人狼議事


208 【突発誰歓】ーClan de Sangー【R18薔薇】

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視点:


[跳ね上がる声は、申し訳なさげに喋る普段のものと同一の喉から発されたかに思えぬほど甘く耳打つ。
声に揺れる腰ち握りこんだ手の中で硬さを増し先濡れする竿が、
己に更なる昂ぶりを齎す]

 ん。

[気配に応えるような声は、外にいる者の名であろうと推測する。
如何な用かと、鎖骨の赤に目が止まった頃には既に立ち去った後。
そういえば、己はこの者の名も知らないままだ。
いや、嘗ては訊いたのかもしれない。
何時からか、人の名を覚えることを止めた己の記憶にある名はニコラスとシュロのみ]



 無論、そのつもりだ。

[入れていいかとの問い掛けに、
答える間もなく、傷持つ腕が自ら後ろへと廻り何やら動く]

 それが素か?

[敬語でなくなった問いに微笑み]

 俺の名を知っているか?

[問いを重ね、片手をこの者が弄る同じ場所へ向かわす。
傷に触れ、指先に血を滲ませ、解そうとしている窄まりへ重ねる]

 無茶をするな。
 お前の血で濡らせば……ほら。

[指先で周囲を濡らし、涙溜め、試そうとしていた指を入れさせる]


 どうだ? 
 爪立てぬよう、ゆっくり掻き回すことだ。

[やがてそこが馴らされれば、座らせた姿勢のまま、
圧迫するように挿し入れて。

落ちぬ涙は乾いただろうか、更に潤みを増しただろうか、
腰を突き上げるよう動かしながら、指の腹で目の縁を擦る]

 ………、………ッ。

[徐々に己の呼気も荒く浅いものへと変わり、
血と汗の匂いが大気を湿らす。
どちらが先に達したか、己の精は脈動と共に内奥へと放たれる]


[シャワーを出して手を伸ばす。
 冷たい水が肌を打って、体温が奪われている。
 だからか、小刻みに震えているのは。

 流れ出る色は酷く澄んでいて
 洗い落としたい赤など滲みもしない。

 何故だろう。
 なぜ、手が赤いのだろう。]


[その手の中、弄ばれるように指が動けば、先走りが絡む音。
音が、耳の縁から脳の芯へと沁みていく錯覚。]

 っは、……はッ、……ぁ、 

[その視線が体を這う。
鎖骨の一点で止まるのに、薄ら、昨晩の断片を思い出すか。
指先の動きの仔細を、言葉のやり取りの全てを、思い出すことまではできず。

持ち上げた腰の下、窄まりに触れる熱の切っ先。
未だ硬く閉じた其処は、息乱れた状態では自らの指すら拒んでいる。
もどかしさに瞼を閉じるも、問いかけに視線ごと上げられる。]

 ……素、……なんだ、と、……思う、……

[そも、敬語が身につかなかった最たる理由は、かつて主人の前で口を開かなかった事にあるのだろう。
敬語も、読書も、上達しないままに。]


 ライジ、……

[記憶の覚束ないとはいえ、ここに居る者の名前は覚えている。
眼前の者が覚えておらずとも、自分は、確かに。

名を、という問いにそう答えたけれど、少しばかりの間を置いて。
思い出すのは、先程のやり取り。]

 ……ライジ、さま、?

[主人となると言うならば、そう呼んだほうが正しいのだろうか。
そっと、確かめるようにそう口にすれば、微か目を細めて首を傾ぐ。

傷へと触れた指が、滲む血液を拭い取る。
薄い肌に触れた事にすら、大袈裟に体を跳ねさせた。

赤に濡れた其処は、促されるままに指を受け入れていく。
爪を立てない、ゆっくりと。
硬く唇を引き結んだまま、小さく幾度も頷けば解す指の数は増える。]


[やがて、十分と判断されたのならば、腰を落としながらその熱を受け入れる。
指よりもずっと奥へと侵入するのに、慎重に事を進めようと試みるが、]

 ……は、 はッ、 あ、 ぁア、 ぁッ
 ―――-ッ、く、 あッ ……!

[滑らかなシーツの上、慎重に落とす腰が重力に負ければ、残りの分を一息に収めることになるか。
一際高く、高く上がる嬌声。
衝撃を緩和するように呼吸を試みるも、しゃくり上げるような呼吸では尚更に自分を追い詰めるばかり。

落ちた涙の粒に、その指は伸びる。
それでも、体の下、突き上げる動きに応じるように、腰を揺らす。
自ら悦い箇所にその切っ先をと、ただ快楽を求めるままに委ねる。

シーツへと突いていた掌は、無意識的にその腹へと移動する。
汗と混ざった血液が、腕を伝ってそのガウンを点々と汚した。]


 ……っ、ぁあ あ、 …… っは、 ……
 は、……ぁ……

[達したのだろうと察したのは、内に流れ込む感覚から。

見下ろした自らの茎は、区切りのように達した様子はない。
ただ、突き上げられる度に零れた先走りは、だんだんと色を濃くしていったのだろう。
二人分の体の隙間へと、溢れさせた白濁は添う。]

 ……ッ、ん、 ……ぅ、う、

[それごとを引き剥がすように腰を持ち上げ、内で達した茎を抜き取る。
傾ぎかける体。
それでもその体へと倒れずに支えたのは、支えておけと告げられたから。]


【人】 理性子 参休

[随分と遅い目覚めの後は、ふらふらと片付けばかりをしていた。
 寝乱れたと言うには随分と皺の寄った着物、ケイイチがまだ寝台にいたならばその双眸と交互に見つめて、吐息のみで笑う。替えの着物に袖を通すと汚れ物を抱え込み洗い場へ]

[湿った洗い桶に水を張り、腰紐をたすき代わりに背へ通す――露わになった左腕には、掌程の範囲で重なり合ったいくつかの古い傷跡がある。
 短刀を肌に立てて引いたかのようなそれらの傷は、頭に残る縫い跡とは違い、きちんとした縫合を受けた様子がなかった]

(11) 2014/12/27(Sat) 12時半頃

【人】 理性子 参休

[夕餉を告げる鈴が鳴り響いたのは、卓上に広げたままの半紙を窓際の山に重ねていた時の事。ちらりと外を眺めた後、素直に応じて部屋を後にした。
 シーツの陰になる位置へと干した着物は、自室の窓から見えない位置にある]

(12) 2014/12/27(Sat) 12時半頃

理性子 参休は、メモを貼った。

2014/12/27(Sat) 12時半頃


[苦笑という作り笑顔を零し、シャワーへと落とした表情はどんなものだったか。
 湯気が何もかも隠せばいい。
 どうせ、似合いもしない傷ついた顔をしているのだ。
 傷付く権利など、ありもしないのに。

 性急に剥がしたタオルは、そのまま足元へと落とした。
 他の雄の香のつく、邪魔なもの。
 その体を他の相手には晒すのに、自分には晒したくないのかと。
 包帯に巻かれたその傷口を、誰にでも簡単に見せるのかと。
 酷く醜いものを裡に湛えて。]

 ……気持ち悪かろうが、我慢し。

[シャワーの取り付けられた壁に彼を向かせて、強引に腰を突き出させた。
 指がなぞるのは、誰かと繋がっていたであろう場所。
 とろりと、いまだ白濁の残るそこに触れて。]


[真白のタオルが、床の水滴を吸っていく。
腰へと伸びた掌に、傾ぐ体を眼前の壁に腕を突いた。
注ぐ湯が、肌の上を滑っていく。
日頃、拭うだけに留めていた体を、暖めていく。

けれど、肌を赤く染めるのは、その湯が原因ではなく。]

 止め、 ……そこは、いい、
 自分でできる、 ……できるから、……ッ

[引き攣れた、懇願の声。
その一瞬で振り払えばよかったのかもしれない。
指が触れた瞬間、身体はびくりと硬直した。]

 ……ぅ、 く、

[咄嗟に飲み込んだ声は、悲鳴の音に似ていた。

歯を食い縛り、瞼を伏せる。]


[肌に朱が差す。
 背中にはずっと塞がらない傷痕、薄く滲む血。
 羽織ってきたシャツにもその染みがあるのだろう。

 懇願するような声と、悲鳴のような音。
 跳ねる体は、きっと先程まで淫らに揺れていたものとは違う。]

