231 獣ノ國 - under the ground -
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[ぱん、と手を叩けば、その音が部屋の壁に跳ね返る。 その反響には、僅かな差があって。 ガラスで出来た窓。金属でできた扉。それぞれが固有の振動を返すから、その音も変わるんだ。
ベッドの上で一度。部屋の真ん中で一度。腕を振るえば手がぶつかり、破裂音を生み出して、私だけの地図になる。 そうして来た、扉の前。
昔の私なら、きっと口で回していたであろうそのドアノブを、私は"掴む"。感触が無くとも、その位置を予想して。 そうしてそのまま、腕を回して、前に押し出せば。 完璧に温度が調整してあった施設では感じられない、冷たい夜の風が、私の体を通り抜ける。
ああ、これが……自由の冷たさ]
[そのとき。金属のノブを掴む手の冷たさが、確かに感じられた気がした]**
(170) konchinto 2015/07/22(Wed) 01時半頃
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[ ――――こつりと、 申し訳程度に乗せられたヒールが音を立てた。
男は―― 男は手に衣を嵌めたまま、 或る扉を開く。
ヘリオトロープの一角、変わった言葉を掛ける本屋があると聞いた。 …建前はそれだけ、 それだけであるが。 ]
(#1) 2015/07/22(Wed) 02時頃
[ 開けた戸の奥、眼鏡をかけた人影>>150を見たらば、男はじとりとそのさまを伺った。
白衣が風に揺れては、はたりと声を上げる。 男は横に流した髪を気怠気に撫でた 。
「 こんにちは、 」と。
紡がれる音、揺れる黒を見据えながら]
………鶴の「 おん 」返しは……ありますか
ああそれと…「 まいご 」の見つけ方も、――ね
(#2) 2015/07/22(Wed) 02時頃
[ 塔の天辺に住む鶴は、 うすく嗤った ]*
(#3) 2015/07/22(Wed) 02時頃
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[名を問うても、答えは返ってこない>>169。つまりは、名を失ったのだ。だが、それは、ハリネズミにとって不幸でもなんでもなかった]
…そうか、ヴェスパタインも、覚えてねえか。まいったな…
…じゃあ、ヴェスパタインが、つけてくれよ。名無しじゃ不便だろ?
[名前とは、この世で一番短い、しかし、非常に強力な、呪詛である。彼女は、名付けられて、彼に自由を奪われるのを…望んでいたのだ]*
(171) 宝井民 2015/07/22(Wed) 02時頃
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――― カメリア
[ 男は平生と、以前から変わらぬ音色で言葉を這わせた。 何を考えることもなく、ただ思い付いたのを 。 …――そして首傾げ考えた、はて、どうもしくりと来ない。
考えてから、教会の前。扉の前にて彼女を下ろす。 ふわりと柔な風が頬を撫でた。 ]
……ジリヤ。 …―――どちらでも、好きなように。
[ ―――門扉を開けば、 白亜とは違う白が、 白の住処が構えきらめいた。 ]*
(172) grampus2 2015/07/22(Wed) 02時頃
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いらっしゃい、 …「 おかえりなさい 」
[ 男は彼女に、そう紡ぐ。 ]
(173) grampus2 2015/07/22(Wed) 02時頃
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