255 【RP村】―汝、贖物を差し出し給え―
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有給をもう二日ほど頂けませんか
[見ての通り満身創痍なので、と続けると漸く局長は頭を上げて、分かったと頷いてくれました。 自分のデスクに溜まっている仕事から急ぎのものだけを手早く片付けて、家へと戻ることにしたのです。]
(93) はたけ 2016/10/14(Fri) 23時半頃
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―終わりの日―
[ガチャリ。とどこかで音がした。 少し騒がしいその様子から、どうやら。]
終わったか。
[そう呟く。昨晩のニコラスと郵便屋のやり取りから、 郵便屋は記憶を喰われたらしかった。喰われたものは、外に出れることを少々、安堵も覚える。]
人間は"餌"でしかない、か。
[昨晩>>91ニコラスが言っていた声を口にする。]
なら、私は餌となるのだろう。
[この館へと閉じ込めたものは、執拗に"ショク"を 欲しがっていた。ならば、"ショク"を殺すなどいうことも、ないだろう。]
(94) doron 2016/10/15(Sat) 09時頃
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[つ、と扉を見る。恐らくは、ここは開きはしないのだろう。と、誰もいなくなり静まり返ったはずの廊下から、靴音が響く。
やがて、>>>80昨晩と同じように小窓に顔が見える。]
私なら、いるが。
[こちらに気付いた、郵便屋が差し出してきたもの。 それは、]
………
[あの記憶に固執する歳でもない。しかし、彼の言うとおりであった。なぜ、それを口にしたのだろうか。
さぁどうぞと、彼の手の上にある"記憶"を見る。]
(95) doron 2016/10/15(Sat) 09時頃
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あぁ、そうか。 誰かに"記憶"を預けたかったのだろうな。
[記憶を失うことは恐ろしくはないのだ。 若きより年寄りから奪えと思うのも変わらない。
だが、忘れられてしまうことを、忘れられてしまったことを。それを寂しく思うのだ。]
さすが、郵便屋というものか。 届けずにはいられぬようだな。 [預ける相手を間違えたな、などと失礼なことを思う。 疑いが晴れることをという言葉に、 それが晴れたとして、出れることはないのではないかと思う。
"ショク"を手に入れたものたちにとって、餌も必要であろう。]
(96) doron 2016/10/15(Sat) 09時頃
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酒か。 久しく飲んでいない。
そうだな。楽しみにしていよう。
[再び戻った"記憶"を手に。 そして、背中を向けさるその姿を見送った。*]
(97) doron 2016/10/15(Sat) 09時頃
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[大家の爺さんに長いこと帰らなかった理由を尋ねられても、 適当にごまかしました。 仕事が立て込んでいて、職場に留まったとか。この所少し時間が緩やかになってきていた爺さんですから、さして気にする様子もなくそうかい、とだけ返してくれました。]
……私宛て、ですか
[そうして漸く、私はその手紙を受取るのです。 誰かが結婚するだとか、たまには帰ってこいだとかそんな手紙だろうかと思いながら封を切ります。]
(98) はたけ 2016/10/15(Sat) 21時半頃
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[その手紙を読み終える頃、私はコーヒーを啜って居ました。]
これ、ですか
[館に居た頃書き溜めた手記を開きます。 馬車の中で何度か読み返しました。そしてこれが、与えたものなのだろうということも察しがつきました。] ……、
[普段ほとんど何にも頓着がない事は自分が一番よく分かっています。その自分が、これほど大事にしていた筈のこと、けれど]
(99) はたけ 2016/10/15(Sat) 21時半頃
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わかりません
[その人をどういう風に思っていたのか、どんな顔で言葉を掛けたのか。 手記を読めば状況はつかめます。けれどその思い出には、色がなく、顔がなく、声もないのです。]
然し、時間がないとは 書いてあったように、体が弱くていらっしゃる、と
[さて、そんな断片的な記憶でも。 私は、私です。その根本の部分だけは、変わりようがありませんから。 会いに行くことを決めるまで、 そう時間はかかりませんでした――。]
(100) はたけ 2016/10/15(Sat) 21時半頃
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―― 小麦畑の逢瀬 ――
天気が良くてよかったです……、いいえ 良かったね
[そうじゃないでしょう、と責めるような目線を感じた気がしたのでそっと訂正しておきました。 折しも季節は秋です。抜けるような青空に、爽やかな風が気持ちよく肌を滑って行きます。]
君の好きな景色が見れて良かったで……良かったね ああ、いやさっきも言ったけれど覚えているわけじゃないんだ 僕の書いた手記にそう、書いてあった
…ごめんね、この喋り方はあまりにも懐かしくて少し慣れないよ
[僕は背中を向けていたので、君の表情はよくわかりませんでしたが風の音に似た声が、笑っていることを教えてくれました。]
不思議な気持ちだよ。 覚えていたらよかったとも思うし、そうでないからこうして話せているような気もする
(101) はたけ 2016/10/15(Sat) 21時半頃
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僕は、君と話すとき、どういう顔をしていた――?
