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![]() | 【人】 許婚 ニコラス─自室─ (38) 2014/12/27(Sat) 16時頃 |
![]() | 【人】 負傷兵 ヒュー[指先で、そっと泡を立てる。 (40) 2014/12/27(Sat) 16時頃 |
……クアトロ?
[声色が、違う。
声色だけではなく、口調すらもか。
腕の力が強くなる。
折れてしまうような華奢さは無いものの、それでも息苦しさはある。
この苦しさは、単に物理的な要員から齎されるものなのか。
命令でもないのに、自らの身を洗い流す理由。
告げられる言葉、眉をきつく寄せて。]
んなこと言われて、……俺に、どうしろっていうんだよ……
[今はまだ、寝台の上、交わした言葉は覚えている。
けれど、一晩、二晩とすぎる内に、あっというまにその記憶は遠のいていくのだ。
自分が誰に抱かれたのか。
正確な人数も数も、全くといっていい程に覚えていないというのに。]
[泡の洗い流された掌は、抱きしめる腕にそっと触れる。
この腕の暖かさも、苦しさも。
きっとどこかに忘れてしまう。
ほんの僅かに、傷跡のような違和だけを残して。]
クアトロ、……
[細い声で、名前を呼んだ。]
![]() | 【人】 許婚 ニコラス─食堂─ (41) 2014/12/27(Sat) 16時半頃 |
![]() | 【人】 石工 ボリス[湯に流されていく。 (43) 2014/12/27(Sat) 16時半頃 |
クアトロ、じゃない。
本当の、名前は……ボリス。
[今の今まで忘れていた名前を口に出す。]
……そう、だな。
謂われたところで、迷惑なだけか。
[掠れて震える声から、飾りもしない言葉が落ちる。
それもきっと泡のように消えてしまうのだろう。
息苦しさを与えていると判っていながら
抱きしめる腕を、離せない。
緩めてやれる余裕など、部屋の前で嬌声を聞いたときから
とっくの昔に失っていたのだから。
何回目の『初めての男』なのだろう。
それでも、構わないなんて馬鹿にもほどがある。]
[触れる掌に、手を重ね。
慈しむように撫でる。]
何度でも、謂う。
お前が忘れるなら、俺が何度でも謂う。
わしが、何度でも謂うけ。
じゃけ、忘れてええよ。
[忘れたのならまた囁こう。
見えぬ傷を、何度心に負ったとしても。]
ヒュー、愛しとる。
[報酬でも、対価でも、見返りでもなんでもなく。
ただ君を愛してると囁いて。]
[水音には決して掻き消えぬ距離の中、本当の名と囁く理由。
抱きしめる力は緩まない。
腕に触れた手にその掌が重なるのに、息を呑む。]
……ボリス、
[その音が、口に馴染まないのも当然か。
何時の日からか、彼は自分の中ではクアトロという存在だったのだから。
忘れてもいい。
本当に、忘れてもいいのだろうか。
本当に忘れてもいい言葉を、こんな声音で囁くものなのか。]
………、俺は、
[応える想いを、自分は持っているのだろうか。
忘れ、遠ざかることで自らを守っている、自分に。]
……何度も口にしなくても、いい。
俺を愛する必要は、無い。
きっと俺は、また忘れちまうから。
……そしたら、……お前が、傷つくだけだろ、?
[言葉を、一つ一つ、選びながら。
知らず、腕に触れた掌に力を込める。
忘れられても、何度も、何度でも。
この空間で時間が続く限り、何度も、何度も、永遠に。]
……お前が傷つくことで成り立つ永遠なら、
そっちのほうが、俺は、嫌だ……。
[自分の知らぬところで、深く誰かを傷つける。
そんなことを、喜ばしいと思う者が、何処にいようか。
互いを守ると口にしながらも、それは酷く、独り善がりの思いだ。
―――ならば、他にどうしろと?]
