56 いつか、どこかで――狼と弓のワルツ――
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ちくしょぉぉぉぉぉ!!!
[力尽きた手>>3:115に、声を上げる。 副団長の胸に刺さった矢の印を確認すれば、それがクリストファーの部隊のものであると分かる。
否、確認する前から察していたかもしれない。 蛇のように獲物を狙う、狡猾な弓の使い手。 ぎりっと唇を噛み締める。]
(1) 2011/07/03(Sun) 01時頃
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[幼馴染が来た>>0ことに、直ぐには気付かなかったが。]
……もう良い。 敵は逃げた。気配がない。
[矢を警戒する様子の彼女に向かって、力なく声を掛ける。]
……連れて行くのは医務室じゃない。
[それだけ告げると、副団長の体を担ぎ上げる。]
(4) 2011/07/03(Sun) 01時頃
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…………俺は、何をやっているんだろうな。
[すぐ傍に居たのに、守れなかった。
戦場だというのに気配を探ることを忘れ、同じ弓を扱う者として狙撃しやすい場所を確かめることを怠った。]
何が、弓の名手だ。
少なくとも、敵が狙ってくる場所なら分かったはずだろうが。
[呟いても、慰めてくれるだろう声は聞こえない。
いや、そもそも慰めが欲しかったわけではなかった。
欲しいのは――。]
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[ミッシェルの言わんとしていることは分かる。>>8 しかし、もう既に温もりを失いつつある副隊長の体からは命の砂は零れきっていた。]
薬や包帯は生きている兵に使うものだ。 次の生へ旅立った者に使うものじゃあない。
[静かにそう告げる。]
参謀殿。 ここは敵に狙われやすい。場所の移動を。 俺は副隊長を連れて行ったら、応援を呼んでくる。
[ヴェスパタインの体を担いだまま、もう一度だけ辺りの気配を窺ってみる。 危険がないことを確認すればそう言って立ち去ろうと。]
(9) 2011/07/03(Sun) 01時半頃
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―――勝たなきゃ、アイツらが浮かばれねえ。
[脳裏を過ぎていくのは、既にこの世に居ない、彼らの姿。]
…動けそうな兵を把握して、部隊の再編を。
[彼の力強い声に応じるように。]
俺も終われば、手伝う。
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[嘆き悲しめば彼は喜ぶのだろうか。 その死を悼み、敵を追うことを彼は望んでいるのだろうか。
そうは思わない。 思わないからこそ、今何をすべきか考え動く。]
大丈夫だ。砦までそう遠くはない。
けど、お前が来たいなら止めないが。
[震える幼馴染の声>>12に、少し心配になってそう言った。]
(13) 2011/07/03(Sun) 02時半頃
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おう、任せた。
[昨日剣術の訓練後、二人が話していたのを見ている。 その後のことは知らないが、違う騎士団に所属しているとは言え、ヴェスパタインの望むことは察したのだろう。 幼馴染の顔を覗かせた彼女に、昔と同じように笑い。]
安心しろ。 俺を誰だと思っているんだ。
ああ、バーナード。 ここに居るのが嫌だって言うなら、一緒に来い。
[傍にいるであろうバーナードへ声を掛け、ついて来ると言うなら共に砦へと向かった。]
(15) 2011/07/03(Sun) 03時頃
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必ず来るから、待ってろ。
[微笑を見せるミッシェルに、笑って答え。 立ち去る前、ふと思いついてソフィアに進言する。]
……副隊長のことは、暫く伏せておいた方が良いかもしれないな。 士気に関わる。
[現に、先に逝った赤の副団長のことを知り、動揺している兵士も見かけた。 これでまた自騎士団の副団長まで、となれば更に動揺は砦の騎士達に広がるかもしれない。]
動揺は隙を生み、隙は敗北を招く。 ずっと隠せるものじゃあないけどな。
[両騎士団の団長や領主公女には伝えなければならないだろう。 しかし、まだ戦は終わらない。 前線へと向かう騎士たちの不安や動揺を、少しでも減らしたかった。]
(17) 2011/07/03(Sun) 03時半頃
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[砦へと着けば、そのまま安置所へと向かう。 出来るだけ人の少ない廊下を選んだが、それでも途中すれ違った者たちへ他言無用と釘を刺す。 それが効果あるかは分からないが、出来るだけ広めたくはなかった。
安置所につけば、副団長の体を横たえる。 そこで初めて、べネットとフィリップ、そしてムパムピスの遺体と対面した。]
……ホント、だったんだな。
[遺体を目にして、その死を実感する。
こみ上げてくる感情は何なのか。 怒りか悲しみか。それとも別の何かだろうか。 ――分からない。]
(18) 2011/07/03(Sun) 03時半頃
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[見るのが苦手だった服を纏った神父に小さく声を掛けた。]
別の服着て会うって言っただろうが。
戦が終わったら、飯食おうって約束したじゃないか。
なんで約束破ってるんだよ。
神父が嘘吐いて良いのかよ。
[約束を破ったムパムピスへ、こみ上げてくる感情をぶつける。]
神はお前の最後の願いすら叶えてくれなかったな。
[フィリップを助けてくれと祈っていた彼の願いは結局叶わず、共に横たえられた少年へとまた視線を向けた。]
なぁ、本当に神様ってのはいるのか?
