301 十一月うさぎのないしょ話
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─ 深夜のどら焼き ─
[客が全員帰り、店の片づけを終えた後。 約束通り向かったカズさんちで、もう一仕事にとりかかる。
プリンの固さが材料で変わるように、どら焼きの皮も店によって少しずつ違う。 ちなみに自分は、皮に混ぜる蜂蜜にはみりんを加える派だ。
フライパンでふっくら焦げ色をつけて焼いたどら焼き生地に、求肥を混ぜて程良い固さに練った粒あんを挟みこみ。 まだ温かいまま皿に並べて、テーブルの上へ。]
(1) 2019/11/25(Mon) 02時頃
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──そんなわけで、遅くなりましたけど。 カズさん、夜シフトデビューおめでとうございまーす!
一日目、お疲れさまでした!
[日本酒目当てもあるけど。 ちゃんとお祝いする気はありますとも。 深夜に騒ぎすぎないよう注意しながら、拍手を添えてお祝いを。
聞いていた日本酒の甘さと、どら焼きのあんことのコラボレーションで怒るびっくり化学反応を体験しながら。 笑って他愛もない話をしながら楽しく飲んだ記憶はあるのだけど。
残念ながら、途中でぷつりと記憶が途切れている。 寝落ちたのだ。]
(2) 2019/11/25(Mon) 02時頃
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[これでもひとん家だと、それなりに遠慮するはずなんだけど。その日は、次に目が覚めた時には朝だったくらい、ぐっすりと。
料理人あるあるが揃った部屋は、小麦粉とか調味料とか、微かな食べ物の匂いとかが溢れていて。 とても居心地がよかった、そのせいだ。*]
(3) 2019/11/25(Mon) 02時頃
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─ アップルパイの日どり決め >>0 ─
うーん、アップルパイ作るんなら、 やっぱ紅玉が一番いいんすよねー。
[荷崩れせず、酸味も強くて菓子向きなのはダントツだ。 だが年々改良が進み、今は別の良さを持ついい品種もある。 挙げた候補の中から都合がつくものを、他のフルーツと一緒に仕入れてもらい。
店長と相談しつつ、日どりを決めたなら。 許可をとって店のメールアドレスから、桐野江さんと宅本さん宛てにアップルパイメールを送ろうか。 各々都合もあるだろうから、余裕をもって三日前に。
──そして迎えた当日。 ブラックボードには、ワインのイラストの横に『アップルパイ』の文字が並んでいる。**]
(4) 2019/11/25(Mon) 02時頃
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─ どら焼きパーティー after ─
[パンの焼けるにおいがする。 香ばしいそれに小さく腹が鳴っても、まだ瞼は重く。空腹より布団の誘惑が勝って、ゆらゆらうとうと。 横腹をつつく何かを、うるさそうに手で払いのけ。 心地良い至高の微睡に浸っていた。
次の瞬間。]
(19) 2019/11/25(Mon) 21時半頃
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ぎゃあぁああっ!!?!?
[耳を押さえて飛び起きた。 えっなに? なんなのすげーぞわっとした??
まだ半分霞む視界に映った笑い転げてる先輩の姿に、何が起こったか瞬時に察し。>>13]
〜〜〜〜っ な、なにわらってんすか! もーっ カズさんのばか! あほー!!
[寝起きの頭は、語彙力ゼロ。 そのままばさっと布団をかぶったなら、笑い声が聞こえなくなるまで亀になって拗ねていた。]
(20) 2019/11/25(Mon) 21時半頃
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[耳が弱いことを知られた上に、間違いなく27年の人生でワースト3に入るだろう最悪な起こされ方をした、そんな朝も。
程良く焦げ目がついた表面にじわっと溶けたバターのを滲ませた、緑色の食パンを出されたなら。即座に機嫌が直ってしまうのだから、自分は相当ちょろい。>>1:281
だって、どうしたって空腹には抗えない。 その上そのトーストはさくっと齧った瞬間、口の中に広がる独特な香ばしさのあと。ほんのりとバターと一緒に舌をくすぐる仄かな甘さがもう絶妙で。]
うっま……なにこれ。 え、モロヘイヤ? あの? こんな美味しいとか、カズさん天才でしょ…… あ。もう一枚焼いていいっすか。
[食べ終る頃には、すっかり目も覚めていて。 図々しくおかわりまでしましたとさ。*]
(21) 2019/11/25(Mon) 21時半頃
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─ murmur coney ─
──…んー、こんなもんかな。 よし、とあとは焼くだけ。
[成形を終えたタルト型をオーブンに放り込み。 ディナータイムの開店まで一休みしようとバックヤードに戻れば、エリちゃんがいた。>>17]
おはよー。 今日は早いね、どうしたの?