[はじめて、いいや久しぶりに会った君は少女のような笑顔で僕を出迎えてくれて。 僕はこんなに素敵な人に、恋をしていたんだと思うととてもドキドキしたんだよ。]
そう急かさないでくれ、僕もとても緊張しているんだ。
[背を押すようにされれば、大きく息を吸い込んで吐く。 そわそわと落ち着かない君の手を取って、さぁ、踊ろうか。]
(102) はたけ 2016/10/15(Sat) 22時頃
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一曲、お相手願えますか
[恭しい礼は、できなかった。 すこしのぎこちなさが、緊張を弾き飛ばして微笑みを呼び込んできます。 持ち込んだ蓄音機はかなり古いものだったので、時々調子外れな音符を飛ばしました。]
あまり上手ではないから 笑わないでくれよ
[調子外れな音に触って、もし君が僕の足を踏んでしまっても。怒りはしないから。 だから]
いいや、やっぱり笑って欲しいな 君はその顔が、一番素敵だから。
[恥ずかしいけど、そういうことにするよ。 だって言葉に出さなければ、伝わらないんだ。 ぎこちない三拍子は、愛おしく音を刻み、ゆるやかなリズムが、黄金の中で二人を溶かしました。 やがて、空が暮れなずむ頃、蓄音機は静かに動きを止めます。]
(103) はたけ 2016/10/15(Sat) 22時頃
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おかしいね、涙がこぼれてくるんだ。
『心は忘れていても、体は覚えているものよ』
そう、そうだねきっとそうなんだよ
[もし記憶が僕にあったとしても、 きっとこうなったんだろうと思う。]
すまない、もう一曲だけいいかな 今夜のことを、刻みつけておきたいんだ。
[黄金が茜色へと姿を変えても、 蓄音機が三拍子を刻む事をやめても、 今夜だけは、終わりたくない。きっと僕が君が、夢にまでみた、時間だった筈なんだ。]
(104) はたけ 2016/10/15(Sat) 22時頃
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[――彼女のカゾクは、嫌な顔をせず彼女を送り出してくれた。 貴方が言うのなら、大事なそれもお預けしますと。]
結局僕は、君のきらいな僕のままだけど きっと僕は、…いや。
僕は君が、好きだったよ――。
ああ、恥ずかしい、 さぁ、もう一曲だけ付き合っておくれ。 最後の一曲、大事に踊るよ。
(105) はたけ 2016/10/15(Sat) 22時頃
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キミ [ 屍 と ワ ル ツ を ]
ワタシ 『遺影 と ワ ル ツ を 』**
(106) はたけ 2016/10/15(Sat) 22時頃
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ニコラスは、ショコラにお辞儀をした。
milkxxxx 2016/10/15(Sat) 23時頃
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―皆既月食の夜―
[司祭がいなくなった教会。 男が地下へと堕ちたその夜。
館に飾られた一輪と同時刻、 教会で同時に花が咲き乱れる。
そこで、誰かの誓いは交わされることは、 誰かに幸福が訪れることはあっただろうか。
誰かの記憶に。 残ることはできただろうか。]
(107) doron 2016/10/15(Sat) 23時頃
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―それから―
[町に1つ教会がある。 そこには、皆既月食の夜に花開く薔薇の庭園となっているという。
誰からも世話をされずとも、茨を伸ばし、あらゆる場所に絡みついたそれは、 整っていたときよりも、より一層生き生きとしているようにも見えるだろう。
その場所には2つ噂があった。 1つは、その薔薇が開くとき、その薔薇の前で誓いを交わした者達には幸福が訪れるという噂。
そして、もう1つ。
その薔薇が咲き誇るとき、記憶がなくなるものがいるという。