 ……すまん。
 少しだけ、我慢しとって。

[指先はゆっくりと窄まりをなぞり、中へと動く。
 痛みを感じぬように、爪を立てることはなく。
 ゆっくりと円をかくようにして、体内に残る残骸を掻き出して。]

 …、…ッ。

[指から滴り落ちるものを感じれば、息を止めて唇を噛んだ。
 背にしているからわからないだろうと、眉まで寄せて。]


 ……はー……ッ、 は、ッ、

[湯気の中、荒く、息を吐き出す。
突いた手の先、爪を立てようにも硬く滑らかな壁ではどうしようもない。

内に潜り込む冷たい指先。
先程まで貪欲に熱を咥えこんでいたというのに、今となってはその指先は拒みたい対象でしかない。
指に掻き出され、太腿を伝い落ちる白濁。]

 もう、 いい、
 大丈夫、だから、 ……大丈夫だから、……はやく、

[羞恥に声を震わせながら、それでも口にするのは命令ではない。
“お願い”と称されるような柔らかなものでもなく、ただ切実な、懇願。

蠢く感覚に、膝が震える。
薄く開いた視線の先。
未だ足りぬとでも言うように、自身が緩く勃ちあがりかけるのに、またきつく下唇を噛んだ。
その視界すらも、じわり、滲む。]


[荒くなる息が、他の音よりも何よりも聞こえる気がする。
 壁に突く手が何かを求めて引っかこうとしているように思えて。
 そこに『居る』のは、誰なのだろうかと思い描いては、息が洩れる。
 後ろからそっと肩に顎を乗せて、掠れるように呟く。]

 そんな…、厭か?

[中に残っていた誰かのものを、掻き出されてしまうのが。
 無理やりに、中を蠢く指先が。
 それとも、行為をしいている、]

 (───わし、が?)

[懇願に反するように、指先は入念にその残り香を掻き出して。
 肩越しに、前のものが緩やかに反応しているのを覗き見たけれど。]

 泣かんでいいよ、もう終わったけ。

[知らぬフリをして、漸く後処理から開放した。]



 よしよし、よく謂えた。
 利口だ。

[己の名を発する赤髪に、子をあやすような口調になる]

 寝処にいる時は、様は要らない。

[呼び方はどうでもよかった。
が、この者は指図あった方が安堵しようと、
この男なりの気遣いのようなもの。

苦痛の雑ざる嬌声と己を包み蠕動する肉壁の刺激に、
低く快楽の呻きを漏らす。
事を終え、最後まで崩れ落ちることを堪えた身体を抱き寄せれば、褒美とばかり髪を撫でた]

 ―回想:了―


[厭なのか。
きっとその答えは、是なのだろう。
自らの欲のまま内で受け止めた、他の者の精の後処理をその指に委ねるのが。
止めろという声を、聞き入れられない事が。

そこには決して、「クアトロだから」という個の情報は、入り込まない。
肩越しにかかる声、首はただ、逸らすように俯くのみ。]

 ……っ、 ひ、 ……ぅ、

[終わったと、肩に触れた声と唇にその声に膝の力は抜ける。
湯に暖められた床に、そのままぺたりと座り込む。
赤い髪を、降り注ぐ雨のような湯が濡らす。]


 自分で、……できるって、言っただろ、……
 ……お前が、こんな事する必要、何処にもないんだ、

[洗えと、自分が命じたわけでもない。
ただ、初めに架したのは「包帯を変えろ」とただその一言のみの筈。]

 ……俺が上の人間だから、そんな気を利かせてるってんなら、
 そんなの、……要らない、

[片手で掌で顔を覆いながら、水音に紛れぬ程度の声で、呟く。
もう片方の手を足の間に突いたのは、ほぼ無意識に。
少しでも、自身をその視線から隠そうと。]


[逸らすように俯く首を、ただ眺めていた。
 終わりを呟けば、ぺたりと座り込んでしまった体。
 背を、頭を湯が打つのだろう。
 降りしきる雨のように。

 悲鳴のように聞こえる声が落ち。
 搾り出されたような声が紡ぐ言葉を聞く。

 必要ない。
 気を利かせてる。
 要らない。

 覆われた顔と、隠そうとしているものとを見下ろして。]


 阿呆、か。

[拾ったタオルで隠したがっているのだろうそこを、覆う。]

 誰が、何が楽しゅうて、
 野郎のセックスの後処理なんぞせないかんのじゃ。

 気ぃ利かせて? 命令でもないのに?

[抱きしめる腕は強くなる。]

 んなもんッ、…──出来るわけねぇだろ。


 
 
 
 ───俺が、厭なんだよ。

 お前が誰かに、抱かれてんのが。



[泡はシャワーに流れていってしまっただろうか。
 溶けて、消えてしまうのだろうか。
 忘れていいといった言葉のように。]


【人】 理性子 参休

― 朝 自室 ―

……

[半紙の山を崩してしまった。
 踏みしめながら進むのは嫌で拾い上げていくものの、積んだ端からまた袖を当てて崩してしまう]

……、片付けろ、と……

[そこかしこに膝より高い山を築くからいけないのだろう。来客の折に扉の前から移動させたから低くなっているはずなのに、少し当たっただけで他を巻き込んで雪崩を起こしてしまう。夕餉の後に首尾良く戻って来られたのが嘘のようだ]

……

[溜息一つ吐いて、椅子と机に拾い上げた紙の束を乗せた。
 扉を細く開いて表へ出る――何かしら、箱のようなものを探さなくてはなるまい]

(36) 2014/12/27(Sat) 15時半頃

理性子 参休は、メモを貼った。

2014/12/27(Sat) 16時頃


 ……クアトロ?

[声色が、違う。
声色だけではなく、口調すらもか。

腕の力が強くなる。
折れてしまうような華奢さは無いものの、それでも息苦しさはある。
この苦しさは、単に物理的な要員から齎されるものなのか。

命令でもないのに、自らの身を洗い流す理由。
告げられる言葉、眉をきつく寄せて。]

 んなこと言われて、……俺に、どうしろっていうんだよ……

[今はまだ、寝台の上、交わした言葉は覚えている。
けれど、一晩、二晩とすぎる内に、あっというまにその記憶は遠のいていくのだ。

自分が誰に抱かれたのか。
正確な人数も数も、全くといっていい程に覚えていないというのに。]


[泡の洗い流された掌は、抱きしめる腕にそっと触れる。
この腕の暖かさも、苦しさも。
きっとどこかに忘れてしまう。

ほんの僅かに、傷跡のような違和だけを残して。]

 クアトロ、……

[細い声で、名前を呼んだ。]


 クアトロ、じゃない。
 本当の、名前は……ボリス。

[今の今まで忘れていた名前を口に出す。]

 ……そう、だな。
 謂われたところで、迷惑なだけか。

[掠れて震える声から、飾りもしない言葉が落ちる。
 それもきっと泡のように消えてしまうのだろう。
 息苦しさを与えていると判っていながら
 抱きしめる腕を、離せない。
 緩めてやれる余裕など、部屋の前で嬌声を聞いたときから
 とっくの昔に失っていたのだから。

 何回目の『初めての男』なのだろう。
 それでも、構わないなんて馬鹿にもほどがある。]


[触れる掌に、手を重ね。
 慈しむように撫でる。]

 何度でも、謂う。
 お前が忘れるなら、俺が何度でも謂う。
 わしが、何度でも謂うけ。

 じゃけ、忘れてええよ。

[忘れたのならまた囁こう。
 見えぬ傷を、何度心に負ったとしても。]



 ヒュー、愛しとる。



[報酬でも、対価でも、見返りでもなんでもなく。
 ただ君を愛してると囁いて。]


[水音には決して掻き消えぬ距離の中、本当の名と囁く理由。
抱きしめる力は緩まない。
腕に触れた手にその掌が重なるのに、息を呑む。]

 ……ボリス、

[その音が、口に馴染まないのも当然か。
何時の日からか、彼は自分の中ではクアトロという存在だったのだから。

忘れてもいい。
本当に、忘れてもいいのだろうか。

本当に忘れてもいい言葉を、こんな声音で囁くものなのか。]

 ………、俺は、

[応える想いを、自分は持っているのだろうか。
忘れ、遠ざかることで自らを守っている、自分に。]


 ……何度も口にしなくても、いい。
 俺を愛する必要は、無い。

 きっと俺は、また忘れちまうから。
 ……そしたら、……お前が、傷つくだけだろ、?