……え。これ食べていいの。やったー!
[タッパーに詰められたポテトに目を輝かせて。 いそいそと手を伸ばし、きつね色のポテトを一切れ口に放り込んだ。]
(22) 2019/11/25(Mon) 21時半頃
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う、わ。
[瞬間、ふわっと口の中に拡がるハーブの香り。 さくっとした食感のあと、遅れて塩とポテトの味がやってきて。]
これビール飲みたくなるやつじゃん、 これから仕事なのにさー。 ……あーでもおいしすぎて止まんないや。
[やめられないとまらない。 なんで揚げたポテトってこんな美味しいんだろう。
順調にタッパーの中身を減らしていきながら。 あっ、と思い出したように髪をまとめてるエリちゃんを振り返った。]
(23) 2019/11/25(Mon) 22時頃
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そうだ、エリちゃん。 よければこっちも味見してみる? アップル作った残りなんだけど。
[ポテトのお返しに。 冷蔵庫から出してきた小さめのボールには、アップルフィリング。そのまま食べても美味しいし、ヨーグルトに混ぜたりしても最高だ。
この間はどら焼き、エリちゃん食べれなかったしね。>>14*]
(24) 2019/11/25(Mon) 22時頃
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カズさんもおはようございまーす。 え、ピザ? 今から作るの?
[三分の一くらい減ったタッパーに伸びかけた手が、ぴたりと止まった。 だってこのまま食べてたら、確実にピザに乗る量はなくなってしまう。 断腸の思いで手を横に戻し、口の中に残ったポテトをもぐもぐ味わおう。]
(37) 2019/11/25(Mon) 22時半頃
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[カズさんの後について厨房に入れば、微かに漂ってくるアップルパイの焼ける匂いに、順調順調、と口元を緩め。 ピザ生地を作る手元をわくわくと覗きこむ。]
ドライいちじく、 スコーンとかパンデピスにしても美味しいっすよねー。
[みるみる間に出来上がっていくピザ。 その具材のひとつを見つめて、ぽつりと。 でも今日のメインはアップルパイだから、我慢我慢。
あれから数日。 すっかり夜シフトの顔にもなりつつある、その鮮やかな手際は、見ているだけでもとても楽しい。>>33*]
(39) 2019/11/25(Mon) 22時半頃
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[いつだって、甘いものは別腹だ。>>38 エリちゃんの慌てた声にくすくすと笑いながら。]
逃げないから、大丈夫だよー。
エリちゃんて器用だよね、髪まとめんの大変でしょ。 乾かすのも時間かかるし。
[実家に居た頃は、姉貴が毎朝洗面所を占拠して四苦八苦してたのを思い出す。 だからいつも綺麗にまとめてるの、すごいよね。 店長とかかなりズボラなのに。]
(44) 2019/11/25(Mon) 22時半頃
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あ、そろそろ開店の時間かな。 プレート出してきまーす。
[バターフレーキのいい香りがしてくる中。 時計を見て、俺は扉へ向かう。
入口にかかるいぶし金のプレートを、CloseからOpenにかえて店内に戻ってくれば。 ひとりふたりと客がうさぎ穴にとびこんでくるまで程無く。>>41>>45*]
いらっしゃいませー。 お好きな席へどうぞ。
(50) 2019/11/25(Mon) 22時半頃
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えー。 俺の分のピザとっといてくれたら 考えてもいっすよー。
[カズさんもそう言うだろうなって思って、多めに焼いてあるけど。ちょっとだけ意地悪い返事をする。>>49
なんでかって? ひとの顔を見て、笑いを堪えたりしてるからっすよ!>>27*]
(55) 2019/11/25(Mon) 23時頃
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[そして、いつもの出迎えの言葉を舌に乗せれば。
慣れた仕草でカウンターに陣取る、いつも通りの有馬さん。 変わらずお腹の虫が騒がしい、宅本さん。
そして、二人に挟まれるように入ってきた桐野江さん。>>52 なんか今日は挙動不審ぽい?]
