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ないしょ
[つまみ食いは何かと問われて。彼が嫉妬してくれるなら、応えても良いが、あまりそんな気もしなくて、吐息交じりにそう返し。]
見世物じゃないって言ったのは
あなたでしょ
乱れた姿を他に見せないでと言ったのもあなた
俺も見せたくない…
[彼の真意はわからず、だが少しだけ彼に焦燥を感じる。これまでの恥じらう様子と真逆の、婀娜っぽい仕草。]
なにかあった?
[部屋のあちこちにある紙でできた小物を指して問うたが、彼には伝わらなかった様だ。だが、どうでもいい。ただ興奮で乱れる呼吸をごまかすだけの言葉。]
その問いは自信があるってことかな
素敵だよ
[答えながら首筋に口づけを落とし、鎖骨、胸元をたどり。再び昨日の様な手順で。違うのは、伸ばした下肢、不可解だった下着の紐解き方を知ったこと]
回り道も一つだけやくにたった
[くすくすと笑いながら、彼が脱衣所でしたことを自分も繰り返す。既に少しはそこは興奮の兆しを見せてくれていただろうか。それとも。
胸の尖りに舌を這わせ唾液で濡らし、左手はそれに添え、ゆるりと上下に扱く]
[其れにしても嫌に手慣れてるじゃないか。
自分の事だ。
あっしは何時からこんなにいやらしい笑みを浮かべて男を受け入れるようになったんだい?
分かってる。
「男を」受け入れるようになったのではなく、「彼を」受け入れるようになったのだ。
彼とのこうした逢瀬の時を何度も何度も重ねてその度に忘れて来たんだろうね。
其れでも身体が覚えているからこんなにも期待に震えているのだ。]
な、何にも無いよ。
お前さんに溺れたいだけ……。
[忘れたい事が有るから溺れたいのと。
愛しいから溺れたいのと何方も本当。]
っ、そりゃあ自信もあるさ。
[お前さんに素敵だと言って貰える自信がね。
彼が身体に接吻を落として行くのを目で追い。
こんなにも丁寧にあっしの身体を愛でてくれるんだもの。自惚れもするさ。]
んっ、あっ
[露わになった下肢への刺激に身体が跳ねる。
此れが自分の物かと疑う程高く甘い声が出た。
両手がぐしゃりとシーツに皺を作る。*]
─作業場─
(こんな風に、カーテンなんて揺れていなかった。
窓はひとつもない、代わりに換気扇が回る音。
あるのは堆く“積まれた”資料。
朝なのか夜なのかもわからない閉ざされた部屋。
充満する、油絵の具のキツい匂い。
綺麗なはずもないシーツ。
組敷くのは男の体。
混ざる、雄の臭い。
俺は男を抱いている。)
「クアトロ、言って?」
嗚呼。
「いつもみたいに、さあ。」
“愛してる”よ。
「フフッ、そうだよ、そう。」
「クアトロ、忘れないで。
キミは、ボクを
────“愛してる” んだ。」
[ケイイチが上着を脱ぐ気配を見せれば掌を引いた。熱の籠もった息を吐きながら、露わになった上体を眺める]
何人か……その色香で
眩ませていそうな、ものだが
[自分よりも確りと肉のついた身体は、男性特有の色香を十分に備えているように見えた。その喉から笑みと共に“かわいい”等と声を落とされた日には容易に手玉にも取れるだろう――こちらの胸が揺らぐ程ともなれば]
……はは、
参休は……そう思った、試しがない
[そう評された経験は幾度かあったようにも思うが、参休“自身を”愛らしいと思った事はない。例え同じ顔であろうとも、やはり他者と自らの壁というのはそれなりにあるものだ。
色づいた頬は珍しくはっきりと苦笑を浮かべ――けれど心底嫌がる素振りは見せず、穏やかにケイイチの頬を撫でた]
[参休の指先は火照り浮かされているというのに、触れたケイイチの素肌からは今なお熱を移される。高い声、という文句に一度瞬きをした]
上下、など
[この身に落ちる囁き、触れていく指先、与えられる熱の総てが好ましい以上些細な事だろう、と微笑する。首を傾げてみせるケイイチはきっとそんな事承知しているのだろうが]
……っ、ふ……
[言葉を継ぐより先に接吻が落とされ、ケイイチの下唇を柔く食んで応える。頭蓋をかき抱き舌を絡めるときは態と少々水音を立ててやった]
[一方では襦袢がはだけるのも構わず緩く膝を立て、下肢に割り入るようにして中心を探っていく。腿で熱いものを感じたならば、次の息継ぎにはくすりと笑みが乗ることだろう]
────Cinderella.