[言葉を、一つ一つ、選びながら。
知らず、腕に触れた掌に力を込める。

忘れられても、何度も、何度でも。
この空間で時間が続く限り、何度も、何度も、永遠に。]

 ……お前が傷つくことで成り立つ永遠なら、
 そっちのほうが、俺は、嫌だ……。

[自分の知らぬところで、深く誰かを傷つける。
そんなことを、喜ばしいと思う者が、何処にいようか。
互いを守ると口にしながらも、それは酷く、独り善がりの思いだ。

―――ならば、他にどうしろと?]


参休は、良い物を手に入れるより先に鈴の音が響いたので、食堂へと向かった。**

2014/12/27(Sat) 17時頃


理性子 参休は、メモを貼った。

2014/12/27(Sat) 17時半頃


[重ねた手を、強く握り締める力などない。
 いや、そんな勇気などない、が正しいか。]

 クアトロは、昔殺された『俺』の、名前じゃ。

[今はそこまでしか思い出せないけれど
 ここへ来て、その名前しか名乗っていなかったように思う。
 だから謂いにくいのも口馴染まないのも仕方がないと
 苦笑を零すのが精一杯の強がり。

 零される音は、温かな雨粒よりも鮮明な声。
 音量はさしたるものでもないのだろうが
 反響して落ちるのは、浴室にでは、きっとない。]


 うん、そうじゃの。

[必要不必要で、誰かをここまで想えるものか。
 不要と謂われ、そうですねと切り捨てられるものか。
 そう思いながら、吐き出すのは了承の意。

 傷付かないわけはない。
 それでも、きっと気持ちが揺らぐことはないのだろう。

 だから、頷いてみせる。

 彼をこれ以上、傷つけないために。]

 お前さんは優しいねぇ。
 わしなんぞいっくらでも、傷つければよかろうに。

[ふは、と笑みを零し。
 それでも顔はまだ見せられなかった。
 きっと、きっと歪んでいよう。]


[彼から離れる間際、そっと落とすのは額への口付け。
 昨夜の『おやすみ』のような、微かな。

 そして背を向けて、一度だけ立ち止まる。]

 ……のぉ。

[振り向くことは出来ずに。]



 愛さなくていいのは『命令』?

 それとも『お願い』?



[どちらであっても───*]


[クアトロと、その名の経緯を語る声に、眉を下げる。
何故、その名を名乗るのか。
殺されたのは『俺』だという、ならば今の彼は何者なのか。

馴染みの筈の者だというのに、明かされるの面々は知らぬものばかりだ。
踏み込む勇気は、膨らむ戸惑いに圧倒され、それ以上の言葉は紡げない。

踏み込んだところで、理解者になれるというのか。
またそれも、忘れてしまうかもしれないのに。]

 ……話なら、
 いつでも、聞けるから。

[口にしながら、その言葉が今この場には全くそぐわないものだと思う。
それでも、何かを口にしないと、押し潰されそうだった。]


[了承の返事を得た時、わずか安堵したのは事実だった。
その言葉の裏、真意がどうであれ、言葉という形で示されるのは、有難かった。

傷は、癒えるべきものなのだ。
忘れていい、ものではない。
忘れたところで、傷が無かった事になるわけではない。

そう思うと同時、背の傷がじくりと疼く。

優しいと、自分を称す言葉に首を横に振る。
何度も、何度も、首を横に振って。]

 ……臆病なだけだ、

[零れた笑い声に、涙が零れそうになる。
けれど、彼が無理矢理にでも笑うのであれば、自分もきっと笑うべきなのだろう。

そうして、作り笑顔を貼り付けて。]


[『命令』と、『お願い』と。
どちらかを問う声に、返したのは。]


 ……好きな方を、取ればいいよ。

[そんな、『選択肢』。
傷つきたくないからど、命令することで身を守ることもできたのだろう。
けれど、そちらを提示しなかったのは。]

 ……っ、

[唇を噛み締めながら、体を拭い、部屋を出た時と同じ服に袖を通す。
酷く時間をかけながら、釦を留めて。

浴場を出たのは、きっと随分後になる。*]


[渇いていた。
喉が渇いていた。

だから躊躇いなく、口をつけた。
その傷口を歯で、爪で広げて、溢れる血を獣のように啜った。

“友人”はもう抵抗する気力もないのだろう。
否、既にその時死んでいたのか。
死にたくないとその一心で、喉を潤していた自分にはもう、判別がつかず。

月明かりの元でも赤く、ぬめる血液が口を、喉を、胃を満たしていく感触。
血に汚れた顔をふと上げれば、佇む黒髪の男。]

 ………夢、……?

[ただの、夢なのだろうか。

夢にしては、あまりにも生々しい、その感触。]


[浴室での情景は、裡に染みている。
 優しくないと、臆病だと首を振った姿も。
 話なら聞けると、告げてくれたことも。
 男はそれに、結局頷きしか返さなかったけれど。

 何か思い出したら話してみようか。

 ───『また今度』。

 張り付いた無理矢理の笑みに
 噛み締めていたのは奥歯。

 代わりに優しく、優しく、あたまを撫でて離れた。]


 
 
 ……おぅ、そーする。


[与えられるのは『選択肢』。

 ならば選ぼう。
 『命令』でも『お願い』でもないその言葉を。

 残念ながら従順になど、従えはしないのだから。]


─ヴェールの向こう側─

(あの時は、なんの絵を描いていたんだろう。)

[たゆたう記憶、揺れる漣。
 向かうのは孤島?
 違う、窓ひとつない『アトリエ』だ。]


[【クアトロ】がカンバスに向かう。
 描かれるのは懐中時計の溶けた奇怪なものや
 極彩の黄色で描かれた向日葵や
 主と弟子の12人が食卓を囲むようなものまで様々だ。

 筆を走らせれば、硬貨が積もる。
 けれどそんなものに興味などなかった。

 描けることを許されていたのは資料に写されたもののみ。
 資料はいつでも柱のように積まれ
 ひとつ描き上げた頃には、また一冊積み上げられた。

 そして三日に一度は様子を見にやってくる『誰か』。
 その誰かは呪いの言葉を掛けていく。
 体を重ねるのはどこか、儀式めいていた。]


 
 
 
    「忘れないで。

     キミは、ボクを、愛してる。」
 
 
 


[終わりのこない永遠。

 ただひたすらに続くものだと思っていた。
 終わりなど考えてもいなかった。

 そこには幸も不幸も、何もなかった。

 永久に終わりが訪れたのはいつだったか────…]


[寝静まって動きが少なくなってから。そっと半分保ちながら、半分無くした意識で呟いた。]

 すき、

[届いたかどうかは定かではないし届かせるつもりもない。
ただ、吐いてしまいたかったから。**]



(───目、腫れとったな。)

[昨夜あの後、泣いたのか。
 そうさせた原因は、自分であるか、他にあるか。

 そんな時に、傍に居てやれないなんて。

 その背を追ってはならない、なんて。

 『愛さなくていい』、…なんて。]


 …………さんきゅ。

[ぽそりと同じ髪色の男にだけ落とす。
 『命令』がなければその背を追えなかったし、追わなかった。
 『命令』をありがたいと思ったのなんて、初めてだろう。

 ありがたかったからこそ、
 そう思った最低の自分に、眉を顰めたのだ。]


[去り際にくあとろから落とされた礼の言葉に関しては、
何故言われたのか分からなかったので気にしない事にした。*]


[ふと、笑うオカマの表情がよぎったりもしたか。
 なにが全裸で雑用だ、受けて立つからもう一度オカマ呼ばわりしてやろう。

 振られた相手の背中を追える、嬉しさに、眉を顰めていた。
 手まで握り、時折はそっと頭をなで。
 そうしていれば馬鹿みたいに
 やがて、頬は緩んでしまうもの。

 何度も落とす『愛しとる』が忘れられないものになればいいのに。

 そう、思いながら*]


 
 
 (──ああ、違うな。)


[忘れられないのではなく。
 忘れたくないものに、なればいいのに*]


 ……で、 ……良いんだよな?