(58) 2019/11/25(Mon) 23時頃
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[三人三様に、席が決まったようなら。 おしぼりとレモン水のグラスを、そっと横に置いていき。]
どうぞ。 桐野江さん、今日は隅っこでどうしたんすか。 なんか大人しいっていうか。
[そういう気分なんだろうか。>>57 いつもと雰囲気が違う様子に、首を傾げていたら。
飛び込んできた宅本さんの声に振り返って。>>63]
はーい、ちょうど焼き上がるところなんで。 大きめのやつっすね、了解です。
桐野江さんは、どうします?
[早速入ったアップルパイのオーダーに、厨房に戻ろう。 実はこれから盛り付けという仕上げが待っている。*]
(66) 2019/11/25(Mon) 23時半頃
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ふは、健康ですって。俺はお医者さんじゃないっすよ。 なんか桐野江さん、いつもより可愛らしいっすねー。
[桐野江さんはキリッとした美人のお姉さんというイメージが強かったから。 普段より声が小さいのも、挙動不審なのも、見ていてなんだか面白い。>>73
宅本との会話に、寝坊したのだとわかれば。>>74 布団の優しさを語る声にうんうんと頷き。湧きあがる親近感にくすくすと笑いながら、オーダーを書き留めて。]
アップルパイ二つ、承りました。
今回、リクエストなのもあって ちょっと頑張ってみたんすよー。 お二人とも、楽しみにしててくださいね。
[ふふふ、と二人に笑いかければ厨房の奥へと。*]
(79) 2019/11/26(Tue) 00時頃
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ウツギは、オトサカの手際の良さに見入りそうになったけど、しごとしごと。
2019/11/26(Tue) 00時頃
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[厨房の奥。 オーブンから取り出したアップルパイは、二種類。 大きなタルト型と、今日はもう一つ。
薄くスライス上にした林檎に、フィリングと同じようにシナモンとバターとグラニュー糖を染み込ませ。細切りにしたパイ生地に並べて作った、一口サイズの薔薇型。]
よし、いい感じ。……っあち。
[大きなタルト型の方も、いつもは格子にする生地の代わりに、葉っぱの型抜きでくり抜いた生地を散りばめて。 予想はしてたが焼くと膨らんで少し歪んでしまったけど、そこはご愛嬌。こんがりと色づいた分、食欲を誘うだろう。
冷めないうちにと切り分けていけば。 断面から覗くぎっしり詰まったアップルフィリングは、また最初に食べてもらえる可能性も考えて甘さは控えめに。 けれどシナモンはたっぷり、そして風味づけにブランデーを少し加えてある。]
(85) 2019/11/26(Tue) 00時半頃
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[大きめに切った一切れずつ皿に移し。 敷き詰められた葉の上、一口サイズの薔薇の花を咲かせるように飾り付ければ、完成だ。]
おまたせしました。 当店特製、アップルパイです。
まだ熱いので、気をつけてくださいね。
[少しだけ緊張するのを隠して、店内に戻れば。 宅本さんと桐野江さんの前へ一皿ずつ置いていく。 味は勿論、見た目も楽しんでもらえるといいのだけど。**]
(86) 2019/11/26(Tue) 00時半頃
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[宅本さんのスタンバイの早さに、緊張で強張りがちだった口元が緩む。>>93]
ええ。紅葉にするかも迷ったんすけど、 メインを薔薇にするならこの方がいいかなって。
[つかみの反応は上々。 まさか角度を変えて観察までしてもらえて、嬉しいやら照れくさいやら。]
どうぞ。 宅本さんはいつも遅くまでお疲れさまです。 ゆっくり食べて疲れ癒してってくださいね。
[無心で頬張る横顔に、子どものようなパイクズのお弁当を見つければ、くすりと笑いながら。>>94 こんなに喜んでくれるなら、マカロンもまた作ってみよう。食べてくれる人がいることこそ、何より強い動力源になるし。 いつも帰る時にはまだ明るい隣のビルをしっているから。その激務の安らぎに、少しでも貢献できたらいいと思って。*]
(117) 2019/11/26(Tue) 19時頃