![]() | 【人】 お針子 ジリヤごはん。たべないの。 (212) 2014/12/25(Thu) 23時頃 |
[ サラリとした金。
霞んでほとんど見えない何かが内で揺れる。
彼を見るとそれはほぼ毎度のこと。
彼が何をしたわけでもないけど。
何かが引っかかって瞳がそこに吸い寄せられる。
何か自分は―――
彼の意識がないうちに、一度だけ其れを掬って
掌から零す]*
口ごもった 隠し事?
[ふふ、と笑って、 自分に溺れたいと言いう彼の言葉
俺でいいの? 溺れてくれる?
[彼の誘う態度、誰に教えられたものだろう
そんな嫉妬。
自分は、過去、男相手に足を開く男娼たちを馬鹿にして報復を受けた。なのにいまこうして、何も厭わず男相手に手を出す。
また、過去の自分のしたことだろうか
目を伏せ、下に組み敷く彼に集中したくて、頭を落とす。]
その、自信は正しい
[うっとり笑って見せて、
熱の籠った眼差しで、彼の体を眺め
かつて彼に暇つぶしと誘われた時の様に
女を扱う様に丁寧にその体に口づけを落とす
滑らかな肌に薄い腹
自分の辿る触れでぴくりと反る体
下肢への直接的な触れに彼は甲高い声をあげ、それに自分も興奮を得る。
熱をもちかたみを帯びたそれが、にちゃにちゃと音を立てはじめ、手をかすかに濡らしはじめる。]
…滑らせるものない?
さぁ?外の記憶は無いからね。
色気なんてあるのやら。
[とくり。
心臓の音を聞きながら晒される視線を受け、肩を竦める。
吐息を感じて、ーー自分の言葉で左右される言動、というのは心地よい。
記憶の糸が繋がっていないというのはその人との繋がりも希薄になるようで幾分寂しいように感じるが吸血鬼、の宿命だろうか。
だから、単純に嬉しい。
謙遜の言葉には深く入らず、頬を撫でる手に無意識に頬を擦り寄せた。]
上下?
嗚呼、でも愉しいーー。
ッふ、ぅ。
[軽く喰われ、絡め捉えられる舌から甘く溶けるような味を覚えた。
じゅっ、と立てられる音に今何をしているか、鮮明に感じる気がして息を漏らし、口を離す。]
[はた、と開く襟元に目を細めれば何時の間に、緩やかに与えられる下肢への刺激に呻きを漏らす。
水音と和服から覗く素肌。声。口ずけ。
それらに反応した竿は立ち上がりかけていてピク、と肩が跳ねる。
下を脱いでしまえば落とされる笑みに熱を持つ目を細める。]
はぁ…っ、ん。
液、ある?
[熱を持った体を覚ましたくて潤滑油はあるかと言葉少なげに問う。
あれば手に乗せ、無ければ唾液で濡らして既にはだけ切った後孔へと指を這わせ、埋める。]
む……。
[「隠し事?」と問われ馬鹿正直なあっしの口は正に馬鹿正直に黙り込む。]
思い出したく無いから、溺れさせて…。
お前さん「が」いいのだから。
[眉を切なく顰めて強請る。
今は自分を組み敷く愛しい人の事だけ考えていたい。
嗚呼、視線に晒されて身体が色付くよう。
女のように扱ったりして。
今だけはお前さんにとって"最高のオンナ"の身体をしていると思い上がってみようか。]
あぁ……んっ、滑らす?