[確かめるように、小さな声で尋ねたのは、朧に形の残る昨晩の事を思い出してか。

違う名があると、告げられた。
しっかりと自分へと告げられた筈なのに、それすらももう曖昧だ。
長い名ではなかった気がする。
けれど、そんな些細な事すら覚えていられないなんて、とんだ笑い草じゃぁないか。

自分が情けなくて、ただそれだけで、涙が滲む。]

 ………っ、

[涙腺が弱くなっているのは、身体が弱っているからだと信じたい。]


 ふはっ、構わんよ。

[本当の名前は別にある。
 けれど、彼が己を【クアトロ】として覚えているなら。
 きっとそれが、今の本当の名前。

 何やら息を詰める音。
 うっすらと腫れていた瞼がまた、涙を滲ませていて。]

 また怖い夢、見たんか?

[もう片方の手を伸ばし、そっと指先に掬う。
 怖がらなくていい、安心していい。
 でも泣き止むなとは謂わず。]

 傍におるけ、大丈夫よ。

[ゆっくりと、言葉を紡ぐ。]


 じゃぁ、やっぱり、……もう一つの名前のほうが、正しいんだろうな、

[その反応に、静かにそう悟る。
これで、自分の記憶がどれほどに曖昧なものなのか、彼も理解してくれただろうか。
今はただの穴あきの記憶かも知れない、けれどそのうちに、細かな断片すらも消えていくのだろう。

耳に、かろうじて残る、愛してるの響き。
あの音も、表情も、全て。

怖い夢は見ていない。だから首を横に振る。
涙を隠すべくタオルをずらすも、目尻から落ちた涙はタオルの縁から零れていく。]

 どうして、……忘れるんだろうって、
 ……忘れたくないことも、全部、……全部、忘れちまうのは、……何でだろうって

[子供のように、泣きじゃくりながら、言葉を吐き出す。
不安も、恐怖も、猜疑心も全て内包したような声。]


 ……どうしたら、いいんだと思う……?

[そんな事を、彼に聞いたとして答えが得られるはずないというのに。
言葉にせずには、いられなかった。]


 お前さんが呼んでくれるなら、『おい』でも『なあ』でも
 なんだってかまん。

[すぐに曖昧になる記憶、抜けていく記憶。
 初めて押し倒した夜を覚えているだろうかなんて聞けば、もう記憶にはないのかもしれない。
 彼の記憶は他の誰よりも曖昧な気がする。
 そんなこと、ずっと知っていたことだ。

 ずらされるタオルが吸いきれず、目の端から落ちていく涙。
 案外泣き虫だなと、そっとタオルにてをかける。
 少しでも嫌がればやめるつもりで。
 タオルを外そうとするのは、その瞳を見たいから。]


 忘れたくなかったら、わしに話すとええ。
 わしゃお前さんのことなら、絶対忘れん自信があるけ。

[実際は完璧に覚えられているかなんてわからない。
 けれど、自信にだけは嘘はなかった。]

 それでも忘れたくないなら。

[ひとつ息を置く。
 止めて、彼を見つめて。]

 わしと、どっか行ってしまおうか?

[忘れたくないと思ってくれていることが
 男のことなのだとしたら。]


[ それは面白い申し出であるように思われた]

 薬を飲まないとは悪い子だ――と、
 あやつなら謂うであろうな。

 つまり、吸血をしてみたいと?
 試してみるか?

[ガウンだけ羽織った己の喉元は既に晒されている。
吸われたらどうなるか、脈が目立たせるよう喉を逸らす]


 忘れたんは、消えたんじゃなかろ?
 いつかふっと思い出すかも知らん。
 今は忘れてたいことなんかもしれん。

[きゅっと、手を握って髪を梳く。]

 傷と一緒なんかも知らんよ?
 痛いけ、治らんけ、見えんように包帯巻いて。
 ちゃんと癒えたり、痕になってしまえば
 案外どってことなくなるんかも知らん。

 じゃけ、忘れたくないなら。
 思い出したいことがあるなら。

 一緒に、旅にでもでたらええよ。

[夢物語でも語っているようだ。
 でも、本当にそうしてしまえたらと。]



 ん? ふふ、口で?
 
[自分はデザートには手を出さずに、丁助の向かいの椅子に腰掛け赤ワインを飲みながら、彼の話を聞いていたのだが、

丁助が、自分の足元に跪き、足に手を絡め、上目遣いのそれは、まる猫の様。]

 下位の俺に?

[彼の顔を見落ろし、うっとり笑ながら、その髪を指で梳き。yesともnoとも応えずに、彼の好きな様にさせ。酒で気分が良い。このまま快楽のまま眠りにつきたい。*]


今起きたばっかだしそこは?許してもらおうかな。
それはアルジサマならいいそうだけどね。

試す?

[意外な言葉に少々驚きながら好奇心が鎌首をもたげる。こくり、と喉が動く様子は煽られているみたいで白い肌はうちに脈を隠していると告げている。]

本当に?いいの?上位なのにとか言わない?

[確認を取りながら間合いをゆっくりと詰めていく。目を細め、良しと言われるならその首筋に噛つくだろう。]


[かぷ。

皮膚を突き破ることのない歯は力を込めるから少し痛みを感じるだろうか?
僅かに舌に乗る血をちゅっと吸いながら舐めとり、口を離す。

鉄錆の味は鼻に突き抜け、喉に張り付く。]

うん、悪くない。

[そう笑いながら感想を。]



 言わぬ。

[簡潔に許可を出せば、イメージされる吸血鬼の犬歯とは程遠い尖りと大きさの歯が肌を掠める]

 ……ッ。

[痛みは僅かで、その噛み傷はごく浅い。
それでも顔を顰めくぐもった息をひとつ吐き。
受け入れた後その感想を聞き、若者の様子を眺める。
吸血の恍惚を感じた風でもない淡泊な様に違和感]

 ……ふむ。

[考え込む素振りを見せ]

 まあ、悪くない味なら良かったと思おう。
 大丈夫だ、シュロには黙っておく。
 



 付き合わせてすまなかったな。

[血の流れる首元に手を遣って] 

 俺はまだ暫く、ここでこれの練習しようと思う。
  
[ひとりで集中したいと謂う意味込め、
鍵盤に手を置いた**]


[それでも、そのタオルが外されれば、濡れた赤い瞳がその顔を見上げるだろう。
瞬きの度、涙は溢れて次々落ちる。

自分よりもマシだとはいえ、彼だってきっと、そこまで多くを覚えていられるわけでもないだろうに。
その僅かを、自分の為に割いていいのか。
不安げに、眉は寄る。]

 ……ここを離れたら、……多少は、覚えていられる、かな、
 お前の名前も、……声も、言葉も、全部、……

[それが、とても魅力的な提案に思えたのは、きっと気のせいではないのだろう。
全ての約束も、言葉も、自分の心の揺らぎ全て、覚えていられるのならば。

けれど、それは同時に、]

 ……忘れたいことも、……全部…… 思い出して、しまう……?

[震える声で、言葉にする。
世界は、そうも都合のいいようには、できていないだろう。
その掌を握ったのは、半ば無意識で。]


[タオルが落ちるのも構わず、体を起こす。
傾ぐ、重い頭を支えながら、それでも腕を伸ばし、指は繋いだままその頭を抱く。

その首元に顔を押し付け、緩く首を横に振る。]

 ……覚えていられないのがこの場所のせいだとして。
 忘れていられるのも、この場所のお陰だと思う。

[苦い記憶も、傷の痛みも。
それを逃げだと言われようとも、永遠に逃げていられるならばそれもある種の救いと変わる。
忘却は、害と同時に救いでもあった。

少なくとも、自分には。]

 ……もし、いつか俺に、全部を受け止められる覚悟ができたら、
 旅に出るのも、悪くないかもしれねぇな、って。

[『もし』『いつか』
それは成されないであろう、不可能にちかい不確定の未来への言葉。
けれど確かに言葉にした真意は、それが紛い物ではないと誓うようなそれ。]


[体を離し、タオルを拾い上げる。
再び寝台に横たわれば、自らその額にタオルを広げて。]

 ……昼まで、寝る
 寝たら、また、忘れそうだけど、

 ……体、怠くて、

[涙の跡の残る顔のまま、目を閉じる。
繋いだ指に篭められた力を、そっと緩めた。]

 クアトロ、……、 ……いや、

[曖昧に揺蕩う意識が、それを拾い上げたのは、ほんの偶然で。
それでも、忘れないように、言葉に紡ぐ。]

 ……ボリス、?


