人狼議事


194 花籠遊里

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視点:


/* おうや、おうや、お疲れサマ。

さあさお座敷。
お好きに喋ってくれて構わないよ。

(揺り籠ぎっこんばっこん)


/*
花が花にも、蝶が蝶とも。
咲き乱れてくれるのが、一番。

(揺り籠ギィコギィコ)


【人】 墓荒らし ヘクター

― 帰国 ―

[結局、彼の涙を見ずに羅針盤代わりの徽章を置いて国を出た。
彼是残してきてしまった気がするが、所詮、花街の一時の夢。

その癖、夢から抜け出て、現実になることを待っている。
中々皮肉にして滑稽なこと。

しかし、逃げたのではない。
夢から覚めたのだと思う。

花籠で死にゆく櫻に、お前は花では無いと告げるためか。
墓守を廃業せよと申し付けるためか。

彼が花籠に納まっていた経緯を詳しくは知らないが、
余り褒める事のできぬ親御だったのだろう。
だが、己は見ず知らずの女に感謝をしている節がある。

彼を根を蔓延らせる樹でなく、
二本の足を持つ人に生んでくれたこと。]

(2) momoten 2014/09/23(Tue) 21時頃

【人】 墓荒らし ヘクター


[多くの男が彼の傍を過ぎて行ったように、
同じ事をして見せた男は、夢の覚めた先で彼を待っていた。

面倒で、甘からず、泣かない櫻の子を。*]

(3) momoten 2014/09/23(Tue) 21時頃

【人】 墓荒らし ヘクター

― 某国大使館 ―

 『―――まさか、
  徽章一つであれほど雷が落ちるとは思わなかったな。』

[呟いた言葉は祖国の言葉、母国の言葉。
花街で覚えた異邦の言葉と違って、語尾も揺れない。
だが、露骨な辟易を滲ませ、広い執務机に向かう男が一人。

エクトゥール・エトワル・ダルジャン参事官。
若くしてキャリアの道を進む新星。
花街を過ごす夜と一線を画する悪辣なる男。

ひらひらと花の合間を飛ぶ蝶でなく、本来海を跨ぐ人。
男の勤めは昼と夜とで表裏如く異なり、二面の顔を持つ。
そんな男が億劫そうな声を上げ、綴っているのは始末書である。]

(4) momoten 2014/09/23(Tue) 21時頃

【人】 墓荒らし ヘクター

[地位を示し、国権たる徽章を失くしたと告げれば、大使の呆然を買った。何処にやったと問われ、花に貸したと答えたら、きつく灸を饐えられた。

金で出来た徽章では在るが、そのものの価値よりも宿る意味が大きい。他国の花街で換金され地下に流れるなど、許せぬことだったのだろう。ご丁寧なことに、アレには個々の――即ち、己の名も刻まれている。

しかし、己は始末書を書きながら何処か楽観していた。
あの櫻が一時の銭金の為に、自身の預けた徽章を売り払うとはこれっぽっちも考えては居なかった。
それは余りにも櫻を侮りすぎている。

きっと彼のプライドが許さない。]

 『……さて、俺も働かねばな。
  あいつばかりに、賭させるのでは廃ると言うものか。』

[独り言を呟いて、書き上げた始末書を机に放り、
代わりにレターセットへと手を伸ばした。*]

(5) momoten 2014/09/23(Tue) 21時頃

 
 
‘Tis better to have loved and lost
 than never to have loved at all.

(一度気付いてしまったならば、
 知らない頃には戻れません。)
 
 


 
 
 True love never grows old.

(本当の愛は、永遠に育ち続けるのです。)
 
 


 朧さん。
 お願い事をしても、よろしいでしょうか。

 もしも、金色をした『蝶』が『櫻』を探しに来たなら。

 約束を果たせずにごめんなさい、と。
 『櫻』の季節は終わったのですと、お伝え願えますか?

[僕は特別な、櫻色のリボンを渡します。
 どうかそれを渡してくださいと、告げて。]


[花籠での約束もまた、たった一夜の泡沫です。
 『蝶』は移ろい、『花』は止める手立てを持ちません
 そうだとしても僕は───…]


 
 
 ───僕は、『しあわせ』です。

 どうか、あなたも『しあわせ』になってください。
 
 


 お前の頼みを断る筈が無いだろ。
 一語一句違わずに伝えると約束しよう。


[そっと櫻色を受け取ると一度席を立ちそれをしまう。
『花籠』での口約束など一つの泡。
時が過ぎれば、ぱちりと弾けて消えてしまう程の脆さではあるが。
それでも朧は『約束』を破る事は無かっただろう。
このくらいでしか、分けて貰った物の恩返しができなかったから。

そして最後に両手をついて礼の形を静かに取り口を開く。
……こうでもしないと、言いたい事は伝えられぬ気がしたから。]


 世話になった。どうかお前の行く先に、幸多からんことを。
 ……元気でやれよ。


/*

丁は素直なんだか素直じゃないんだか。
私に抱かれたいならいつでも部屋においで?

誰よりも高く買ってあげるから。

(揺り籠ぎこぎこ**)


/*
丁助が逃げるのなら、追わなくちゃね?
まあ、私が帰るのを待っていなさい。

真っ白な服なんて着なくてもいい。

一糸纏わぬ姿でお待ち?

(ふふふふふっ**)


【人】 墓荒らし ヘクター

[彼の手を取り、攫って仕舞った方が良かったのかもしれない。

案外、堪え性のない男がそんな風に考えたのは、
一度や二度では足りず、異国の秋はすっかりと深まっていた。
風は鼻頭を掠めて冷たく抜けて、季節は冬が間近まで迫る。

それでも、決して一時の気の迷いでなく、
あの臆病な彼に踏み出す一歩を強いたのは、
梢に留まった数多の蝶と別のものになる為だ。

彼に己の死体は埋めさせない。
残したたった一つの約束は遺品などではなかった。]

(29) momoten 2014/09/24(Wed) 21時半頃

【人】 墓荒らし ヘクター

[花の都と名高い異国の街は霧の街と違う華やかさがあった。
気候が違うのか建築様式も何処か異なり、
大通りには賑やかな店が軒を連ねている。

鮮やかな彩の花がバケツ一杯に活けられて。
ショーウィンドウに宝石のようなチョコレートが飾られ。
二階建ての真っ赤なバスが行きかう籠の外の世界。

見るものすべてが彼を出迎えるのに、
海の向こうまで呼んだ張本人は、見当たらない。
逢いたくないと思う時は、顔を見せるのに、
彼が探し出すと見つからぬ不条理。]

(30) momoten 2014/09/24(Wed) 21時半頃

【人】 墓荒らし ヘクター

[例え、国内と言えど、外交庁幹部の名前など早々知れ渡っているものではない。ただ、彼が行き交う人々に見せる徽章は誉れと和平の象徴。
金に輝く徽章を見せびらかして歩く彼が不審視されるまで、時はそう掛からなかった。