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[そして横の席から聞こえてきた、感嘆の声にも振り返り。 興奮が伝わってくる声色は、心なしか口早で。 待ちきれずフォークに伸びる手に、くすくすと。>>102]
勿論、冷めないうちにどうぞ。 食べてもらうために作ったんすから。
[じっと食べるのを待つこと数秒。 桐野江さんの表情がやわらかく緩むのを見て、ホッと胸を撫で下ろした。 ああ、いつもの顔だ。]
ありがとうございます。 桐野江さんのその顔が見れて、俺も嬉しいっす。
[元気がない時ほど、元気、なんて自己申告したくなる気がするから。ちょっとだけ心配してたけど。>>104 料理を前にきらきらと輝いてよく動く目は、どんな言葉より美味しさを伝えてくれていて。
邪魔しないよう、厨房にひっこもうとしたその時。 手招きに気づいて、足を止めた。]
(118) 2019/11/26(Tue) 19時頃
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[ぱくぱくと何か言おうとしている、淡い色の唇に片耳を寄せた。アップルパイと違う微かないい匂いがふわりと鼻をくすぐり、ちょっとどきっとする。]
あそこ? ああ、有馬さんっすか。 あれからもたまに夜、ふらっとご来店されるんすよ。 ……気になります?
[好みなんすか、なんてちょっと茶化すようにこそこそ話を。 まあそういう色っぽい頼みごとも、珍しくはないのである。しかも、今はほんとの内緒話のボリュームなのだ。でも口調からするとどうやら違うらしい。]
ふふ、なんだ。 ええ、いいっすよ。それくらいお安い御用っす。 断られる心配はない気がしますけど。
[少なくとも、美人からの贈り物を断るようには見えないし。万が一のときは、箱に入れてお土産にしてもいい。]
一期一会、ですもんね。 ご縁は大切にしたいもんです。
[社会人になると、新しい出会いと言うのは少なくなる。この店が、自分のデザートが、そのきっかけになれるなら喜んで頼まれよう。]
(119) 2019/11/26(Tue) 19時頃
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[更に頼み事はもうひとつ。]
了解っす。 あとで桐野江さんからだって、渡しますね。 エリちゃんも喜ぶっすよ。きっと。
[ひそひそ、こそこそ。 お店や同僚を褒められるのも嬉しいけど。 大切にしてくれるその気持ちが、何より嬉しくてくしゃりと笑いながら。]
大丈夫っすよー。 それに女性の頼みごとは断るべからずってのが、 うちの姉貴の教えなんです。
[おどけてウインクをひとつ。*]
(120) 2019/11/26(Tue) 19時頃
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[そうして前菜代わりのデザートのサーブを終えたなら。 カウンターを立った有馬さんがなかなか戻ってこないのが気になって、ちょっと見てきます、とトイレに向かい。]
うわっ。
[覗こうとした瞬間ドアが開き、慌てて飛び退いた。>>101]
すんません。 もしかして中で酔いが回ってんじゃないかって。 ……大丈夫そうっすね、タオルお持ちします。
[濡れた前髪が目に入り、バックヤードからタオルを持ってきて渡そうか。 酔いすぎた客のために、用意してあるのだ。]
(121) 2019/11/26(Tue) 19時頃
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そういえば、前に聞きそびれたんすけど。 有馬さんもデザートのリクエストってあります?
[大分わかってきたけど、まだ謎だらけのこの人が どんなデザートを好むのか気になって。
カウンターに戻る道すがら、訊いてみた。**]
(122) 2019/11/26(Tue) 19時頃
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[タオルが必要ないなら、有馬さんの後ろについて自分も店内へ戻ろう。 ちらほら空いた皿やグラス下げながら。]
意外っすね。
ああでも、有馬さんらしいとも思いました。 有馬さんて結構、 パンチ効いてる味が好みじゃないっすか?
[わからないなら、何事も聞いてみるものだ。 特にこの人はちゃんと聞けば教えてくれるし、予測不能な返事が結構楽しい。]
じゃあ、質問変えるっす。 これまで食べた中で、美味しかったスイーツあります?