[その考えから意識を逸らすように、また彼がなんぞ探って来ないように、彼のスラックスを寛げてしまう。]

 あっしがしたいからするんだよ。

[彼の物を外気に晒させると、れろと一舐め。
男の其れなどどう舌で慰めたらいいのか分からぬが、好きなように弄ぶ事にした。

鈴口だけ口に含むとちゅうちゅうと吸ってみたり、下から上へべろりと舐め上げたり。
最後には喉の奥まで彼の物をすっかり口の中に収めてしまった。

程なくしてあっしは望んだ苦い甘味を味わえた。*]

 えへ。美味しい。


[溢れ落ちる涙を幾度か見つめ。
 綺麗だなと、その雫を指に掬う。
 続く言葉には、ああ、やっぱりと苦笑を洩らした。
 本当に、何故そうも自身ばかりを痛めつけているのか。]

 忘れたら、何度でも自己紹介しちゃるよ。
 なんべんでも喋っちゃるし、なんべんでも呼んじゃるよ。

 ヒュー、愛しとるよって。

[忘れられる度に男が傷つくじゃないかと、彼は謂った。
 そんな永遠は嫌だと謂った。

 傷付かないはずはない。
 でも傷付くのは、忘れてしまう方だって一緒だ。

 なら忘れる度に何度でも
 覚えていてほしいと願いを込めて
 繰り返し、伝えよう。
 そんな永遠も、嫌だと彼は謂うだろうか。]


[はたりと、タオルが落ちる音がする。
 聞こえる言葉は、きっと『怖い夢』のことだろう。
 手を繋いだまま、硬い髪にもう片方の指が絡んで
 引き寄せられてから感じるのは、体温、匂い、色彩。
 首元には、涙の落ちる顔が押し付けられて。]

 忘れたいこと、思い出したら。
 わしが、忘れさしちゃるけ。

 一緒に、夢にしちゃるけ。

 また思い出したくなったら、二人で思い出せばええさ。

[そんな都合よくなんていかなくても。
 怖い夢を見る夜に、独りになんてしたりはしない。
 逃げたいときは一緒に逃げよう。
 立ち向かいたければ、一緒に立ち向かおう。

 隣にいて、傍にいたい。
 臆病で泣き虫で不器用な彼の。]


 ふ、はっ。
 そうな、うん。
 いきなりじゃもんな、そら、そうじゃわな。

[『もし』『いつか』なんて、いつ訪れるかも判らぬ言葉。
 けれど前に落とした『また今度』とは違う響きで。]

 多分全部受け止めようおもたら、重くて潰れるぞ?

[それでも、その日が、『いつか』『きっと』。]

 
 
 ───忘れずに、待っとるよ。
 
 
 
[訪れることを願って、抱きしめた。]


[拾い上げられたタオルは、再び額の上に。
 横たわるのなら手もかしただろうか。
 それでも繋いだ手はまだ離さずに。]

 ん、そうし。
 わしが聞いたけ、忘れとったら思い出させちゃるよ。

 じゃけ、安心して寝り。

[涙の跡は指先が拭う。
 目を閉じた彼の瞼に、触れるか触れないかの口付けを
 落とそうかと顔を近づけて、]

 ひゅ……、……ッ…

[紡がれた名前に、ぱたと音がした。
 額のタオルにしみこんでしまったから
 音の正体はわからなかっただろう。
 わからなくていい。
 自分自身でも、わかっていない。]


 あっ 、あはは

[彼が身を乗り出し、スラックスをくつろげ、下着をずりおろして自身に触れる。握ったグラスの中身が危ういと、いっぺんに飲み干したあと、後ろの棚の端にグラスを置く。]

 …、っ

[外気に触れ、彼の舌が先端にふれ、その感触に俯き快楽の予感に耐えたが、その後の舌の動きは不慣れで、ちろちろと弄ばれる様。]

 、ふふ、かわいい

[赤い髪に指を埋めてそれを鋤き。
性的快楽をもたらすというよりは、ゆるゆると、達するには至らない鈍い快感。

もどかしく頭を抱えてその口の中を使い、蹂躙してやりたくもあるが、それは耐え。]

 どうせなら、またがってほしいね


[そう強請るが彼はどうしても口でしたいのか、ようやく全てを口に収め。]

 じゃあ、口を上下に動かして

[拙げな動きをする彼に要望を伝え。]

 口は不慣れ?
 ふふ、初めてしたみたいだね

[下への触れは、慣れている様にも思えたのに
それとも、これも彼の手管なのか

拙いとはいえ、次第にせりあがってくる
快感には目を閉じ、

  その後、彼の喉奥に欲をぶつけ]



 美味しい?
  悪趣味だね…

[自身のものに口付けた彼の唇に、そのまま口付け。]

 不味いよ

[そう呟いて*]


[愛している、その言葉は留めておけるのだろうか。
忘れたことすら忘れてしまえば、傷だって傷まなくなる。
それでも、痛みを感じぬ自分を前にしても尚、傷を負ってもいいと、彼は笑うのか。]

 ……いつでも、諦めてくれて、いいから。

[一緒に、二人で。
重ねられる言葉に、そう返したのは、やはり僅かの罪悪感から。
それでも、今直ぐ止めろと口にしなかったのは、その想いに少しでも触れていたかったから。

『もし』『いつか』自分に確固たる自我が根付いた時、その想いに返せるのだろうか。
裏切ってしまうかもしれないと、その想いに脅えて口に出せない言葉を、告げられるのか。

忘れずに、待っている。
その言葉に小さく、頷く。]

 覚えておいて、……俺の代わりに、

[その懇願ごと、その腕の中へと。]


[ボリス、本当の名と告げた彼の声。
その短かな音の響きを、忘れないように。

異を唱える声は聞こえない。
間違っていないのだろう、覚えていられて、よかったと思う。

額の上へと落ちたもの、微かに立てられた音は、シーツの衣擦れに紛れていく。
疑問を口にする気力も、既にない。]

 ………、

[深く、息を吸い、息を吐いて。]


【人】 理性子 参休

― 食堂 ―

[顔を出した先には主の姿>>39

……

[口を開くか開くまいか瞬間迷い、結局会釈を一つ。大人しく席に付き、クロワッサン片手に茫と場の会話に耳を傾けている。
 薬を飲まなければどうなるのか>>73――その問いに、意識の奥底で血の臭いと共に古い記憶が疼いた。断片的な映像だけが残る、主の嘘ですり替えられた記憶が]

(151) 2014/12/28(Sun) 02時半頃

【人】 理性子 参休

[咥内に残っていた鉄錆の臭いは、乾きに耐えられず血を飲んだ結果ではない。腕を裂いても尚乾きがないことを確かめたのだ]

[薬を抜いても衝動が顕れる事はなく、記憶にかかる靄が随分と晴れただけ]

[日記に記した内容も覚えていられる様になり、疑問を突き詰める余裕が降ってきて――]



[主の望みによって断たれた紐の先には愛しい片割れが繋がれていた事、クランの存在理由が虚構である事、最早片割れの元へは戻れない事、その総てに感づいてしまった]

(152) 2014/12/28(Sun) 02時半頃

【人】 理性子 参休

[傷から溢れ出る血液は動揺を表し、感づいてしまった事実を覆い隠す様に気を失うまで辺りを赤黒く染める――そんな事を傷の数だけ繰り返していたのは、まだクランに5人といない頃]

[今となっては参休の内にも真相の残らない、古い話だ]

(153) 2014/12/28(Sun) 02時半頃

理性子 参休は、メモを貼った。

2014/12/28(Sun) 02時半頃



 そう、俺と寝た?
 じゃあ、俺はあんたに
 情をくれと、愛を強請ったのかな…

 そして、お前は俺を騙した

[ニコラスの言葉に目を伏せて笑い。
過去の記憶にはない関係。
自分は相手の情を請う。

気持ちのない交わりは、後で苦痛なだけだ。
遊びとも割り切れずにいる。
きっと元の生業のせいだ。]


……情を強請って。
情を沸かせて。
それでも時が過ぎればあっさり忘れて捨てるのよ。
貴方はそういう人だわ。

……騙したのは……僕じゃないだろ?