『これを何処で手に入れた』『異邦人か、何処からきた』
『何故、お前がこのような物を持っている』

警察が彼に浴びせる早口など、到底聞き分けられないものだ。
異邦人から徽章を毟り取り、出所怪しい身分証をジロジロと不躾に眺めた挙句、折角海まで渡ってきた彼の苦労を鑑みず、怒号と共に牢へと放り込んだ。

冷たい鉄製の檻の中、彼はまた幽閉の身の上に。
その上、此度は大層待遇が悪く、留置所の空気は淀んでいた。

彼の身分を改めた訳では無いが、花の都の警察は、九割九部九厘、彼を罪人であると見做したらしい。

花主が揃えたのだろう旅券は公的な検問を抜ける細工が仕掛けられていた。言葉も地理も、何もかも分からぬ彼が一人で異国の地を踏めるまでは采配してくれたようだ。

―――だが、その旅券が致命的なものとなった。]

(31) momoten 2014/09/24(Wed) 21時半頃

【人】 墓荒らし ヘクター

― 留置所 ―

[不法入国すれすれの渡海に、盗品の所持。
挙句、彼には盗品を使った強請りの疑惑までかけられている。

金目当てに高官に近づく輩など掃いて捨てるほどいるのだ。]

 『しかし、こんな美人が詐欺なんて世も末ですねぇ』
 『外見に騙されたんだろうナァ、牢を覗いたか?華のかんばせとはああいうことだぜ。』
 『刑務所に送られたら、さぞかし苦労するんでしょうなぁ』

[彼の牢を見張る凡夫達は、珍しい虜囚に興味津々で、
何処か下卑た色の滲む雑談を交わしている。
美しいものには目がないと謳われる国民性か、
華として人を惹き続ける生き方をしてきた彼に興味を持たぬはずがなかった。]

 『あれだけの上玉、掃き溜めに鶴だろうナァ』
 『……そうですよね、でも。どうせ、刑務所に行くのなら…』
 『………、』
 

(32) momoten 2014/09/24(Wed) 21時半頃

【人】 墓荒らし ヘクター

[彼が憂いている傍で、ほんの少し空気が変わった。

じめじめとした牢獄が、不意に木格子の地下牢と重なる。
彼がそれを察するよりも早く、カシャン、と鍵が上がった。


   彼に希望を与える微かな音。
     直後、絶望を与える確かな光景。

         警官服に身を包んだ男が二人、
           好奇と僅かな欲に浮いた眼を持つ男が二人。]

(33) momoten 2014/09/24(Wed) 21時半頃

【人】 墓荒らし ヘクター

[彼に危機感を与えるには十分な状況。
花として買われるのではなく、花として散らされようとする。

                        彼は生まれながらの花。

入り口を塞がれ、男達の腕が彼に伸びる。
彼に慰めを求めてきた腕では無い。
罪人を罰すると云う名目で、向かう折檻。

                       彼は苦難に咲く可憐な花。

抵抗など、屈強な男達二人に抑え込まれ、
手錠が細い手首を背中で戒めた。
粗末なベッドに投げ出された痩躯を押さえつける腕が重い。

金子の為でも、慰めの為でもなく、
 ただ、欲のために。彼は穢されようとしていた。]

(34) momoten 2014/09/24(Wed) 21時半頃

【人】 墓荒らし ヘクター

[その事実が彼にどれ程の絶望を与えただろうか。
黴臭い枕に顔を押し付けられ、襟ぐりを引かれて背中が剥き出しになる。

荒い息遣いと、遠すぎる蝶の影。
海を越えて、蝶を追いかけ、しあわせを夢見て。

それなのに、待ち受けていたのがこんな結末だと、
三文小説すらも描かないような幕切れ。]

(35) momoten 2014/09/24(Wed) 21時半頃

【人】 墓荒らし ヘクター

[ 花は所詮、花にしかなれぬのか。 



枕に閉ざされた視界と、這い寄る体温。

諦めて仕舞え、諦めて仕舞え。
所詮花は摘まれるもの。と、彼の幸せを拒む。]

(36) momoten 2014/09/24(Wed) 21時半頃

【人】 墓荒らし ヘクター











[――――しかし、伸びてきた腕は何時まで経っても、
彼の白皙に触れることはなかった。

代わりにバタバタと騒々しい音が立ち回り、刹那落ちる沈黙。
次に彼に触れた指は仄かに温かい武骨な指だった。

彼にしてみれば、とうとう年貢の納め時かもしれない。
頬に触れた指先は、そのまま慰めるように緩く撫ぜ。

浅く、されど、確かに、安堵の呼気を吐き出した。*]

(37) momoten 2014/09/24(Wed) 21時半頃

 
 
 
――――可愛い、   丁。
 
 
 


 
 
    ちがう──

        僕はもう、『花』じゃない───!!!
 
 


【人】 墓荒らし ヘクター

― 少し前 ―

[今日も彼は来なかった。


秋風はそろそろ冷たく、落ち葉を回す。

さて、次の出向までは洋々過ごせる身の上が、
毎日大使館に出向いてデスクワークに向かうのは、
出世を求める訳でも、勤勉な性根であるからでもなかった。


――――単に待ち人がいたのだ。]

(47) momoten 2014/09/25(Thu) 00時半頃

【人】 墓荒らし ヘクター

[出国の段にて多少の不安要素はあったが、
案外、恩の押し売りと、花への寵愛だけは欠かさぬ花主のこと。
確固とした杞憂を抱くほど、彼の手腕を侮っていなかった。

―――が、やはり、待たせる者と待つ者では時の流れが違う。
普段の彼は待つ者で、己は待たせる者だった。
逆しまの状況は、もしや初めてのことかもしれない。]

 ―――…港ねぇ、

[船を見ようと来ぬものは来ぬ。
そんな事は分かりきっていたが、待つのは如何にも不得意だ。
三十余年生きた男は今更己の悪癖を自覚し、息を漏らした。]

(48) momoten 2014/09/25(Thu) 00時半頃

【人】 墓荒らし ヘクター

[慌てた様子で秘書官が飛び込んできたのは、丁度その時。
別珍に包まれた徽章の光は、花の香りよりも強く己を惹く。


 約束は叶えられた。
  彼は反故することなく赤誠を示した。


事情を取り留めなく説明しだした秘書に構わず大股踏み出し、
すれ違い様に煌く徽章を奪った。五指で掴んだ約束の果て。

漸く明けた櫻の季節に、荒ぶ木枯らしなど、障害にもならない。]

(49) momoten 2014/09/25(Thu) 00時半頃

【人】 墓荒らし ヘクター

― 地下牢 ―

[異邦人とは本来奇異に映る。言葉が通じず、造形も違う。
畏怖すら抱く花の美貌が、花の都を無事抜けて、
のこのことやってくると考え居たのは己の迂闊だった。

彼は一歩、足を踏み出すだけで櫻香を撒く。
良く笑い、良く喋り、櫻の香で人を惹く。


警察に殴りこんだ外交庁幹部は、有無を言わさず押し通る。
足を止めず、要人を引き取りに来たと告げれば、
意外な――彼がずっと訴えてきた――真実に驚く詰署員等。
呆然とする彼らから止める者など出なかった。