この教会にいた司祭も、その薔薇に記憶を喰われてしまったのではないか。 そう、噂されるようになって、どのくらいだろう。
今夜、また。 この教会は、咲き誇る薔薇に満たされる。*]
(108) doron 2016/10/15(Sat) 23時頃
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―――……と、まぁ。 創り話だがな。
誰の?勿論、私だ。
[グラスを持ち上げ、口をつける。赤い液体が揺れ、香りが運ばれる。
あの事件の後、開放されたのはいつだったか。あの後も、他にも"ショク"が囚われてきたか。
そして、幾度となく記憶を喰われ、いや、自ら差し出したと言ったほうが良いか。
若者から奪うより、年寄りから奪えと。 そこにニコラスの姿はあっただろうか。
記憶が消えたことを自覚したのは、 薔薇の咲き誇る姿を思い出せなかったときだった。]
(109) doron 2016/10/15(Sat) 23時半頃
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[その姿を思い出せなくとも、後悔はなかったが、 やはり、寂しいと思う心もあった。
開放されたのは、いつのことだったか。 恐らくは、餌として役立たぬ。そう判断されたからだろうか。
二口目の葡萄酒に口をつけたとき、 カランと髪飾りが落ちる。
随分と古いそれを見る。 ずっと持ち続けていたそれは、どんな"記憶"を持っていたのだろうか。もはや、何故、これを持っていたのかは分からない。]
(110) doron 2016/10/15(Sat) 23時半頃
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「――…落としましたよ」
[ふ、と顔を上げる。 拾い上げたその手は、自身と同じように。
皺だらけだった。*]
(111) doron 2016/10/15(Sat) 23時半頃
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約束を、お忘れでなかったようでなによりです
[芳醇な香りのする液体を喉へと流し込みます。 対面の席に座す"だれか"へ向けて、言葉は続きました。]
おいしいでしょう、ここの葡萄酒は―― 産地は……
[カランと>>110音がしました。
こんな夜に、無粋な真似はおよしなさい。
と、そう、私には聞こえましたよ。]
(112) はたけ 2016/10/15(Sat) 23時半頃
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お譲りしましょう、お美しい方。 あとは。…月並みですが、
お若いお二人に、お任せします。
[帽子を脱いで、一礼を。 この後の二人にどんな思い出が刻まれた方は。 私の助言をした"彼女"だけが知っているでしょう――*]
(113) はたけ 2016/10/15(Sat) 23時半頃
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―いつかの日―
[バルコニーで庭を見下ろしながら、本のページを捲る。 短く切りそろえられたプラチナブロンドが、風に流れてさらりと涼やかな音を立てた。
その顎にはもう、切りそろえた髭はない。 あまりにも家族に不評過ぎたのもあるが、面影を残しておきたくなかったのもある。
あの屋敷で過ごした数日間のことは、どこにも記録しないまま記憶の中にだけ残っている。 ――組織の話だけは、伝えざるを得なかったが。 あのわかい同胞は元気にしているだろうか。 顔馴染みの同族に軽く聞いてもみたけれど、海を跨いだ此処では情報を得るには遠すぎる。ただ、幸福であればいいと思う。 いずれまた、"はじめまして"の時を、迎えることができれば――…… そう思うのは、水面下に潜った仲間たちに出会う機会が少ないからだけではない。]
(114) Noah 2016/10/16(Sun) 00時半頃
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[庭先で高い声があがる。 呼ぶ声にバルコニーから身を乗り出して手を振り、穏やかに眦を緩めた。 噴水の傍で遊んでいたのだろう双子が、両手に玩具を掲げて、下りてこいと手を招いている。 緩く首を振って遠慮しながら、幼さを眩しく思うのは、もう、あれから随分時間を経たからだろうか。]