[続けられた言葉には、自然と顔が強張って。
最後の言葉は今の己が吐き出したものではない。
色も輝きもを喪った蜂蜜色の瞳は、何処か虚ろな様でジェレミーを見て。
動きの止まった指先から、さらさらと流れ落ちる金の髪が、彼と己を繋ぐ視界を遮る。
瞬きをする一瞬前、彼を射抜くその目に、深い闇に似た熱が篭って。
それは写真からこちらを睨むのと似ていたが、目の前の彼に届くか。]


【人】 理性子 参休

― 食堂 ―

[主と共に席を立ったジリヤが密かに置いていった一枚の紙>>110。ジェレミーが手に取る>>133様をニコラスが視線で追っている]

……気になるのか。

[先の会話に上がった、古い“写真”の一つなのだろうか。……本当に古いのであれば人数も10人といないだろうし、そこにニコラスが写っていない可能性も多いにあるが]

見たいなら、向き合ってはどうだ。

[ジェレミーが表面を検めた後、こちらへ貸してくれと腕を伸ばす。そうして特に表を検めないままニコラスの前に写真を置いた]*

(160) 2014/12/28(Sun) 11時頃

理性子 参休は、メモを貼った。

2014/12/28(Sun) 11時半頃


【人】 理性子 参休

― 食堂→図書室 ―

[カフェオレを飲み終えた後は、元の目的に合わせてふらりと席を立った。
 倉庫を探すか蔵書室へ行くか少々迷ったが、蔵書室の書棚は何名かが定期的に整理していた筈だ。箱や棚なんかも余っているかもしれない]

[前室を抜けていく最中、視界の端に赤毛の頭>>161を捉えた]

……読書か。

[独り言の如き囁きを丁助へと投げ、一旦足をそちらへ向けた。並び立った所で丁助の手中にある本へと視線を落とす]

その話は、好いているのか。

[本は自室の書棚へ入れてしまうものだからここの蔵書は良く知らず、書の中身については大した話が出来そうにない。だから丁助の手にする理由を問うた]

(163) 2014/12/28(Sun) 13時頃

理性子 参休は、メモを貼った。

2014/12/28(Sun) 13時頃


 吸血鬼って… 嫌だね

[ぽつり]*


[自分を嫌う人間の声なんて聞こえない振り、見ない振り。
それが若い頃の記憶の全てだ。]


【人】 理性子 参休

― 図書室 ―

[木の葉の話には聞き覚えがなく、緩く首を傾げて聴いている。面白いと思わない>>165のであればその場にあったものを手に取ったのだろうかと本の話題を流し]

……紅葉、か

[紅に色付いた木々。その多くは文字として浮かぶばかりだが、一片だけ意識を掠めていくものがある]

(185) 2014/12/28(Sun) 15時頃

【人】 理性子 参休

……障子紙がほんのりと朱に色づくものだから

[片割れが外の景色を乞い]

主が障子を開けた先に、燃えるような色彩が――

[そこではたと口を噤んだ。今の言葉は一体何処から出て来たのか。クランにあのような障子はないし、格子の向こうに覗いた庭園の姿も随分と異なっていた。
 では相対していた“主”は、隣で一言乞うていたのは……]

(186) 2014/12/28(Sun) 15時頃

【人】 理性子 参休

……そんな事が、あったように思う。

[結局深く追うのは止めてしまった。丁助の語る古い記憶へと意識を引き戻す]

純朴だったのだな。
それに、良い義母だ。

[絶えた鳴き声に想いを寄せて涙を流すのも、不可逆の流れを優しく諭すのも。そう口にしてふと気付く]

……ならば、もしかして
ここで泣いたことはないか。

[改めて考えてみれば、クランで誰かが何かを飼っている様子も、クランから出て行った人の事もとんと覚えになかった]

(188) 2014/12/28(Sun) 15時半頃


 たかだか数年でこうは成らないからな。
 俺に流れた時間を知りたい。

[ それと、これからの時間と。
死を望んだことはない。だが、先にある時間は有限なものであって欲しかった]

 まだ死にたいのだったか?

[流れる金の髪を見つめる]


【人】 理性子 参休

― 図書室 ―

そうとも限らぬ。
悪童と称される者ならば、声が途切れただけで籠ごと打ち捨てる事だろう。

[愛らしい子供だったのではないかと囁く口元は、緩い弧を描いている]

……そうか、すれ違いか
あるいはそんな事もあるやもしれぬ。

[丁助が別れの涙に思い至らぬように、此方は人とのすれ違いによる涙に思い至らなかった。元より穏やかに日々を過ごす質ではある。暗い記憶は闇に溶け、大凡後には残らない]

(201) 2014/12/28(Sun) 17時頃

【人】 理性子 参休

参休は書庫に用がある。
箱を探しているのだ――紙を整理したい。

[奥の扉を一瞥して、雪崩の起きた部屋の話を少し]

……そうだ、書庫の整理をしているのは誰か知っているか。
食堂で見かけたなら、常はどうしているのか聞いてもらえると有難い。

[食事には後で向かうと告げて、奥の扉へ足を向けた]**

(202) 2014/12/28(Sun) 17時頃

[じぇれみがもし囁きかけられる位置に居るのなら、こう囁いたろう。]

 お前さんは「真実」って物に興味は有る類の人間かい?


 さあ、あなたは知ってるの?

[知ったその真実が、不幸なら
 どのみち忘れてしまうのだろうか?]


[そう、あっしの部屋で。
そこにあっしは真実を記している筈だ──]



 ……僕?

[口調と一人称の、の違い。
騙したのはお前だと、なじる言葉。
 
伏せていた視線を彼に向けた時
一瞬、あの写真でだけ知れた
繕わぬ表情の彼が居た]

 ニコラス…

[自分は会話している相手のことを名前で呼ぶ事はほとんど無い。だけど、ついて出た彼の名前。]

 そうだとしたら、俺はお前に、
 「俺」を殺せって命令したのかもな…



 俺の生き死にんなんて
 どうでも良いと言ってなかった?

[まだ、死にたいのだったかと問われて、テーブルに頬杖をし、伺う様に笑い。]

 そういや、あんたは俺と寝た事ある?
 
 あはは、一度くらいは、
  俺はあんたを口説いたかもしれないね

[ニコラスとの会話を思い出しそう笑い。]


【人】 理性子 参休

― 朝 食堂 ―

[知らない自分を怖れるかの声に、ちらりと表を覗き見た。写っているのは8人で、どうやらクアトロと主の姿が見えぬらしい]

……参休には覚えの無い絵だが……
少々物珍しい程度ではないか。

[己と言えば相変わらずで、鏡に写る姿と左右が入れ替わっているのが不思議な程度だ]

[ニコラスの顔付きが異なる>>195事には当然気付いていた。だがしかし、意識して穏やかな立ち居振る舞いを作り上げている事も、そも何時から彼がそう振る舞っているのかも知らず、そのまま彼の方へ写真を戻し――]

……っ、どうし、

ニコラス……?