薄暗い地下に降り、花に群がる羽虫を鋭い眼光で殺す。
彼が花をやめたその時、彼らは踏鞴を踏んで逃げ出した。

陵辱の憂き目を見ることなく、人になった彼に視線を滑らせ。
乱れた黒髪と、ほんの少しの加圧に色付いた背中を見た。]

(50) momoten 2014/09/25(Thu) 00時半頃

【人】 墓荒らし ヘクター

[花の彼なら誰にでもくれてやろう。
花束と括り、花瓶に活けて、愛でもしよう。

だが、今の彼は、譲る気になれない。]

 ―――…再会早々罵倒するんじゃねぇよ、可愛げのねぇ。
 お前さんが暢気に渡海しているからだろうよ。

[皮肉めいて絞った声は、僅かに上がっていた息を誤魔化した。
伸ばした指は、彼の頬から眦を慰めるように往復し。]

(51) momoten 2014/09/25(Thu) 00時半頃

【人】 墓荒らし ヘクター

[そこで、ふと口角を持ち上げ、彼の面差しと対峙した。
恐怖をご自慢の掘った穴に埋めて隠し、気丈に振舞う彼。
隠しきれていないように見えるのは、きっとそれが人の証だ。]

 別に構やしねぇよ、呼ばすとも俺が行けば良いだけの話。
 花に通うは蝶の特権――…ああ、もうどちらも違ったな。

[相変わらずの揶揄語り。
フェイスラインを辿る指先が、彼の小さい顎を捕らえ。]

 物知らずなお前さんじゃあ、舌が回んねぇと思うが。
 いや、どうせ、呂律も回らん時じゃねぇと呼びそうにねぇか。

[笑みを噛み殺しながら、彼の顎を引き、自身の首を傾けた。
空の左手を黒髪に差し、緩く梳きながら、静かに寄せる顔。

今度は、眼を閉じろなどと無粋を語ることもなかった。]

(52) momoten 2014/09/25(Thu) 00時半頃

【人】 墓荒らし ヘクター




 ―――…『エクトゥール』だ。 閨ではそう呼びな、櫻子。



[重ねた唇から、そっと、人の蜜を彼だけに注いだ。*]

(53) momoten 2014/09/25(Thu) 00時半頃

 お前も……しあわせに。

 おうじとして今、感じているしあわせも本当のことだろうと思う。
 けれど、今度は、花籠の外に生きる者として。

[きっとまた、別のしあわせを。]


 ――花主様、丁で遊んでくださいませ。

[御伽話を片手に。
天秤にかけた未来と悪夢。

顔を上げ。
いっとう艶めき微笑むのは、心を壊さぬよう仕舞い込んだ所為*]


嗚呼。
人に成るとかだったか。


―――好きにするが善いさ。


[男には興味もない。
花でも蝶でもないのなら。]


―――お前だけを愛してやろう、“丁助”。

[艶めく顔に、返すは歪な笑みひとつ。
さあさ、焔とひとつ戯れようか。

御伽噺なぞ、始まる狂宴に燃やしてしまえ*]


―奥の部屋―

[一階奥の部屋にて、揺り椅子がゆらゆらと揺れる。
座っていながらにして、まるで見下す男の瞳。
焔を捕らえたのなら、微笑み告げよう。]

立ったまま。
自分で自分の雄を勃たせてごらん。
指を絡め、扱き。

[さあ、と動かすは顎ひとつ。
きぃきぃと揺り椅子が啼いている。]

蝶が花を買いにやってきても
善しと言うまで、自慰をお続け。

[まだ見ていてやろうと、足を組む。]


【人】 墓荒らし ヘクター

[健気を抱えて海を越え、
考えたこともなかった世界に足を踏み出した彼。

やはり外の世界は怖いところだと怯えさせただろうか。
花が一輪で生きていくには果てしない世界。
けれど、二人で生きていくなら、きっとそう悪いものじゃない。]

 ――…櫻子、

[重ねた唇から注ぐ蜜は、彼の名前を象り。

控えめな指先が服に皺を刻み、
妙に甘やかな羞恥に彩られる彼に目元を緩めた。

彼が瞼を下ろしてくれて助かった。
己は今、大分緩い顔をしている自覚がある。]

(75) momoten 2014/09/25(Thu) 21時半頃

【人】 墓荒らし ヘクター


 ―――…良いさ、これから俺が教えてやらぁよ。

 どんだけ喧しく泣いて喚いても、もう、置いてったりしねぇ。
 
[彼は一度捨てられ、花となり。
今度は花籠を出でて、二度目の花となる。

悪辣で、傲慢で、身勝手で、我侭な、
けれども、唯一人を待っていた男の。


男は、恋に落ちる音を聞きながら、
物語の終わりに、美しい花御前《はなよめ》を手に入れた。*]

(76) momoten 2014/09/25(Thu) 21時半頃

【人】 墓荒らし ヘクター

― La Vie en cerisier ―

[彼を引き取った男が連れ帰ったのは、
小さいながら郊外より花の都見下ろす屋敷であった。
古い建物に関わらず、余り生活感がしないのは、
つい最近、手に入れたものであるから。

山賊か海賊か強盗宜しく、
諸所の手続き済ませたがる警察を振り切り、
彼を肩に担いで戦利品めいて攫った先。

玄関潜って、足は一直線に自室へ向かう。
屋敷自体は差して広くは無いが、中庭も抱えており、
彼に宛がわれていた個人部屋と比べれば雲泥の差。

しかし、手入れをする召使はまだ揃えておらず、
男の不精の片鱗覗かせ、薄い埃が積もる場所も。]

(77) momoten 2014/09/25(Thu) 21時半頃

【人】 墓荒らし ヘクター

 ―――…さて。
 うんと寂しい想いでもさしてやるんだったか。
 しかし、その前にお前さんにゃ、褒美をやらねぇとならんな。

[寝る部屋、と主張するが如く、広い寝台を収めた自室。
己の上背を納めても余る広大なシーツの海へ、
軽い彼をぽすんと放り、早速と言った調子で声を掛けた。]

 ……良く来た。櫻子。
 もう、花籠へやる心算はねぇが、閉じ込める気もねぇ。
 お前さんは何処へでも好きな場所へいける。
 だが、帰る場所は此処にしろ。此処以外は許しゃしねぇ。

 俺は強欲だが分別はある男だ。
 俺のものは俺のもの、余所のものは余所のもの。

(78) momoten 2014/09/25(Thu) 21時半頃

【人】 墓荒らし ヘクター

[堅苦しく喉を詰めるネクタイのノットに指を掛け、
布擦れの音を聞かせながら、傍に捨てた。
シーツの海に溺れる彼をサルベージする振りをして、
そっと寝台に片手を突き、顔貌を覗きこむ。]

 そして、お前さんは俺のものになった。

 呼べや、櫻子。ベッドで呼ばせたことはねぇ名だ。
 お前さんにこの先の分も、全てくれてやる。

[彼へと己の名を強請り、低く笑気を零しながら。
機嫌良さ気な身は、先ずは頬へと、淡くキスを捺して見せた。*]