本当に、人は死んだら生まれ変わるのか?
[目の前の現実に、そんなことを零してしまう。
神職者である彼は、何と返してくれるのか。今はもう分からない。]
でも、もし本当に……――
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…――生まれ変われるんだとしたら、俺はまたお前たちと会いたいよ。
[所属は違えど、狼の紋章に恥じぬ勇敢な最期を遂げたであろう青年と。 優しく動物の世話をしていた少年と。 苦手だからと言って、あまり直接話せなかった神父。 そして――何故か叱られてばかりだった副団長の顔を見ながら、そうぽつりと呟いて。]
それではセドリック ヴェスパタイン副団長。 失礼します。
[深々と一礼をして安置所から出た時には、表情は既に引き締まった物だっただろう。**]
(19) 2011/07/03(Sun) 03時半頃
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赤も緑も関係ねーな?
[両軍分かれての再編は、人数的にも得策とは言えず]
とっとと仕留めて、来い。
ぐっ、ああああああっ
[抑え切れぬ咆哮が、響いた。]
…オスカー …っ!
[響く咆哮は、悲痛以外の何者でもなく。
咄嗟に声のした方を見て、名前を呼ぶ。]
大丈夫だ、捕虜は始末した。
[イアンから呼び掛けられて、しばらく時間は経ってしまっていたが。
普段と変わらぬ声音で、そう返した。]
そう、…そっか。
[呼びかけてから、時間が空いたのが気になったが
それでも普段と変わらない彼女の声を聞けば、安心して。]
今、何処にいる?
[再び戦場に出るにあたり、やらなくてはならない事は山の様にあって。]
…倉庫。
おっちゃんが倒れてた。
[相手から返答があれば、医務室へ行くつもりだ、と告げて**]
おっちゃん…?
誰だそれは。
[怪訝そうに尋ね。
オスカーもまた、医務室へ向かうだろう。**]
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[安置所に行く前に別れたバーナード>>23へは頷いて答えていた。
安置所を出てから向かったのは、医務室。 ソフィアは砦に戻ると言っていた為>>46、向かう途中掴まえた自騎士団の人間にそれを告げておく。 副団長のことは参謀からの返事>>47もあり黙っておくことにした。
医務室に着けば、負傷し前線には出られないが見張りならば出来る者をバーナードが言った>>3:102場所へ配そうと指示をする。 オスカーが既に逃げ出した捕虜を始末したとは知らない。知っても念のためにとそのまま配置を変えなかった。 指示を受けた騎士たちは、負傷し弓を引けなくとも仲間の為に役立つことが出来ると駆けて行く。]
(53) 2011/07/03(Sun) 21時半頃
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ん?ペラジーが戻ってきてない? どこに行ったんだ?
[近くにいた看護師が話しているのが聞こえ、そちらを見る。 聞けば解毒剤がないからと森へ摘みに行ったという。]
森に? ……まさか!