[息を呑んだ後唐突に頽れた身体へは、手を伸ばすことすら出来なかった]

(256) 2014/12/29(Mon) 01時頃

【人】 理性子 参休

[いくら細身といえど己よりは背の高い身体だ。到底立たせる事なぞ出来ず、結局ジェレミー>>237とハワードへ任せきりにしてしまう]

……

[この写真の何処が、ニコラスをあそこまで動揺させたのか。
 ニコラスを部屋へと運ぶ二人の背を見送った後、もう一度だけ写真に残る映像へと視線を落とした]*

(257) 2014/12/29(Mon) 01時頃

理性子 参休は、メモを貼った。

2014/12/29(Mon) 01時頃


【人】 理性子 参休

― 蔵書室 ―

[灯りを点けた瞬間、固まってしまった]

……

[雪崩>>0:68の規模は自室と同等か、あるいはそれ以上かもしれない。何せ自室は紙だがこちらは本だ、厚みも重さも随分と違う。
 並びを知らないが故本棚に戻していくのは早々に諦め、10冊づつ積み上げること5回。通路を確保して奥へと進んでみると、雪崩の解消に要した時間よりも随分早く、いくつもの箱を見つけ出す事が出来た。崩れかけた古い本が収められた物も新品も一緒くたに並んでいるものだから一度に用が済んでしまう]

[丁助に頼んだ内容は別の理由で活きてくる事になりそうだと、溜息を一つ吐いた]

(274) 2014/12/29(Mon) 03時半頃

【人】 理性子 参休

― 蔵書室→図書館 ―

[蔵書室から出た頃には、昼食の知らせから随分時間が経ってしまっていた。用事を頼んだ赤毛頭は当然ながら既に無い。
 だから新たに鉢合わせたのは、その間に図書室を訪れていたケイイチ>>239か主>>240のどちらか、もしかするとその両方]

……何故また此処に?

[首に掛けた機器の通り、ケイイチは確か聴覚に重きを置いていなかったか。それに主の姿をこちらで見かけた覚えもあまりない]

[畳んだままの紙箱片手に、じつと目線を合わせて問いかけた]**

(275) 2014/12/29(Mon) 03時半頃

理性子 参休は、メモを貼った。

2014/12/29(Mon) 03時半頃


 ―或る日―

[雲が途切れ、また陽が入り。
昏く翳っていたその場所を照らす。
男は足許に転がるものを見る。

揺れる金の髪。
蒼ざめた膚は、最早生者のものではない]

 ……ぁ……。

[目の前掲げた、痺れて色を失くした指先が、
小刻みに震えるを不思議そうに眺める。
『それで良い』耳を打つ、囁きの気配に振り返れど、
黒衣の魔女はもうどこにもいない]


[やがて遠く喧噪の声がする。
森を抜けた先に或る城には吸血鬼が棲むと謂う。
其処に城があったか、其れがいたか、真実は不明。
だが、まともな人間は誰もその場所に寄り着こうとはせず。

だから、其処へ逃れようと走り出した。
生き場所を願ってか、或は逝き場所を願って**]


ー或る日ー

[握り返した手は吸血鬼である私のそれよりも冷たかった。

私の記憶はあの日からでいいのだと思う。
それまでは孤独な死という日々を生きていた。

古城を訪れる影一つ。
この吸血鬼の城をわざわざ訪れるとは誰だろう。
迷い込んだ妖精か悪魔か。
吸血鬼である自分以外に幻想を体現する存在は
目にしたことはなかったけれど。

ともかく私のことを恐れもしなければ迫害もしない
彼が人間であるとはその時は思わなかった。

だから彼に手を差し出した。*]


【人】 理性子 参休

― 図書室 ―

[主はケイイチを探しに態々此処まで来た>>280のだと言う。思い出すのは朝に見かけた袋>>31、あれは誰の部屋だったか――主があの時も今も何かを配っているというのなら、心当たりなど一つしかない]

……ケイイチ、飲んでいないのか。

[それは、駄目だ。いつかの夜に抱いた気懸かりが、更に進んだ形で戻ってくる]

薬を欠かすと……己を失う
血が……流れるに任せても、足りない

[個人の忘却に根差した混乱を吸血鬼が須く陥る飢え故だと誤認したまま、断片的な映像が言葉と化して零れ落ちる。伝い落ちる血潮が次第に冷えていく感触が甦って左腕を掴んだ。
 そうだ、腕に残る傷は確かあの時片手に握った短刀で――]

(285) 2014/12/29(Mon) 16時頃

【人】 理性子 参休

[けれどそういえば、どうしてあの時他者の身体ではなく己の腕を裂いたのだろう]

……

[抱いた疑問を完全に封じ込める事も出来ず、記憶を辿る言葉は途中で途切れた。核心へ触れるものだという気はする、ただし悪い物だ、触れてはならぬと最初に鍵を掛けたのも己であった筈なのだ]

[指先が時と共に冷えて痺れていくものだから、小脇に挟んでいた紙箱は次第に下がって床へと落ちた]

(286) 2014/12/29(Mon) 16時頃

理性子 参休は、メモを貼った。

2014/12/29(Mon) 16時半頃


【人】 理性子 参休

― 図書室 ―

[主が去った後、ケイイチは悪戯を告白するようにして実情を明かした]

ああ、気懸かりだ
……悪しきものに触れてしまうのではないかと。

[少なくとも己は薬を抜こうと思わない。意識に残る澱みは昏く、今なお触れた途端に呑まれそうな気配をさせている]

……参休も、血を旨い等とは思わなかった。

ただ我を失っただけだ……暫く朦朧としていた。

[続く感想は、薬を断ったことがあると暗に示していた。けれど眼差しに籠もる念>>305どころか、同意の体で“意識が明白になった”という感想>>304とは真逆の呟きを返しているというのに、その矛盾にも気付く様子を見せない]

[それもその筈、主がすり替えた記憶とは相違があっても、澱の中では当然の事柄だ――薬を断ち、忘却が訪れなくなったからこその自失なのだから]

(310) 2014/12/29(Mon) 21時頃

【人】 理性子 参休

不味い血であろうと、口にすれば渇きは引く。
ライジが与えた血が暫くは癒すだろうし、何なら参休の血もやろう。

[本当は失血による忘却がその都度己を宥めていたのだが、そこは封じた記憶の先。その手前に残っている主の教えた道理に従って言葉を紡ぐ。……結果、薬を飲めと諭す理由は何処かへ行ってしまった]

ただ……己は失うな

[だから口にするのは“自失する様は見たくない”という願いに過ぎない]

(311) 2014/12/29(Mon) 21時半頃

【人】 理性子 参休

[まだ渇きを覚えていないという言葉に安堵の息を漏らし、好奇心には殺されるな、とだけ釘を刺した。
 問い>>315に応じているうちに、漸く常の調子が戻ってくる。床に落ちた紙箱を改めて拾い上げた]

……ああ、きっとそうだ。

[胸の疼きがなければ忘却に気付かぬ程だ、ここまでの者はクラン内にもそう居ないだろう。今となっては日記のために筆を執る事はないから正確に答える事は出来ないが。
 実際、意識しているよりも遙かに多くが抜け落ちていて、地続きの思考は殆ど出来ていない。触れてようやく思い出す事柄が大半を占めてしまっている。昨日干した着物の事も裏庭に行くまで思い出さないだろう]

[着物を洗った理由についても、布地の感触を引き金にしてあの日の温度が甦る程度。きっとケイイチを呼びつけた事も、交わした言葉も思い出せない]

(321) 2014/12/29(Mon) 23時頃

【人】 理性子 参休

……何、身体に応じた量だけ摂っている。
少々血を失ったところで無理は出ない。

[距離を詰める様に既知感を抱く。気障な台詞にはついつい寝台で見せた様な苦笑を薄く浮かべた。……一夜を過ごした位では慣れやしないのだろう、やはり。
 空いている右手は自然にケイイチの頬へと伸ばされ、指先を耳元で遊ばせる]

……参休は問題ない。
もう随分と長いこと安定している

[代償として、全てに忘却の蓋を被せているけれど]

でも、そうだな
何かあればその手を取ろう。

[例えば、失われた記憶の膨大さに意識が揺らいだときであるとか――再び一人では抱え込めぬ事実に感づいてしまった時であるとか]

だからその為に、我を失わずいてくれ。

(322) 2014/12/29(Mon) 23時頃

[最初に自分が手を差し出したあの子。

あの子と出会ってから、それまでの孤独とは違う時間が流れるようになった。

あの子が人間だと知り、いつかその日々が終わりを告げてしまうことを知った時、私はそれに抗う術を考えた。

その結論が吸血鬼である自分の血を少しずつ取り込ませて彼を不老にすること。
ついでに彼の記憶を失くさせて吸血鬼だと思い込ませれば、
彼はきっと自分と永遠に一緒にいてくれるだろうと思った。

だからそうした。]