(79) momoten 2014/09/25(Thu) 21時半頃

― 未来の話 ―

[冬も終わりに近づくある晴れた日、
鳥篭へと一通のファンレターが届く。
出版社経由ではないそれは、
シーリングに異国の文様を刻む異質なもの。

封を切れば、癖の強い文字が躍り、
彼の捕われた籠の中へ、何処か懐かしい香りを拡げた。]


Cher Belle ―――

 突然の手紙をお赦しください。
 貴方の著書を読み、筆を取らずにはいられませんでした。

 貴方の書かれた物語は大変美しく、我が国でも老若男女がこぞって貴方の世界に恋をしています。不幸の末に結ばれる結末は万民の心に訴えるものがあったのでしょう。

 けれど、私は貴書を拝読し、胸を高鳴らせる少女等とは別の思いを抱きました。
 貴方にとっては取るに足らないものかと思いますが、何卒このまま読み進めてください。

 風の噂で、この物語の結末は最初悲劇だったと聞きました。
 悲劇を変えた筆はなにを想い、結末を足したのでしょうか。
 幸福と言うのは私のような若輩者が語るものではありませんが、酷く多面的なものだと思っています。幸福な結末を迎えた物語の主人公は貴方から見て、幸せでしたか?


 私は貴方を知った気でいましたが、まだまだ足りないようです。
 興味と言っても差し支えないこの感情は、いずれ貴方の傍に寄るでしょう。
 貴方の一筆には才気が宿るのは周知の事実。
 ですが、貴方を満たすには長い時間が掛かるのだと思います。

 いずれ訪れる歪んで、何処か歪な幸いこそが、貴方の求めるものではないかと、そんな風に考えるのです。
 続刊を楽しみにしています。次は貴方の悲劇を、―――貴方から見えた結末を教えてください。



 ―――…そうそう、来週、櫻を連れて観光に邪魔をします。
 貴方の見つけた美しいものと、あまいショコラを用意してくだされば幸いです。



 ………また、貴方を識りに参ります。


――― Votre grand fan .... Amitié **


墓荒らし ヘクターは、メモを貼った。

momoten 2014/09/25(Thu) 22時半頃




[すきです、すきですと

 心がうるさいのです。]
 
 


 アイして下さいますか、花主様。

[言葉に何の意味があろうか。
枕元で囁くべきは、蝶へ、蛇への媚ばかりの筈。
本心が其処に含まれるとは、誰も期待などしないもの。

――魅せるべきものは主の期待をなぞり、唯唯快楽に溺れれば良い。

羞恥を目元に、吐息を震えさせ、望まれるまま。

着物をたくし、自慰を見せ、蝶の視線を遮るべく瞼を閉じて。]


【人】 墓荒らし ヘクター

[彼が掌から零れ落としてしまった沢山のもの。
幼心や好奇心は、これから己の庭で育てられる。
彼は自身を捻くれていると思っているが、到底同意できない。]

 お前さんだけの家じゃねぇよ。
 主人は俺さね、掃除や炊事でもしてりゃ暇も潰せるだろう。
 
 そうして、俺を待ちゃあ良い。
 もう、俺は蝶でも蛾でもねぇ。
 ―――…ちゃんと帰ってきてやるからよ。

[本当は、彼が家に明りを灯していてくれたなら、
それ以上望むことは何も無かったけれど、
愚直に告げるほど己は素直に出来てない。

今か今かと、必ず帰る己を、彼が待っていてくれるなら、
それで良い等、誰に注いだ毒より確実に己を侵す。]

(86) momoten 2014/09/26(Fri) 00時頃

【人】 墓荒らし ヘクター

 仕事は終わった。
 もう数刻経ちゃ陽も落ちる。
 
 夜まで待て? 冗談じゃねぇよ、何夜越えたと思ってんだ。

[低く笑った男が、何処から夜を数え始めたのか彼は知らない。
櫻が花弁を散らし、人に変わるまで、もう散々待った。

鼻先を頬に摺り寄せ、距離を詰め、空の右手が首筋に触れる。
武骨な感触を肌理に添わせ、衣の袷に指を掛けた。]

 眼ぇ、見ろよ。
 もう、隠し事なんざさせやしねぇ。

[言葉尻に足すのは、眦に捺したリップノイズ。
物慣れぬ生娘のような彼に興は挫けず、寧ろ笑みが深まった。]

 恥らえよ、特別だ。
 抵抗して良いぜ、お前さんを金で買わない初めての男だ。

(88) momoten 2014/09/26(Fri) 00時頃

ー未来の話ー

[ファンレターが来た。珍しいことではない。
隣国からのファンレターだということも、しばしばあることだ。
だが出版社経由ではなく直接僕の住まいに届くというのはなかなかあったもんじゃない。この鳥籠までわざわざ誰が…?

僕は封を切って中身を読んだ。
そして最後まで読み終えた僕はまた手紙の最初に戻って"Cher Belle"の文字を目に入れ、苦笑した。]

 美しいものとショコラね…はは。
 はいはい分かりましたよ。

[歪な幸い、ね。
手紙の主の来訪を待ち望んで歪められた口許は楽しみのためか、それとも愉しみのためか……

僕は指を節くれ立たせる筆胼胝に無意識に触れながら、さて美しいものとショコラは何を用意したらいいだろうかと考えた。]


【人】 墓荒らし ヘクター

[差し出した舌で頬を嬲り、足を左右に開かせるよう膝を進めた。

強引ではあるが決して無理強いでない所作は、
今まで彼に見せてきたような、花にする手順ではなかった。
僅か和装を乱せば五指は平たい胸を這い、鼓動を手繰る。]

 ―――…櫻子、

[元より低い声が、彼の傍で空気を揺らす。
ゆっくりと摘み上げた乳嘴を柔らかく親指の腹で擦り、
硬い皮膚の感触が、心音を引き上げるように懐いた。]

 ………愛いやつよな。

[毒でも蜜でもなく、真情からこんな言葉を吐き出すような男だと、自分でも知らなかった。*]

(89) momoten 2014/09/26(Fri) 00時頃

―――丁助、誰が目を瞑れと?

[たくしあげられる着物の隙間に揺れる雄。
触れなどしない。
嬲りつけるように触れるのは視線。]

こんなにも愛してあげているんだ。
ほうら、その瞳を私にむけておくれ?

[やがて蜜でも溢し始めるだろう。
触れることなく、男は揺り籠の上。
痴態をしかりと、その目に刻む。]


 ――畏まり、ました。

[赤褐色を、愉悦を浮かべているだろう花主様へと。
眉に快楽と戸惑いが毀れる。

アイしてくださるお方への余興。
自身のモノを扱く手付きは、早く終われと滲む雫に構わずに。]


お前のものはどうなっている?
よく見えないんだ、教えておくれ。

[鬱蒼とした髪を晒し、垂らし。
その手が扱う肉欲の状況を示せと唄う。]

はしたない蜜が垂れているね。
甘い味か、口に入れて試してごらん?

