原が必要とする物があれば全部置いていくつもりだし、不足があれば買いに出るつもりだ。 「食べていい?」と言われれば岩動商店の商品を並べながらうんうんと頷く。]
(51) 2018/11/28(Wed) 22時半頃
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あ、お土産それ。 カリュクスちゃん。 君のいいねでたまに流れてくる子ね。
[宇原の問いかけ>>34でクリアファイルの美少女の名前をようやく思い出す。]
俺それ見てないんだよね。 ネトゲしてるとアニメ見る時間ないわ。 おもしろい?それ。 「転勤したらキンジンだった件」だっけ。
(52) 2018/11/28(Wed) 23時頃
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[とりあえず、飲み物やデザート系は冷蔵庫にでも突っ込んでおくかとそこらに広げた品を回収しながら会話をしようとするが、宇原の語気は弱い。 再び顔色を覗いてみれば、表情がまた少し曇って見えた。]
おにぎり食べれそ? 熱いお茶淹れようか。
[そう言って少し小さく感じる背中を二度三度、軽く叩くと今度は勝手に冷蔵庫へと向かった。]**
(53) 2018/11/28(Wed) 23時頃
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イスルギは、ウツギに風邪ウィルスの気配を感じている。
2018/11/28(Wed) 23時頃
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[片付けなんて、もちろん適当でいい。>>72具合が悪いというのに改まられようものなら、かえって居心地がわるいというものだ。そういう胸の内は特に口にすることもなく、「あーね」などと言って笑って済ませる。
こうして言葉をすぐに省くのは岩動の悪い癖でもあったが、それをなんとなく許された気になれるのも宇原とつるむのが気楽な理由なのかもしれない。 実際冴えないオタクで言葉少なな30手前の男と盛り上がってくれる萌え声女子大生なんているはずがなかったのだ。本当にありがとうございました!]
(78) 2018/11/29(Thu) 16時半頃
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>>73
一人じゃ飲まないか。 そうか〜 若ぇな…
[ひとり酒なんてものを覚えていないことに少しの感慨が湧く。]
じゃ、それは後でね。
[そう言ってウツギの手から缶ビールを抜き取り、手元に置いた。本人が平気だなんだと言っているから、おそらく平気なのだろうけれど。 いや、本当か? 飯も面倒になるほど具合の悪い人間がビールはどうなんだ。
…そんなことを考えながら、器用におにぎりの服を脱がす宇原を眺めた。]
なんかたまたま見かけたから。
[土産については一言だけ。 特に理由はないが、なんとなく喜ぶかと思っただけ。]
(79) 2018/11/29(Thu) 16時半頃
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転キンまじ?流しといて。
[そう言いながら台所に立つ。>>77 宇原宅の台所までは流石に慣れてはいないが、さすがにどこの家でも台所にあるものなんて似たかよったかだろう。岩動自身、自宅ですらめったに台所になど立たないが、湯を沸かす程度のことはできる。
そこらを勝手に漁り、お茶っ葉を探す。 よくよく考えたら、あるのだろうか。 一人暮らしの男子大学生の家にお茶っ葉。自分の家には常備しているものだから、ついあるものだと思っていたが。見当たらなければそのまま湯でも飲ませておこう。
…などと考えていたら安そうなティーバッグを発見した。お湯を飲ませる必要はなくなってしまったようだ。]
(80) 2018/11/29(Thu) 16時半頃
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>>81
うまいぞー。 ゲームしながら飲むビール。
[そんな事を話しながら、宇原はおにぎりを一気にかきこんだ。 本人の言っていたとおり、食欲はあるように見える。自分だったら具合の悪いときにコンビニおにぎりの焼き海苔はかなり嫌だが。そこは好き好きということだろうか。 もしかして本当に腹が減っていただけとか。あり得るか?]
(83) 2018/11/29(Thu) 20時頃
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[宇原は思っていたより素直にベッドに入った。 本人もようやく不調を理解し始めたのだろう。 まあ、小さな子供でもあるまいしこのくらいは聞き分けてもらわなければ……とは思うが、実際のところ小さな子供くらいのノリで接しているところも、あるにはある。]
(98) 2018/11/30(Fri) 01時頃
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[布団を被せて上半身を起こすと宇原がじい、とこちらを見ていた。実に顔が良い。
風邪薬の有無を念の為訊いてみたものの、予想に反せず、それもこの家にはないらしい。飲むのを随分渋っているようだが、単純明快な手段が好きな岩動は頼れるものには頼りたい。]
薬飲んで寝りゃ一発だって。
(99) 2018/11/30(Fri) 01時半頃
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んん〜ごはんだけ届けてさっさと帰ろうと思ってたんだけどなあ…。
[さすがに、この状態の友人を放置して帰るほど薄情ではない。 とりあえず薬局に行って必要なものを買いに行くとしよう。体温計と、のど飴、あとは鼻貴族に使い捨てマスク…そのあたりだろうか。あとは行ってみてのお楽しみ。]
なにか欲しいものある?
[冷却シートを投げつけたあと、冷蔵庫からスポーツ飲料を取り出して、ペットボトルのまま脇にぼん、と置いてベッドの端に腰掛ける。]
(100) 2018/11/30(Fri) 01時半頃
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じゃあ、ちょっと薬局行ってくるね。
[そう言うと、ポケットからスマホを取り出して宇原の方へひらひらと振ってみせる。「なにかあったら連絡して」言外にそう伝えた。]**
(101) 2018/11/30(Fri) 01時半頃
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