もうそろそろ冷えるから、上がっておいで。
[注意されても幼子たちはなんのその、うつくしい白金の髪を揺らして駆けていく。 きっと、ふたりで青い目を見合わせて、さあ"かくれんぼ"のはじまりだと笑っているのだろう。]
(115) Noah 2016/10/16(Sun) 00時半頃
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[さて、長い長い隠れんぼには、終りが見えない。 ――けれど最近、街に掃除夫が増えたという噂を耳にした。 もしかしたら――なんて、笑って本を閉じる。
可愛いこどもたちのために今は鬼にならなくては。 腰を上げて、暮れ泥む夕日に、そっと秋空の瞳を細めた**]
(116) Noah 2016/10/16(Sun) 00時半頃
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[約束を、お忘れでなかったようでなによりです。 そう、向い合せの席に座る男は言う。]
この記憶は、他の記憶より、 "大事"ではなかった、ということだろう。
[少々、失礼なことを言うが、 自身が忘れなかったことより、目の前の男が、 この約束を忘れなかったことに、良かったと思う。]
[そうして、そこに在るのは、互いに皺だらけの手が2つ。]
随分と気の利く、郵便屋だな。
(117) doron 2016/10/16(Sun) 00時半頃
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[ふ、と少し、表情に力が抜ける。 皺だらけの手に拾われた髪飾り。]
持っていると良い。 持ち主はもういないものだ。
["記憶"にも、その姿はない。 だが]
葡萄酒は、好きか。 ここの葡萄酒は…
[なるほど、 確かに、ここの葡萄酒は、
格別だ*]
(118) doron 2016/10/16(Sun) 00時半頃
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― 長き時を経て ―
[朝、目を覚ましてベッドから起き上がる。 洗面器いっぱいに冷たい水を入れて、顔を洗う。 顔を洗った後は、黒衣に袖を通し、胸元にはいつものようにクロスを掛ける。 質素なベッド、少ない書物だけが置かれた机、必要最低限のものしか置かれていない部屋。
金色の髪を撫でて整えたなら、外へと繋がる扉を開く。]
[朝の挨拶を神に捧げて、明るい太陽の光を浴びる。 ステンドグラスに晒された、磔の神。]
『おはよう、牧師様!』 『おはようー、牧師さまー』
[ぱたぱたと駆け寄ってくる声に顔を上げて、微笑みを。]
(119) milkxxxx 2016/10/16(Sun) 00時半頃
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やあ、おはようゾーイ。トニーも一緒だね。 走っては危ないよ。
[あれから、どれくらいの時が経ったのか、もう数えてもいない。 ただ、今は、質素な生活をこの場で過ごしている。 駆け寄ってくる子どもたちの身体を受け止めて、外へと視線をやれば、窓の向こうには薔薇の庭園が見えただろう。]
『だいじょうぶ、こけないよ』 『こけないもん!』 『ぼくたち、薔薇を見に来たの!』
――ああ、そういえば今夜は皆既月食の夜だったね。 そうだ、君たちはこういう昔話を、知らないかい?
[小さな子どもたちの髪を撫でて、視線を合わせるように身体を屈める。 金色の髪の向こうに見える、薄金の瞳が覗く。]
(120) milkxxxx 2016/10/16(Sun) 00時半頃
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あの庭の薔薇が開く時、その薔薇の前で誓いを交わした者達には幸福が訪れるという噂だよ。
それから、もう1つ。 その薔薇が咲き誇る時、記憶がなくなるものがいるという。
(121) milkxxxx 2016/10/16(Sun) 00時半頃
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