[先から溢れる透明な滴を
自分の口へ運べと告げる。
抗うことなど赦さぬ、強制。]


―――まだ、果ててはいけないよ?

[早くなど終わらせぬ。
悪夢を、君に。]


[まるでそうなるを予見していたかの如く。
取り出すは紙束。
月の頬を叩いての揶揄。]

慈善事業など私はせんよ?

これは貸すんだ。
これで科すんだ。

枯れ花よ、花籠へ戻る覚悟が在るのかい?

[答えも聞かず地に撒く紙吹雪。
撒いては、
舞いては、
降り積もる。]


枯れ花に買い手など、つきにくかろうに。
座敷を用意してやるという言葉。
どういう意味かお考え。

[歪んだ笑みひとつ。]

新しく部屋を用意してやろう。

[歪、いびつに。]

―――藤の間がいいかねえ?

[藤が咲いていた、過去の部屋。]


お前は金で“人”を買うんだ。
お前は金で“人”に買われるんだ。

忘れず、覚えておくことだね。

お前は枯れても咲かねばならぬ。
出来るだろう、朧。

苦悩に歪むが一等美しい月花よ。

[宵闇の髪を揺らして *嗤う*]


 
 
 
―――“愛”を、金で買っておいで?
 
 
 


[ただ黙したまま、頭を垂れたまま。
面白がってか協力的なのか、よく解らないままだったが、望みが叶うのなら何でも構わない。

ただ黙って降り積もる紙吹雪をかき集め拾い集め。
藤の間、には流石に肩を揺らし反応を示すが。
それ以上花主様を楽しませられるような事は無かっただろう。]


 ……できますとも。

 鮮やかな色彩の花にも、朝露を纏った清らかで美しい花にも。
 劣らぬ程見事に咲き乱れてみせましょう。

 花主様が折角用意してくれた場なのですから。


[意地の悪い指示に、従う以外の選択肢は無く]

 本当に、ご覧頂けていないと……?
 貴方様のご命令、にて。
 男、として、役割を果たせる大きさに育ちました。

[は、と熱の篭る息を吐き。
言われる通りに、指先に雫を掬い下に乗せる。]

 甘い蜜とは程遠い味、ですね。

[知っている。
嘲笑じみて歪む唇。
それが自分にか、それとも目の前の主へのものなのか、認識することも拒み。

ぬるついた欲情から逃げ出したく思うのに、それを許さぬ冷えた言葉に、指先は止まる。]


男としての役割?

[男は単語を拾い上げる。
歪んだ唇が開いて、嗤う。]

くふっ
ふ、は、ははは!!

笑わせることだねえ。

“男としての”?
違うだろう?

[ぎしりと音立て、立ち上がる。
蛇が離れた揺り籠が揺れる。]


[眉根による皺に這う舌。
歪め歪めと、言葉が丁助を締め付ける。]

お前が望んでいるのは。

組み敷かれ、
尻の孔を突かれ、
淫らに喘ぎ、
女のように果てること。

そうだろう?

[舌は這う這う。
耳を嬲り、首筋に歯を立てて
朱の咬み痕を痛みと共に残し。]


甘い蜜でなければ、苦い毒かな?

[氷のように冷たい指先。
触れるのは熱ではなく、
扱くのをやめたその手へ。]

果てるなとは言ったが、休めとは言っていないよ?
さあ、お続け。

私が手伝いをしてやろう。

[根本を握るなどしてやらぬ。
休む指先をそっと撫で、動かさせ。
声をお聞かせと、耳に囁く。]


[近付く宵闇色に、焔は半歩後ずさる。
堪えるのが花としての生き様か。

触れる距離に飲み込まれ、記憶に焼け付いた痕が身体を強張らせた。]

 決して、そのような……ッ。

[否定は僅かに悲鳴の音色を帯びる。

淫靡に委ね始めるべきまで張った熱が、怯えに急速に包まれて、混乱する。

笑みは薄れ、侵食する水音に跳ね、首筋への痛みに息を呑み、唾液に濡れた眉根をさらに寄せ。]


 ……手伝い、など、
 花、主様、お、やめください……

[肌に触れる黒い絹さえ冷えて感じる。

別の生き物のような指先に動かされ、熱くなり過ぎた全身が震える。
羞恥と快楽に上がる小さな声が、花主様の耳元へ。

余裕は剥がれ、剥がされて。]

 あ、……あっ、駄目です、
 花主、さ、まっ、もう……


[退路は絶たぬ。
けれども逃がさぬ。
否定紡ぐ口許に笑みは消え、
本来の“丁助”が露にされていく。]

素直で可愛い、丁助。

ほうら、男に見られながら
ほうら、男に詰られながら
ほうら、己の芯を己で持って

お前の熱はどうなっている?

[下部からも耳からも犯すは水音。
やがて堪えきれず飛沫をあげるか。]


[果てたのなら、リヤサに白が飛び散ろう。
厭わず、構わず。
次には果てたばかりの肉棒に直に触れ。]

果てていいなんて誰が言った?

初めも我慢ならずに吐き出していたなあ。
その後、私に突かれて狂い悶えたのだったか。
けれども、あの時は甘やかした。

今日はちゃんと“仕置き”が必要だ。

[そうして落とす、優しい口付け。
啄み、吸い、絡めては嘗め。
まるで愛しいものに落とすそれ。]


さあ、丁助。
私によおく見えるよう。


―――机に乗って、足をお開き。


[揺り椅子には座らず。
こんこんと重厚な机を鳴らす。
自ら座れ、自ら開け。

深く濁った闇夜が見詰める。]


 や……ぁっ、あ……
 素直なん、かじゃ……

 あぅ、あつくかた、の……が、もう……ッ!

[いやだと頭を振り、蕩けた声を響かせる。
身を震わせ、白に弾けた熱が黒い布地を汚す。

呆けていられたのは僅かな合間。
白濁が垂れたものに触れ、冷えた指先が音を立てる。]

 もうし、わけ……ご、ざ、ませ……


[舌を絡ませ、黒に触れ、思い出す。

唾液の甘さ。
受け入れる絶望。
弄ばれる悦び。

抗う感情と堕ちる身体が鬩ぐ。

そして狡猾に、自らに対して理由を差し出すのだ。
"望まれたから従うしかない"のだと。]


[布団の上では決して無い感触の上に腰掛け、おずおずと足を広げる。
恥らいと共にあるもう一つの自分から目を背けながら。]

 ……丁を、躾けてくださいませ、花主様。

[着物を肌蹴けさせ。
萎えぬ中心を見せるよう腰を浮かせ。

笑みを削ぎ落とすかのように、切なげな貌が媚を吐く。]


【人】 墓荒らし ヘクター

[己の一言に頬を桜色に染める様は中々如何して。
あんなに可愛げなく、凛と咲いていた花の癖。

触れるたび、語りかけるたび、彼が隠していた内側を理解する。

ついつい笑みを噛み殺し、胸を擽る快諾に吐息が弾む。
淡い体温が彼の肌に染み、唇で追いかけ接吻を降らせた。]

 しかし、お前さんは案外、強情で寂しがりじゃあないかい。
 牆壁を立てて、花籠に篭城して、顔を見せれば逃げちまう。
 そんな男から寂寥を溶かせ?