香油の入った瓶なら何処かに……
[さて何処に有ったか知ら。
好い刺激に溶け出した頭では思い出すのに集中するのは難しい。
恐らく"こういうこと"以外には使ってない筈だから、べっどの近くに有る筈だけれど。
ただ聞こえる微かな水音にもう自分は濡れ始めてしまったのかと自覚する。*]
[それでも与えられるものなら何でも
自分が持っているものなら
彼の口ぶりから血液なのかとストレートな思考
なら、自分の望みにも遠くはない
だけど、彼が真実望むものは、違うものだろうか、
わからないまま*]
かわいいな
思い出したくないこと?
思い出せることがあるのは幸いでしょ
[む、と口を噤む彼に笑かけ。彼を見おろし、口づけを降らすのは、仲睦まじい恋人同士の様かもしれない。
昼の光で明るい部屋なのに、ベッドの上は乱れて。冷たい寝具に沈む彼の白い体に赤い跡を落としていく。色の対比が綺麗だと思った。
和装から腕は引き抜かれておらず、
やはり中途に残った衣服が彼を扇情的に見せる
それとも、自分の目が、彼をそう捉えるのか]
教えて、何を思い出したのか
[香油の場所を聞いて、そこに手を伸ばし。わずかな時間でも惜しく感じる]
あった
[膝立ちでそれを手に垂らし、
濡れてない方の手で彼の膝裏をかかえ足を押し広げ。
香油の滴る指で再び下肢を弄る。
少しでも痛みなど与えたくない。
つぷと、そこは指を飲み込んでいく]
![]() | 【人】 お針子 ジリヤ― 食堂 ― (229) 2014/12/26(Fri) 00時半頃 |
[昔々あるところに、家族を養う為と奉公に出た子供がいた。
元より働き者だった子供は、奉公先でもよく働いた。
けれど、奉公先も決して裕福ではない。
日頃の日照りに井戸は枯れかけ、気性の荒い主は使用人にきつく当たる日々。
そうしてある日、ほんの小さな失敗をした子供は、きつく咎められた後追い出されてしまう。
行く先のない子供は、せめて元いた家に帰ろうと歩き出すも、途中で力尽きてしまう。
最後に、家に帰りたかったと涙を流しながら。
そうして、その子供の涙が泉となり、今もその地を潤しているという。]
忘れたいと言ってるのに教えてなんて、馬鹿。
[でも、愛しい彼になら話してもいいかと温もりに絆される。どうせ忘れて仕舞うのだし。]
別に大した事じゃあないよ。
あっしがただ好い事だけを
求めるようになった切っ掛けの話。
[どうして囚われの籠の鳥で在る事を受け入れるようになったのかの話。]
でも、今するような話じゃないね…っ
[こんな、着物を僅か腕に掛けるばかりの素っ裸で後は足袋しか纏ってないような格好で長話はしたくない。]
あっ……流石に此れは少し…
[足を広げられ下肢が丸見えの状態になれば羞恥に震える。
彼の指を飲み込み始めた其処に、ほうと息を吐いて力を抜くように意識する。
思いの外異物感は少ない。矢張りある程度は慣れてるのだと確信する。]
ね、もっと奥まで……
[屹度その先に待ち受けてる物は好い筈と期待して上目遣いに。**]
…………。
[まるでこの者の話のようだ。
大人しく主人の謂うことを聞く働き者の子供]
(……自覚は、あるのか)
[ふとケイイチの言葉が気になった――てっきりまだ多少は思い出せるものだと思っていたから。
そこから転がり落ちた先に待つのは裂かれた腕、血染めの部屋、口の中でべたつきを残す鉄錆、主の掌――あまり良くないものだった、気がする。ああいう事にならなければいいのだが、と、熱に浮かされた頭のまま心配を少し]
[抱いた懸念は、口にするより先に結局水音で押し流されてしまったのだけれど]
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