[デザートでもお菓子でもなんでもこい。 確か、有馬さんて貿易のお仕事してるんだっけ。 もし聞いたことないものが飛び出してきたら、レシピを調べてみるのも面白そうだ。]
(126) 2019/11/26(Tue) 20時半頃
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お酒の追加、いりますか?
[有馬さんの前には、空になったボトル。 一本飲んでこれって相当強いのではと、尊敬と羨望が混ざる眼差しを送りつつ。]
あ、そうだ今日はあとでアップルパイ出しますんで 腹に余裕残しておいてくださいねー。 俺からのサービスじゃないっすよ。 あちらの美人さんからっす。
[内緒話の頼まれごとだったけど。 お礼もご縁も伝えないと、意味がないでしょ?*]
(127) 2019/11/26(Tue) 20時半頃
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あれ。気づいてなかったんすか。
[珍しいものを見た。>>129 目を丸くして、一瞬ぽかんとしていたら。]
あー。今なんか頭に浮かんだでしょ。 内緒にされるとめっちゃ気になるんすけど。
[本命の質問は、思い切りはぐらかされた。>>130 気になるけど、教えてくれる気がないならそういうことなんだろう。仕方ない。 無理にそれ以上食い下がらず、話題を変えよう。]
(132) 2019/11/26(Tue) 21時半頃
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了解、スコッチのロック用意しますねー。
アップルパイも一緒に持ってきましょうか。 食べきれそうになければ、包むこともできますけど。
[わざとカタコトの日本語の有馬さんの斜め後ろ。 自分も桐野江さんに顔を向ければ、やっぱり断らなかったでしょ、と笑みを含んだ視線を送り。 アップルパイをどう有馬さん用に甘くするか。難題に思考を巡らせながら厨房に戻るのだった。*]
(133) 2019/11/26(Tue) 21時半頃
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[厨房に入れば。 洗い場付近にエリちゃんとカズさんがちょうどいて。>>128>>139]
なになに? 二人もなにか、内緒話してんのー?
[すれ違いざま声をかけつつ、温め直した薔薇のアップルパイを皿にセッティングしていく。 なんで甘くしようとしたのバレたんだろう。>>134 そんな顔にでやすいか? と首を捻りながら。粉砂糖でちょっとだけ薔薇の庭に雪景色を追加しておく。 これくらいは食後用バージョンってことで。
次の向かったのは、酒の棚。 そういえば前にアイラを頼んでたっけ。 あまり詳しくないけどアイラ島のは、ウィスキーの中でもかなり独特な風味があるやつだ。
らしいなぁ、と小さく呟いて笑いながら。]
(146) 2019/11/26(Tue) 22時半頃
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[冷やしたグラスに大きく丸いロックアイスを入れ、選んだ銘柄はボウモア。 注いだ琥珀色をマドラーでなじませて。
カウンターへ戻れば、有馬さんの前へ。]
お待たせしました。 スコッチのロックとアップルパイです。
[皿とグラスを置いた後、厨房を振り返り。]
そういえば、カズさん。 何か冷やしてるって言ってませんでしたっけ?