 ―――…生涯の大業になりそうだ。

[面倒くさそうな口振りを作って見せるが、
彼の素直に引き摺られ、形ばかりも煩わしさを醸せない。]

(112) momoten 2014/09/26(Fri) 20時頃

【人】 墓荒らし ヘクター

[彼が身じろぐ度に黒髪が揺れ、夜を模して拡がり行く。
夜に融けてしまいそうな櫻を捕らえ、首筋に顔を埋めた。
顎の付け根を強く吸い上げ、散らす花弁。
血脈を辿り、露わになる鎖骨に浅く歯を立て、甘く紙散らす。]

 抵抗しないのかい?
 ……なら、美食を邪魔されねぇってことか。

 ―――…甘ぇな、お前さんは。

[彼の性格か、彼の味か。
詰る声すら糖度が絡み、喉が焼ける心地。
だが、悪くない。いや、癖になりそうだ。

じりじりと指の腹で尖りを潰し、凝った末端を愛撫。
時折、惨く引っ張り、直ぐに爪先で掻いて慰める。
じわりと膝の皿で彼の股間を押し上げれば、高い声を聞いた。]

(113) momoten 2014/09/26(Fri) 20時半頃

【人】 墓荒らし ヘクター

[そうして、双眸を細め、匂い立つ色香に瞳の奥が焦げていく。]

 ……お前さんに眩むとは、俺も随分末期よな。

[花としての色では無いと知りつつも、
首裏に欲が這いまわる心地を往なせず、慣れない。
己はいつもその前に奪って、身の充足を得ていた。

けれど、此度ばかりはそうもいかない。

臆病で、意地っ張りで、何かと喧しい―――、
可愛い櫻が愛着を求めているのだ。

否など、どの口が唱えられようか。
花落ちるより、花に落ちるとは、真に度し難い。] 

(114) momoten 2014/09/26(Fri) 20時半頃

【人】 墓荒らし ヘクター

[指先を胸より退かせ、脇を滑らせ、腰に至る。
彼の強請る声色にずくりと疼く下肢を抑え、
白く長い両の足を開かせ、下着を容易く払った。

同時に彼の腰を持ち上げるよう手繰り、和装の下衣がはらりと捲くれ、彼の屹立が視界の内。
更に覗かせた舌先が彼の菊座の内へと侵攻。

傲岸で悪辣なはずの男は、彼の身体を労わり、熱い軟体で窄まりに触れ。ぴちゃりと鳴る水音は酷く生々しく。
手ずから準備などしたことの無い男は丁寧に、丹念に、体液を彼の縁へ注いで、また滑らかに掘削。
彼の呼吸の合間を狙い、秘所が拓く度に浅い内壁を舌が巡る。]

 ―――…熱ぃ、挿れたら融けちまいそうだな。
 お前さんの中に、全部。

[更に身を引き寄せ、彼の背中へ己の滾る熱を押し付けた。
彼の内を犯したがる欲は着衣越しに脈を刻み、
それでも、果てない熱を堪え、彼を慈しみ愛でる。

花を扱うより柔らかな手順。
彼は、恐らく今後、二度は逢わない、そういった特別な人。*]

(115) momoten 2014/09/26(Fri) 20時半頃

 

  
殺したかったのは、―――私だ。
 
 
 


[今に還るは、強請る声。
自分を躾けろと足開く姿。

そこに咲く色は、朱。

揺れくゆる、焔。]


お前は、“丁”。

私の可愛い、“ちょう”。


[狡猾に理由を差し出しては
色を重ねているのだと言い聞かす。

そこにある色が別と分かりながら。

二度と狂い咲かぬよう。]


[懐から取り出すは、豪奢な万年筆。
丸みを帯びた細い棒。
先端汚した蜜を絡めとり、
開かれた足の奥へと滑り込ませ。]

さあ、自分で動かしてごらん。
ほぐすついでだ、できるだろう?

お前が飲み込むそれは
私が普段使っているものだよ?

ペン一本、すぐに飲み込むはしたなさよ。
中はどんなふうに締め付けている?

[言葉で詰り、行為で嬲り。
自らで動かせと手を離す。]


お前が自ら欲しいというまでだ。
見ていてあげよう。


私の可愛い―――…

 


【人】 墓荒らし ヘクター

 ―――…、……おぅ。

[彼の甘えた声が愛いなんて言ってやらない。
彼に惹かれているとも、見せたくない。

しかし、相手は賢しい手練だ。
語尾の微かな揺れに混ざる希求すら、きっと彼に伝わる。
寂寥感を満たし、隣に並び、同じものを見て、心を添え、
―――二人で生きることに、応と返したのだから。]

(125) momoten 2014/09/26(Fri) 22時半頃

【人】 墓荒らし ヘクター

[れろりと柔らかな舌が形を変え、浅い場所から攻め立てゆく。
窄まりが竦む度に口付けを与えて慰め、
襞を軟体で掻き、唇が自然と円弧を形作る。]

 ――…見えるかい、櫻子。
 一丁前に、すっかり感じてるじゃねぇか。

[戯れに五指で彼の屹立を撫で、雫をささやかに払うと、
彼の薄い腹へ、パタリと淫液が散った。
武骨な指間でねち、と捏ねる糸を見せ、
性器と繋がる卑猥な光景で彼の恥辱を煽る。

己の舌で、指先で、彼が啼くのは酷く心地が良かった。
満ちるほどに飢えていた数多の夜と一線を画し、
着実に腹の底へ溜まっていく。

うつくしい櫻の一片が、何枚も、何枚も。ひらひらと。]

(126) momoten 2014/09/26(Fri) 22時半頃

【人】 墓荒らし ヘクター

[淫蕩な身体は熱く、己の身にも伝播した。
たっぷりと濡らした内壁を挫くように、舌を尖らせ、
蠢く柔襞を擦り立てて、彼の身体を拓いていく。
軟体を伸ばし、粘膜を啄ばみ、蜜を啜る。
飲み込んだ分は、きっちりと後ほど返せば良い。
たっぷりと、彼の中に。

ハ、と零した吐息が窄まりを嬲り、痙攣を誘う。
途端、己の左胸の辺りに加圧を覚え、少しだけ片眉を顰めた。

こんな感覚を、己は知らない。
覚悟はしていたが、この蜜だか毒だか知れないものは良く回る。

軟体を蛇行させながら、絡みつく内襞を刺激し、
彼を浸食していた軟体は緩やかな後退を選んだ。
見下ろした彼に、我慢できないなど言いたくない。
奪いたいと言うには、ぬるま湯に浸りすぎて、
欲しいと紡ぐには、柄でもない。

だから、口から付いて出たのは飾り気の無い一言。]