[解毒剤になる薬草が生えている場所は、以前ペラジーに聞いたことがあった。 その場所は確か、先程ヴェスパタインが狙われた場所の近く。 嫌な予感がし、走り出す。]
(58) 2011/07/03(Sun) 22時頃
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…なあ、お前なら。
お前なら“最期”の瞬間は何をしてたい?
[医務室から出ていくバーナードの背を見ながら、仲間に問う。]
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― 砦外 ― [砦を出て森へ向かおうと足を向ければ、森の入り口付近で血まみれで倒れるペラジーとその体を助け起こす者の姿が見えた。>>44]
おい、どうした。 そこは危ないから中へ入れ。
[フードを被り、服もポンチョで見えない為にそれが公女だと気付かず声を掛ける。 辺りの気配を探り、敵が居ないのを確認し傍へと駆け寄る間に上がる声と音。>>45]
何やってるんだよ! 止めろ!
[駆け寄って見れば、ペラジーの首には矢が刺さり血が抜け白くなったその顔には僅かに涙の跡があったか。 光が消えたその黒い瞳は何も映さず、命が尽きていることが分かる。]
(67) 2011/07/03(Sun) 23時頃
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お前、何を考えている。 こいつが何をしたっていうんだ。
[と、そこまで話して相手が公女だと気付けば驚いたように固まる。]
げ!姫様?! 何でこんなところに。
[砦の中で守られているべき彼女が何故こんなところにいるのかとか、それよりも公女とは知らずに話しかけてしまいどうしたら良いのか分からず、視線が泳ぐ。]
(72) 2011/07/03(Sun) 23時頃
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なあ、おい!
今姫様が!
ふっつうに話しかけちまった!
ど、どうしたらいい!?
[半ば混乱し、思わず助けを求めていた。]
いきなり何だ?
[医務室へと向かうさなか、突然問われた内容に首を傾げて。]
何をしていたいかはわからんが。
最後まで主と共にありたいとは思う。
[さらりと言い放つ。]
…俺と一緒に居てくれんの?
そりゃ、寂しくなくて良いや。
[少しだけ、顔が緩む。
医務室をもう抜け出したということは、
彼女に伝えないままで。]
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[一つ大きく息を吸い、内心の動揺を隠す。]
姫様、此処は危険なんで中に入ってくれ。 先程副団長――ヴェスパタイン副団長もやられた。
今のところ気配はないが、いつまた来るかわからない。
[向こう、と公女は言ったが>>78、それが敵の方を指しているとは思わず、しかし何か記憶のどこかに引っかかるものを感じる。 しかしそれが何か思い出そうとしても、崇拝している公女が目の前に居るためにどこかまだ冷静になれないでいた。
押し付けられる形でペラジーの体を受け取れば、その開いたままだった瞳を閉じてやる。]
(79) 2011/07/04(Mon) 00時頃
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[先程は返事がくることがないということすら忘れていた。
先程遺体に会ってきたことを忘れるくらい動揺していたのだが。
公女の言葉に思い出したのは、ムパムピスが最後に掛けてきた言葉。]
……この戦。
両軍どちらかが……お心は二つに裂けて……?
[砦の外に出てきた公女。
そして神父が言っていた言葉。
何か噛み合いそうだが、考えが纏まらない。]
お前に忠誠を誓うと約束したはずだが。
[言いつつも、左手の痛みに僅かに眉を顰めた。
向こうにはわからない事だろうが。
剣や馬の手綱は誤魔化しつつも片手で扱うしかなさそうだな、とぼんやり思った。]
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[何故、と泣き崩れる公女>>81へ静かに声を掛ける。]
これが戦だからだ。 こんなこと、誰も望んでなんかいない。 ただ、戦だからなんだよ、姫様。
[冷たくなったペラジーの体。 戦が終わってから彼女の料理を食べようと約束した相手ももういない。]
姫様、俺たち騎士団は貴女の、この祖国を守るために戦っているんだ。 頼むから中に入ってくれ。 ここであんたが襲われたら、皆無駄死にだ。
[泣いている彼女から視線を逸らす。 直接話してみたいと思っていたが、こんなことではなくもっと違う話が良かったと小さく苦笑した。]
(86) 2011/07/04(Mon) 00時頃
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おい、お前何処にいる。
[その声は、若干不機嫌そうに。]
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