60 ─昨夜、薔薇の木の下で。
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[濃い緑の中、色鮮やかな花を咲かす真夏の庭。 天国の青という名の朝顔ヘヴンリーブルー、太陽に向かう向日葵、そして夏の盛りに幾つもの色鮮やかな花を咲かすのは――]
……中庭。 ああ、そうだ。水を遣らないと、 だけど、 そんな様子じゃ日に当たったら倒れますよ、行って見て来ますから。
[答える声は、らしからぬ今にも屑折れそうな響きで。 留めなければ、手を差し伸べなければ、と思うのだけれど―― 不意に咎められた言葉に、その手が止まる]
名前……、いい名前だと思いますけど、 俺は、あなたの名前、好きですよ。
優しい響きに、聞こえますし。
[肯定することしか出来ない、 無価値な言葉は、慰めになどならないだろう]
(82) 2011/08/09(Tue) 17時半頃
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……ルーカスさん? 何言ってるんですか……。
[あの花、彼は何を見ているのだろう。 彼の目に映る世界は、もはや自分と同じものを映していないのではないか。そんな予感さえ、して]
[もしも彼の心に踏み込むことがあったなら、その後悔を、守るべきものを自らの手で壊した罪を、わずかにでも共有できたかもしれない。けれど誰もに等しく保った距離は、結局彼に触れることなく]
……ああ、ポーチュラカは今が盛りですね。 とても、綺麗に咲いてますよ。 よければ水をあげて遣ってください。 きっと喜びますから。
[離れて行くルーカスを、もはや留めようという気は起こらなくて。耳が捉えたうわ言のような呟きをただ肯定し、せめて付き添って行こうとするのだけれど――足は止まった]
(87) 2011/08/09(Tue) 18時頃
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ヤニクは、またきつくなった薔薇の芳香に、一度壁に手をついた。
2011/08/09(Tue) 18時頃
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[彼の目に映る世界は違うものだと感じるのに、 同時にとても近くも感じるのはなぜだろう。
重ねるも償うも、 罪に与えられる罰を望んでいると同じかもしれず。 向けられたぎこちない笑みは、痛みを誘うものでしかなくて。
心が過去を思ってしまう。 強く匂う芳香が、その隙間に滑り込んでくる]
この匂い、なんともないんですか……? ……また薔薇が……、
[せり上がる熱は甘苦さを伴って、 どうにか熱を逃がそうと、一度深く息を吐く。
壁に手をついたまま、ルーカスが声を向けた先を見ややれば、級友の姿に眉根を寄せることとなった]
(101) 2011/08/09(Tue) 19時頃
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[問いかけに見上げる眼差しが熱に揺らぐ、 繋ぎとめようとするのは、傷に残るひとつの感情]
……わかりませんけど、これ。 眠ってるランディたちからも、匂って…… [それでも駆け寄ってくるテッドに、 芳香が強くなれば、いっそう眉根を寄せた。 衝動が強くなればなるほどに、強くなる感情は拒絶を口にさせた]
テッド、……こっちに近づくな。 おまえ、薔薇の香が……
[かえる言葉は幻聴となるのだろうか。 自分がその人に望むのは、もう だけなのに]
(111) 2011/08/09(Tue) 19時半頃
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[感情は――深く根付いた嫌悪。 どんなに肯定しようとしても、しきれない。 今までもその衝動を肯定しようとする時、 表れる表情は嫌悪を隠しきれてはいなかっただろう。
声が重なる。びくりとして、 一度テッドを見やった、また重なるけれど。
ちがう、あのひとはいまも、苦しんでいて。 せり上がる衝動が重なれば、よりいっそう見えるものを拒絶して、首を振る。目が眩む。]
――……、
ひどい、匂いがする。 ……気づかないのか?お前から薔薇の匂いが、
[口元を覆い、顔を背けてもまだ香る。 湧き上がる衝動は、その香のせいだなんて過ぎるのは一瞬で。
次の瞬間には、ルーカスのあとずさる足元が視界に映っていた]
(120) 2011/08/09(Tue) 20時頃
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……童貞より先に、処女失ってしまった……
[ふと気づいた事実に愕然として、思わず零した。]
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[それは繰り返される夢のよう。 明日でも今夜でもない。 昨夜起こった出来事は、取り返しがつかない。 過ぎた過去が、今に起こるはずがない]
――……ちがう、 あなたを助けるのは、俺じゃない。
あなたはその手を……、
[零れた呟きはきっと意味のわからぬもの、 夢の世界にもまた届かないだろう、ふるり首を振る。 近づいては、いけない。 そこにいるのが誰だろうと等しく距離を保って]
[>>122 遠く、聞こえた言葉今はその意味が遠い。 何か大事なことを聞いた気が、するのに]
(128) 2011/08/09(Tue) 20時半頃
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ちょ、なんてこと云うんですかっ。
あれ?先輩想いが通じたんですか?良かったですね。
[聴こえた声に、びくっとなって返す。
好きなもの同士で……という認識しかないので、
取り込み中って、どうこういいながらそういうことだったのかと、勝手に納得していたのだけれど。]
―――……っ
[突然、意識をどこかに持って行かれるような
そんな感覚を覚え、悲鳴を噛み殺したような音を相手に伝えた。]
えっ、何、今の声に出てた…!?