(127) momoten 2014/09/26(Fri) 22時半頃

【人】 墓荒らし ヘクター

 ―――…好きだ、櫻子。

[らしくないと己を窘める前に、彼の膝を大きく開かせた。
答えなど聞いてやらない、呼べば良いのだ。

彼にだけ与えた、己の名を。
本音を紡ぐ、蝶ではない男の名を。]

(128) momoten 2014/09/26(Fri) 22時半頃

【人】 墓荒らし ヘクター

[眼差しを邂逅させた途端、下肢に凄まじい圧迫感を与えた。

強大な質量が彼の華奢な身体を軋ませ、めり込んでいく。
時間を掛けて、己の熱量を彼に教え、腰を揺すると、己の腰に焼けるような熱が拡がった。]

 ―――ッ、
 狭ぇな、あんまり熱烈に歓迎するんじゃねぇよ。

[片眉を揺らしながらも、己の楔は歓喜に震え、
彼の中で最終的な成長を遂げ、空隙をみちりと埋め尽くした。

足を抱えなおし、熱くなった己の身体を更に押し付け、
彼を掻き抱くように上体を倒してゆく。]

 ………好きよう、溶かせよ。
 ――――…全部、お前さんにくれてやらぁ。

[彼の両脚の間で揺れる屹立に指を添え、
緩く扱く律動に合わせて、ズン、と深く彼を突き上げた。
粘膜に接吻捺すような一打、熱を払う瞬きに合わせ、音もなく、満足そうな笑みを見せた。*]

(129) momoten 2014/09/26(Fri) 22時半頃

[身体は花の所業に染まり、抵抗無く細いものを飲み込んだ。

白に濡れた先端は、面白いほどに滑る。
与えられた其れを握り、くちりくちりと淫音を奏で。]

 形……を、覚えるよう、に。
 ナカ、が、ッ……
 きゅうと、なって……

[自らの身体を知る指先が、刺激を求め揺れ動く。
はしたなく、快楽に浸るべく。

嬌声を滲ませながら。]


 っ……
 嫌だ、嫌です、足りません……
 このようなものでは、もう。

[満足できぬ身体なのです。

堪え切れずに、根を上げるのは、きっとすぐの事。
再び熱をもたげる雄から、とろりと蜜を滴らせ。

まるで涙のように。

認め、腕を伸ばし、求めたのは、――。]


 
 
[ けれど、僕は あの御方に逢うことが出来たのです。 ]
 
 


 
 
 おいていかないで。
 
 


 おかあさんのように
 ぼくを
 おいて、おいていかないで。

 いいこにするから
 わらっているから

 なかないから。


【人】 墓荒らし ヘクター

― 花蝶の夢 ―

[厭だ、と声が聞こえた。>>4:71

確かな拒絶は、胸に降り積もり、心を冷やしていく。
寄り添えとは思わなかった、理解されたいとも。

ただ、一時。海を渡る際に、抗えぬ本心に従っただけ。

けれど、それも。
蝶の、或いは夜蛾の、或いは毒虫の夢想だったようだ。

強く握り締めた徽章が、共有しようとした約束が、
己の強靭な心が、脆くも砕けてしまいそうだった。


所詮、花は花でしかなく、蝶は蝶でしかない。
どちらも人から酷く遠い、幸いなど夢物語。]

(141) momoten 2014/09/26(Fri) 23時半頃

【人】 墓荒らし ヘクター

 
 
[その夜、己は購った花を抱いた。]
 
 

(142) momoten 2014/09/26(Fri) 23時半頃

【人】 墓荒らし ヘクター

[手荒く扱うのは花として、虐げるは蝶として。
厭だ、厭だと膨れる彼の本心など理解もせず、
剥いた背中に罰として爪を立てた。

もう彼は花でないと花主は言う。
だが、違う。花とは金に縛られる者のことではない。
花とは、咲くことしか出来ぬ者のことを言うのだ。

花を買うには花籠を、花を飼うには植鉢を。

強姦めいて貫き散らした櫻の花。
櫻は散ったか、未だ咲くか。

――――いよいよ、この手で散らそうか。]

(143) momoten 2014/09/26(Fri) 23時半頃

【人】 墓荒らし ヘクター

[中に幾度も精を放ち、身体の奥底から悪辣で汚した。
酷使した秘所は紅く熟れて、創を負っているかもしれない。

しかし、そんなことは如何でも良かった。
抱き潰して意識も虚ろな彼の黒髪を掴み、
己の逸物を彼の乱れ髪で拭った。

彼が身体を捩る度、下の窄まりから精液がゴプリと零れる。
粘性の白濁は濃く、毛先から爪先まで欲に塗れた花。

それでも何故か満たされないのは、いつものこと。
いつも以上の茫漠を抱えている事実からは眼を逸らした。]

(144) momoten 2014/09/26(Fri) 23時半頃

【人】 墓荒らし ヘクター

 知っているかい、櫻子よ。
 お前さんは今宵で御役御免だ。

 お前さんは捨てられたのよ、
 あの花主にも。この花籠にもな。

[襤褸のように扱い、牀榻に捨てる彼の体躯。
本当は彼に預けようとした徽章が、己の証を手の中で転がし、
そっと、彼の顎を掬う。もう咲くことしか出来ない花を掬う。]

(145) momoten 2014/09/26(Fri) 23時半頃

【人】 墓荒らし ヘクター


 ―――…拾ってやるよ、感謝しな。
 お前さんは誰かを慰められりゃそれで満足だろう。
 俺がお前さんのちっぽけな価値を認めてやらぁ。


 ………煩わしさなんてな、慣れてるよ。

[彼を傷つけ、根を刻み、切花へと変えていく。
返し刃で抉られた心は血を噴出すが、彼も己も泣けはしない。
何処まで行っても交じり合わぬ蝶と花の末路。

鋭い徽章の切っ先を、彼の耳に宛がい、力に任せて貫いた。
吹き出る血は、涙の代わりであれば良い。
痺れを伴う指先は、歓喜に震えるものだと誤魔化した。


                           彼は手に入れた。
                     もう、それで良いじゃないか。
                  これ以上の形などありはしない。]

(146) momoten 2014/09/26(Fri) 23時半頃

【人】 墓荒らし ヘクター


[彼は花、己は蝶。夜の全ては夢物語。

狂おしい涙も、甘い口付けもなく、彼は男に手折られた。]
 

(147) momoten 2014/09/26(Fri) 23時半頃

【人】 墓荒らし ヘクター

[男は花を海の向こう側へと連れ去った。
居場所を失った花は摘まれた悪辣に抗う術を持たない。

古びた屋敷の庭は荒れ果てて、雑草ばかりが背を伸ばしている。
土いじりな得意な花に庭師の真似事などさせはしなかった。
墓守の真似も、もうさせない。

首に輪を掛けて、地下に繋いだ花は、
色ばかりを増すのに、何故か死体のように思えた。



櫻の下に埋まった、亡骸のように思えた。]

(148) momoten 2014/09/26(Fri) 23時半頃

【人】 墓荒らし ヘクター

[張型にたっぷりと塗した蜜は、彼の身体を火照らせるもの。
帰宅まで飢えていろと言わんばかりに、
嵌めた貞操帯が彼の飢餓を一層深いものへと変えていく。
唯一人の主人の帰りを、渇望させるように。