[それから、自分とあの子が安心して暮らせる場所を
探して世界中のありとあらゆる場所に行った。

途中訪れた島国は閉鎖的な所でとてもじゃないが
吸血鬼の隠れ住むような余地はなかったが、我が子が増えた。

いつしか身を落ち着ける場所を見つけ、
「クラン・ドゥ・サン」と名付け、
仕事を任せられる執事も見繕い、
平穏で安寧な日々を過ごし……………]


 私を独りにしないでくれ……。


[見上げた姿は、想像していたものよりずっと優しいものだった。
差し出された手は、冷ややかなものではなかった。

ただただ、寂しげに見えて、その手を握り返した時。
孤独な紅い眸に、仄かに揺れる灯の見えた気がした]

『いい子だ』

[何百回、それとも何千回となく繰り返し耳にした、
何時もの声。
永い間、その声の届く場所が己の居場所だった]


【人】 理性子 参休

[“良心が痛む”との言葉に僅かばかり目を見開き、次いでくすりと笑んだ]

……我を失わないのであれば、興味の儘進めばいい。

[参休の視界を知りたいと思うならば同じ暮らしをすれば良いし、今の明瞭な意識を保ちたいのであれば密かに薬を抜けば良い。……薬のもたらす不老の効果を知らず、薬を摂る義務が奇妙な道理で薄れた以上、強いるような真似はしない]

それに、仮に飢えたとて
“赦されないと”等と言う質であれば、きっと酷くはしないだろう?

[仮に血を求めるのであれば、傷をなぞる様に自ら腕を裂く位はしてみせる。ケイイチが赦しのない行為に少々抑止がかかるというのなら、兆候が顕れてから対処すれば良い話だろう。
 己と同じ傾向を持たないケイイチへ向けた言葉は、先程と違ってどこか楽観的]

(332) 2014/12/30(Tue) 00時頃

【人】 理性子 参休

参休も食堂へ行こう。
……昼食を摂り損ねてしまった。

[箱を抱えて自室に戻ったりなんかしたら、今度は紙の雪崩で夕食を逃してしまいそうだ。
 蔵書室で雪崩を起こしたのが当のケイイチとは知らず、本を積むのに時間を食った、等と呟きながら食堂へ向かう]

(333) 2014/12/30(Tue) 00時頃

【人】 理性子 参休

― 図書室→食堂 ―

……?

[緑髪の上位者と定時にすれ違っただけで内心驚いたというのに、食卓はがらんどう。見慣れた錠剤の瓶が一つ置かれているきりだ]

……妙なこともあるものだ。

[箱を床に降ろし、ケイイチにここで待つかライジを追うか問うてみる]**

(335) 2014/12/30(Tue) 00時頃

理性子 参休は、メモを貼った。

2014/12/30(Tue) 00時頃


【人】 理性子 参休

― 食堂 ―

[こちらも態々主の部屋へ出向こうとは思わない。ケイイチもその気がない>>346ならばと、適当に厨房へ入りこんで二人分の茶を入れた。
 まさかクランを出て死を選んだ者がいるとは知らず、足の踏み場もない蔵書庫を知っていた>>345事を指摘したり、図書室で何の本を手に取っていたのか問うたりと、話題が繋がるままに他愛のない話を振る]

[ライジが再び姿を見せた>>351のは、己の茶器が空になった時の事だった]

(358) 2014/12/30(Tue) 02時頃

【人】 理性子 参休

……そうか。

[語られた内容は、主の嘘ですり替えられた記憶とは真っ向から対立するもの。けれど奇妙な程驚きは少なかった――まるで既に知っていたかの様に。
 その奇妙さを傍らに己の内を振り返り、先程も目を背けた澱の中に断片が残っているのではと思い至る]

……なら
考えなければならない、か。

[各々が行き先を決めていく。己もきっと、目を背けてはいられない。
 ケイイチには我を失うなと願ったが、薬を断ってもたらされるのが餓えではないというのなら、どうやら先に危うい場所へ踏み出すのは己になりそうだ]

……貴方はどうするのですか、ライジ。

[唯一の上位者、その征くところを問う。
 答えが得られたならば次はケイイチに同じ問いを。ジリヤは先に食堂を出てしまった>>356様子で言葉は交わせなかったが、きっと明確に行動へ表れている]

(360) 2014/12/30(Tue) 02時半頃

【人】 理性子 参休

[そうして会話が途切れてから、半紙と薄墨で出来たこれまでの足跡を辿りに自室へ帰る]

[携えるのは紙箱、各々の答え、それに加えていくつかのパン。きっと空腹では向かい合えない程度には時間を要するだろうから]**

(363) 2014/12/30(Tue) 02時半頃

理性子 参休は、メモを貼った。

2014/12/30(Tue) 02時半頃


[かつて、その本を読んだ時、似たような話もあるものだと思った。
だから、きっとありふれた事だったのだろう、下働きの者を酷く扱う事も。

物語と異なる点は、幾つもある。

例えば子供は奉公にでたのではなく、物心ついた時から既にその地位にあったこと。
追い出されたのではなく、酷く傷を負った夜、支え合うように“友人”と二人、月夜に駆け出したこと。
月夜の荒野で地を潤したのは、その一人の血液だということ。
抜け出した一人は、今も尚生き延びているということ。

酷く飢え、渇いた身体にその血液はよく沁みた。
美味だと、その時確かに思ったのだ。]


 その後に、主と会って、吸血鬼という存在を知った。
 ……それで、その衝動が抑えられないならと思って、薬を飲んで、きて。

[けれど、自分が本当に怖かったのは、血を口にすることではなく、生き延びる為に友すらも利用する自分の浅ましさなのではないか。

掌で、顔を覆う。
不思議なもので、言葉にするとそれらは連鎖的に途切れずに連なっていく。
そこで一度、言葉を切る。]


[男は隣に座り、スケッチブックを開く。
 彼の口から落とされていくのは、『怖い夢』の話だろうか。
 まるで民話にでもありそうな物語。
 赤い血を啜った、働き者の少年の行く末。
 “友人”を糧にした、吸血鬼の話。

 話を聞いている間、男は声を出さなかった。
 真っ白なスケッチブックの中にペンを走らせていく。

 ただ、時折隣に視線を向けては
 彼がどんな顔をしているのかを、見つめて。]


[止まることなく語られた話。
 やがて、顔が覆われて言葉は途切れる。

 同じように一度手を止めてペンを置いた。

 無意識に手はのびる。
 肩へと伸ばし、軽く抱き寄せようと。]


[───人を殺した記憶。]

 …………。

[少しずつ、ゆっくりと、靄のヴェールが外れていく。
 生きるために友人を手にかけたのであろう彼の話を聞きながら。
 思い出すのは、男が『誰か』を殺めた理由。]


[語る表情には、笑み一つない。
彷徨う視線の先は、自らの言葉を追う。
恐怖よりも、嫌悪の勝る記憶。
けれど、その嫌悪を恐るならば、それすらも“怖い”夢となるのだろうか。

指越しの視線は、ペンの手の止まる方を見る。
伸ばされた指を拒むことなく、抱き寄せられるままに身体を預けた。]

 ……本当は、もっと沢山、覚えていないといけないんだと、思う。
 けど、……もう、あいつの顔も、思い出せない。

[年の頃も、性別すらも、
恐怖ばかりが勝ってしまい、それ以上を覚えていられない。]


 今話せるのは、ここまで。
 ……今晩も、薬、抜けそうなら、抜いてみるから。

 朝になってまた何か思い出したら、書いて貰えるか?

[最後にそう付け加えれば、微かに笑う。]

[自らの記憶に向き合おう、自らを記録していこう。
そう思った切欠は、何だったか。

例えば、覚えていられない愛の言葉だとか。
例えば、温かな食事の味の良さだとか。
例えば、書き留められない旋律だとか。

きっと、そんな些細の事の積み重ね。]


 ……うん。

[笑みもなく落とされていく言葉に、小さく頷いた。
 体重を預けるようにする体を抱き寄せて。
 本当なら強く抱き締めてしまいたかった。
 ぐっと、堪えて肩をとんとんとあやすように叩く。]

 そか。
 ……、…。

[今己は、酷いことを口にしようとしている。]


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