[うっかり、あほなカミングアウトをしてしまったことに気づいてうろたえた声。想いが通じた…には、何とも言えず、沈黙を守っていたが。
悲鳴を飲み込むような音が聞こえた気がして、]
……オリオル君?
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[熱にまどろむような、 そんな意識が望まぬ声に引き戻される。 歪む、目の前の人の姿がつややかに笑む]
――………、 ちがう、そんなことは 、望んで……
[差し出された手――、 蔓薔薇の文様は血の滲むような黒ではなくて。 ――そう、やはりあの人の色ではなくて]
ッ……、ちがう。 お前、だれだ……?
[述べられた手に、触れず払いのける。 その人の手であれば、あるいは尚触れることは出来なかったかもしれないが。ずるりとあとずされば、視界に入る]
(137) 2011/08/09(Tue) 21時頃
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ルーカスさん……ッ、
[聞こえてしまった「たすけて」というその声が。 振り払い逃げ出そうとした足を、一度留めてしまう。 けれど、きっと声は届かないだろうとどこかで思っている。
あの薔薇は幸せな夢の匂いがした**]
(141) 2011/08/09(Tue) 21時頃
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ヤニクは、その足はきっと、ヘクターの部屋と向かうだろう。彼の同室者の今を知らずに**
2011/08/09(Tue) 21時頃
[薔薇の香りに誘われるまま、身に溜る熱を発散させようとルーカスを誘う。
嗚呼、でも……―――]
やっぱ、好きな人と……が、いい な。
[とぎれとぎれ、薔薇の香りに惑わされながら、声を返した。]
――――……
[テッドの呟きに、返せる言葉はしばらく見つからず。]
……そうだね〜。
普通、そうだよね〜……
[それだけを呟いた。
彼が、想い人とは違う者と何をしようとしているのか…
そこまでは、察せられなくて。]
でも、誰かの役に立てるなら……―――
[ゆらゆらと波間を漂うような声音で囁く。]
それは、それで、いいのかもしれないですね。
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―廊下― [繰り返したのは過去の過ちに似てしかし明らかに異なっている。
無垢で柔らかで、清廉な静けさを湛えた人。 月明かりの下であの銀の髪に触れてみたいと、 そんな欲深い願いを持ったのがきっと過ちだった。
あの時、見捨ててしまったのは、助けられなかったのは、 好きだという感情が、勝手に作り上げた幻想のせい。 衝動も好意も、自身にとっては忌まわしいものに成り果てた]
(159) 2011/08/09(Tue) 22時半頃
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[テッドから逃げて、ルーカスを見捨てて、 廊下を行けども行けども、薔薇の香は匂う。 ジリジリと鳴くセミの声、目の眩む日差しに室内の影。 視界が揺らぐのは陽炎だろうか、また一度手をついて]
――……体が、重いな、
[そして、ヘクターの部屋の扉を叩く。 自分はここを離れるつもりはなかったけれど、 ロビンでも誰でも離れられる者は離れた方がいいと、そう思っていた。
中で起こっていたことなど知る由もなく]
(160) 2011/08/09(Tue) 22時半頃
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[反応がなければもう一度、 少しばかり急いた調子になったのは、 まだ先ほどの出来事が自分でも整理出来ていなかったせいか]
……いますよね?
[気のせいでなければ、気配はする。 先ほどの場から離れても濃度の変わらぬ薔薇の香、 この部屋からも匂うことには、気づかずに]
(168) 2011/08/09(Tue) 22時半頃
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ヤニクは、なんかなかなかがばたばたしてる気配は感じてた。
2011/08/09(Tue) 23時頃
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―ノックスの部屋― [帰ってきた声は訪問の目的の人物ではなかったが、 常と変わらぬようにも聞こえて少し安堵する]
なんかばたばたしてましたけど、 ……そういう本でも隠してましたか?
[言いながら扉を開こうとすれば、 それは向こうから開いただろうか。 イアンとノックス、その取り合わせには少しばかり瞬いたけれど、]
――…っけほ ッ、 これ、なんですか 一体、 ……って、そうだ、ヘクターさんは――…?
[部屋の粉っぽさに咽せながら問う、 薔薇の香も、精の残り香も感じることは、なく]
(175) 2011/08/09(Tue) 23時頃
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[ゆらめくようなテッドの言葉には、何も返せなかった。
先程、後輩に自分の役に立ってもらったばかりだ。
誰かを求めたくなる心が、わかってしまったから]
……誰でもいいんだ。
[恋のふりだと気づいてしまった少年は、寂しそうに一言だけを。]
うん……?