三日と空かず彼を抱く主は、今宵も地下へ続く階段を下る。
終わりの無い淫欲の中、飼われる花は、
今宵も男により花弁を開くことになる。

終わりは知らない。或いはもう終わってしまった。
出口も行き先もない、長い長い夢のようだ。

何処かで間違えたとは思わない。
櫻は余り笑わなくなってしまったが、
翅を休めるだけなら贅沢は言わない。

ギィ、と重厚な扉が開き、一糸纏わぬ花に向けて、
せめて悪どい笑みを作って、苦いものを飲み干した。]

(149) momoten 2014/09/26(Fri) 23時半頃

【人】 墓荒らし ヘクター



 ただいま、―――…俺の花。


[慾と悦に塗れた一時が始まるはずなのに、
自分の声は自棄に冷えて聞こえた。
気のせいだと、自身に言い訳をする回数は増え続けているが、
最早、そんなことにも気がつけない。

男はそろりと、青白くなった櫻花に手を伸ばす。
今宵も彼の耳朶で、己の本当の徽章《おもい》が輝いていた。]

(150) momoten 2014/09/26(Fri) 23時半頃

【人】 墓荒らし ヘクター

[さぁ、明けない夜が始まる。
すれ違ってしまった想いも、教えられなかった名も、
全てを隠して、永く、闇い、夜の始まり。


今宵も光を恋うて、夜蛾が――――、

                        * 櫻の梢に留まった。 *]

(151) momoten 2014/09/26(Fri) 23時半頃

はしたない、淫らな“ちょう”よ。
十分喜んでいるというのに、足らんと言うかい?

欲張りなものだねえ。

[嬌声滲ませ揺れ動く体。
痴態を晒す、焔花。
中を犯すは人の熱でなく、
無機質で冷ややかな万年筆。

男はゆらりと立ち上がる。

蝶が花を買い付けに訪れたなら
その秘所晒すように言いつけよう。
時には指先で溢れる蜜を掬い上げ。
喚く口の中へと運んでやろう。]


[知っている。
重ねる色が違うこと。

知っている。
造花の振りを望むこと。


―――“私”と“お前”は背中合わせ。


向かい合うことなど在りはしない。
あってはならない。

“ちょう”になりたい男と。
“花主”たる男なのだから。]


―――おいで、丁助。

[おいでと言いながら。
圧し入る熱は硬く。
初日花開かせたのと同じよう。
否、それよりも荒さは増そう。]

丁助。

[耳に落とす冷たい声。
氷の微笑は、歪んだ想い。]

“ちょう”。

[重ね合わせてすり合わせ。
穿ち貫いては、内へと爆ぜる。]


[雁字搦めの錆びた楔。
幾度も打ちつけ。

花を *手折る*]


【人】 墓荒らし ヘクター

[やらしい顔で笑った彼に文句はつけない。
どうせ、彼に見透かされている。

取り繕い、隠すのは、今だけやめておく。
無粋だからじゃない、―――余裕が足りてないからだ。]

 堪えた甲斐もあったってもんだな。
 良い顔だ、寝所に鏡置こうぜ。
 お前さんに見せてやるよ、―――…教えてやるよ。

[彼が己に抱かれてどんな顔をしているか。
揶揄ではなく、本音からふざけた言葉を吐き出して笑う。
逸れてしまった彼の気を惹くように。
罵声でも悪態でも、彼の声が聞きたかった。

余りに稚いと脳裏に巡ったが、無視をした。
もう、彼に何も隠さないと決めたのだ。]

(167) momoten 2014/09/27(Sat) 01時頃

【人】 墓荒らし ヘクター

[伸びてくる両腕に身を寄せる事を、花の頃は忌避していた。
彼を買う数多のように、慰められるだけの男になりたくなかった。
言えば、きっと笑気を誘うので言わないが、
彼の抱擁に応える今は、考える以上に特別な意味を持つ。

貫いた痩躯を抉るように腰を突き出して、愉悦を追う。
強引に腰を使い、圧倒的な質量で追い詰め、
奥底ばかりを亀頭懐かせ、柔く解いた。

重ね合わせた脈動は、お互いの心音として交じり合い、
触れた場所から境界線を見失って、融けていく。
確かに彼の寵愛するショコラよりも、甘い。]

(168) momoten 2014/09/27(Sat) 01時頃

【人】 墓荒らし ヘクター


 ―――…櫻子。いつか、俺が。
 お前さんの寂しさとやらを、埋められたなら名を教えてくれや。

 捨てたなんて言わせねぇ、失くしたとも。
 ……お前さんの全部を、俺に寄越せや。

[彼が苦労の果てに多く捨ててきたもの。
一朝一夕では理解出来ない悲しみを、己は生涯掛けて知る。

彼が庭に埋めてしまった心の欠片を野蛮な男は掘り起こし、
一つずつ彼に持たせていく。土いじりなど趣味で無いのに。

背に立つ爪に唆され、彼の屹立を追い上げると共に、
二度、三度と深い場所を激しく突き上げた。
彼の薄い腹に波を立たせ、離さぬように強く擁した。]

(169) momoten 2014/09/27(Sat) 01時頃

【人】 墓荒らし ヘクター


 ――――……ッ、

[どこにも行くな、と囁いた擦れ声は、呻き声に紛れた。
同時に、迸る熱が彼の奥で弾け、奔流が爛れるような熱を撒く。
飛沫は浸潤と犯し、息を乱して重ねる肌。

視界に納まる輝石の雫が、酷く尊いものに思えた。
黒髪を掻き抱いて、引き寄せ、キスで噛み付く。

誰にも渡さない、誰にも見せない、誰も知らない、
己のだけの雫は、己の腹ではなく、胸を満たしてくれた。]

(170) momoten 2014/09/27(Sat) 01時頃

【人】 墓荒らし ヘクター

 
[恋に落ち、涙が落ち。
 彼と己は、想いで心と身体を埋めていく。

    きっと、この生温い感覚の名を、
            ―――――― しあわせ と、呼ぶのだ。*]
 

(171) momoten 2014/09/27(Sat) 01時頃

 
 あゝ。
 煩わしさなんて、滅相もありません。

 『花』でいられると謂うのなら。

 僕はなんでもいたしましょう。


[その時の僕はどんな顔をしていたのでしょう。]


 
 
[一粒、涙が零れました───**]
 
 


【人】 墓荒らし ヘクター

― そして ―

[悲しみを埋めた果てに、彼は名を教えてくれるらしい。
命題と言うには聊か、大袈裟だがそんな生き方もそう悪くない。
ポッと明りの灯る家に帰ること。
異国の著書を二人で読み耽ること。
斜めに植えられた桜で花見をすること。

己の名を呼ばれること。


そんな、彼の名を、己はきっと知っている。
そう、彼の名は、


           * しあわせ と、言う。*
                                      ]
 

(189) momoten 2014/09/27(Sat) 02時頃

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