[空気読みません。>>141 食べたいかどうか、選ぶのは有馬さんだ。*]
(149) 2019/11/26(Tue) 22時半頃
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[あ、笑われた。>>154 けど、食べてくれるらしいからよしとしよう。
切り分けられて運ばれてくアップルパイに、桐野江さんと宅本さんに出した時みたいな、ほんの少しの緊張感。 美味しくできた自信はあっても、好みに合うかどうかは人それぞれだ。
甘い、の短い一言にホッと頬が緩む。
足りないって言われたら、カスタードクリームを乗せるか悩むところだったのは黙っておく。それをやったら、明らかに甘たるい。
有馬さんの不敵に笑う顔に、きょとんとして。ニッと笑い返せば。]
それじゃあ、世界中にビラ配ってきてください。 ここにこんな美味しいアップルパイありますって。
世界中のひとに食べてもらえんのも嬉しいっすけど。 それより俺は目の前のひとがおいしそうに食べてるの、 もっと見たいんすよね。
[営業お願いします、と図々しい返事を。*]
(167) 2019/11/26(Tue) 23時頃
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え。エリちゃんがお酒の話するの珍しい。 カズさんちで飲んだ日本酒美味かったっすねー。
俺もお酒好きだよー、エリちゃんお酒に挑戦するの? じゃあ今度慰労会しようか、店長のおごりで。
[途中から割り込んだせいで、話は見えないまま。>>159 同僚で一緒に飲むなら店長も勿論加わると思っている。
そして冷やしてたのは、ジュレだったらしい。>>156 おいしそうなそれは、余れば賄いになるのも嬉しいけど、でもせっかく作ったならお客さんにも食べてもらいし。 なんてどうしようもない葛藤をしつつ。]
(168) 2019/11/26(Tue) 23時頃
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[ふと、先日の宅飲みを思い出す。 結婚について聞かれたっけ。>>12 全然想像できないっすねー、って苦笑しながら返したあとに、同じ質問をカズさんにも向けてみたけど。 その頃には結構酔いが回ってたのか、記憶は曖昧だ。
年上で面倒見よくて料理できて。 彼女の話は聞いたことがない上に、突然後輩泊めるくらいだからたぶんフリーなんだろう。
半分冗談で付き合おうって告白されて、長続きせず別れる自分より、よっぽどモテると思うんだ。 何よりめちゃくちゃ大事にしそうだし。*]
(169) 2019/11/26(Tue) 23時頃
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[これが有馬さんに認められて褒められてるってことなのは、わかる。>>171 わかるんだけど、聞いていたら、だんだん首端が下がっていって。]
……なんか、やです。
[ぽつりと呟いて、ハッとする。 慌てて眉尻を下げながら、無理矢理笑って。]
あ、すんません。つい。 なんていうか、商売道具の評価みたいな…… いや、これが確かにこれが俺の仕事なんすけど。 ……あーもー、上手く言えない。
[片付けの手を止めて、カウンターでうーんと唸ること数秒。]
(185) 2019/11/26(Tue) 23時半頃
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認めてもらえるのは嬉しいんすけど、 そういうお話よりも、俺は…… 目の前で有馬さんに美味しいって顔で 残さず食べてもらえたら、その方が嬉しいんですよね。
そのために色々レシピ考えたり、工夫したり…… 有馬さんに満足して欲しくて出したものなんです。
だから、そういう褒められ方はなんか、やだなって。
[向上心が低いと思われるだろうか。 自分の店をとか、もっとたくさんの人に食べてもらいたいとか、そういう気持ちは勿論ある。 でも、これはその為に作った料理じゃないから。]
えーと……えらそうなことすみません。 きっと、俺にはまだまだな話ってことっすね。
[ぺこりと頭を下げた。*]
(186) 2019/11/26(Tue) 23時半頃
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……ですね。
[頭を上げても、顔はあげないまま短い相槌を。>>187 なんでだろう、すごく落ち込みそう。*]
(190) 2019/11/27(Wed) 00時頃
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ウツギは、カコの空いたお皿をそっと下げていった
2019/11/27(Wed) 00時頃
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[本日のディナータイムもそろそろ終盤。 食器や調理器具を片しながら、お帰りの気配に気づく。>>191 自らコートと帽子を手に取るいつも通りの姿に、そっと苦笑して。]
ありがとうございました。 またのお越し、お待ちしてます。
[気合で笑って、有馬さんを見送った。*]
(199) 2019/11/27(Wed) 00時頃
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─ murmur coney 閉店後 ─
カズさん、料理褒められて やだなーって思ったことってあります?
[片付け後、エリちゃんに桐野江さんからのアップルパイを渡したり。店内を片したりした後。 バックヤードでエプロンを脱ぎながらのこと。]
しちゃったんすよねー、今日。 やだなーっていうか、しょんぼりしちゃったっていうか。
せっかく美味しそうに食べてくれたし、 きっとすごい褒めてくれたのに、
俺、変っすよね。 料理人としておかしいのかなー……
[この腹の底がもやもやムカムカする理由はなんなのか。 よくわからないまま、ため息をついて上着を羽織った。 長いことちゃんと恋愛してないのは、自分も同じだ。>>174**]
(205) 2019/11/27(Wed) 00時半頃
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