![]() | 【人】 負傷兵 ヒュー ……お前が、風邪を引く。 (45) 2014/12/27(Sat) 17時頃 |
![]() | 【人】 紐 ジェレミー─食堂─ (46) 2014/12/27(Sat) 17時半頃 |
[重ねた手を、強く握り締める力などない。
いや、そんな勇気などない、が正しいか。]
クアトロは、昔殺された『俺』の、名前じゃ。
[今はそこまでしか思い出せないけれど
ここへ来て、その名前しか名乗っていなかったように思う。
だから謂いにくいのも口馴染まないのも仕方がないと
苦笑を零すのが精一杯の強がり。
零される音は、温かな雨粒よりも鮮明な声。
音量はさしたるものでもないのだろうが
反響して落ちるのは、浴室にでは、きっとない。]
うん、そうじゃの。
[必要不必要で、誰かをここまで想えるものか。
不要と謂われ、そうですねと切り捨てられるものか。
そう思いながら、吐き出すのは了承の意。
傷付かないわけはない。
それでも、きっと気持ちが揺らぐことはないのだろう。
だから、頷いてみせる。
彼をこれ以上、傷つけないために。]
お前さんは優しいねぇ。
わしなんぞいっくらでも、傷つければよかろうに。
[ふは、と笑みを零し。
それでも顔はまだ見せられなかった。
きっと、きっと歪んでいよう。]
![]() | 【人】 石工 ボリス[心裡を吐き出せば。 (48) 2014/12/27(Sat) 17時半頃 |
![]() | 【人】 お針子 ジリヤ― 昨夜:シュロの自室 ― (49) 2014/12/27(Sat) 17時半頃 |
![]() | 【人】 石工 ボリス ちゃんと体拭いて、あったかいまま寝るんよ? (50) 2014/12/27(Sat) 17時半頃 |
[彼から離れる間際、そっと落とすのは額への口付け。
昨夜の『おやすみ』のような、微かな。
そして背を向けて、一度だけ立ち止まる。]
……のぉ。
[振り向くことは出来ずに。]
愛さなくていいのは『命令』?
それとも『お願い』?
[どちらであっても───*]
![]() | 【人】 保険調査 ライジ ―回想:食堂― (51) 2014/12/27(Sat) 18時頃 |
![]() | 【人】 保険調査 ライジ[薬はワインで流し込む。 (52) 2014/12/27(Sat) 18時頃 |
![]() |
![]() | 【人】 宝飾交易 黍炉ー昨夜・自室に帰ってー (54) 2014/12/27(Sat) 18時半頃 |
[クアトロと、その名の経緯を語る声に、眉を下げる。
何故、その名を名乗るのか。
殺されたのは『俺』だという、ならば今の彼は何者なのか。
馴染みの筈の者だというのに、明かされるの面々は知らぬものばかりだ。
踏み込む勇気は、膨らむ戸惑いに圧倒され、それ以上の言葉は紡げない。
踏み込んだところで、理解者になれるというのか。
またそれも、忘れてしまうかもしれないのに。]
……話なら、
いつでも、聞けるから。
[口にしながら、その言葉が今この場には全くそぐわないものだと思う。
それでも、何かを口にしないと、押し潰されそうだった。]
[了承の返事を得た時、わずか安堵したのは事実だった。
その言葉の裏、真意がどうであれ、言葉という形で示されるのは、有難かった。
傷は、癒えるべきものなのだ。
忘れていい、ものではない。
忘れたところで、傷が無かった事になるわけではない。
そう思うと同時、背の傷がじくりと疼く。
優しいと、自分を称す言葉に首を横に振る。
何度も、何度も、首を横に振って。]
……臆病なだけだ、
[零れた笑い声に、涙が零れそうになる。
けれど、彼が無理矢理にでも笑うのであれば、自分もきっと笑うべきなのだろう。
そうして、作り笑顔を貼り付けて。]
![]() | 【人】 負傷兵 ヒュー[容易に解けた腕の拘束から離れれば、脱衣所へと真っ直ぐに向かうだろう。 (55) 2014/12/27(Sat) 18時半頃 |
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