[ノックスの返事は聴こえないけれど。
その代わり、先程すれ違った後輩の声が聴こえ、
小さく問いかけるように返す。
ああ、そう言えば、ボトルシップ見せるって言ったっけ。
そんな約束を微か思い出しながら。]
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[聞くまでもなく、室内にはいないようだ。 ロビンとの話はまだ済んでいないのだろうか、少し案じたけれど。 それから先ほどの件を、先に切り出されてしまって]
……あなたが謝ることじゃありません。 俺が悪かったんです、すみませんでした。
[言い訳のひとつもないままに、小さく頭を下げる。 下級生は彼を追いかけて行ったのだ。ノックスが自分の愚痴でもイアンに話していればいいと思ったけれど、事実は想像を上回っていることなど知らない。 ただ言葉の意味に気づかないまま、失敗の報告に眦を和らげる]
これじゃ掃除が大変そうですね。 ――……って、文様?
[言われて初めて目を向ける、 白い腕に浮かび上がる蔦模様、思わず手を伸ばした。]
これ、同じじゃないですか。なんで。
(182) 2011/08/09(Tue) 23時半頃
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[イアンの割って入られた言葉には少し瞬いて、 口ごもったのはロビンのことは言うべきでない気がしたから]
ん、いや、そんな大したことじゃない。 少し、今の状況を相談しておこうと思って……、
[そして、>>185 逃げられた手と、その言葉に気をとられた。 言葉の意味を理解するのに、少々時間を要して]
(188) 2011/08/09(Tue) 23時半頃
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……は? 何言って、
[示されたその意味に唖然としたけれど、 でも同時に理解していた薔薇の香が煽る熱]
ああ、……そうですね。 この薔薇に煽られて、嫌な奴と関係持つのはいやでしょうし。
[堪えるように俯く様子に、手は引いた。 行き場なく一度、自らの髪をかき混ぜる]
その文様がやっぱり、薔薇の香とあるんでしょうね。 ……眠ったら、ちゃんと面倒みますよ。
(194) 2011/08/10(Wed) 00時頃
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ザック先輩じゃなくても、良かったんだ……。
[気づいたから哀しくて。
金属製の小さな飛行機や、瓶の中に閉じ込められた船や、見せ合ってはしゃいだのがとてもとても昔に思えた。]
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[触るな、と言われていて。 けれどその勢いに案じるのはやはり体のこと]
あんまり怒ると体にさわりますよ。
でも、なんか、その。 ――……すみません。
[言葉の意味など知らぬままに、謝罪を重ねようとして。 続いた言葉に、嫌いという言葉には、 決して動じなかった表情の眉根が寄った]
……何言ってるんですか。
[思わず口にされた好意には、口ごもる。 それが特別なものでなければいい、隣人に向けるものであれば、とそう思って]
(205) 2011/08/10(Wed) 00時頃
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[戸惑いと困惑と――痛みの色もあらわに、 まっすぐに告げられる好意はとても痛くて、痛くて。 それはかつての自分をも、思わせる から]
なんで過去形なんですか。 ……縁起悪いですよ、やめてください。
[咎める言葉を口に出したところで、 深い碧は見開いた、白い肌が蔦模様に侵食されていく。 腕だけでなく体中に広がっていくそれを、目の前で]
……だから、何言って……、
[涙と笑みと浮かぶ表情が伝える想いに、言葉が出ない。 その蔦は連れていくものだと知っている、なのに動けない。手を伸ばすことが、出来なくて]
(210) 2011/08/10(Wed) 00時頃
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ヤニクは、彼が崩れる瞬間になって、ようやくその体が動いた。
2011/08/10(Wed) 00時半頃
[甘さだけではない、苦味も含んだ恋の涙。
それは、薔薇へ与えられる水となって降り注ぐ。]
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[夢は――幸せな眠りではないのだろうか。 苦しさを口にした彼が崩れていくのに、手を伸ばす。
穏やかに眠っていたはずのランディの目蓋にも、 涙が浮かんでいたことに気づいたものはいるだろうか。]
ノックスさん……!
[腕の中、その人はとても軽い。 支えたままで眉根を寄せた、乱れた髪を撫でれば――、
薔薇の香がまた匂い始める、 それは支えた人からだけでない気がして、一度振り返る]
(217) 2011/08/10(Wed) 00時半頃
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……ちゃんと面倒は見ますよ。
[優しげな指が触れた髪、 小さく呟きを落とす、少なくとも自分はまだ、 目で見えるところには文様などないはずで。]
ノックスさん、医務室に運ぶから、 ……お前はどうする。
[振り返った先のイアンにそう声をかけた]
(218) 2011/08/10(Wed) 00時半頃
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