241 線路上の雪燕
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ー 或る廃村 ー
[風に揺れる漆黒のコートの下、
滲み出た真っ赤な血だまりが大地を汚していた。
僅かに上下するそれは白い朝霧の中。
見守る者も、追う者も居ない。
その下から、赤く染まった子供の手が緩慢に這い出した。
何か、掴もうとして、そのまま力を失う。]
………こに…いるん…だよ…ね……
…………ね………
[伸ばした方向には、靴跡が付いている。
靴跡は真っ直ぐに馬小屋に向かい、そこで途絶えている]
[伸ばした方向には、靴跡が付いている。
靴跡は真っ直ぐに馬小屋に向かい、そこで途絶えている。
[空っぽの馬小屋の中から、駆け出す物が1つ。
小さな白鼠だった。血の匂いを嗅ぎつけたのだろうか。
素早く裸の地上を駆け、膨らんだコートの上に駆け上がると
ぢぢ、と首を傾げてからふすふすと匂いを嗅ぎ。
突如毛を逆立てると、逃げ去っていった。
霧の向こうに、四つ足の生き物が立っている。
毛皮で覆われ、逞しい前半身に対して
後ろ足はややほっそりとしていた。
音も立てずに微動だにせぬ子狼の側に歩み寄ると、
その首元に、大きく開いた己の顎を埋め込んだ。]*
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